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北海道矢臼別演習場の砂防施設建設によってもたらされるラムサール登録湿地・別寒辺牛(べかんべうし)湿原に生息する絶滅危惧種イトウ(サケ科)の危機及び厚岸湾水産資源への悪影響について、また別海町町道に設置される監視カメラによる住民プライバシー侵害問題等に関する質問主意書

衆議院 第156回 第17号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1承知していない ×1

提出者
日本共産党
提出日
2003年2月7日
内閣転送 2003年2月10日
答弁書受領日
2003年3月14日
提出から35日
答弁の項目数
9
質問 2,260字/答弁 2,272字

質問本文

一九九七年(平成九年)以降、米軍実弾訓練が北海道矢臼別演習場など五演習場内で分散実施されているが、防衛施設庁は矢臼別演習場内を流れる別寒辺牛川水系の各河川に「土砂流出を未然に防止する」ためとして、三基の砂防施設建設を計画し、すでに一基はほぼ完成している。

別寒辺牛川下流はラムサール条約に登録されている貴重な湿地である。五千ヘクタール以上もの湿原、そこを網の目のように流れる別寒辺牛川に生息している魚種は多様である。現存する日本最大の淡水魚であり絶滅危惧種に指定されているイトウだけでなくシベリアヤツメ、トミヨ、エゾトミヨ、キタトミヨなどの準絶滅危惧種である貴重な魚が確認されている。国の特別記念物のタンチョウをはじめ幻の動物ニホンイイズナや昆虫、カラフトダイオウ、カラフトブシといった貴重植物なども確認されている。また別寒辺牛川が流入する厚岸湖、そして厚岸湾は道内有数の牡蠣やアサリの産地となっている。湿原を流れる別寒辺牛川は原始の状態を保っている道内唯一の平地流といわれ、これらの河川への改変にあたっては、とりわけ慎重かつ厳密に環境への影響評価を行なわなければならない。しかし、いま砂防施設の建設強行によって、イトウの絶滅、また下流の水質悪化による水産養殖事業への影響が非常に危惧されている。

幅二百メートルにも及ぶ巨大な砂防施設について厚岸町の漁業協同組合(川崎一好組合長)が本年一月二十一日、工事凍結を町長に要請し、北海道内の自然保護団体も工事中止を求めている。

また、矢臼別演習場内を通過する別海町の町道、西春別茶内線の上風連橋に自衛隊による情報施設とともに監視カメラの設置が予定されている。これによって町道を利用する住民など、国民のプライバシー、肖像権が侵害されるとして現地において設置工事の中止が強く求められている。

そこで、以下の事項を質問する。

一 砂防施設設置に関して

1 別寒辺牛川下流域はラムサール条約の登録湿地であり、また、九七年には河川法改正により河川環境保全の重要性が指摘されている。この水系の上流域での砂防施設建設は下流域にあるラムサール条約の登録湿地である別寒辺牛湿原に有機物、ミネラルの供給障害等による大きな環境変化をもたらすと思われる。ラムサール条約登録地隣接地における一連の砂防施設建設について政府として環境影響評価をどのように行なったのか。

また、計画策定にあたって、当該施設設置河川地の流量観測調査や、過去において下流域に土砂流出の事例の有無を、政府としてどのように把握され、どのように事業を計画したのか明らかにされたい。

2 絶滅危惧種「イトウ」(サケ科)は繁殖力の非常に弱い魚種である。成魚に達する年令が高く、また、成熟した雌雄がつがいを組む確率が低いため、増殖率は非常に低い。別寒辺牛川がその貴重なイトウの数少ない繁殖河川である。事業計画策定にあたって、政府としてこの絶滅危惧種の問題についてどのような検討を行なったのか。

3 「イトウ」は砂防施設の建設で死滅する可能性が大であると、研究者や自然保護団体が危惧と抗議の声をあげている。この点についてどう、対処されるか。

4 砂防ダムは、陸域から海への有機ミネラルの供給を阻害し、沿岸の魚介類に大きな影響を与えることが研究者から指摘されている。そのためこの砂防施設建設は、下流域の厚岸湾の「牡蠣養殖」に多大な影響を与えると予想される。現地では、厚岸漁協組合員への説明会の実施、第三者機関による調査、砂防施設の建設が流域の生物に与える影響、それ以外の土砂の流入防止対策などが求められている。政府としてこれらの求めにどう対処する考えか。

5 政府は、別寒辺牛川水系砂防施設について、厚岸町からの要望事項だとして調査、設計及び工事を厚岸町に委託している。しかし、設置された施設は高さ、幅とも巨大な施設である。直轄砂防工事事業と比しても大きすぎるとの疑問が生じている。防衛庁として、この点どのように考えているのか。

6 矢臼別演習場内を流れる風連川水系に既に十基もの砂防施設が設置されている。これらの事業に関して、環境影響評価、工事概要(調査項目、目的、細目、調査内容、調査結果、考察、摘要など)、所要予算額、事業開始年月日、事業主体、工事件数、設置場所、今後の計画を明らかにされたい。

7 北富士、東富士、王城寺原、日出生台、北海道など主要演習場(大、中演習場)など演習場における砂防施設設置について既設、計画中の事業を明らかにされたい。

環境影響評価、工事概要(調査項目、目的、細目、調査内容、調査結果、考察、摘要など)、所要予算額、事業開始年月日、事業主体、工事件数、設置場所、今後の計画を明らかにされたい。

二 射撃場情報提供施設について

1 矢臼別演習場内を通過する別海町の町道、西春別茶内線の西風連橋に自衛隊が設置を予定する監視カメラによって町道を利用する住民、国民のプライバシー、肖像権が侵害されることについて防衛庁はどのように考えているのか。

