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当面の緊急政治課題に関する質問主意書
衆議院 第69回 第5号検討してまいりたい ×2
質問本文
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
当面の緊急政治課題に関する質問主意書
一 B52の沖繩飛来について
1 最近、B52が沖繩県に大挙飛来したことはきわめて遺憾である。これは事前協議制の空洞化を示す以外の何ものでもない。そこで、事前協議のあり方そのものについて伺いたい。
(1)事前協議の本質とはそもそも何か。(2)事前協議が協議にとどまる以上、それについてイエスもノーもあるのは法理論上当然であり、いわゆる拒否権なるものはないと考えざるをえないがどうか。(3)日本側の発議権はあるのか。あるとすればその法的根拠いかん。(4)事前協議制は他に例があるか。またそれは国際法上いかなる地位にあるか。
2 沖繩の本土復帰によつて、沖繩県での基地提供は即日本での基地提供となつた。そこで今回のように沖繩基地がベトナム戦争に関与することによつて、北ベトナム政府が日本に対し報復攻撃することが国際法上許されることになるのか否か伺いたい。
3 先の通常国会で外務大臣は、事前協議制の対象基準について年内に米側と再検討するとの約束をしてきたが、この方針を今後も堅持するか。また、もしそうであるならば、いつ協議を開始するか。
二 日中国交の回復について
1 日中国交回復の実現は、古き良き友人との交情の復活を欲するとともに、世界の恒久平和を念願する国民的声である。正常化の機は、民社党をはじめとする野党の努力によつて、もはや十分に熟している。いまやその実現の成否は、政府が中国の復交三原則を基本的に認めると同時に、国交回復実現に向かつて強力なリーダーシップを発揮することである。政府は、自民党内部の意見の対立という狭い殻に閉じこもらず、広く国民的視野からこの歴史的決意を行なう意思はあるか。決意があるとするなら、国交回復に至る具体的なスケジュールを明示せよ。
2 自民党政府の外交政策の欠点は自主性のなさにある。いつまでも対米追随姿勢をとることなく、日本の運命は日本人自身で切り開くという自主独立の外交を確立すべきである。日中国交回復にあたつては、中国でも主張しているように不可侵、内政不干渉等の平和五原則の確認を政府間において明らかにせよ。
3 日台条約について、政府は佐藤内閣の後向きな見解を踏襲すべきではない。政府は台湾帰属問題について明確な見解を提示せよ。
4 中国に対する賠償問題について、中国側の好意に甘えるのでなく、謝罪の寸志、あるいは経済協力の意味からして、当然支払うべきとの意見も多いが、政府として今後いかなる方針で臨むのか。
5 自民党総裁選挙の際における田中、大平、三木のいわゆる政策協定はきわめて不十分である。問題の核心は復交三原則を前提とするか否かである。そこで問題解決の途は二つである。一つは、政府がこの三原則に立つて党内をまとめる自信があるかということである。これまで国会における国交回復決議が再三にわたつて流れたのもこれが問題であつたからである。いま一つは、三原則を認めないで復交できる案が他にあるかということである。いずれの途を選ぶつもりか伺いたい。
6 今後、日中の復交が実現すれば、日本にとつて、現在の日中関係と日台関係の占める位置は完全に逆転することになる。そこで、その際の日本の台湾における権益ならびに邦人の保護についてどのような方策をとるのか。
三 国鉄の再建について
1 政府は、国鉄の再建を重視しているが、次の臨時国会に再建法案を提出する方針であるか。
2 政府は、国鉄の再建に際し、国の財政援助、運賃の引き上げ、国鉄当局の経営努力を三本柱とする法案を今後も国会に提出せんと意図しているが、政府は、この三本柱のうち、いずれに重点を置いた対策を講ぜんとしているか。
3 前国会において、国民の大多数の意見により運賃引き上げ法案が廃案となつた。国鉄の再建にあたつては、運賃引き上げによらない再建を考えるべきであると思うが、政府はその具体案を示すべきである。
四 最近の災害に対する緊急対策について
最近、豪雨による山くずれ、家屋倒壊、浸水などが続発し、尊い人命が犠牲になつているが、政府はこれら災害についていかなる緊急対策を用意しているか、具体策を明らかにされたい。
五 健康保険制度の抜本的対策について
健康保険法の改正については、昭和四十二年、四十四年、さらに先の通常国会で大きな論議を呼んだが、民社党は、政府に対し、その都度、健康保険制度の抜本策の樹立を主張してきた。新政府は、行き詰まりつつある健康保険制度の抜本的改正について、いかなる準備をすすめつつあるかまた来たるべき臨時国会に抜本的改正案を提出するかどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
1(1) 事前協議制度とは、安保条約第六条の実施に関する交換公文に列記されている三項目(すなわち、配置における重要な変更、装備における重要な変更およびわが国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての施設・区域の使用)については、米軍がそのいずれかに該当する行動をとろうとするときはあらかじめわが国と協議することを米国に義務づけたものである。
今回のB52の沖繩への一時飛来は、そのいずれにも該当するものではなくこれをもつて事前協議制度の空洞化というのは全く当たらない。
(2) いわゆる「拒否権」を拒否することができる権利と解するならば、安保条約下の事前協議制度の下においてわが国がかかる権利を有することは従来から政府が繰り返して明らかにしてきた通りである。
