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都市再生緊急整備地域などに関する質問主意書
衆議院 第154回 第189号
質問本文
小泉純一郎首相率いる都市再生本部は、都市再生特別措置法に基づき、第一次都市再生緊急整備地域として、東京駅周辺など三大都市圏十七地域を指定した。指定された地域に住む住民や自治体議員の間に、怒りと困惑が広がっている。よって、以下質問する。
一 地域指定と私有財産、および居住環境などについて
�@ 都市再生緊急整備地域に指定されれば、容積率が上がり、結果として固定資産税が上がるのではないかという懸念が指摘されている。私有財産などへの影響が予測できるにもかかわらず、当該地域の住民の意見を聞かずに都市再生緊急整備地域を設定したのは何故か。
�A 都市再生本部では、固定資産税など私有財産などへの影響について、討議、研究、検討を行ったか。行ったとすれば、いつ、どのような形で討議したか。また、内容はどのようなものだったかを明らかにされたい。行わなかったとすれば、それは何故かを明らかにされたい。
�B 都市再生本部としては、都市再生緊急整備地域に指定された地域の不動産の資産価値は上がると想定しているのか、下がると想定しているのか。都市再生事業は、経済活性のために行っているとのことなので、多面的な経済面の想定を行っていないとは考えがたい。その想定が外れた場合は、誰が責任を取るのか。
�C 国は、バブル経済がどのようにして起きたと総括をしているか。土地利用政策の観点から明らかにされたい。
�D 私有財産に影響がある施策を実行するのであるから、都市再生緊急整備地域に指定された場合のメリットとデメリットを住民に対し説明する責務が国にはあるのではないか。
�E 地域指定はすでに行われたが、私有財産や住環境への影響はこれから始まるので、これからでも、住民説明会を都市再生本部として行うことを検討すべきではないか。
�F 東京都新宿区の富久が都市再生緊急整備地域に指定されたのは、何故か。住民がまちづくりを立案中だったことを、都市再生本部は認識していたか。
�G 都市再生緊急整備地域が今後さらに指定される予定はあるか。
�H 都市再生特別措置法には、目的として、「居住環境の向上」が掲げられているが、それを担保する法律事項が、同法律には全く見当たらない。この法律によって、居住環境の向上という目的をどのように果たすつもりか。できるだけ具体的に示されたい。
二 意見調整について
�@ 都市再生特別措置法第四十一条第一項によれば、都市計画決定権者は、計画提案が行われた日から六月以内に、都市計画の決定や変更を行うことになっているが、これは、「都市計画関係の申請などが地方公共団体の担当者の机の上に、放置されたままであることを防ぎ、手続を透明化するためであり、住民の意見を無視して事業者の意見がそのまま通るということではない」と、七月三〇日に都市再生本部を訪れた東京都内の区議会議員達に述べている。この条文の目的が手続の透明化にあり、住民の意見を無視することでないのであれば、その保障は同法のどこにあるのか。
�A 前項目にある都市再生本部での指摘に対し、「都市計画に関して時間がかかるのは、行政が、ディベロッパーや住民との意見調整に時間をかけているためであって、担当者の机の上に放置されているという問題ではない」との反論が東京都内の区議から行われた。都市再生特別措置法第四十一条第二項によれば、「計画提案を踏まえた都市計画の決定又は変更について、都市計画法第十八条第一項又は第三項その他の法令の規定により意見を聴かれ、又は協議を受けた者は、都市計画決定権者が前項の処理期間中に同項の規定による処理を行うことができるよう、速やかに意見の申出又は協議を行わなければならない。」とあるが、これは、利害関係者との調整を重視するために設けられた努力規定であると解釈してよいか。
�B 先進諸国では、用途地域を変更する際は、厳重な住民参加を行わなければならないと聞く。一方、日本では、今回の地域指定に限らず、住民への周知や説明が不十分で、住民が気づかない間に、頻繁に変更が行われているという批判が起きている。今度、これらの批判に対し、どのように改善に取り組むか。
�C 都市再生本部は、六月二七日に都市再生緊急整備地域の地域指定について東京都に意見照会をしたが、土日をいれて実質二日目である七月一日までに返答をせよというものだった。説明責任、情報公開、住民参加の趣旨から、あまりに短期で拙速であるという批判がある。国から地方自治体への意見照会の期間は、過去一年間に行われたものの中で、最長は何日で、最短は何日であったか。
