Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 参議院 第180回

今国会成立の著作権法の一部を改正する法律における違法ダウンロード刑事罰化に関する質問主意書

参議院 第180回 第211号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×2承知していない ×2検討してまいりたい ×1個別の事案 ×1

提出者
参議院
提出日
2012年8月2日
内閣転送 2012年8月6日
答弁書受領日
2012年8月10日
提出から8日
答弁の項目数
15
質問 3,537字/答弁 2,248字

質問本文

今国会で内閣が提出した「著作権法の一部を改正する法律案」について、衆議院文部科学委員会で自由民主党と公明党の議員から所謂「違法ダウンロードの刑事罰化」(以下「本法律修正部分」という。)を含む修正案が提出され、同法案は修正議決の後、六月二十日に参議院で可決、成立した。

本質問主意書の提出者・参議院議員森ゆうこは、今回の「著作権法の一部を改正する法律案」の内閣提出部分について、文部科学副大臣(当時)として法案の立法作業を行った者であるが、議員提出の本法律修正部分については強く反対し、六月二十日の参議院本会議では法案に反対した。

本質問主意書の提出者・参議院議員はたともこは、本法律修正部分については強い危惧を持ちつつも、民主党参議院国会対策副委員長(文教科学委員会担当)(当時)として党議決定に従い、本会議において賛成した。

私たちは本法律修正部分について、その正当性、背景となる立法事実、日本国憲法に定められた罪刑法定主義のほか、可罰的違法性、青少年への重大な悪影響、国会審議の形骸化、業界団体の利益に偏った議論、立法過程のデュープロセスの軽視等、重大な数々の疑問を持っている。

よって、本法律修正部分について、一般社団法人インターネットユーザー協会、文筆家・音楽制作者高橋健太郎氏、情報学者・国際日本文化研究センター教授山田奨治氏の協力を得て協議し、それを踏まえて、ここに質問主意書を提出することとした。

本法律修正部分については、参議院文教科学委員会での附帯決議にあるように、「著作権法の運用に当たっては、犯罪構成要件に該当しない者が不当な不利益を被らないようにすることが肝要であり、とりわけ第百十九条第三項の規定の運用に当たっては、警察の捜査権の濫用やインターネットを利用した行為の不当な制限につながらないよう配慮すること」が、政府及び関係者には求められている。

私たちは、今回の質問主意書提出を機に、政府及び関係者に対し、参議院での附帯決議の趣旨を実現することを強く求めるとともに、今後とも施行状況等を勘案して、検討を加え、必要な見直しを行うよう引き続き努力していく決意である。

本質問主意書は小・中・高生など未成年の青少年にとっても重大な内容となるものであるから、項目ごとにできるだけ分かりやすく、具体的にかつ平易な文章で答弁されたい。

一 参議院文教科学委員会での附帯決議について

参議院文教科学委員会では、本法律修正部分に関し、以下の三点について、政府及び関係者に特段の配慮を求める附帯決議が行われた。

1 「違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することの防止の重要性に対する理解を深めるための啓発等の措置を講ずるに当たって、国及び地方公共団体は、有償著作物等を公衆に提供し、又は提示する事業者と連携協力を図り、より効果的な方法により啓発等を進めること。」

この附帯決議について、政府はどのような目標を持って、具体的にどのような措置をいつまでに行う方針か、明らかにされたい。

2 「有償著作物等を公衆に提供し、又は提示する事業者は、インターネット利用者が違法なインターネット配信等から音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することを防止するための措置を講ずるように努めること。」

この附帯決議について、政府は関係者に対し、どのように対処する方針か、具体的かつ詳細に明らかにされたい。

3 「著作権法の運用に当たっては、犯罪構成要件に該当しない者が不当な不利益を被らないようにすることが肝要であり、とりわけ第百十九条第三項の規定の運用に当たっては、警察の捜査権の濫用やインターネットを利用した行為の不当な制限につながらないよう配慮すること。」

この附帯決議に対して、政府はどのような措置を行う方針か、具体的かつ詳細に示されたい。

二 文化庁の改正法Q&Aについて

1 文化庁のホームページに掲載されている「平成二十四年通常国会著作権法改正等について」中の「改正法Q&A」問七-二~問七-八では、犯罪構成要件に該当するかどうかの判断基準例が示されているが、実際の運用において、条文を恣意的に判断し、当該Q&Aに示した見解と齟齬をきたすことはないか。警察庁や検察庁も含め、政府の統一見解を示されたい。

