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丸山ワクチンの製造承認申請に係る審査の現況に関する質問主意書
衆議院 第93回 第4号
質問本文
衆議院議長 福田 一 殿
丸山ワクチンの製造承認申請に係る審査の現況に関する質問主意書
昭和五十一年十一月に、制がん剤として国民の関心と注目を集めている丸山ワクチンの製造承認の申請がなされているが、今なお承認されていない現況にある。
このため、さきの第九十回国会において、「丸山ワクチンの製造承認申請に関する質問主意書」(昭和五十四年十二月五日提出、質問第二号)を提出したところであるが、これに対する政府の答弁書(昭和五十四年十二月十四日受領、答弁第二号)は、何らの説明も加えることなく(説明しても専門的事項は理解できないであろうと勝手に推測してか)、有効性が確認できないという結論だけを主張している。
私の質問は、政府の行政上のすべての措置は、何人に対しても公正でなければならず、いささかの差別も許されないという基本的視点に立脚して、政府の態度とその措置の当否を問うものであつて、医学的、薬学的論争を試みることが、その主たる目的ではない。しかし、それにしても、さきの政府の答弁は全く容認しがたいものである。
従つて、この際あえて私の真意を申し添え、改めてさきの答弁に関する次の事項について質問する。
一 昭和五十二年四月十五日、同年六月十七日、同年七月八日、昭和五十三年八月四日及び同年九月二十一日の中央薬事審議会における丸山ワクチンに係る審査について、それぞれの内容を詳細に説明されたい。
二 中央薬事審議会が「その有効性を確認するにはいまだ資料が不十分である」とする具体的な問題点について、詳細に説明されたい。また、この点についての厚生省当局の見解も併せて伺いたい。
三 中央薬事審議会が、佐藤博博士、石田名香雄教授、水野伝一教授、井村裕夫教授、吉井隆博教授等による実験成績を含む提出資料のどの点について「有効性を実証するものであるという判断には至らなかつた」のか、提出資料を引用して具体的に説明されたい。また、この判断に対する厚生省当局の見解も併せて伺いたい。
四 中央薬事審議会が、昭和五十三年九月以降丸山ワクチンに係る審査を行つておれば、その内容を詳細に説明されたい。また、審査を行つていないのであれば、その理由を説明されたい。
五 さきの答弁において、「免疫療法剤の治療効果は強力なものではなく、他の治療法と併用することにより有効となると考えられている」と述べられているが、だれのどのような見解に基づく判断であるのか、かかる見解を前提とした審査手続に強い疑念を持つので、特にこの点についての厚生省の明確な見解を伺いたい。
六 免疫療法剤の審査の一層の適正を期するために組織された「研究班」の現在までの検討経過について、詳細に説明されたい。また、この検討経過が丸山ワクチンの製造承認申請とどのような関連を持つものか、説明されたい。
七 さきの答弁において、丸山ワクチンを「免疫療法剤としての審査に切り替えたという事実はない。」と述べられている。従つて、厚生省は丸山ワクチンに関する限り審査基準を今後とも変更する考えはないと了解してよいか、厚生省の見解を伺いたい。
八 ピシバニール及びクレスチンの申請から製造承認に至るまでの中央薬事審議会における審議の経過及び「いずれも申請された効能についてその有効性が確認された」とされる審査の内容について説明されたい。また、丸山ワクチンについて、ピシバニール及びクレスチンの審査基準に当てはめた場合、どの点に問題があると考えるのか、三者を比較対照して説明されたい。
九 昭和五十四年五月二十四日の衆議院社会労働委員会における私の質疑に対し、本橋政府委員は「クレスチンあるいはピシバニール等につきましては腫瘍縮小効果が見られた」と答弁している。その実例は恐らく発表されているものと思われるので、その詳細を示されたい。
十 厚生省当局は、新医薬品の製造承認に際し従来副作用を伴うものについては原則として承認しない方針であると了解している。一方、この原則の例外として、現在市販されているがん治療剤(免疫療法剤であるピシバニール及びクレスチンを含む。)の大多数のものは、副作用を伴うが承認されていると理解している。
これらの事実の認識に相違があれば指摘されたい。
十一 丸山ワクチンが副作用を伴わないことは周知の事実であるが、副作用を伴うほとんどのがん治療剤が、厚生省当局の大原則に合致しないまま承認されている理由を説明されたい。また、承認に際し、新医薬品の有効性と副作用の関係について総合的に評価する基準は何か、説明されたい。
十二 丸山ワクチンの製造承認申請に係る薬事審議会の今後の審査の見通しについて、重ねて厚生省の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
「SSM ― 注射液」の製造承認に係る中央薬事審議会における審議の経過及び内容については、先の内閣衆質九〇第二号(昭和五十四年十二月十四日)の一についての1及び2において答弁したとおりであるが、申請者から提出された資料のすべてについて十分な審議が行われたものである。
二について
中央薬事審議会は、臨床試験成績資料、作用機序を裏付ける基礎的研究資料、規格及び試験方法の内容等が不十分であると判断したものであり、厚生省においてもその意見を尊重することとしている。
三について
医薬品の有効性の評価は、申請者から提出された基礎実験、効力を裏付ける試験、臨床試験等の資料を総合的に審議評価してなされるものであり、中央薬事審議会が佐藤博博士等の個別の実験成績を含む提出資料のすべてを審査しても、なお総合的評価において「SSM ― 注射液」の有効性を確認するには至らなかつたものである。
なお、厚生省においても、同会の意見を尊重することとしている。
四について
中央薬事審議会においては、申請者から追加資料が提出された時点で改めて審議をすることとしており、昭和五十三年九月二十二日以降現在に至るまで申請者から追加資料が提出されていないので、同日以降審議を行つていない。
五について
悪性腫瘍に対する免疫療法剤の治療効果は強力なものではなく他の治療法と併用することにより有効となるとの考えは、今日の関係学会における通説とされており、この見解が現時点における最も適切なものであると考えている。
六について
昭和五十四年七月以降、悪性腫瘍に対する免疫療法剤の医薬品としての評価の学問的基盤を明確にし、免疫療法剤の承認審査に資することを目的とした研究が行われ、本年四月にその研究成果が報告された。
また、本研究は、「SSM ― 注射液」の製造承認申請とは直接の関連があるものではない。
七について
医学、薬学等の学問水準に照らし、より適切な抗悪性腫瘍剤の審査基準が確立された場合には、この基準に基づいて審査することができるものと考えている。
八について
ピシバニールについては、昭和四十八年八月六日、同月十日、昭和四十九年二月二十八日、同年六月二十五日、同年九月四日、同年十月十八日及び同月二十五日並びに同年十一月二十日の八回にわたり、クレスチンについては、昭和五十年十月二十九日、昭和五十一年三月二日及び同年六月十八日の三回にわたり中央薬事審議会において審議され、それぞれについて提出された資料を総合的に評価した結果有効性が認められるとされたものである。
なお、「SSM ― 注射液」についての問題点は、二について及び三についてで述べたところにより了知されたい。
九について
御指摘の答弁は、中央薬事審議会の審議において、クレスチン、ピシバニール等には腫瘍縮小効果が認められると評価されたことを踏まえてなされたものである。
十及び十一について
医薬品の製造承認は、その有効性及び安全性を比較衡量の上医療上の価値を判断して行うものであり、抗悪性腫瘍剤についてもその例外とはしていない。
十二について
現在、申請者に対し、更に追加資料の提出を求めており、必要資料が提出された時点で改めて審議されることとなると考えている。
右答弁する。
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