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原子力平和利用三原則中の「公開の原則」に関する質問主意書
衆議院 第103回 第1号
質問本文
衆議院議長 坂田道太 殿
原子力平和利用三原則中の「公開の原則」に関する質問主意書
一 原子力基本法第二条(基本方針)に規定されている「公開の原則」は、昭和二十九年四月の日本学術会議の「原子力の研究と利用に関し、公開、民主、自主の原則を要求する声明」に示され、これが基本法に取り入れられたものとされている。
この声明においては、「わが国において原子兵器に関する研究を行わないのは勿論、外国の原子兵器と関連ある一切の研究を行つてはならないとの固い決意をもつている。われわれは、この精神を保障するための原則として、まず原子力の研究と利用に関する一切の情報が完全に公開され、国民に周知されることを要求する。この公開の原則は、そもそも科学技術の研究が自由に健全な発達をとげるため欠くことのできないものである」と述べられている。
更に日本学術会議は、昭和四十九年六月、「ふたたび原子力平和利用三原則についての勧告」において、「最近の全般的な環境汚染と関連して、国民の健康と安全を守ることがますます重要になつている。従つて企業機密に名をかりて、必要な資料の提供を拒否することは、絶対に許されない」と主張している。
右の平和利用の限定と環境保全・安全確保の両面から、原子力の研究、開発、利用に関する情報、資料を公開すべしとする主張に対する政府の現在の見解を明らかにされたい。
二 公開の原則、特に安全問題からみた公開の原則と企業秘密との関係については、国会では次のような意見又は答弁が述べられている。
「原子力技術の現状が日本中の科学者に公平に公開されれば、現在の技術では、ここまで安全だということがわかる。公開の原則はこの意味をもつている。それが秘密にされたのでは、どうしても一方の側の意見を聞けということにとどまる」(昭和四十八年五月九日、衆議院科学技術振興対策特別委員会 中島参考人)
「国益上の秘密というのは、むしろ時間の問題で、国益上公開を待つてほしいということはあると思うが、そうでない限りは国益の問題は機密に属しない」(昭和五十三年四月十九日、衆議院科学技術振興対策特別委員会 有澤参考人)
「企業秘密のゆえをもつて安全性を犠牲にするわけにはいかない」(昭和五十四年二月二十二日、衆議院科学技術振興対策特別委員会 大平内閣総理大臣)
「公開の大原則は官民を問わず順守すべきものである。企業秘密の名のもとに、いたずらに公開を拒むことのないよう十分に指導する」(昭和五十四年五月三十日、参議院科学技術振興対策特別委員会 大平内閣総理大臣)
「原子力の利用についての三原則があるから財産権の侵害あるいは核拡散にならないような範囲内において、できるだけ公開したい」(昭和五十五年十月二十一日、衆議院科学技術委員会 中川科学技術庁長官)
右の意見又は答弁に照らし、安全確保の前に企業秘密、商業機密はあり得ないと考えるが、どうか。
仮に一部の情報、資料については、安全問題に関係があつても秘密を要するものがあり得るとするならば、その範囲、限界線を示されたい。
三 原子力基本法の精神及び政府の国会答弁等からみて、原子力関係の研究開発、利用施設のうち核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく安全審査の対象となるものについては、少なくとも安全審査の際の提出資料はすべて公開されるべきものと考えるが、どうか。
四 商業発電用原子炉の場合、「安全審査関係の資料は、外国からの技術導入契約に基づいて秘密保持が義務づけられている商業機密を除き、ほとんどを公開している。その商業機密の部分をできるだけ少なくするよう設置者を指導しており、最近では非常に少なくなつている」むねの答弁(昭和五十三年四月十九日、衆議院科学技術振興対策特別委員会 牧村原子力安全局長)がある。
この実績について、原子炉ごとの実例をあげ、公開資料と非公開資料の件数内訳の推移を示すとともに、今後の公開に関する基本方針を示されたい。
五 商業用原子炉以外の原子力施設について、安全審査関係の資料のうち公開されたもの、外国との技術提携契約に基づいて公開されなかつたもの、別の理由で公開されなかつたものの、それぞれの件数内訳を、主要な実例をあげて示すとともに、今後の公開に関する基本方針を示されたい。
六 いわゆる核ジャック等を予防するための核物質防護対策については、核物質防護措置の内容を秘密にしてはじめて有効なものであるので、公開の原則は適用されないという意見があるが、これに対する政府の見解を示されたい。
一方、核物質防護に名をかりて、安全問題に関係する情報、資料を秘密にすることは許されないし、また核物質防護措置以外については、すべて公開されるべきものと考えるが、どうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
平和の目的に限り原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)を進めるという観点から、原子力利用の成果を公開することが重要であることはもちろんのこと、原子力の安全性について国民の理解を得て原子力利用を進めるという観点からも、原子力利用の成果を公開していくことは重要であると考える。
二について
原子力利用の成果を公開するに当たつては、財産権の保護、核不拡散等の観点から、ノウハウ等の商業機密、核不拡散上機微な情報等については、慎重に対処する必要がある。しかしながら、商業機密等に名を借りていたずらに非公開とすることは避けるべきであり、政府としては、このようなことのないよう十分指導していく所存である。
三について
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)に基づく原子力施設の設置許可等に係る安全審査の際に提出される申請書及びその添付書類(以下「申請書等」という。)については、商業機密等に関する部分を除き、できるだけ公開していくことが重要であると考える。現在、右の安全審査の際に提出される申請書等で非公開としている部分は非常に少なくなつている。
四について
昭和五十五年度以降における実用発電用原子炉の設置の許可(変更の許可を含む。)の件数及び当該許可に係る申請書等の公開の状況は、別表のとおりであり、非公開の箇所は型の異なる燃料集合体の共存性に関する資料の一部等いずれも商業機密に関するものである。
また、申請書等については、今後とも、商業機密等に関するものを除き、できるだけ公開していく方針である。
五について
昭和五十五年度以降における実用発電用原子炉以外の主要な原子力施設に関する許可又は承認に係る申請書等の公開の実績をみると、原子炉の設置の許可又は承認(変更の許可又は承認を含む。)については、新型転換炉ふげん発電所、高速増殖炉もんじゅ発電所に係るものなど合わせて三十一件の許可又は承認を行つているが、これらに係る申請書等はすべて公開している。また、再処理施設設置の変更承認についても、承認件数七件に係る申請書等はすべて公開している。このほか、ウラン濃縮原型プラントに係る加工事業の許可(一件)については、核不拡散上機微な一部のウラン濃縮技術を除き、公開している。
また、申請書等については、今後とも、商業機密等に関するものを除き、できるだけ公開していく方針である。
六について
核物質防護に係る機微な情報等については、非公開とせざるを得ない。しかしながら、核物質防護に名を借りていたずらに非公開とすることは避けるべきであり、政府としては、このようなことがないよう十分指導していく所存である。
なお、原子力利用の成果は、一について及び二についてにおいて述べた考え方に従い公開していくことが重要であると考える。
右答弁する。
別表
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