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国葬儀の法的本質及び法的効果並びに法的根拠等に関する質問主意書

参議院 第210回 第81号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×3

提出者
参議院
提出日
2022年12月10日
内閣転送 2022年12月10日
答弁書受領日
2022年12月23日
提出から13日
答弁の項目数
18
質問 4,210字/答弁 3,175字

質問本文

国葬儀について以下の事項を質問する。答弁に際しては、令和四年十一月十五日及び同二十二日の参議院外交防衛委員会における政府答弁に基づき、丁寧に分かりやすく答え、国民及び国会への説明責任を全うするように最大限に努めること。

一 政府はこの間、安倍元総理の国葬儀について、国として葬儀を行う、国において行う、国の名において行う、そして、故人に対する敬意と弔意を国全体で表す儀式、国全体として弔意を表す、これは国葬儀を行うに当たって基本であるといった国会答弁や記者会見を行っているところであるが、国葬儀を実施したことで国民や国会などの国家機関などは安倍元総理に敬意や弔意を表したことになるのか、また、これら国民等が敬意や弔意を表していると擬制したことになるのか。

二 政府は外交防衛委員会において前記一の趣旨の質問に対する答弁の一環として、「今般の国葬儀は国の儀式として国の名において行う葬儀であり、それを実施したことのみをもって、国民一人一人や国会が弔意を表したことを意味することにはならないと考えております。」と述べているが、ここにいう「それを実施したことのみをもって」の意味するところを説明されたい。

三 「故人に対する敬意と弔意を国全体として表す儀式を催し、これを国の公式行事として開催し」、「国全体として弔意を示す、これはまず国葬儀を行うに当たって基本である」との岸田総理の国会答弁や記者会見にある「国全体」の言葉の意味について説明されたい。

国全体という言葉を用いているからといって、国民や国会などの国家機関などは安倍元総理に敬意や弔意を表したことになるものではなく、また、これら国民等が敬意や弔意を表していると擬制されているものではないと理解してよいか。

四 前記三について、政府は、国全体で安倍元総理に弔意や敬意を表すとの意味について、「今般の国葬儀は国の儀式として国の名において行う葬儀であり、国として故人に対する敬意と弔意を表す儀式であるという趣旨でございます」という答弁を行っているが、ここでいう「国の儀式」、「国の名において」、「国として」の文言の趣旨についてそれぞれ説明されたい。

五 前記四について、政府は、外交防衛委員会において、「国の名においての意味なんですが、よろしいですか、日本国という名前を、名称を使ってと、そういう意味でおっしゃっているということでよろしいですね。」との質問に「御指摘のとおりと考えております。」と答弁し、更には、「今般の国葬儀は国の儀式として行う葬儀であり、前回の質疑の際に、議員から、日本国というクレジット、言わば日本国という名義を使ったと指摘いただいたように、国の名において行う葬儀でありますが、」と述べているところであるが、「国として故人に対する敬意と弔意を表す儀式である」という説明の趣旨はどういう意味のものであると考えているのか。「国の名において」と同じく日本国という名義を使用した葬儀という意味なのか、あるいは、国家が主催する葬儀といった意味も含んでいるのかについて具体的に説明しつつ答弁されたい。

六 前記一から五を踏まえつつ、要するに国葬儀とはその定義や実態において一体どのようなものであるのか、「日本国というクレジット」、あるいは、「日本国という名義」という文言を使用しつつ、可能な限り具体的かつ分かりやすく説明されたい。

七 安倍元総理に対する敬意と弔意を国全体で表す儀式などと説明されている国葬儀の実施は、憲法第十三条が保障する国を構成する国民一人一人の個人の尊厳の尊重及び憲法第十九条が定める思想、良心の自由に抵触するのではないか。

