テキスト情報の無いPDF——税金で作る行政サービスは、住民が使える形であるべきだ
名古屋市のハザードマップのページに、市自身の説明としてこう書いてある。「ハザードマップはテキスト情報の無いPDFです」。
洪水・内水氾濫・高潮・地震・津波に避難所マップを加えた6種類が、16区ごとの個別PDFで配られている。多言語対応は7言語。掛け算すると数百ファイルで、1ファイルは最大19.8MBある。そしてテキスト情報が無いから、検索も読み上げも効かない。自分の家が危険な区域かどうかは、PDFを開き、地図から自宅を目視で探し、色を見分けるしかない。
作った人を責めたいのではない。紙の地図を配る前提の仕組みを、そのままデジタルに載せるとこうなるという構造の話だ。
問題は、これに税金が使われていて、そして今はもっと安く、もっと使えるものが作れるということだ。
実際に作って確かめた。住所を入れると土砂災害警戒区域かどうかを判定するシステム、津波で何メートル浸かる想定かを返すシステム、災害の種類ごとに使える避難所まで徒歩何分かを返すシステム。3つとも元データは行政が既に公開しているオープンデータで、外部の有料APIはゼロ、運用費はほぼサーバー代だけ。制作は1本あたり実質1日から数日だった。AIを使う開発は、この1年でそういう水準になっている。
土砂災害の判定はここで誰でも無料で使える。
https://kurage.exbridge.jp/khazard.php/
津波と避難所はこちら。
https://kurage.exbridge.jp/ktsunami.php/
https://kurage.exbridge.jp/krefuge.php/
つまり、データは行政自身が持っている。作る技術は桁違いに安くなった。足りないのは、仕様書に「住民が実際に使えること」を書く発想だけだ。大手に発注し、紙の地図のPDF版が納品され、検収されて終わる。その調達の型が、テキスト情報の無いPDFを量産している。
自治体に伝えたいことは1つ。PDFで公開して終わりになっている情報は、住所や名前を入れたら答えが返る形に作り直せる。従来の調達価格より桁で安く。名古屋市の洪水ハザードマップの元データがCC BY 4.0のオープンデータとして公開されていることも、調べていて分かった。名古屋市の洪水判定システムは、今日からでも作れる状態にある。
高い税金を使うなら、住民が使える形に。低予算で価値のあるシステムは、AIを使えばもう作れる。それを個人開発の規模で実証できてしまうことが、この構造の一番の批評だと思う。
この内容は約2分の動画にもしてあります。
動画: https://kurage.exbridge.jp/kuragev.php?id=e270547eef9b460e
note版(ですます調で少し丁寧に書いたもの): https://note.com/tokoname/n/n452b56d1508b
出典: https://www.city.nagoya.jp/bousaiportal/hazardmap/1036429/1036292.html
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