三 金融支援策について
�@ 都市再生特別措置法は、営利を追求する民間事業者に、大幅な規制緩和を与えるだけでなく、債務保証、補助金の付与などの支援を行う構造になっている。同じ業者に対して、直接的または間接的に公金が支出される支援策の組み合わせをすべて明らかにされたい。例えば、債務保証と補助金、補助金と利子補給など、直接、間接的に支援策の受益を得る場合の組み合わせのすべてを明示されたい。また、一つの支援策を単独でしか受けられない場合も、組み合わせの一つのパターンとして明示されたい。
�A 事業者が債務保証や補助金、その他の金融支援策を受けるにあたっての条件、もしくは、基準について、それぞれ、明らかにされたい。
四 二〇〇三年問題について
�@ 都市再生緊急整備地域とその周辺のビルの空室は、総面積にしてどれくらいあるかの調査は行ったか。行ったとすれば、想定地域の範囲と空室の総面積数を、居住用、商用に分けて、明らかにされたい。行っていないのであれば、それは何故か。
�A 新たな床面積への需要は、総面積にしてどれくらいあるかの調査は行ったか。行ったとすれば、想定地域の範囲と新たな床面積の需要を、居住用、商用に分けて総面積で示せ。またそれらはどのように把握したのか。把握したのではないとすれば、どのような需要に対応するために、都市再生緊急整備地域指定を行ったのか。
�B 都市再生緊急整備地域指定によって、その地域にどれくらいの床面積が新たに誕生すると見積もっているか。その見積もりはどのように算出したか。供給過剰が生じた場合、投じられた公金は無駄になるが、その責任は誰が取るのか。
�C 床面積の供給過剰など様々な都市問題を引き起こす、いわゆる二〇〇三年問題について、都市再生本部は東京都の区議達に「二〇〇三年問題は認識している」と、それでも新ビルを建てる政策目的として「情報化対応で働く方の環境を、悪いものから良いものにする」ことだと述べたが、ビルを丸ごと建て替えることと、局部的に情報化対応を進めることと、社会的コストをトータルで考えた場合について、都市再生本部として比較を行ったか。
�D 二〇〇三年問題について、都市再生本部では、経済学的分析は行ったか。行ったとすれば、その内容および結果を示されたい。もしくは報告書名等を示されたい。
�E ヒートアイランド現象、ビル産廃の増加、水問題、小中学校の就学人数などについて、都市再生本部では討議があったか。あったとすれば、いつどのような討議が行われたかを示されたい。
五 総合設計制度について
�@ 建築基準法に基づく総合設計制度によって設けられた公開空地の利用実態について、それが住環境の向上につながっているかなど、なんらかの観点で、国が調査を行ったことはあるか。あるとすれば、どのような観点でいつ、行ったかを示されたい。
�A 先の建築基準法改正にあたり、総合設計制度が原因で起きている紛争に関する情報収集に努めたことはあるか。地方公共団体から情報を受けたことはあるか。あるとすれば、その中で、住民側の主張にはどのようなものがあったか。事業者側の主張にはどのようなものがあったか。それぞれの意見にどのように対応し、改正に望んだか。紛争について情報収集できていなかったとすれば、総合設計制度については、何を参考に法改正を提案したのか。
右質問する。
政府答弁書
一の�@について
都市再生本部(以下「本部」という。)においては、都市再生緊急整備地域を定める政令(平成十四年政令第二百五十七号。以下「本政令」という。)の立案に当たって、都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号。以下「法」という。)第五条第二項に定める手続を適切に実施したところである。
なお、都市再生緊急整備地域は、都市の再生の拠点として都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として政令で定める地域であるが、当該地域を定めることにより容積率の緩和等の効果が直接生じるものではない。
一の�Aについて
本部においては、都市再生緊急整備地域の指定は容積率の緩和等の効果を直接生じさせるものではないこと等を踏まえ、本政令の立案に当たって、御指摘のような「固定資産税など私有財産など」への個別の影響についての討議等は行っていない。
