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ビットコインに関する質問主意書
参議院 第186回 第28号お答えすることは困難 ×3承知していない ×1個別の事案 ×3
質問本文
インターネット上の仮想通貨とされるビットコインへの注目が高まっている。インターネット上において、ビットコインを決済手段として利用可能な物販サイト及びサービス提供サイトは多数存在し、実店舗でも取扱いが増加しているのが現状である。しかし、その法的な位置付けは不明確であり、決済における不安定要素となっている。
よって、ビットコインに対する規制の範囲を明確にし、取引の安定性・確実性を確保する観点から、以下質問する。
一 世界全体で、ビットコインの現在の発行残高及び経済価値は、日本円に換算していくらか。
二 諸外国において、ビットコインが資金決済で果たしている役割と、それに伴う法的な位置付けは各国でそれぞれ異なると認識している。例えば、中国、ロシア等においては、ビットコインの使用が規制されているとの報道もある。
諸外国の中で、ビットコインを法的に定義している国又は近い将来に法的な定義を行うことを表明している国はあるのか。
三 日本において、ビットコインは民法における「通貨」及び外国為替及び外国貿易法における「本邦通貨」、「外国通貨」に該当するのか。また、これらの法律のほかに、ビットコインを通貨の定義に内包する法律上の規定は存在しているのか。
さらに、銀行法、金融商品取引法等金融関連の法律におけるビットコインの取扱いや、その他の法律におけるビットコインの位置付けはどのようになっているのか。
四 前記三において、ビットコインを通貨の定義に内包する法律上の規定が存在しない場合は、我が国においては決済手段としてのビットコインの使用が禁止されるものであるのか。使用が禁止されるのであれば、その根拠となる法令を明らかにされたい。使用が禁止されないのであれば、以下の三点につき、法的な根拠も含め明らかにされたい。
1 ビットコインによる取引には課税されるか。
2 銀行は、ビットコインの売買の仲介、ビットコインと円貨又は外貨との交換並びにビットコイン口座の開設及び送金ができるか。
3 証券会社及び投資顧問会社は、ビットコインを投資対象とするファンドを組成することができるか。
五 ビットコインでの決済が日本国内で事実上行われている状況に鑑みて、いわゆるマネーロンダリングに使われることを防ぐとともに、マネーロンダリングに使われた場合に迅速な摘発を行うことが必要となるが、政府はどのような法令で担保しようと考えているのか。特に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律及び犯罪による収益の移転防止に関する法律との関係について示されたい。
また、前記三において、ビットコインを通貨の定義に内包する法律上の規定が存在しない場合、特に、民法、銀行法及び外国為替及び外国貿易法において通貨として定義していない場合には、マネーロンダリング対策の不備の原因となり得るのではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
六 ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換市場は、国内にも存在する。こうした交換市場の開設やそこで行われる取引が、民法の規定により無効とされ、又は銀行法、金融商品取引法、外国為替及び外国貿易法その他の法令に違反することはないか。特に、刑法における賭博及び富くじに関する罪に違反することはないか。
七 ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換を勧誘することは、虚偽の投資又は無限連鎖講等の勧誘行為等に値するものとして、刑事上の処罰を受ける可能性はないのか。また、こうした勧誘が金融商品取引法等の金融関連の法律で容認されるためには、どのような業者登録や勧誘規制の遵守が必要となるのか。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
ビットコインについては、特定の発行体が存在せず、各国政府や中央銀行による信用の裏付けもない等の特徴を有するとされているものと理解しているが、政府として、その全体像を把握しているものではなく、現在、関係省庁において連携を図りつつ、情報収集に取り組んでいるところである。
お尋ねの世界全体におけるビットコインの現在の発行残高及び経済価値について、確たることを申し上げることは困難であり、また、諸外国において、ビットコインを法的に定義している国又は近い将来に法的な定義を行うことを表明している国が存在しているか否かについても、具体的には承知していない。
三について
我が国において通貨とは、貨幣については通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和六十二年法律第四十二号)第七条で額面価格の二十倍まで、日本銀行券については日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十六条第二項で無制限に、それぞれ法貨として通用するものとされているところであり、ビットコインは通貨に該当しない。
