AIエージェントを動かす新常識「ハーネス」とは?
この話の本質は、あなたが毎月払い続けている高価なSaaSや、システム対応のために強制的に導入させられる固定費を、いかにして「自社でコントロール可能な資産」へ置き換えるかという点にある。AIの性能を単に上げるための魔法を探すのではなく、適切な「ハーネス(型枠)」を設計することで、外部への依存を減らし、自分たちの手元で動くシステムを構築できる時代になったことを意味している。
現在、多くの企業がAIを導入しようとして「より賢いモデル」や「高度な機能」を求めて高額なサブスクリプションを契約する。しかし、AIエージェントの性能を向上させるために必要なのは、モデルそのものの知能を底上げすることよりも、モデルが知らない情報や文脈を的確に提供する「足場」を整えることだという視点が重要になる。これが「ハーネス」という概念である。高価なツールを借りて機能を補うのではなく、必要な情報を正しく流し込むための型枠を設計する。この考え方を徹底すれば、汎用的なSaaSを使い続けるよりも、自社専用のシステムを構築したほうが、コストと精度の両面で優位に立てる可能性がある。
私は1995年から業務システムを作ってきた。現場での基幹システム開発から始まり、パッケージの開発販売、さらには中国オフショア開発の会社経営も経験してきた。その過程で一貫して見てきたのは、多くの企業が「作れないから借りている」という理由で固定費を払い続けている構造だ。SaaSやサブスクリプションモデルは便利だが、それは裏を返せば自社に技術がないことを前提としたコストである。私はこれまで、あえて買い切りでソースコードを同梱し、自分のサーバーで動くような仕組みを追求してきた。なぜなら、一度作れば自分たちの資産になり、外部の都合や価格改定に振り回されないからだ。
2025年からAI事業を始めている今、この「ハーネス」の考え方は私の信念と強く合致する。AIで一人でもシステムが作れるようになった現在、あえて高機能なSaaSを借りて高い月額費用を払う必要性は以前よりもずっと低下している。適切なハーネス設計によって、自社特有のデータや業務フローをAIに正しく認識させる仕組みを作ることができればいい。それだけで、汎用的なツールでは到達できない精度を実現できるからだ。
もちろん、税金や社会保険料といった「自分で選べない固定費」までこの手法で解決できるわけではない。それは制度の問題であり、技術で解決する範疇ではないと正直に言いたい。しかし、企業の生産性を削るような「作れないから借りているだけ」の無駄なシステム費用については、AIと適切なハーネス設計によって、自社でコントロール可能な資産へと変えていくことができるはずだ。高価な魔法を借りる前に、まずは自分の手元に正しい型枠を作ることから始めるべきである。
この記事は、次の動画をつくったときに考えたことです。
動画: https://kurage.exbridge.jp/kuragev.php?id=61dae3967ef34fdf
出典: https://tech.dentsusoken.com/entry/2026/08/31/ハーネスエンジニアリングとは何か——"盛れば効
コメント
最初のコメントを投稿できます。