一の�Bについて
本部においては、都市再生緊急整備地域に指定された地域の不動産の資産価値の変化について特段の想定はしていない。
一の�Cについて
「平成十一年度土地の動向に関する年次報告」(平成十二年六月九日閣議決定、同日国会提出)において述べているとおり、「いわゆるバブル期における地価高騰においては、当初、事務所ビル需要の急激な増大が都心部の業務地の地価上昇を招き、これを契機として、金融緩和による過剰流動性を背景に、住宅地の買換え需要の増大と投機的な需要の増大が主たる原因となって、タイムラグを伴いながら周辺地域及び他の主要都市の地価上昇が波及していった」ものと総括している。
一の�D及び�Eについて
法は、都市再生緊急整備地域の指定の前後において、御指摘のような「住民に対し説明する責務」は定めていない。
なお、一の�@についてで述べたとおり、都市再生緊急整備地域の指定は、容積率の緩和等の効果を直接生じさせるものではない。
一の�Fについて
御指摘の東京都新宿区富久地区は、都市再生緊急整備地域として指定された環状四号線新宿富久沿道地域に含まれているが、当該地域は、都市再生基本方針(平成十四年七月十九日閣議決定)第三の1に定める「都市再生緊急整備地域の指定基準」に合致するものと判断されたため指定されたものである。
なお、環状四号線新宿富久沿道地域の中に、西富久地区市街地再開発事業準備組合が存在することは、本部の事務局である内閣官房は承知していた。
一の�Gについて
全国における都市再生の動きに対応しつつ、都市開発事業等の熟度等に応じて、今後、都市再生緊急整備地域を更に指定することとしている。
一の�Hについて
法は、第一条において、社会経済情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を「都市の再生」と定義しており、法に基づく都市再生基本方針、都市再生緊急整備協議会、民間都市再生事業計画の認定、都市再生緊急整備地域における都市計画等の特例等都市の再生のための特別措置は、すべて社会経済情勢の変化に対応した都市機能の高度化と都市の居住環境の向上を図るためのものである。
二の�@について
法第四十一条第一項の規定により都市計画決定権者が計画提案が行われた日から六月以内に当該計画提案を踏まえた都市計画の決定又は変更をしようとする場合においても、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第十六条並びに第十七条第一項及び第二項、第十八条第二項並びに第十九条第二項(これらの規定を同法第二十一条第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定により、都市計画の案の作成に必要な場合における公聴会の開催等の措置、都市計画の案の公告及び縦覧、都道府県都市計画審議会又は市町村都市計画審議会への都市計画の案に対する意見書の要旨の提出等の手続をとる必要があり、これらの手続を通じて、適切に住民の意見が反映されるものと考えている。
二の�Aについて
法第四十一条第二項の規定は、同条第一項において、都市計画決定権者が計画提案が行われた日から六月以内に当該計画提案を踏まえた都市計画の決定等の処理を行うこととされていることを踏まえ、都市計画法第十八条第一項又は第三項等の規定により都市計画決定権者から意見を聴かれ、又は協議を受けた関係市町村又は国土交通大臣等に対し、都市計画決定権者がその処理期間中に都市計画の決定等を行うことができるよう、速やかに意見の申出又は協議を行うべきことを義務付けているものである。
二の�Bについて
二の�@についてで述べたとおり、用途地域の変更を含む都市計画の決定又は変更に当たっては、都市計画法第十六条並びに第十七条第一項及び第二項、第十八条第二項並びに第十九条第二項の規定により、都市計画の案の作成に必要な場合における公聴会の開催等の措置、都市計画の案の公告及び縦覧、都道府県都市計画審議会又は市町村都市計画審議会への都市計画の案に対する意見書の要旨の提出等の手続をとる必要がある。これらの手続を通じて、適切に住民の意見が反映されるものと考えており、今後とも適切に実施してまいりたい。二の�Cについて
平成十三年八月一日から平成十四年七月三十一日までの間に行われた国から地方公共団体に対する意見照会について調べたところ、照会から回答までに実際にかかった日数は、照会日及び回答日を含め、最長は六十三日、最短は一日であった。
