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当面の緊急な政治課題に関する質問主意書
参議院 第69回 第4号検討してまいりたい ×2
質問本文
一、田中内閣は、日中国交正常化について具体的にどら対処するのか、不明確である。
他国と異なり、日本は中国に対して帝国主義的侵略を行ない、中国に対し甚大な損害を与えた歴史的事実の上に立ち最小限、(1)中華人民共和国は中国の唯一の正統政府であり、(2)台湾は中国の一部であり、(3)日華条約は廃棄すべきであるとの日中国交回復三原則を基本に日中国交の回復を進めるべきだと考えるが、政府の具体的な国交回復の方策を明らかにせよ。
二、南北朝鮮統一に関する七月四日の共同声明は、画期的なできごとであり、今後のアジア情勢に大きな影響を与えるものである。政府はこの急速に転回する情勢を前に、いかなる基本的な外交姿勢で臨もうとしているのか。長い間、植民地支配を行ない朝鮮人民を圧迫してきた国として、また戦後は朝鮮の民族統一を阻害してきたアメリカに追随し多大の迷惑をかけた日本政府は、韓国駐留米軍の撤退、国連における朝鮮民主主義人民共和国に対する非難決議の取消しを要求し、日韓条約を廃棄し、朝鮮民主主義人民共和国を正式に承認し、その国連加盟を積極的に支持すべきであると考えるが、政府の態度を明らかにされたい。
三、ベトナム爆撃に使用されている米軍B52爆撃機の沖縄基地への飛来は、祖国復帰後間もない沖縄県民の不安を増大させている。これに対して田中首相は「困る困るといつておれば、来なくなるよ」と放言しているが、これは極めて不誠実、無責任な発言であり、許すことはできない。また外務省の態度も相変らず対米追随の姿勢を示している。
今後、政府は理由の如何を問わず沖縄を含む日本の基地にB52を一切飛来させず、さらにベトナム戦争のために日本の基地を一切使用させないことを明確に表明するとともに、このことを米政府に対して厳重に申し入れるべきである。また前佐藤内閣は事前協議制の再検討を行なうと約束しておきながら、それすら放置していることは、甚しく怠慢である。これらの諸点につき、国民の不安を解くために明確な回答を求める。
四、最近の集中豪雨は、各地に甚大な被害をもたらし、多数の死傷者を続出せしめ、日本列島そのものが、激甚災害となつている。しかるに自民党と政府は、総裁選と派閥抗争に明けくれてこの重大な事態を認識せず緊急かつ応急対策すらとつていないのは甚だ遺憾である。とくに田中首相は、拡大しつつある災害をよそにゴルフに興じ、国会の要請にも応じないという態度は、国民無視もはなはだしい。一刻も早く災害に対する適切な緊急措置をとるべきではないか。
五、四十七年度産米に対する米価の決定も緊急の課題である。米価問題については当然、食管制度堅持の原則に立つて、生産者米価は、農家の生産費と所得補償方式による生産者米価を、また消費者米価は諸物価高騰の折からこれを据置くという二重米価方式をとるべきである。
この観点から、政府は生産者米価をいかなる原則でどれだけ引き上げ、消費者米価をどのように措置しようとしているのか、またそれらの正式決定の時期はいつ行なうのか具体的に回答されたい。
六、田中首相は、組閣完了後、直ちに国会を通じて内閣としての所信表明を進んで行なうべきであるにもかかわらず、これを行なわないばかりでなく、野党各党が一致した要求に対してもこれを拒否した。のみならず、当面の山積する諸問題に対する緊急質問の要求にすら応ぜず、緊急を要する国民的課題に対応することを怠りながら、他の場においては、国会解散問題にまで発言を行なつているがこれは甚しい国会軽視であり断じて容認できない。また、自民党の総裁選挙をめぐつて、国民的批判を浴び、自民党総務会でも問題となつたいわめる黒い霧問題は、自民党政府の腐敗した金権主義の本質を暴露したものである。
田中首相は、自民党総裁として、これら政治不信の重要な要因となつている諸問題について国民に対して明確な態度を表明すべきであるがどうか。これらの問題と関連して公正な選挙を行ない政治の浄化をはかるため、政治資金規正法の抜本的な改正を早急にはかるべきであるがどうか。
自民党の多数議席は、最近の国民世論でも明らかなように正しく主権者の意思を反映していない虚構の勢力であり、同時に佐藤内閣から田中内閣へと政権タライ回しを行なつて自民党内閣の延命策をはかつていることは、主権者たる国民の意思を甚しく蹂躙するものである。したがつて、国民の公正な審判を仰ぎ、正しい国会の構成をつくるため早急に国会を解散して総選挙を行なうべきではないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
戦前・戦中の一時期に、わが国が中国人に多大の迷惑をかけたことは、謙虚にこれを反省すべきであると考える。
政府としては、今や日中関係改善の機が熟しつつあるという判断の下に、今後は政府の責任において、国交正常化のための具体策を進めてゆく考えである。なお、中国側が提示したいわゆる国交正常化に関する三原則については、基本的認識としては、政府としても、これを十分理解できるので、広く国民各層の意見も十分考慮しつつ、日中双方が合意し得るような具体案を検討してまいりたいと考えている。
二について
(イ) 政府としては、韓国との友好協力関係の維持発展を基本としており、今後とも韓国との協力を推進してゆく所存である。日韓基本関係条約を破棄するというようなことは考えていない。
