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検察庁による事情聴取のあり方に関する質問主意書
衆議院 第174回 第71号個別の事案 ×2
質問本文
質問するにあたり、千葉景子法務大臣に対し、答弁を事務方任せにするのではなく、自ら目を通し、内容を把握した上で、自ら考えた上で答弁することを先に求め、以下質問する。
一 二〇〇八年四月三日、最高検察庁は「検察における取調べ適正確保方策について」という通達を出し、取調べが長時間に渡ることや、休憩なしで行われること等を禁ずる措置を講じているものと承知するが、改めて右の詳細な内容を説明されたい。
二 週刊朝日二月十二日発売号の二十二頁から二十四頁にかけて、「暴走検察 子ども��人質�≠ノ 女性秘書『恫喝』十時間」との見出しの、ジャーナリストの上杉隆氏による論文(以下、「上杉論文」という。)が掲載されているが、千葉大臣は右を読み、その内容を把握しているか。
三 「上杉論文」には、本年一月十五日、小沢一郎民主党幹事長の政治資金をめぐり逮捕された石川知裕衆議院議員の女性秘書が、東京地方検察庁特別捜査部に任意の事情聴取を受けた模様が書かれている。また、右女性秘書に任意の事情聴取に応じるよう求めた東京地検特捜部の検事として、民野健治という個人名が出されているが、同特捜部に右の名前の検事は所属しているか。
四 「上杉論文」には、
「一月二十六日(火)の昼ごろ、石川事務所に『タミノ』と名乗る男から電話があった。女性秘書に検察庁に来てほしいという。
女性秘書が『きょうも押収品の返却ですか?』と確認すると、タミノは『そうです。あとちょっと確認したいこともあるので』と返した。よく聞き取れなかったので、もう一度確認すると『返却です』と答えた。
女性秘書は、一月十五日の石川逮捕以来、二度(二十二日、二十五日)、検察庁から呼び出しを受け『押収品』の返却に応じている。今回も同様の案件だと信じた女性秘書は、ランチバッグひとつで検察庁に向かった。
(中略)
検察庁に着くと前回までとは違う部屋に案内される。するとそこに民野健治という検事が待っており、いきなりこう言い始めたのだ。
『被疑者として呼んだ。あなたには黙秘権があるので行使することができる。それから−』」
との記述があるが、右は事実か。右にある様に、東京地検特捜部が、石川代議士の女性秘書を、被疑者としての出頭を予め明確に求めることなく、押収品の返却であると、全く別の理由で呼び出し、不意打ちの様な形で事情聴取を行ったというのは事実か否か、千葉大臣は把握しているか。
五 一般に、検察庁がある人物に対して事情聴取を行う際、事前にどの様な手続きを踏むことが求められるか。千葉大臣の説明を求める。
六 一般に、検察庁がある人物に対し、明確に事情聴取の要請をすることなく、全く別の理由で当該人物を呼び出し、不意打ちの様な形で事情聴取を行うことは許されるか。許されるならば、それはどの様な法的根拠に基づく行為であるのか。千葉大臣の説明を求める。
七 「上杉論文」には、
「事情を把握できずパニックになった女性秘書が、他の秘書か弁護士に連絡したい旨を告げると、民野検事はそれを無視して、逆に、携帯電話の電源を切るように命じ、目の前でスイッチをオフにさせたのだ。」
との記述があるが、右は事実か。右にある様に、東京地検特捜部が、石川代議士の女性秘書に対して何の明確な要請もせず、全く別の理由で呼び出し、不意打ちの様な形で事情聴取を始める際に、外部との連絡を無理矢理絶たせたというのは事実か否か、千葉大臣は把握しているか。
八 一般に、検察庁がある人物に対して何の明確な要請もせず、全く別の理由で呼び出し、不意打ちの様な形で事情聴取を始める際に、外部との連絡を無理矢理絶たせることは許されるか。許されるならば、それはどの様な法的根拠に基づく行為であるのか。千葉大臣の説明を求める。
九 「上杉論文」には、
「女性秘書は石川が小沢の秘書をやっているときは、別の民主党議員事務所に勤めていたのだ。(中略)そんな彼女が、小沢事務所の会計事務のことを知る術もない。その旨を正直に述べると、検事は次のような言葉を述べるのだった。
『いいんだよ、何でもいいから認めればいいんだよ』
『早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ』
『なんで自分を守ろうとしないの。石川をかばってどうするの』」