三の�@について
国からの無利子貸付け又は補助金を活用して民間都市開発推進機構が民間事業者に対して法に基づき行う支援策は、法第二十九条第一項第一号の規定による公共施設の整備費用の一部に対する無利子での貸付け(以下「無利子貸付け」という。)、同項第二号の規定による公共施設並びにこれに準ずる避難施設、駐車場その他の建築物の利用者及び都市の居住者等の利便の増進に寄与する施設(以下「公共施設等」という。)の整備費用の範囲内における出資、社債の取得、信託受益権の取得等(以下「出資等」という。)並びに同項第三号の規定による公共施設等の整備費用の範囲内における債務の保証(以下「債務保証」という。)である。
これらの支援を同一事業者が受けられる組合せは、次のとおりである。
1 無利子貸付け
2 出資等
3 債務保証
4 無利子貸付け及び出資等
5 無利子貸付け及び債務保証
6 出資等及び債務保証
7 無利子貸付け、出資等及び債務保証
三の�Aについて
事業者が三の�@についてで述べた支援を受けるためには、当該支援を受けようとする事業について、法第二十条第一項の規定に基づき国土交通大臣による民間都市再生事業計画の認定を受けることが必要である。当該民間都市再生事業計画の認定を受けるには、当該事業が、都市再生緊急整備地域内における都市開発事業(都市における土地の合理的かつ健全な利用及び都市機能の増進に寄与する建築物及びその敷地の整備に関する事業(これに附帯する事業を含む。)のうち公共施設の整備を伴うものをいう。)であって、当該都市再生緊急整備地域の地域整備方針に定められた都市機能の増進を主たる目的とし、その事業区域の面積が原則として一ヘクタール以上であることにより同項に規定する都市再生事業に該当し、かつ、当該民間都市再生事業計画が、都市の再生に著しく貢献するものであると認められること等法第二十一条第一項各号に掲げる基準に適合することが必要である。
四の�@から�Bまでについて
本部においては、本政令の立案に当たって、お尋ねの都市再生緊急整備地域及びその周辺のビルの空室の総面積、新たな床面積への需要並びに都市再生緊急整備地域に新たに発生する床面積の見積りについての調査は行っていない。なお、都市再生緊急整備地域の指定に際して、都市再生基本方針第三の1に定める「都市再生緊急整備地域の指定基準」に合致するかどうかを判断するために、このような調査を行うことは必ずしも必要ではないと考えている。
四の�Cについて
本部においては、御指摘のようなビルを建て替える場合と局部的に情報化対応する場合との社会的費用の比較は行っていない。
四の�Dについて
本部においては、御指摘のような床面積の供給過剰などの様々な都市問題を引き起こすいわゆる「二〇〇三年問題」についての経済学的分析は行っていない。
四の�Eについて
お尋ねの「ヒートアイランド現象、ビル産廃の増加、水問題、小中学校の就学人数など」については、都市再生基本方針第三の4「都市再生緊急整備地域の整備にあたっての配慮等」において、「緑、水、大気、エネルギーや景観など都市の環境の保全・改善や、従前居住者の居住の確保などにも配慮する。」と定めるとともに、第二の3「都市再生施策の重点分野」として、廃棄物・リサイクル対策、地球温暖化対策・ヒートアイランド対策、安全でおいしい水の確保等を定めており、このような点にも配慮して都市の再生に取り組んでまいりたい。
五の�@について
国土交通省においては、お尋ねの建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第五十九条の二に基づくいわゆる総合設計制度によって設けられた公開空地の利用実態についての調査を行ったことはない。
五の�Aについて
国土交通省においては、建築基準法等の一部を改正する法律(平成十四年法律第八十五号)の立案に当たって、いわゆる総合設計制度に係る紛争に関する情報の収集は行っておらず、地方公共団体からこのような情報の提供も受けていない。
また、いわゆる総合設計制度に関しては、同法において実質的な改正はなされていない。
なお、同法により新たに導入される一定の要件に該当する建築物について建築確認の手続により容積率等の緩和を行う制度は、これまでの総合設計制度等の運用の中で定型化できるもの等を参考としたものである。
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