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生殖補助医療に係る保険適用の回数制限緩和に関する質問主意書
参議院 第221回 第29号
質問本文
厚生労働省が公表した「人口動態統計速報(令和七(二〇二五)年十二月分)」によれば、二〇二五年の出生数(速報値)は日本で生まれた外国人等を含め七十万五千八百九人であり、統計開始以来の最小値を記録した。国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口(令和五年推計)」の中位推計によれば、日本で生まれた外国人等を含めた出生数が約七十万人となるのは二〇四二年であり、実際には十七年早いペースで少子化が進んでいることになる。
一方、同研究所が公表した「第十六回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によれば、「実際に不妊の検査または治療経験がある夫婦の割合」は二十二・七%であり、約四・四組に一組となっている。また、二〇二三年に体外受精、顕微授精等の生殖補助医療で生まれた出生児数は八万五千四十八人であり、同年における全出生児数(七十二万七千二百八十八人)の十一・七%、約九人に一人となっている。全出生児数に占める生殖補助医療で生まれた出生児数の割合は年々上昇している。
二〇二二年四月に不妊治療への保険適用が開始されてから四年が経過した。現在、生殖補助医療の胚移植には保険適用の回数制限(以下「回数制限」という。)が設けられており、一子ごとに、初めての治療開始時点の女性の年齢が四十歳未満である場合は通算六回まで、四十歳以上四十三歳未満である場合は通算三回までとなっている。しかし、妊娠十二週未満で流産に至った場合には一回とカウントされ、六回又は三回の回数制限に近づくこととなる。不妊治療当事者のセルフサポート団体であるNPO法人Fineが二〇二二年及び二〇二五年に行ったアンケートには、「流産しても一子六回までの制限がリセットされないため、プレッシャーが大きい。」、「全て心拍確認後の流産でしたが保険の回数は十二週を超えなければリセットされないため(略)絶望していました。」など、当事者の声が寄せられている。
回数制限は、当事者にとって、大きな経済的及び精神的負担になっていると考える。また、少子化問題への対応のためにも、回数制限の緩和が必要と考える。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 回数制限が設けられている理由について、年齢区分ごとに医学的見地から説明されたい。
二 回数制限の緩和のための方策として、妊娠十二週未満で流産に至った場合、保険適用回数のカウントから除外又は妊娠十二週以降に流産に至った場合と同様に「次の児の妊娠を目的とした治療」の開始とみなし保険適用回数をリセットすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
三 回数制限の緩和は、当事者の経済的及び精神的負担の軽減となるとともに、約九人に一人が生殖補助医療で生まれる現状に鑑み、少子化対策にも資すると考える。前記二における妊娠十二週未満で流産に至った場合の対応も含め、回数制限の緩和について、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
厚生労働省において平成十六年度から実施していた「不妊に悩む方への特定治療支援事業」に関し、平成二十八年度から、御指摘の「四十歳未満である場合は通算六回まで」といった「回数制限が設けられている理由」については、同省雇用均等・児童家庭局母子保健課長(当時)が参集を求めて開催していた、不妊治療に係る実務や制度に関する専門的知見を有する有識者等により構成される「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」が平成二十五年八月二十三日に取りまとめた「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会報告書」(以下「報告書」という。)において、「特定不妊治療を受けた方の累積分娩割合は、六回までは回数を重ねるごとに明らかに増加する傾向にあるが、六回を超えるとその増加傾向は緩慢となり、分娩に至った方のうち約九十パーセントは、六回までの治療で妊娠・出産に至っているという研究報告がなされている」といった「医学的知見」を踏まえ、「四十歳未満で助成を開始した場合には通算六回・・・とすることが適当である」とされたことによるものであり、また、御指摘の「四十歳以上四十三歳未満である場合は通算三回まで」といった「回数制限が設けられている理由」については、報告書において、「累積分娩割合を年齢五歳階級ごとに比較した場合、三十~三十四歳及び三十五~三十九歳においては、治療回数を重ねるにつれて累積分娩割合は増加しているが、四十歳以上では、治療回数を重ねても累積分娩割合はほとんど増加しない」といった「医学的知見」を踏まえ、「四十歳以上で助成を開始した場合については、採卵から受精、そして胚移植に至るまでには、一定の治療回数を要することを考慮するとともに、諸外国における助成回数等を参考にして、通算三回とすることが適当である」とされたことによるものである。
その上で、当該事業の実施状況等を踏まえ、令和三年十二月十五日に開催された中央社会保険医療協議会総会等において、御指摘の「生殖補助医療」の保険適用について議論が行われ、当該事業の「回数制限」の取扱いを含め、その有効性、安全性等について確認されたことを踏まえ、当該「回数制限」の取扱いを維持しつつ、令和四年四月一日から保険適用の対象としているところである。
二について
報告書においては、不妊治療の有効性、安全性等を基に、「四十歳未満で助成を開始した場合には通算六回とし、四十歳以上で助成を開始した場合については、・・・通算三回とすることが適当である」とされているところ、御指摘の「妊娠十二週未満で流産に至った場合」についても、これらの回数から除外されるものではないと考えており、現時点で「保険適用回数のカウントから除外」することは考えていない。
また、一般に、御指摘の「妊娠十二週以降」は、流産に至る可能性が下がり、出産に至る可能性が高い状態に至ったと考えられること等を踏まえ、最終的に出産又は流産のいずれかに至るかにかかわらず、「保険適用回数をリセット」することとしているところ、「妊娠十二週未満で流産に至った場合」については、同様の状態に至っていたものとは言えず、「妊娠十二週以降に流産に至った場合」と同様に取り扱うべきとは考えていない。
三について
お尋ねについては、今後、「回数制限の緩和」に関する有効性、安全性等に係る新たな医学的な知見が得られた場合には、必要に応じて、当該知見も踏まえながら、中央社会保険医療協議会において検討することとなるものと考えている。