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福島県外における健康調査に関する質問主意書

参議院 第189回 第255号お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×4承知していない ×1

提出者
参議院
提出日
2015年8月26日
内閣転送 2015年8月31日
答弁書受領日
2015年9月4日
提出から9日
答弁の項目数
4
質問 2,284字/答弁 2,078字

質問本文

八月二十五日、政府は東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(以下「子ども被災者支援法」という。)に基づき、被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の変更を閣議決定した。この中で、健康支援に関し、環境省の「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下「専門家会議」という。)の中間取りまとめを引用し、これまで多くの被災当事者や自治体が要望していた福島県外で被ばくした子どもの健康調査については言及していない。そこで以下質問する。

一 子ども被災者支援法第十三条第二項は、子どもである間に一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者及びこれに準ずる者について健康調査を行うことを明記している。しかし、専門家会議では「一定の基準以上の放射線量」の検討をせずに、福島県外における住民の甲状腺検査の実施を先送りした。子ども被災者支援法第十三条第二項に基づき、「一定の基準以上の放射線量が計測される地域」に居住したことがある者について国の責任で健康調査を行うべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 第十九回「県民健康調査」検討委員会において、福島県県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会(以下「甲状腺検査評価部会」という。)は「わが国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病数に比べて数十倍のオーダーで多い。この解釈については、被ばくによる過剰発生か過剰診断(生命予後を脅かしたり症状をもたらしたりしないようながんの診断)のいずれかが考えられ、これまでの科学的知見からは、前者の可能性を完全に否定するものではないが、後者の可能性が高いとの意見があった。」との中間取りまとめを報告している。この中間取りまとめの意味するところは、子ども被災者支援法第一条の「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」ことにある。福島県内において子どもの甲状腺がんが多発している以上は、同法第二条の未然防止の観点から、一定線量以上の福島県外の子どもにも健康調査を実施するのが子ども被災者支援法の趣旨であると解せられるが、この中間取りまとめの意味するところについて政府の見解を明らかにされたい。

三 二〇一一年三月十四日から三月十五日にかけて放射性ヨウ素一三一が大量に放出されたが、国は東京電力株式会社福島原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)後の初期被ばく線量の推計をほとんど行っていないため、汚染状況は原発事故後のプルーム拡散シミュレーション結果等に依拠せざるを得ない。以下に示す複数のシミュレーション等に基づけば、放射性ヨウ素一三一のプルームは福島県から関東一円へ移動している。

① 環境省主催のセミナー(二〇一五年三月七日大田原市)で有識者が放射能汚染状況の説明に用いた株式会社ヴィジブルインフォメーションセンターの放射性ヨウ素一三一のプルームの拡散シミュレーション(二〇一一年三月十二日から四月七日)は重要な参考資料の一つである。それに基づけば、放射性ヨウ素一三一のプルームは三月十五日に東京電力株式会社福島第一原子力発電所から南下し関東一円を通過した後、北上している。このシミュレーションは栃木県の同時期の実測データからも裏付けられ、降雨のあった地域では地表に沈着した。

② UNSCEAR二〇一三年報告書の「2号機から大気中への大規模放出後における131I大気中濃度のシミュレーション結果」には二〇一一年三月十五日の福島県、茨城県、栃木県における濃度が高い放射性ヨウ素一三一のプルームの移動が示されている。

③ NHKで二〇一二年三月十一日に放映された「ネットワークでつくる放射能汚染地図5 埋もれた初期被ばくを追え」のシミュレーションでは、二〇一一年三月十五日に放射性ヨウ素一三一のプルームは風向きの変化により、福島県南部から、茨城県、栃木県など北関東を直撃していたことが判明している。

④ UNSCEAR二〇一三年報告書では外部被ばく、内部被ばくを含む原発事故後一年間の被ばく量を福島県外の市町村も含めて推計している。同報告書に基づいて一歳児における甲状腺吸収線量(外部被ばく及び吸入)を考察すれば、栃木県北部の市町村における被ばく量は福島県の市町村と比較しても決して少なくない。

以上のことから、福島県外の市町村でも放射性ヨウ素一三一により、福島県内の市町村と同等の初期被ばくを受けたところがある。国は関東一円の子どもたちに甲状腺検査を実施すべきであると考えるが、右①から④の事実認識及び私たちの考察結果についての政府の見解を、項目毎に明らかにされたい。

