ことばで探す › 衆議院 第3回
学生政治活動取締に関する質問主意書
衆議院 第3回 第6号
質問本文
衆議院議長 松岡駒吉 殿
学生政治活動取締に関する質問主意書
十月八日附の文部次官通牒に便乘し、不当に学生運動を彈圧している事実が頻々として起つている。学生の学問の自由、思想の自由は、ポツダム宣言第十項にも「……言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立せらるべし」とあり、又憲法第十九條には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とあり、同第二十一條第一項には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」とある。次官通牒第一項にも「……政治の自由、批判の自由は、学校内においても尊重せらるべきである」といい、第三項に、「学生が個々に結社に加入する自由は禁止すべきではないが、学校の政治的中立性、教育の自主性を守るためには特定の政党の支部又はこれに類する学外團体の支部を学内にもつことは極力回避さるべきである」と、極力回避さるべきこととしておるのであつて、禁止しておるのではない。
なお十月、大学新聞連盟代表が日高教育局長と本問題に関して会見の際にも、日高局長は「これは通牒であり、命令ではない」、「惡用して学生をいじめるような態度をとる者は教育者ではない。文部省ではこの通牒の惡用を希望しない」と答えておるにもかかわらず、長野師範学校長岩波喜代登氏は十月十五日共産党細胞及び青共の解散を命令し、同十八日学生八名に退学を命令、更に同二十二日内七名の退寮を要求するとともに、デモ、集会、ビラ張りの禁止、学外團体解散等の学校條令を布告、同二十八日更に八名に対して退学処分を行い、なお学生寮に宿泊中の者に対し家屋不法侵入の廉をもつて告訴し、逮捕状を発し且つ学生一名を投獄した。岩波校長は、十月二十日教職員組合をも解散させており、更に昨年度卒業生中進歩的と見られていた二十五名に対し、(1)卒業後政治活動をしない、(2)政治團体の役員にならぬ、(3)善良な日本國民になるとの三箇條を宣誓せしめてやつと卒業させている等、非民主的な言動が多い。なお同様事態は、秋田師範学校においても惹起されている。
学生の自主的な教育復興鬪爭こそ民主革命を推進するものであるにかかわらず、以上の学校当局の措置は全くポツダム宣言、新憲法の精神を蹂躪し、次官通牒を不当に惡用したものであると信ずる。この点に関する文部大臣の責任を、本問題の眞相を調査するとともに、明らかにせられたい。
右質問する。
政府答弁書
質問の要点は、学校が文部次官の「学生の政治活動」に関する通牒に便乘して学生運動を不当に彈圧していないかというにあると解せられる。学生の政治活動については、さきに第二回國会において森戸前文部大臣が文部省の見解を表明したのであるが、なお政治運動の限界について疑義をもたれる向もあつたので、文部省は本通牒を発し、更に具体的な見解を表示して学校長の判断の参考に供せんとしたものである。
この通牒の要旨は、第一に学内における政治の研究、批判の自由を尊重し、進んで学生が個々に結社に加入する自由を禁止せず、学生運動の健全な発展を期待したのである。第二には学内の政治活動に関し学園の政治的中立性と各学校の教育上の自主性を保持する必要から各学校の実情に應じ、学園の秩序を阻害する如き運動が起らないよう指導をし、それに必要な適切な措置が講じられるべきことを明らかにしたもので、これは教育基本法第八條の趣旨から言つて当然であり、学校の教育活動あるいは、学校管理の問題である。第三には学園内の自治活動について直接行動や成心ある少数者の支配を戒めたものであり、このことはわが國の政治が國会民主々義の原則に基いている点からして明瞭である。
以上が次官通牒の趣旨であつて、これはあくまで学校長の判断の参考資料としたもので、この通牒をもつて学校長が学生運動を不当に彈圧しているとは考えていないし、又しばしば学校長会議や大学総長学長会議の機会をつくつて、その趣旨の闡明や徹底に努力している。
長野師範学校においては、青年共産同盟を研究の自由から認めて來たが、その行動において学校経営に支障を來したので、学校としてはやむなく解散を命ずる等の措置を講じたものと認めた。又秋田師範においては、生徒が学校側の勧告を無視して試驗時間にあえて大会を開いて試驗をボイコットしたので、その首謀者を処分したものであつて、いずれも各学校の自主性に基く学校管理措置であつて、ポツダム宣言、新憲法の精神を蹂躪し、次官通牒を不当に惡用したものとは考えられない。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。