民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二条第一項及び第二項における「通貨」とは、強制通用の効力(以下「強制通用力」という。)を有する貨幣及び日本銀行券であって、これを用いた金銭債務の弁済が当然に有効となるものをいうと解されており、強制通用力が法律上担保されていないビットコインは、当該「通貨」には該当しない。
また、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項における「通貨」とは、強制通用力のある銀行券、政府紙幣又は硬貨と解されており、ビットコインは、これらのいずれにも該当しないため、日本円を単位とする通貨と規定する「本邦通貨」、本邦通貨以外の通貨と規定する「外国通貨」のいずれにも該当しない。
さらに、その他の法律においても、ビットコインを通貨の定義に含めている規定は存在しない。
また、ビットコインは通貨ではなく、それ自体が権利を表象するものでもないため、ビットコイン自体の取引は、通貨たる金銭の存在を前提としている銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第二項に規定する銀行業として行う行為や、有価証券その他の収益の配当等を受ける権利を対象としている金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項又は第二項に規定する有価証券等の取引には該当しない。
その他の法律においても、ビットコインを明確に位置付けているものは存在しないと承知している。
四について
ビットコインを対価として債務の弁済に使用することを一律に禁止する法律は存在しないと承知している。
お尋ねの1について、個別具体的な課税関係については、個々の事実関係に基づき判断すべき事柄であり、また、お尋ねの「ビットコインによる取引」の内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)等に定める課税要件を満たす場合には、課税の対象となる。
お尋ねの2について、ビットコインの売買の仲介やビットコインと円貨又は外貨との交換、ビットコインを預かる「口座」の開設及び当該口座間でのビットコインの移転については、銀行法第十条第一項各号、同条第二項各号及び第十一条各号に規定する銀行が営むことができる業務には該当しない。
お尋ねの3について、ビットコインがお尋ねの「投資対象」として適当であるか否かは別として、金融商品取引法第三十五条第二項第六号及び同項第七号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号)第六十八条第十九号は、第一種金融商品取引業又は投資運用業を行う金融商品取引業者が行うことができる業務として、有価証券又はデリバティブ取引に係る権利以外の資産に対する投資として、財産の運用を行う業務を規定している。
五について
犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であるが、お尋ねの「マネーロンダリングに使われた場合」が組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第十条第一項に規定する「犯罪収益等」の「取得若しくは処分につき事実を仮装し、又は犯罪収益等を隠匿した」に該当する場合には、同項の罪が成立することがあるものと考えられる。また、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)は、同法第二条第二項に規定する特定事業者に対し、顧客等との一定の取引について、ビットコインの使用の有無にかかわらず、本人特定事項等の確認等の義務を課している。
三についてでお答えしたとおり、ビットコインを通貨の定義に含めている法律の規定は存在しないが、そのことがお尋ねの「マネーロンダリング対策の不備の原因」となり得るか否かについては、ビットコインの使用実態等が明らかでない現段階でお答えすることは困難である。
六について
お尋ねの「ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換市場は、国内にも存在する。こうした交換市場の開設やそこで行われる取引」を一律に禁止する法令は存在しておらず、そのような市場の開設や取引の民事法上の効力及び法令違反の有無については、個別具体的な事情により判断されることになり、一概にお答えすることは困難である。
七について
お尋ねの「ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換を勧誘することは、虚偽の投資又は無限連鎖講等の勧誘行為等に値するもの」として一律に刑事罰を科す法律は存在せず、当該交換を勧誘することが刑事罰の対象となるか否かは、個別具体的な事情により判断されることになる。また、三についてでお答えしたように、ビットコイン自体の取引は有価証券等の取引に該当しないため、当該交換を勧誘することは、金融商品取引法等の金融関連の法律による「業者登録」や「勧誘規制」の対象とはならない。
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