2 監視カメラの設置の目的はなにか。また、この問題で地元から要望があったのか、あったとすれば要望の内容を具体的に示されたい。

3 監視カメラは防衛庁のどの部署がどのように管理し、責任を持つのか。また、何時どのような場合に使用するのか。映像の記録はどのように扱われるのか。

4 設置場所等は何時、どのように決定されたのか。

5 他の四演習場についてはどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1及び5について

札幌防衛施設局においては、別海矢臼別大演習場(以下「本演習場」という。)における自衛隊及び我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)の訓練の実施によって本演習場内の土地の形質が変化する等により、降雨又は融雪に伴い別寒辺牛川支流に土砂が流出しやすくなり、当該土砂の流出により生ずる障害を防止し、又は軽減するため、北海道厚岸町からの要望を踏まえ、ダムの建設の事業(以下「本件事業」という。)を計画したところである。本件事業については、別寒辺牛川の管理を行い、その周辺地域の状況に詳しい厚岸町に委託している。

当該ダムの工事計画の策定に当たっては、本件事業が環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)及び北海道環境影響評価条例(平成十年北海道条例第四十二号)に定める環境影響評価の対象事業に該当しないため、これらに基づく環境影響評価を行っていない。しかしながら、厚岸町の意見を踏まえ、本件事業の実施に伴う環境への影響を最小限にするとの観点から本件事業に係る委託調査の中で対象地域周辺の動植物の生息等に及ぼす影響について調査を行い、また、別寒辺牛川、トライベツ川、フッポウシ川及び西フッポウシ川における流量観測及び水質調査を行ったところである。

「過去において下流域に土砂流出の事例の有無」については、具体的に把握していないが、「建設省河川砂防技術基準(案)計画編、調査編、設計編について」(昭和五十一年六月二十九日付け建設省河計発第六十三号)に記載されている土砂流出等の算定方法等を参考として、降雨時において流出する土砂量、流出土砂の抑制量及び調整量等を算定し、当該算定等に基づき当該ダムの規模を決定しており、この規模については適切なものであると考えている。

一の2及び3について

一の1及び5についてで述べた動植物の生息等に及ぼす影響についての調査を行った結果、イトウを含む魚類が生息していることが確認されたことから、これらの繁殖及び生息にできる限り影響を及ぼすことのない方策として有効と考えられる附帯施設として、魚道の設置について検討を行い、他の類似事業における魚道の設置状況等を踏まえ、その規模等を決定し、これを設置したところである。

今後、魚道における実際のイトウの遡上状況等について補完的に調査を行うとともに、繁殖及び生息について、有識者から意見の聴取等を行うこととしている。

一の4について

本件事業については、厚岸町がその内容等について、厚岸漁業協同組合の組合員に対し説明したと承知している。御指摘の事項については、同組合が厚岸町に対して求めているものと承知しており、今後、厚岸町と調整しつつ、有識者から意見の聴取等を行ってまいりたい。

一の6について

本演習場内に設置されている十基のダム(流出土砂の抑制及び調節を目的とするものをいう。以下同じ。)に関する環境影響評価等については、別表一及び別図一のとおりである。

なお、現在、当該ダムのほか、四基のダムの建設の事業を行っているところであり、新たなダムの建設の事業に関する計画は有していない。

一の7について

お尋ねの「主要演習場(大、中演習場)など演習場における砂防施設設置」がどのような範囲のものを指すのか必ずしも明らかではないが、自衛隊が使用する演習場内におけるダムの建設に関する既設、計画中の事業等についてお示しすると、別表二及び別図二から別図二十までのとおりである。

また、今後、新たなダムの建設の事業を行うかどうかについては、演習場内の土地の形質の変化等を確認し、その建設の必要性等の検討を行った上で決定することとなることから、現時点では、その建設の事業に関する計画を申し上げることは困難である。

二の1及び2について

合衆国軍隊のうち沖縄県に駐留する海兵隊(以下「在沖米海兵隊」という。)が沖縄県道一〇四号線越え実弾射撃訓練を本土に移転して行う訓練(以下「実弾射撃移転訓練」という。)を本演習場において実施するに当たり、平成九年二月二十六日、北海道別海町長から札幌防衛施設局長に対し文書により「演習場の安全及び服務の管理・規律に万全を期すこと」との要望があったところである。

お尋ねの本演習場内に設置を予定しているカメラについては、別海町長からの右要望等を踏まえ、実弾射撃移転訓練実施中の安全管理を目的として、本演習場周辺の住民が誤って演習場に立ち入ること及び在沖米海兵隊員が誤って演習場の外に出ることを防ぐため設置するものであり、当該カメラの設置が、本演習場内にある別海町の町道を利用する住民のプライバシー及び肖像権の侵害に当たるとは考えていない。

なお、安全管理施設として、当該カメラのほか警告塔、情報表示板、保安柵等を設置したところである。

二の3について

お尋ねのカメラについては、現在、帯広防衛施設支局が設置工事を実施しているところであり、工事完了後は、同支局長が管理することとしている。

また、当該カメラの具体的な管理・使用方法及び映像の取扱いについては、当該カメラの設置目的を踏まえつつ、工事完了後に決定することとしている。

二の4について

お尋ねのカメラの設置場所を決定した時期は、平成十四年二月であり、その場所は本演習場への出入りの状況把握に適した位置としたものである。

二の5について

お尋ねの「他の四演習場」のうち、大和王城寺原大演習場及び日出生台・十文字原演習場に安全管理施設としてカメラを設置している。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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