2 特に、改正法Q&A問七-八において、「関係者である権利者団体は、仮に告訴を行うのであれば、事前に然るべき警告を行うなどの配慮が求められると考えられます」と文化庁は回答している。

この回答内容の実効性はどのように担保されるのか。政府としての見解を示されたい。

三 本法律修正部分の立法経緯と運用等について

1 本年六月十九日の参議院文教科学委員会において、神本美恵子文部科学大臣政務官は、平成二十一年著作権法改正で違法ダウンロードが刑事罰化されなかった理由について「一つは、個々人の違法ダウンロード自体は軽微であること、二つ目に、家庭内で行われる行為についての規制の実効性の確保が困難であることなどから、刑事罰の対象とされなかった」と答弁した。

①「個々人の違法ダウンロード自体は軽微である」とは、具体的にどの程度までの数量のダウンロード行為を言っているのか。軽微と判断できる一人あたりのダウンロードの数量を示されたい。また、②三年後の現在、一人あたりの違法ダウンロードの数量に変化はあるか、政府の把握するところを示されたい。さらに、③「家庭内で行われる行為についての規制の実効性の確保が困難である」とはどういうことか、具体的かつ詳細に示されたい。加えて、④三年後の現在、その「困難である」との状況に変化はあるか、政府の把握するところを示されたい。最後に、⑤前述の二つの理由以外に、刑事罰化されなかった理由があれば、具体的に示されたい。以上五点について政府の見解を求める。

2 ①無料放送番組、広告付きあるいはプロモーション用などで無料配布されている音楽・映像は、今回の改正法上の有償著作物とされるのか。また、②当初は有償でなくとも、後のCD販売に合わせて同じコンテンツが有償で提供されるように変化した場合、その後は有償著作物に変化すると解釈するのか。③有償著作物に変化するなら、無償の時点で違法アップロードされた著作物のダウンロードは、どの時点から刑事罰対象に変化するのか。④有償となった後に違法アップロードされた著作物のみが、刑事罰を負う違法ダウンロードの対象となるのか。以上四点について政府の見解を求める。

3 ①有償で公衆に提供・提示されていたとしても、現在にあっては、有償での入手あるいは聴取の方法がない場合(例えば古いレコードなど)は、今回の改正法上の有償著作物とされるのか。②対象とされる場合、過去の文化遺産である音源を研究等のために入手する手段もなくなってしまうが、それは文化研究や文化振興上、好ましいと言えるか。以上二点について、政府の見解を求める。

4 著作物のダウンロードに際し、違法・合法を区別することが法律のプロでも困難である場合が存在する。①違法・合法を明確に区別することがほぼあらゆる者にとって実質不可能な中で、私的違法ダウンロード行為を処罰化することに罪刑法定主義上の問題はないのか。②刑罰法規に求められる明確性の原則は担保されているのか。以上二点について政府の見解を求める。

5 前記1の参議院文教科学委員会において、水落敏栄委員の「警告なく処罰されるのではないか」、「事前の警告もなくすぐに処罰するというのは問題ではないか」という懸念の質問に対して、修正案提出者である河村建夫衆議院議員は「親告罪でもございますから、権利者団体は告訴を行うに当たってはやっぱり事前に御指摘のようなしかるべき警告を発するということは、こういうことは当然なければならない、そのように私は考えます」と答弁した。この河村建夫議員の見解を踏まえて、岸博幸参考人及び津田大介参考人も言及したフランス及び韓国における「スリーストライク制」について、本法律修正部分の運用に当たって、我が国に導入する考えはあるのか、政府の見解を示されたい。

6 違法ダウンロードを未然に防ぐ努力をすべきであるが、まず何よりも違法アップロード対策を強化すべきである。今後の具体的な違法アップロード対策について、政府の見解を示されたい。

7 本法律修正部分による委縮効果で、かえってレコード産業等の衰退につながるという指摘がある。インターネット利用の委縮効果を防ぐために、具体的にどのような対策をとるのか、政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

御指摘の附帯決議については、文部科学省として、広く国民が「違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することの防止の重要性」に対する理解を深め、著作物の適正な利用が図られることを目標に、これまで「違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A」及び「平成二十四年通常国会 著作権法改正等について」を文化庁ホームページに掲載したほか、平成二十四年七月に、各都道府県教育委員会等に対して事務連絡を発出し、各学校の授業等において「違法ダウンロードの刑事罰化に係るQ&A」を活用することを依頼している。今後は、関係団体が作成した啓発用パンフレットの活用を学校等に促すなど、関係団体との連携協力を図りつつ、「違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することの防止の重要性」についての啓発等に努めてまいりたい。