(ロ) 北朝鮮については、国際情勢の推移を見守りつつ、南北会談等にみられる朝鮮半島における緊張緩和の進展ぶりに即応して、人道、文化、スポーツ、経済等の分野における交流を今後とも積み上げてゆく方針であるが、現在のところ承認を行なうことは考えていない。
(ハ) 朝鮮における米軍は、一九五〇年六月二十五日及び同月二十七日の安保理決議(第八二号及び第八三号)の勧告(憲章第三九条の措置)に基づき派遣されたものである。
朝鮮問題に関する国連総会決議において、国連軍派遣国政府は韓国政府の要請があつたとき、又は総会が定めた恒久的解決の条件が満たされたときにはいつでも朝鮮からその残存兵力を撤退させる用意があることが明らかにされている。政府としても朝鮮問題につき総会が定めた恒久的解決の条件が満たされ、在韓国連軍が撤退しうるような事態は望ましいと考える。
(ニ) 朝鮮問題に関する国連諸決議は国連において正当な手続をふんで採択された決議であり、政府としては今後の朝鮮問題の討議に注意を怠らないつもりである。なお、北朝鮮は国連に加盟したいとの意向を表明していない。
三について
(イ) 一般に米軍機の施設・区域への出入は日米安保条約の目的に合致するものである限り地位協定上認められているところであり、また、今回のB52の一時的飛来は事前協議の対象となるものではないが、政府としては、B52に対する国民感情にかんがみ、米側に対して、かかるわが国の国民感情を十分認識の上悪天候の場合の避難など真に必要やむをえない場合以外にはB52をわが国に飛来させないこと、ヴィエトナム爆撃の帰途に飛来することが定型化することのないようにすること、またB52をヴィエトナム爆撃のため沖縄に常駐させることは絶対にないよう申し入れており、これに対して米側
は、B52のわが国への飛来は悪天候その他緊急な場合のみに厳に限ること、B52をわが国から戦闘作戦行動のために発進させることは決してしないことを確約している。
(ロ) 政府としては、事前協議制度の運用について検討するとともに、米側とも適当な機会に話し合う考えであるが、米側との話合いは、双方の都合から本年秋頃となる見込みである。
四について
昭和四十七年七月豪雨による災害に対しては、政府としては、七月八日、災害対策基本法第二十四条の規定に基づき、総理府に、総理府総務長官を長とする昭和四十七年七月豪雨非常災害対策本部を設置し、関係省庁、地方公共団体および公共機関の実施する災害応急対策の総合調整にあたらせているところである。
当面の対策について、大要、次のような方針を決定し、関係省庁に指示した。
イ 関係省庁において早急に被災現地を調査し、被害の実情に即した対策を実施すること。
ロ 災害復旧事業の査定を急ぎ、すみやかに事業に着手することができるよう措置すること。
ハ 農業共済に係る共済金の支払い(仮払いを含む。)を早期に行ないうるよう措置すること。
ニ 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法等の適用の検討を急ぐこと。
ホ 危険地域の総点検を急ぐとともに、住民に対する避難の指示について適切な措置を講ずること。
ヘ 当面の被災者の救出にあたる消防、警察、自衛隊等の活動について、相互の連絡を密にし、被災者の救出に遺憾なきを期すること。
なお、政府としては、死者、行方不明が多数におよんだ今回の災害の実情にかんがみ、災害弔慰金補助制度を創設し、今回の災害から適用することとした。
五について
四十七年産米の生産者米価については、食糧管理法の規定に従い、生産費および物価、需給事情などを考慮し、具体的には米価審議会の議を経て決定することとしているが、どのような水準に決めるかは現在慎重に検討中である。
政府売渡価格については、食糧管理法の規定に則り、家計費および物価その他の経済事情を参酌し、消費者の家計の安定を旨として決めることとなつているが、政府買入価格等との関連にも留意しつつ、今後そのあり方について慎重に検討していくこととしている。 米価審議会の開催の期日は、七月二十四日および二十五日を予定しており、生産者米価については、米価審議会の議を経た後、早急に決定したいと考えている。
六について
私達の目の前には、解決すべき内外の問題が山積している。政府は、全力を傾けて具体的な解決の方途を見出したい。成果がまとまれば国会を召集し、国会を通じ国民にその方策を明示し十二分に議論をつくしたうえで与野党一致して問題の解決にあたりたい。
自民党の総裁選挙は、党則に基づき公明正大に行なわれた。総裁選挙のあり方や制度について検討を必要とする点もあり、また一部に批判を加える向きもあるので、問題を指摘される余地のないよう十分に対処してまいりたい。
政治資金規正法の抜本的改正は、政党政治の消長、わが国の議会制民主主義の将来にかかわる重大な問題である。したがつて、この問題について、外国における立法例、憲法および関係法令との関連等を含め、専門家に多面的かつ徹底した検討を求めたい。そこで得られた結果を基礎にして与野党が広く深く議論を積み重ね、お互いの完全に一致した線で問題の最終解決をはかることが適当だと思う。
衆議院議員の任期は、来年の十二月まで一年余を残している。解決すべき内外の諸問題が山積している現在、国会は、国政について議論をつくし、法案を審議し、お互いの一致点を見出して国民の要望に応えるべき責任を持つている。政府としては当面こうした課題に応えるよう努力したい。
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