八 前記七について、政府は、「今般の国葬儀は国の儀式として行う葬儀であり、前回の質疑の際に、議員から、日本国というクレジット、言わば日本国という名義を使ったと指摘いただいたように、国の名において行う葬儀でありますが、それを実施したことのみをもって国民一人一人が弔意を表したことを意味することにはならないと考えており、したがって、国民一人一人の個人の尊重を定めた憲法十三条や、思想、良心の自由を定めた憲法十九条に抵触するものではないと考えております。」などと答弁しているが、国葬儀の実施は安倍元総理に対する国民の敬意や弔意に法的な効力を及ぼすものではなく、また法的な効力を及ぼすための法的な根拠も我が国には存在しないと考えてよいか。

九 安倍元総理に対する敬意と弔意を国全体で表す儀式などと説明されている内閣による国葬儀の実施は、国会や裁判所が安倍元総理に対して弔意等を表したことになる、または、国会や裁判所の弔意等が擬制されるなどして、憲法の定める三権分立に抵触することになるのではないか。これら弔意等を表したことになる、または、擬制される法的効果やその法的根拠の有無を含めて答弁されたい。

十 内閣が国葬儀を実施できる直接の法的根拠は、「行政権は、内閣に属する。」と定める憲法第六十五条及び「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」と定める内閣法第四条第一項のみであると理解してよいか。

十一 前記十について、政府は、外交防衛委員会において、「内閣府設置法においては、内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確になっていることから、議員御指摘のとおり、国葬儀の実施が行政権に属することの根拠という意味で根拠と申し上げてございます。」と述べているところ、内閣府設置法の「国の儀式」の文言は「国葬儀の実施が行政権に属することの根拠」に過ぎないものであり、内閣が国葬儀を実施できる直接の法的根拠とは考えていないということでよいか。

これについて、岸田総理は、「(前略)行政権に基づくものであり、その一つの根拠が内閣府設置法第四条三項等に明記されていることである」と答弁しているところ、この「一つの根拠」、「等」とは何なのかについても説明されたい(政府からは、内閣府設置法の「国の儀式」以外のものは存在しないとの説明を受けているが、総理答弁の当該箇所が特段の意味のない発言である場合はそうした趣旨を示されたい)。

十二 国葬儀が、国の名義(国のクレジット)で行う葬儀というものであるとしても、日本国という名義を使うにも関わらず、主権者である国民や国会の了解も取らず、内閣だけで日本国という名義を使った国葬儀なるものが実施可能なのか。国民主権や議院内閣制の趣旨に反するのではないか。

十三 政府は、「国の儀式である国葬儀は国が行政権の作用として行うものであり、政府としては、国が主催者となる行政上の事実行為としての国葬儀を、閣議決定を根拠として行政権の作用により実施することは可能と考えてございます。」としているが、参議院や衆議院では議長のための議会葬を実施し、過去には、三木元総理の衆議院と内閣の合同葬も行われているところ、事実行為としての葬儀の実施が三権分立において内閣だけしか実施できない、あるいは、内閣が独占して行うべきである、あるいは行うことが出来るとする法的根拠はないのではないか、法的根拠があるとする場合はそれを示されたい。

また、これについて、政府は、外交防衛委員会において、「内閣府設置法において、内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確になっていること等を踏まえれば、一義的には行政権がその主体となるものと考えてございます。」と答弁しているが、当該「国の儀式」に国葬儀を含むとする政府の見解は国会では全く審議されておらず、そのような趣旨の法規範として認めることは適切ではないのではないか。

十四 前記十三について、憲法は国会を国権の最高機関と定めており、国葬儀が日本国という名義を使用して行う葬儀というものに過ぎないとしても、国の名義を使う以上は、内閣がそうした葬儀を行うことの根拠規範たる法律が必要ではないのか。

十五 政府は行政権の行使として国葬儀を実施したとしているところ、国民や国会の同意を取ることなく内閣の独断で実施したことは、内閣法第一条に定める行政権の行使と国民主権及び国会への連帯責任の趣旨に反する違憲、違法の行為ではないか。

十六 前記十五について、政府は「今般の国葬儀は国の儀式として国の名において行う葬儀であり、国民の権利を制限したり義務を課したりするものではなく、法律による授権は必ずしも必要ではないと考えております。」と述べているが、この侵害留保説に基づく主張は、内閣法第一条が定める「内閣は、国民主権の理念にのつとり、日本国憲法第七十三条その他日本国憲法に定める職権を行う。」及び「内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う。」という内閣に課された行政権行使の規律が国葬儀の実施において適切に遵守されていたかについて、何か法的な意味(法的な効果や法的な効力)を有するものなのか。

十七 安倍元総理の国葬儀の実施に際して、教職員や児童生徒に黙祷などの敬意や弔意の表明を求めた教育委員会や学校は存在するのか。仮に、黙祷の実施を求めた場合は、その行為には法的正統性はなく、かつ、それに関する処分や指導などの不利益行為は違法となると認識してよいか。また、山口県教育委員会が行った弔旗掲揚の職務命令は違法であり、それに関する処分も違法ではないのか。

十八 安倍元総理の国葬儀について、岸田総理はいわゆる弔問外交を国葬、内閣葬ではなくて国葬儀でなければいけない柱の理由にしていたが、政府は二百十七の国や国際機関等と国葬の前後で会談等をしたとしているところ(うち国の数は百七十四)、これらのうちに事前の準備によって具体的な新しい外交案件が成果として得られたものは、岸田総理のUAE(アラブ首長国連邦)との会談のみであるということでよいか。外交防衛委員会において「国葬儀の際に新たに署名した文書や協定に実質的に合意したものは、アラブ首長国連邦との諸案件のみと承知しております。」と答弁しているが、事実関係を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

故安倍晋三国葬儀を実施したことのみをもって、御指摘の「国民や国会などの国家機関などは安倍元総理に敬意や弔意を表したこと」又は「これら国民等が敬意や弔意を表していると擬制したこと」にはならないと考えている。

二について

お尋ねについては、国の儀式として国の名において行う葬儀を実施したことが、直ちに国民一人一人や国会が弔意を表したことを意味することにはならないという趣旨である。

三について

御指摘の岸田内閣総理大臣の発言及び答弁については、故安倍晋三国葬儀が、国の儀式として国の名において行う葬儀であり、我が国として故人に対する敬意と弔意を表す儀式であることを踏まえ、「国全体」という表現を用いたものである。

後段のお尋ねについては、お尋ねのとおりである。

四について

御指摘の答弁における「国の儀式」は、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第三項第三十三号に規定する国の儀式を指すものである。

また、故安倍晋三国葬儀は、国の儀式であり、国が主催する葬儀であることを踏まえ、御指摘の答弁においては「国の名において」又は「国として」と述べているところである。

五について

故安倍晋三国葬儀は、国の儀式であり、国が主催する葬儀であることを踏まえ、御指摘の答弁においては「国として故人に対する敬意と弔意を表す儀式である」と述べているところである。

六について

国葬儀は、国の儀式として行う葬儀であり、その内容については、その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい内容となるよう検討されることとなると考えている。その上で、故安倍晋三国葬儀については、「国の名において行う葬儀」等と説明しているところであり、御指摘のような「日本国というクレジット」又は「日本国という名義」により行われた葬儀と表現することも可能であると考えている。

七について

故安倍晋三国葬儀の実施と国民の弔意等の関係については、一についてで述べたとおりであり、また、故安倍晋三国葬儀においては、国民一人一人に喪に服することを求めていないことから、「憲法第十三条が保障する国を構成する国民一人一人の個人の尊厳の尊重及び憲法第十九条が定める思想、良心の自由に抵触する」との御指摘は当たらないと考えている。