一の2について

御指摘の附帯決議の内容については、関係団体に対して「著作権法の一部を改正する法律について(通知)」(平成二十四年六月二十七日付け二十四庁房第九十一号文部科学副大臣通知)を発出する等によりその周知を図ってきたところであり、今後は、関係者の取組状況を把握した上で、必要に応じ、適切な措置を講じてまいりたい。

一の3について

警察庁において、都道府県警察に対して通達を発出する等して、御指摘の附帯決議の内容、著作権法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第四十三号)による改正後の著作権法(以下「新法」という。)第百十九条第三項の規定の趣旨等について周知する予定である。

二の1について

犯罪の成否は、法と証拠に基づき、個別の事案ごとに適切に判断されるべき事柄であると考えている。

二の2について

新法第百二十三条第一項の告訴を行う前に警告を行うかどうかは権利者の判断によるものであるが、政府としては、今後とも、御指摘の「改正法Q&A問七―八」の内容について、権利者団体を含め、広く国民への周知を図ってまいりたい。

三の1の①及び②について

御指摘の「個々人の違法ダウンロード自体は軽微である」とは、具体的な数量を念頭においているものではなく、また、御指摘の「一人あたりの違法ダウンロードの数量」については把握していない。

三の1の③及び④について

御指摘の「家庭内で行われる行為についての規制の実効性の確保が困難である」とは、家庭内で行われる違法行為を把握し、摘発することは、通常困難であることが多いということであり、また、お尋ねの「「困難である」との状況に変化はあるか」については把握していない。

三の1の⑤について

御指摘の二つの理由以外に特段の理由はない。

三の2の①について

御指摘の「無料放送番組、広告付きあるいはプロモーション用などで無料配布されている音楽・映像」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、当該音楽・映像が新法第百十九条第三項に規定する「有償で公衆に提供され、又は提示されているもの」ではない場合には、同項に規定する「有償著作物等」には該当しないものと考える。

三の2の②から④までについて

新法第三十条第一項に定める私的使用の目的をもって新法第百十九条第三項に規定する「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画」を行った時点で、当該録音又は録画の対象となる著作物又は実演等が同項に規定する「有償著作物等」に該当する場合であって、自らその事実を知りながら当該録音又は録画を行って著作権又は著作隣接権を侵害したときは、刑事罰の対象になるものと考える。

三の3について

御指摘の「有償で公衆に提供・提示されていたとしても、現在にあっては、有償での入手あるいは聴取の方法がない場合(例えば古いレコードなど)」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、新法第百十九条第三項に規定する「有償で公衆に提供され、又は提示されているもの」ではない場合には、同項に規定する「有償著作物等」には該当しないものと考える。

三の4について

政府としては、新法第百十九条第三項の規定について、刑罰法規としての内容は明確であり、罪刑法定主義に反するものではないと考えている。

三の5について

御指摘の「フランス及び韓国における「スリーストライク制」」の導入については、政府としては、現時点において予定していないが、諸外国の状況等を踏まえつつ、今後、必要に応じ、その可否を含めて検討してまいりたい。

三の6について

お尋ねの「違法アップロード対策」については、政府としては、今後とも、違法アップロードが行われないよう、国民への普及啓発等の充実を図るとともに、違法アップロードに対する取締りや海外における違法アップロードについての関係団体を通じた対策を行ってまいりたい。

三の7について

政府としては、御指摘の「インターネット利用の委縮効果」が生じないよう、新法第百十九条第三項の趣旨等について、今後とも「違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A」について広く国民に対して周知するなど、インターネット、広報誌その他の媒体の活用、「著作権セミナー」その他の講習会や研修会の開催等を通じた広報啓発活動を行うとともに、関係団体による広報啓発活動を支援してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×2承知していない ×2検討してまいりたい ×1個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 2019年8月5日 川田 龍平 答弁 2019年8月15日
参議院 第199回 第16号
提出 2009年3月18日 川内 博史(民主党・無所属クラブ) 答弁 2009年3月27日
衆議院 第171回 第221号検討してまいりたい ×1
提出 2019年3月19日 初鹿 明博(立憲民主党・無所属フォーラム) 答弁 2019年3月29日
衆議院 第198回 第100号
提出 2007年11月14日 川内 博史(民主党・無所属クラブ) 答弁 2007年11月22日
提出 2004年5月25日 川内 博史(民主党・無所属クラブ) 答弁 2004年6月1日
衆議院 第159回 第110号
提出 2008年6月12日 藤末健三 答弁 2008年6月20日
参議院 第169回 第156号

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる