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介護職による医療的ケア行為の範囲拡大に関する質問主意書

衆議院 第219回 第61号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×2

提出者
立憲民主党・無所属
提出日
2025年11月11日
内閣転送 2025年11月17日
答弁書受領日
2025年11月21日
提出から10日
答弁の項目数
3
質問 2,614字/答弁 1,770字

質問本文

我が国の高齢化は世界に類を見ない速度で進行しており、令和七年現在、要介護認定者数は約七百五十万人に達している。介護職員数は約二百万人であるが、看護職員の確保が困難な中、現場では医療的ケアを必要とする高齢者や障がい者への対応に限界が生じている。

平成二十三年の社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)の一部改正(平成二十三年法律第七十二号)により、喀痰吸引及び経管栄養に限って介護職が医療的ケアを実施できるようになったものの、その後の医療的ケアニーズの多様化に制度が追いついていない。

たとえば、皮膚トラブルに対する軟膏塗布、点眼、湿布貼付、座薬挿入、内服薬の投与補助、軽微な創傷処置、酸素吸入器の調整、気管切開周りのガーゼ交換など、医師の指示のもとでリスクの低い行為であっても、法的に看護師しか実施できない現状により、利用者や家族は介護・保育・教員等の支援者にゆだねることができず過度な負担が生じている。

また、医療的ケア児や重度障がい者への支援の場では、「喀痰吸引等一・二・三号資格の認定保持」の介護職は法律上「咽頭の手前まで」の吸引しかできず、違法性阻却枠の見直しも看護師が不在である時間帯や地域において、必要なケアが提供できず生命や健康が脅かされるケースも報告されている。その他医療的ケア児の在宅療養中の死亡が、二十四時間体制で在宅療養を支える家族の刑事事件として扱われる判例もあり、体力的、精神的負担事例が後を絶たない。今こそ、厚生労働省は医療的ケアの違法性阻却枠の見直しを実現するために医師会・看護師会と協議を図り早急な改善を行うべきである。

かかる状況は、国が定める地域包括ケアシステム及び自立支援型介護の理念と整合せず、制度的欠陥が放置されている可能性を想起せざるを得ない。改善に向け、介護職による医療的ケア行為の範囲を見直し、現場で安全かつ迅速に対応できる法的環境を整備することが急務であると考える。

以上を踏まえて、以下質問する。

一 介護職員が行う医療的ケアの範囲拡大について

喀痰吸引及び経管栄養に加え、注射を除く家族や本人が在宅療養で行っている低侵襲な医療的ケア(点眼、外用薬塗布、軽度の創傷処置、湿布貼付、内服薬投与補助、軽微な創傷処置、酸素吸入器の調整、気管切開周りのガーゼ交換など)について、一定の研修を修了した介護職が医師または看護師の指示のもとで安全に実施できるよう、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)及び関連政省令の見直しを行うべきと考える。

高齢者・障がい者の在宅生活を支えるためには、医療職と介護職の役割分担を再定義し、チームケアの実効性を高めることが不可欠であると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 違法性阻却に関する法的整備について

現行法上、介護職による医療的ケアは、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十七条における医行為の枠組みに関し、違法性阻却の考え方のもとで限定的に扱われている。医療的ケアを求める利用者が急増する中、この枠組みのままでは現場対応に法的リスクが生じ続ける。

安全性が確認された行為については、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)及び保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)との関係を整理し、法律上明確に介護職の実施を認め、責任と権限を制度的に保障することが必要であると考える。

政府は、介護現場の現実を踏まえ、違法性阻却の範囲を明文化・拡大する法改正(平成二十三年法律第七十二号による改正趣旨の更なる発展)を検討しているか、見解を示されたい。

三 安全性確保と研修制度の拡充について

平成二十三年改正以降、喀痰吸引等研修修了者による重大事故は極めて少なく、安全に実施されていることが特定認定行為登録事業者等で確認されている。

政府として、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和六十二年厚生省令第四十九号)の改正及び、同施行規則の一部改正(平成二十三年厚生労働省令第百二十六号)で整備された枠組みを拡充し、より多様な医療的ケアを安全に実施できる新たな医師会・看護師会・介護福祉士会共同の「医療的ケア総合研究機関」を創設する考えがあるか。

また、研修修了者の法的地位や登録制度(事業所登録・行為登録)の在り方を見直す考えがあるか、見解を示されたい。

さらに、現行の喀痰吸引等第一号・第二号・第三号研修については、現場実態に即した内容に改訂すべきである。特に、介護職員等が医師の指示の下で行う喀痰吸引に関しては、「医師が発行する指示書」において、気道内吸引の際は利用者ごとに適した吸引圧と挿入深度を定め、迅速かつ安全に喀痰を吸引する旨を明記することが望ましいと考える。

また、注射を除く医療的ケア(点眼、外用薬塗布、湿布貼付、酸素吸入器の調整、気管切開部周囲のガーゼ交換、内服薬投与補助等)については、医師・看護師及び家族の同意を前提として、介護職員が実施できる制度的枠組みを設け事業者の選択肢を整備すべきである。