四 いわゆる「過剰診断」論は、福島県立医大教授の鈴木眞一氏が、二〇一四年六月十日の第三回甲状腺検査評価部会でがん診断を受け手術を受けた患者は臨床的に明らかに声がかすれたり、転移などをしていたりするとして、放置できるものではないと説明していること、二〇一四年度の二度目の検査で前回A1又はA2判定で二次検査は必要なしとされた子どもたちの十四人が甲状腺がんやその疑いと診断されていることを考えれば、すでに破綻していると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 子ども被災者支援法第十三条第二項における「一定の基準以上の放射線量」を政府は具体的にどのように解釈しているのか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一及び五について

東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(平成二十四年法律第四十八号)第十三条第二項後段については、被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(平成二十五年十月十一日閣議決定。以下「基本方針」という。)において、「法第十三条に基づく施策について・・・適切に支援地域及び対象者を設定の上、実施されるものである」としており、支援すべき地域及び対象者を定めつつ、適切に施策を実施するものと解釈している。

このため、同項の趣旨を踏まえると、地域で計測される放射線量のみならず、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故(以下「事故」という。)の初期の内部被ばくの状況なども勘案した上で、地域ごとの被ばく線量を評価し、その上で支援すべき地域及び対象者を設定し、施策を進めることが重要であると認識している。

また、同項の趣旨を踏まえ、事故の後の健康管理の現状や課題を把握し、今後の支援の在り方を検討するために開催された「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の中間取りまとめ(以下「専門家会議中間取りまとめ」という。)においては、被ばく線量の実測値や国内外の専門家による推計値を評価した上で、「UNSCEAR等の国際的な評価も踏まえ、専門家会議としては、甲状腺がんを含めたがんについては従来から取り組まれてきたがん対策を着実に進めることが重要」とし、「がん罹患情報を把握し変動をモニタリングすることも住民の健康を見守っていくという観点から重要」とされ、また、「県民健康調査「甲状腺検査」が実施されてきたことは適切な対応であり、今後も継続していくべきものである」とし、福島県の近隣県における甲状腺検査の実施については、症状のない小児に一律に検査を実施することにより生ずる問題等を踏まえ、「施策として一律に実施するということについては慎重になるべきとの意見が多かった」とされている。

このようなことから、同項に規定する放射線による健康への影響に関する調査についての必要な施策としては、福島県の県民健康調査及び平成二十七年二月に公表した「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性」に示した「福島県及び福島近隣県における疾病罹患動向の把握」がこれに該当するものと解しており、前者については福島県、後者については福島県及び福島県の近隣県を基本方針における支援地域として、適切に実施している。

二について

福島県県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会の甲状腺検査に関する中間取りまとめ(以下「評価部会中間取りまとめ」という。)においては、「わが国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病数に比べて数十倍のオーダーで多い。この解釈については、被ばくによる過剰発生か過剰診断(生命予後を脅かしたり症状をもたらしたりしないようながんの診断)のいずれかが考えられ、これまでの科学的知見からは、前者の可能性を完全に否定するものではないが、後者の可能性が高いとの意見があった」とされていると承知している。また、専門家会議中間取りまとめでは、「成人に対する検診として甲状腺超音波検査を行うと、罹患率の十~五十倍程度の甲状腺がんが発見される」とされており、「「先行検査」で発見された甲状腺がんについて、・・・原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない」と指摘されている。

このようなことから、政府としては、評価部会中間取りまとめについては、専門家会議中間取りまとめの指摘と同様に、福島県の県民健康調査「甲状腺検査」の先行検査で発見された甲状腺がんについて少なくとも事故由来以外のものである可能性が高いことを示しているものと考えている。

三について

御指摘の①については、御指摘の「関東一円」、「栃木県の同時期の実測データ」及び「降雨のあった地域では地表に沈着した」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

御指摘の②については、御指摘の「濃度が高い放射性ヨウ素一三一」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

御指摘の③については、御指摘の平成二十四年三月十一日に放映された内容について承知していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

御指摘の④については、御指摘の「栃木県北部の市町村における被ばく量は福島県の市町村と比較しても決して少なくない」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四について

御指摘の「いわゆる「過剰診断」論」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×4承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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