(3) 事前協議制度とは、(1)に述べたとおり、交換公文列記の三事項のいずれかに該当する行動を米軍がとろうとする場合にわが国とあらかじめ協議することを米国に義務づけたものであるから、かかる義務を負つている米国が、これらの行動をとろうとすれば、右の義務を履行するためにわが国に協議してくるべき性質のものである。
(4) 事前協議制度は、国際法上「制度」として一般的に存在するものではないので、かかる「制度」につき一般的に論ずることはできないが、日米安保条約下の事前協議制度は日米安保条約の実施にかかる約束ごととして日米間で合意されたものであつて、これに基づく義務の誠実な履行は当事国にとり一般国際法上の義務である。
2 国際連合の集団措置に基づく場合または自衛権の行使の場合以外の武力行使が禁じられている国際連合憲章下においては、米軍の行動は、そもそも相手国からの侵略行為があつた場合にのみ行なわれるものであり、かかる侵略を排除するための米軍の行動がわが国の施設・区域の使用を伴うことがあつても、米軍の行動の相手国がわが国に対し報復攻撃を行なうことはわが国に対する侵略であり、国際法上認められない。
3 政府としては、事前協議制度の運用について検討するとともに、米側とも適当な機会に話し合う考えであるが、米側との話合いは、双方の都合から本年秋頃となる見込みである。
二について
1 最近の中国をめぐる国際情勢の新たな進展及び国内世論の動向にかんがみ、政府としては、今や日中国交正常化の機が熟しつつあると考える。日中国交正常化はわが国国民多数の希望するところであり、かつ、これがアジアの緊張緩和に資するゆえんであるという観点から政府としては、国民各層の広い支持を得て、国交正常化の具体策を着実に進めてゆく考えである。
2 政府は由来、一貫して平和に徹する外交を自主的に推進してきた。
いわゆる平和共存五原則の考え方は、国連憲章の原則にも合致し、かつバンドン十原則にも含まれているところであるから、政府としてはこのような考え方に基づいて日中国交正常化を図ること自体には何ら異存はない。
3 台湾の法的帰属、日華平和条約等に関し、中華人民共和国側が提示した、国交正常化に関する、いわゆる三原則については、基本的認識としては、政府としても、これを十分理解できるので、広く国民各層の意見も十分考慮しつつ、日中双方が合意しうるような具体策を検討してまいりたいと考えている。
4 戦前、戦中の一時期、日中関係が不幸な状態にあつたことは、遺憾ながら、事実として認めざるをえず、われわれとしては、わが国が中国人に多大の迷惑をかけたことを謙虚に反省すべきであると考える。このような反省を具体的にいかなる形で表わすかという問題は日中国交正常化の過程で解決したいと考えている。
5 政府としては、今や日中国交正常化の機が熟しつつあるという判断の下に、国交正常化を着実に推進してゆく方針である。中華人民共和国側が提示したいわゆる国交正常化に関する三原則については、基本的認識としては、政府としても、これを十分理解できるので広く国民各層の意見も十分考慮しつつ、日中双方が合意しうるような具体案を検討してまいりたいと考えている。
6 政府としては、日中国交正常化を推進してゆくに際し、台湾における邦人およびわが国資産の保護等の問題についても、細心の配慮をしたいと考えている。
三について
1 国鉄財政が危たいにひんしている現状にかんがみ、国鉄財政再建対策を強化する必要があるので、できる限り早い機会に国鉄再建関連法案を国会に提出したい。
2 国鉄財政の再建対策としては、国の財政措置の大幅な増額、国鉄の近代化、合理化努力の徹底とあわせて運賃水準の適正化を図ることが最も当を得た措置であると考えており、今後もこれらの施策を総合的に講ずることによる再建の推進を図る方針である。
3 再建施策の具体化にあたつては、前記の考え方に基づいて行なう所存である。
四について
昭和四十七年七月豪雨による災害に対しては、政府としては、七月八日、災害対策基本法第二十四条の規定に基づき、総理府に、総理府総務長官を長とする昭和四十七年七月豪雨非常災害対策本部を設置し、関係省庁、地方公共団体および公共機関の実施する災害応急対策の総合調整にあたらせているところである。
当面の対策について、大要、次のような方針を決定し、関係省庁に指示した。
(一) 関係省庁において早急に被災現地を調査し、被害の実情に即した対策を実施すること。
(二) 災害復旧事業の査定を急ぎ、すみやかに事業に着手することができるよう措置すること。
(三) 農業共済に係る共済金の支払い(仮払いを含む。)を早期に行ないうるよう措置すること。
(四) 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法等の適用の検討を急ぐこと。
(五) 危険地域の総点検を急ぐとともに、住民に対する避難の指示について適切な措置を講ずること。
(六) 当面の被災者の救出にあたる消防、警察、自衛隊等の活動について、相互の連絡を密にし、被災者の救出に遺憾なきを期すること。
なお、政府としては、死者、行方不明が多数におよんだ今回の災害の実情にかんがみ、災害弔慰金補助制度を創設し、今回の災害から適用することとした。
五について
国民皆保険の実現した今日、真に国民連帯意識を基調とする皆保険の名に値するよう、医療保険制度のあり方に改革を加え、保険給付、保険料負担の両面にわたつて格差・不均衡を是正しつつ、いよいよ重要性を増してきた国民医療の確保の観点から、医療保険の一層の充実発展を図ることは急務である。このような考え方に立つて、昭和四十八年度から漸進的に改革を実施するため、第六十八回国会に抜本改正法案を提出したが、廃案となつたところであるので、財政対策法案との関連も考慮しながら、できるだけ早い機会に国会に提出いたしたいと考えている。
右答弁する。
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