このような制度整備に向けて、厚生労働省は医師会・看護協会等と協議を行い、指示書記載内容の見直しを含めた十分な検討を進める考えがあるか、政府の見解を示されたい。

四 人材確保と処遇改善について

介護職員等に新たな医療的ケア業務を担わせることは、職責とリスクの増加を意味する。したがって、医療的ケア業務を行う介護職員等に対しては、専門的役割に見合った賃金水準や資格手当、処遇改善加算の優遇など、具体的なインセンティブ措置を講じるべきであると考える。

特に、前記のような特定行為登録事業者としての医療的ケア業務を実施する事業者については、介護報酬・障害福祉報酬及び処遇改善加算において報酬の割増を行い、医療的ケアを担う介護職員の職位向上を図るべきと考える。政府の見解を示されたい。

五 今後の検討体制と省庁横断的取組について

本件は、厚生労働省の医政局、社会・援護局、老健局の連携のみならず、内閣官房、こども家庭庁、地方自治体を含めた包括的な検討が求められる。政府は、介護職による医療的ケア行為の範囲見直しに関する検討会を設置し、現場の声、事故データ、安全性検証、国際比較などを踏まえた法制度設計を速やかに行う考えがあるか。併せて、法改正の検討スケジュールを示されたい。

右質問する。

衆議院の原文経過

政府答弁書

一及び二について

お尋ねの「医療職と介護職の役割分担を再定義し、チームケアの実効性を高めること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「喀痰吸引及び経管栄養に加え、(中略)社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)及び関連政省令の見直しを行うべき」及び「違法性阻却の範囲を明文化・拡大する法改正(平成二十三年法律第七十二号による改正趣旨の更なる発展)」を行うべきとの趣旨のお尋ねとすれば、御指摘の「介護職員が行う医療的ケア」については、厚生労働大臣が参集を求めて開催していた、「喀痰吸引」等の安全性や技術等に関する専門的知見を有する有識者により構成される「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」が平成二十二年十二月十三日に取りまとめた「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方について 中間まとめ」において、「安全性の確保については、医学や医療の観点からはもちろん、利用者の視点や社会的な観点からも納得できる仕組みによるもの」とされ、また、例えば、平成二十六年四月二日の衆議院厚生労働委員会において、政府参考人が「こういった行為は、安全の確保というのが非常に重要でございますので、医療的なコントロールのもとで行われるというようなことで、教育研修をしっかりと受けていただいた介護職員が行うこと、それから医師、看護師などの医療関係者との連携をしっかりするといった安全確保措置を講じた上でこういうことをやっていただくというような形で整理させていただいている」と答弁しているとおり、御指摘の「見直し」及び「法改正」については、当該「安全性の確保」をはじめ、関係者との議論も行った上での慎重な検討が必要になると考えている。

三及び五について

一及び二についてでお答えしたとおり、「介護職員が行う医療的ケア」に係る「見直し」については、慎重な検討が必要になると考えており、御指摘のように「枠組みを拡充し、」「研究機関」を「創設する」こと、また、御指摘の「法的地位」の意味するところが明らかではないが、「研修修了者」に係る法令改正や「登録制度・・・の在り方を見直す」こと、さらに、御指摘のように「医師・看護師及び家族の同意を前提として、介護職員が実施できる制度的枠組みを設け」ること、加えて、御指摘のように「検討会を設置し、・・・法制度設計」を行うことは、考えていない。

また、御指摘の「気道内吸引」については、例えば、厚生労働省医政局長が参集を求めて開催していた、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の在宅療養患者に対する「喀痰吸引」を始めとする支援に関する専門的知見を有する有識者により構成される「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会」が平成十五年六月九日に取りまとめた「「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会」報告書」において、「気管カニューレ下端より肺側の気管内吸引については、迷走神経そうを刺激することにより、呼吸停止や心停止を引き起こす可能性があるなど、危険性が高い」とされていることを踏まえ、「社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律の施行について(喀痰吸引等関係)」(平成二十三年十一月十一日付け社援発一一一一第一号厚生労働省社会・援護局長通知)において、「喀痰吸引等の対象者の日常生活を支える介護の一環として必要とされる医行為のみを医師の指示の下に行うものであり、安全性確保の観点から・・・咽頭の手前までを限度とすること」としているところであり、御指摘のように「「医師が発行する指示書」において、気道内吸引の際は利用者ごとに適した吸引圧と挿入深度を定め、迅速かつ安全に喀痰を吸引する旨を明記」するといった「指示書記載内容の見直し」は困難であると考えている。

したがって、御指摘のように「このような制度整備に向けて・・・検討を進める」予定はない。

四について

一及び二についてでお答えしたとおり、「介護職員が行う医療的ケア」に係る「見直し」については、慎重な検討が必要になると考えており、御指摘の「介護職員等に新たな医療的ケア業務を担わせること」については具体的に検討しておらず、このことを前提としたお尋ねにお答えすることは困難である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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