との記述があるが、右は事実か。右にある様に、東京地検特捜部が、石川代議士の女性秘書に対して、事実関係云々に関係なく、検察の言いなりになることを、脅迫ともとれる様な言いぶりで求めたという事実はないか、千葉大臣は把握しているか。
十 一般に、検察庁がある人物に対して、事実関係云々に関係なく、検察の言いなりになることを、脅迫ともとれる様な言いぶりで求めることは許されるか。許されるならば、それはどの様な法的根拠に基づく行為であるのか。千葉大臣の説明を求める。
十一 「上杉論文」には、
「こうした言葉をさんざん浴びせられたが、知りようもない事柄を語れるはずもない。
そこで黙っていると民野検事はこう言い放った。
『あんた、何も言わないのは愚の骨頂だよ』」
との記述があるが、右は事実か。民野検事が、石川代議士の女性秘書に対して、同秘書の黙秘権を否定するかの様な発言をしたというのは事実か否か、千葉大臣は把握しているか。
十二 一般に、検察庁がある人物の事情聴取を行っている際、当該人物に対して黙秘権を否定するかの様な発言をすることは許されるか。許されるならば、それはどの様な法的根拠に基づく行為であるのか。千葉大臣の説明を求める。
十三 「上杉論文」には、
「『保育園に子どもが残っています。お迎えだけは行かせてください。その後、また戻ってきます。せめて電話だけでも入れさせてください』
感情を抑えられず取り乱す母親、その前に座る男はこう言い放つ。
『なに言っちゃってんの。そんなに人生、甘くないでしょ』」
との記述があるが、右は事実か。民野検事が、明確な事情聴取の要請もせず、全く別の理由で石川代議士の女性秘書を呼び出して長時間拘束し、途中の外部との連絡を一切許さず、脅迫的な言動をもって外部との連絡を制したというのは事実か否か、千葉大臣は把握しているか。
十四 一般に、ある人物が検察庁による任意の事情聴取を受ける際、聴取をいつまで受けるか、いつ帰るかは当該人物が任意に決められるものであると考えるが、千葉大臣に対して確認を求める。
十五 一般に、検察庁がある人物に対して、明確な事情聴取の要請もせず、全く別の理由で呼び出して長時間拘束し、途中の外部との連絡を一切許さず、脅迫的な言動をもって外部との連絡を制することは許されるか。許されるならば、それはどの様な法的根拠に基づく行為であるのか。千葉大臣の説明を求める。
十六 「上杉論文」には、
「結局、『押収品』はひとつも返却してもらえなかった。
つまり、東京地検特捜部は、最初からこの若い母親をだまして、『監禁』することが目的だったのだ。」
との記述があるが、右は事実か。東京地検特捜部、特に民野検事として、石川代議士の女性秘書に対し、当初押収品の返却との理由で呼び出しておきながら、一つの押収品も返却しなかったというのは事実か否か、千葉大臣は把握しているか。
十七 十六で、事実ならば、東京地検特捜部、特に民野検事として、全く別の理由をもって石川代議士の女性秘書を呼び出し、長時間に渡り拘束したのはなぜか、千葉大臣の説明を求める。
十八 一般に、検察庁として、全く別の理由をもってある人物を呼び出し、長時間に渡り拘束することは許されるか。許されるならば、それはどの様な法的根拠に基づく行為であるのか。千葉大臣の説明を求める。
十九 右で触れた東京地検特捜部、特に民野検事による石川代議士の女性秘書に対する行為は、一の「検察における取調べ適正確保方策について」に合致するか。千葉大臣の見解如何。
二十 本年二月二日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七四第三五号)では、千葉大臣により、人権の定義について「人権とは、一般に、『人間が人間として生まれながらに持っている権利。(出典 広辞苑)』を意味するものとされていると承知している。」との説明がなされている。また、「人権の重要性については、深く認識している。」との、千葉大臣の答弁がなされている。右で触れた東京地検特捜部、特に民野検事による石川代議士の女性秘書に対する行為は、同秘書の人権を著しく侵害するものではないのか。千葉大臣の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
最高検察庁においては、取調べの適正を一層確保するため、接見や取調べに関する一層の配慮や取調べに関する不満等に対する適切な対応等を内容とする検察における取調べ適正確保方策を公表したものと承知している。
