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文化財を保存し後世に伝える必要性に関する質問主意書
衆議院 第180回 第395号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1
質問本文
現在、大阪中央郵便局の庁舎を重要文化財として指定することを求める義務付け訴訟が提起されていると聞く。
当該庁舎は昭和初期に建築家、吉田鉄郎氏の設計により建てられたわが国を代表するモダニズム建築であり、その後の建築に与えた影響は計り知れないものである。建築史上極めて貴重な建造物であることは、重要文化財として後世に伝えるべき価値を有するものであると日本建築学会でも認められているところである。
吉田鉄郎氏の設計による建築としては、東京中央郵便局の庁舎もあったが、残念ながら、一部しか保存されずに高層ビルに建て替えられ、往時とは別の建築物になってしまった。
東京中央郵便局の建て替え計画に対しては、超党派の議員連盟が結成され、旧庁舎をそのままの形で保存活用するよう求める活動を精力的に展開したものの、戦火をくぐり抜けた歴史の生き証人であった東京中央郵便局旧庁舎を保存し、後世に伝えることができなかったのは、まことに残念である。
それでも、わが国には、まだ、大阪中央郵便局旧庁舎が残されている。保存価値では東京を上回るとの評価もある。もしこれを、昭和初期を代表する公共建築を破壊してしまうならば、昭和という時代を後世に伝えるものは永遠に失われてしまうことになる。
国家のアイデンティティーにとって、民族の歴史や文化を継承することが肝要であることは言うまでもない。だからこそ教育や文化を国家が積極的に守る姿勢が必要と考える。
そこで、以下、質問する。
1 吉田鉄郎氏設計による昭和初期の公共建築は、大阪中央郵便局以外に残っているか。建て替えられてしまった東京中央郵便局は除き、現存し把握されているものを明示されたい。
2 大阪中央郵便局の旧庁舎について、建築学会や建築士会等から保存の要請は出ているか。出されているとしたら、どのような団体から出されているか答弁いただきたい。
3 文化財保護法によれば、所有者の同意は必ずしも文化財指定の要件ではないはずだが、いかなる根拠で所有者の同意を実務上要求しているのか。法的根拠を明らかにされたい。
4 大阪中央郵便局旧庁舎の所有者は郵便局(株)で間違いないか。また、郵便局(株)の持株会社である日本郵政(株)の株主は誰か。
5 日本郵政は有識者による『「大阪駅前にふさわしい景観形成・歴史継承のあり方」に関する検討委員会』報告書に基づき解体していると聞くが、報告書の結論はどのようなものか。またその内容は、文化財保護の観点から適切なものであるか。
6 文化財指定を求める訴訟においては、文化財となるべき建物は、訴訟物そのものではないが、訴訟物たる権利の実現には不可欠な物件である。このような場合において、建物を毀損する行為は訴訟物たる権利の実現を著しく困難にする行為である。
目的物が無くなれば、いかに勝訴しても権利の実現は不可能となるから、文化財指定を同意しないことに利益があると考える所有者は、文化財相当の建物を先に破壊してしまうことで指定を免れて自らの目的を果たすことができる。
今日の不況で大阪中央郵便局庁舎の再開発計画は先送りされ、跡地は三年程度、広場として利用すると発表されているようである。東京中央郵便局はまだ、JPタワーへの建て替えという大義名分があった。しかし広場として利用する計画しかないならば、単なる破壊のための破壊でしかない。重要文化財にあたる建物をただ破壊することについて、所管省庁の認識を問う。
右質問する。
政府答弁書
1について
お尋ねの「昭和初期の公共建築」の範囲や「現存」の意味するところが必ずしも明らかではないことから、政府としてお尋ねに確定的にお答えすることは困難であるが、御指摘の人物が設計した建築物のうち建設当時に私的な利用に供されたものと思われるもの以外のものとしては、現在の所有者に確認ができた限りでは、西日本電信電話株式会社所有の「京都支店五条別館」、「新町ビル」及び「田辺営業所(事務棟)」並びにエヌ・ティ・ティ都市開発株式会社所有の「新風館」がある。
2について
お尋ねの「保存の要請」については、総務大臣等に対し、「DOCOMOMO Japan」、社団法人日本建築学会、社団法人日本建築家協会、「大阪中央郵便局を重要文化財にする会」及び「大阪中央郵便局を守る会」から出されている。
3について
文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第二十七条第一項の規定による重要文化財の指定に当たっては、同法第四条第三項において、政府は「この法律の執行に当つて関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない」とされていることに鑑み、所有者の財産権を尊重するとともに文化財保護の実効性を担保する観点から、所有者の同意を得て手続を進める実務上の取扱いとしている。
4について
お尋ねの「大阪中央郵便局旧庁舎」は、郵便局株式会社が所有している。また、日本郵政株式会社の株式の全ては政府が保有している。
5及び6について
お尋ねの報告書の「結論」としては、「大阪中央郵便局の建替えにあたり、近代建築の秀作と讃えられる郵政局舎建築の持つ伝統を後世に伝え、その立地条件を生かし良好な駅前空間形成に寄与するとともに、周辺地域はもとより広域の発展に資するよう、この地を新生郵政事業の拠点とされることを望みたい。その際、現局舎の建築的特長を備え、ある大きさを持った建物の一部を新建物へ移設し、新郵政事業の展開と深化に資することが望ましいと考える。」とされていると承知している。
当該報告書は民間企業のものであることから、その内容については政府としてお答えする立場にないが、「大阪中央郵便局庁舎」の取扱いについては、日本郵政株式会社が、地域の事情も踏まえ、関係者とも調整の上、自らの経営判断により行っているものと承知している。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。