八について

お尋ねのとおりである。

九について

御指摘の「これら弔意等を表したことになる、または、擬制される法的効果やその法的根拠」はなく、故安倍晋三国葬儀を実施したことのみをもって、「国会や裁判所が安倍元総理に対して弔意等を表したことになる、または、国会や裁判所の弔意等が擬制される」ことにはならないと考えており、また、故安倍晋三国葬儀においては、国会及び裁判所に対して「弔意等を表」すことを求めていないことから、「憲法の定める三権分立に抵触することになる」との御指摘は当たらないと考えている。

十について

お尋ねの「国葬儀を実施できる直接の法的根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うこととしたことは、憲法第六十五条及び内閣法(昭和二十二年法律第五号)第四条の趣旨を踏まえたものである。

十一について

前段のお尋ねについては、お尋ねの「国葬儀を実施できる直接の法的根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣府設置法第四条第三項第三十三号において内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確となっていることから、「国葬儀の実施が行政権に属することの根拠」であると考えている。

また、後段のお尋ねについては、御指摘の岸田内閣総理大臣の答弁は、御指摘の「一つの根拠」及び「等」という語を含め、憲法第六十五条及び内閣法第四条の趣旨を踏まえ、内閣府設置法第四条第三項第三十三号において同府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確となっているという趣旨を述べたものである。

十二について

閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことは、国の儀式を行うことは立法権及び司法権の作用に含まれるものではなく行政権の作用に含まれること、内閣府設置法第四条第三項第三十三号において内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確となっていること等から可能であると考えており、「国民主権や議院内閣制の趣旨に反する」との御指摘は当たらないと考えている。

十三について

お尋ねについては、国の儀式を行うことは立法権及び司法権の作用に含まれるものではなく行政権の作用に含まれること等からすれば、国葬儀を含む国の儀式について、その実施や内容を決定し、その事務を執行することについては、一義的には行政権がその主体となるものと考えている。

十四について

政府としては、一般的には、行政権の作用に含まれる事項について、国民の権利を制限したり、国民に義務を課することのない限りは、法律の根拠を必ずしも必要とするものではないと考えている。その上で、閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことが可能であることについては、十二についてで述べたとおりである。

十五について

閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことが可能であることについては、十二についてで述べたとおりであり、「内閣法第一条に定める行政権の行使と国民主権及び国会への連帯責任の趣旨に反する違憲、違法の行為」との御指摘は当たらないと考えている。

また、政府としては、故安倍晋三国葬儀の実施について国民や国会の理解が得られるよう、令和四年九月八日の衆議院議院運営委員会及び参議院議院運営委員会、記者会見等の場で故安倍晋三国葬儀の実施の考え方等について説明を行ったところである。

十六について

お尋ねの趣旨が明らかではなく、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、故安倍晋三国葬儀の実施と内閣法第一条の関係に関する考え方については、十五についてでお答えしたとおりである。

十七について

お尋ねの件については、令和四年十一月十五日の参議院外交防衛委員会において、政府参考人が「各教育委員会におきまして教職員や児童生徒に黙祷を求めた事実については、調査しておらず把握してございません。・・・今般の国葬儀に際して、教育委員会等が教職員や児童生徒にその意に反して黙祷を強制する法的根拠はなく、そのことにより不利益処分を行うことは違法になると考えてございます。また、山口県で行った職務命令につきましては、弔旗掲揚に関しましては、特定の職務命令が違法かどうかは個別具体の状況によりますために一概には申せませんが、今般の国葬儀に際して、命令に従わなければ処分することを前提として半旗の掲揚を命令することは、法的には裁量権の逸脱と評価されかねないと考えてございます。なお、山口県教育委員会は、今回、一般論として、命令であれば従わなければ処分することがあり得ると述べたにすぎず、今回の命令に関しては元々処分することは想定していないと承知してございます。」と答弁したとおりである。

十八について

お尋ねについては、「事前の準備によって具体的な新しい外交案件が成果として得られたもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の国葬儀の際に参列国との会談において新たに署名した文書や実質的に合意した協定は、アラブ首長国連邦との間におけるもののみである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×3

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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