その内容については、逮捕・勾留中の被疑者と弁護人等の間の接見に対する一層の配慮として、取調べ中に被疑者から弁護人等と接見したい旨の申出があった場合、検察官は、当該申出があった旨を直ちに弁護人等に連絡すること、取調べ中の被疑者について弁護人等から接見の申出があった場合、検察官は、できる限り早期に接見の機会を与えるようにし、遅くとも、直近の食事又は休憩の際に接見の機会を与えるよう配慮すること、被疑者又は弁護人等から弁護人選任又は接見に関する前記の各申出があった場合、その申出及びこれに対してとった措置を記録にとどめることとされ、取調べに当たっての一層の配慮として、逮捕・勾留中の被疑者を取り調べるに当たっては、捜査の必要性を考慮しつつ、刑事施設等において定められている時間帯に就寝、食事、運動又は入浴ができるよう努めるものとすること、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜に又は長時間にわたり取調べを行うことを避けるものとすること、取調べにおいては、少なくとも四時間ごとに休憩を与えるよう努めるものとすること、供述調書は、必要に応じて、問答式で作成するものとすることとされ、取調べに関する不満等の早期かつ網羅的な把握とこれに対する適切な対応として、被疑者の取調べに関して、被疑者の弁護人等から申入れがなされ、又は被疑者から不満等の陳述がなされたときは、決裁官がその内容を把握し、速やかに、所要の調査を行って、必要な措置を講じるとともに、申入れ等の内容、調査結果、講じた措置等を記録にとどめること、調査結果等については、捜査・公判遂行に与える影響等を考慮しつつ、可能な範囲において、被疑者又は弁護人等に説明を行うこととされているほか、検察官又は検察事務官は、取調べ状況等報告書を作成したときは、その記載内容を被疑者に確認させ、署名指印を求めることとされているものと承知している。
二について
御指摘の週刊誌の記事については承知している。
三について
個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄については答弁を差し控える。
四、七、九、十一、十三、十六、十七及び十九について
個々の週刊誌の記事の内容に関し、政府として答弁することは差し控える。
五及び十四について
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百九十八条第一項は、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができるが、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる旨を定めている。
また、同法第二百二十三条第一項は、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べることができる旨を、同条第二項は、この場合においても、出頭を求められた者は、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる旨をそれぞれ定めている。
六、八、十、十二、十五及び十八について
捜査機関の活動内容の当否については、個別具体的な事実関係に基づき判断されるべきものであり、お尋ねにつき、政府として答弁することは差し控える。
なお、一般論として申し上げれば、刑事訴訟法第百九十八条第二項は、被疑者の取調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない旨を、同法第三百十九条第一項は、強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白は、これを証拠とすることができない旨を、同法第三百二十五条は、被告人の供述であるか被告人以外の者の供述であるかを問わず、裁判所は、あらかじめ、書面に記載された供述又は公判準備若しくは公判期日における供述の内容となった他の者の供述が任意にされたものかどうかを調査した後でなければ、これを証拠とすることができない旨をそれぞれ定めており、検察当局においては、取調べに際し、これらの規定等を踏まえて適切に対処しているものと承知している。
二十について
お尋ねは、特定の週刊誌の記事の内容を前提として、捜査機関の活動内容について問うものであり、政府として答弁することは差し控える。
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