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東北地方を中心とした異常気象災害に関する質問

参議院 第113回 第11号お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
1988年10月3日
内閣転送 1988年10月5日
答弁書受領日
1988年10月18日
提出から15日
答弁の項目数
11
質問 2,347字/答弁 3,087字

質問本文

東北地方を中心とした異常気象災害に関する質問主意書

記録的な長雨と日照不足、低温などの異常気象のため、福島県・宮城県などを中心に農作物の成育の遅れや収穫の減少、病害虫被害の多発などが急速に広がり、農家の打撃は深刻なものとなつている。農民からは「大幅減反と二年連続の米価引下げ、その上、牛肉・オレンジの自由化決定など、先々の不安を感じていたところへこの災害ではこの先どうなるのか予想もつかない」と悲痛な苦悩の声が寄せられている。

福島県の場合、県農業試験場の観測によれば、七月の降水量は二百十一ミリ(平年百六十七ミリ)、八月は二百二十七ミリ(平年百四十二ミリ)と異常に多く、逆に日照時間は七月で六十二時間(平年百六十一時間)、平均気温も七月で二二・四度(平年三〇・六度)と低く、幼穂形成期に異常気象に見舞われた早生種、中生種が大きな被害を受ける形となつた。

また、いもち病発生面積は、九月十五日現在でおよそ五万ヘクタールに及び、全作付面積の五十パーセントを超えるに至つている。特に西白河郡東村形見地区では、水田七十ヘクタールのうち六割を占める「初星」が不稔、いもち、イナコウジ病の被害に遭うなど、平年の一~二割の収穫しか見込めない惨状にある。そして、稲作の作況は、九月十五日の調査では著しい不良が見込まれる事態となつている。

さらに、被害地域は全県下に広がり、稲作に限らず、果樹、野菜類、豆類、こんにやく、葉たばこ、桑、牧草等の全作物に及び、これらの被災地では戦後最悪となる様相を見せている。

したがつて政府に対し、こうした実態と農家の窮状にかんがみ、速やかに万全の対策を講ぜられるよう強く要請するとともに、災害対策について以下質問する。

一 政府は実態の把握を急ぎ、天災融資法及び激甚災害法の発動を速やかに行い、以下の対策を講ずべきと思うがどうか。

1 貸付限度額の大幅引上げ、償還期限の延長、金利の引下げを行うこと。

2 つなぎ融資及び既貸付金の償還条件についても1と同様の措置を採り、農協や市中銀行についても指導を徹底すること。

3 生活の困窮にかんがみ、資金使途を緩和し、二種兼業農家についても融資を行うこと。

4 自作農維持資金についても貸付条件の緩和、手続の簡素化、特別融資枠の拡大など特別措置を図ること。

二 被害の影響が全作物に及んでいることからも農家の苦悩は大きく、農業共済の早期支払体制の確立が待たれている。したがつて、被害の実態に即した公正・的確な評価を行い、必要に応じた共済金の仮渡しや再保険金の概算払い等の実施を急ぐよう指導するなど適切な措置を講ずるとともに、以下の対策を採るべきと思うが、政府の見解を示されたい。

1 五十八年冷害の救済対策としては、損害評価の特例措置が実施されたが、青米、褐色米及びクズ米は収量から除くなど、今回の災害でも損害評価の特例措置を図ること。

2 被害救済に万全を期すため、単位共済組合などの評価を尊重すること。

3 損害評価事務体制強化のため、適切な助成・援助を行い、速やかに認定を行うこと。

三 米穀の事前売渡申込み後の被災農家については、政令により変更の再契約ができるものとされている。被災農家の要望を尊重し再契約を認め、自治体に対する指導の徹底を図るとともに、以下の対策を講ずべきと思うがどうか。

1 予約概算金返納については要件を緩和し、利子加算の減免を図ること。

2 他用途利用米の予約取消しを認め、これを通常米として売渡しできるようにすること。

3 被災によつて大量に出ることが予想される等外米、規格外米については、政府がこれを全量買い入れるよう特例措置を採ること。

4 収穫が皆無に近い農家の続出が予想されることから、飯米の不足した米作農家に対して直接売渡し又は現物貸与ができるよう特別措置を講ずるとともに、売渡代金の延納措置を認めること。

四 福島県及び関係自治体、農協などの指導により、再三いもち病等防除のため薬剤散布を行つてきたところであるが、長雨のためその実効があがらず、防除費及び緊急排水対策に要した費用は被災農家の大きな負担となつている。農家負担の軽減を図り、今後の農業経営を保障するために特別の補助を行う等の施策を実施するとともに、以下の対策を講ずべきと思うがどうか。

1 被害水稲の刈取り、乾燥、運搬等に対する特別の助成を行うこと。

2 農機具等の資材及び肥料等の返済金の繰延べ、利子補給を行うこと。

3 加工用果実の価格保障に当たつては、加工仕向全量を対象とし、基金が不足の場合は、基金の増額を図ること。

4 葉たばこ災害の認定については、公正を期すよう日本たばこ産業(株)を指導すると同時に、収量後の長雨による腐敗等についても、これを対象とするなど万全の対策を講ずること。

五 被災地域農家の生活難が推測されるところから、地域の要望に基づく救農事業や生活・農林業関連の公共事業が切実に求められているところである。よつて、以下の対策についての政府の見解を示されたい。

1 出稼ぎを希望する農家に対しては、農業共済の評価や米の検査などを早急に行い、就労先のあつせんに特別の対策を採ること。

2 国保税、所得税及び固定資産税等の減免を図るため、関係省庁に適切な要請・指導を行うこと。

3 被災農家子弟の就学援助制度の適用及び授業料免除制度などを適用する自治体に対しても特別の助成を行うなど、特段の配慮を行うこと。

六 今回の被害の実態を踏まえ、減反面積を見直し、需給計画をゆとりあるものに再検討すべきと思うがどうか。また、米の自由化は絶対に行うべきではないと思うが、政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(昭和三十年法律第百三十六号。以下「天災融資法」という。)及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)の適用については、被害の状況を十分に踏まえて速やかに対処してまいりたい。

1 天災融資法による資金の貸付限度額及び償還期限については、今後とも、被害農業者の経営の安定に資するという天災融資法の目的に照らしつつ適切に設定してまいりたい。また、貸付金利については、今後とも、災害に係る他の資金の貸付金利にも配慮しつつ適切に設定してまいりたい。

2 つなぎ融資及び既貸付金の償還条件の緩和については、被害の実情に応じこれに配慮するよう関係機関に対して依頼したところである。

3 天災融資法による資金の使途の緩和及び第二種兼業農家に対する融資については、被害農業者の経営の安定に資するという天災融資法の目的に照らし、現在の資金使途及び貸付対象者は、いずれも妥当なものであると考えている。

4 自作農維持資金は長期低利の資金であり、更にその貸付条件を緩和することは困難である。手続については、速やかに被害農業者に対する貸付けが実行されるよう関係機関を指導してまいりたい。また、融資枠の確保については、資金需要を見極めた上、適切に対処してまいりたい。なお、貸付限度額の特例については、被害の実情等を十分に見極めつつ検討してまいりたい。

二について

農業共済の共済金の早期支払体制の確立については、損害評価を迅速かつ的確に行い、共済金等の支払を早期に行うよう農業共済団体等を指導しているところである。

1 損害評価の特例措置については、被害の実情を見ながら、適切に対処してまいりたい。

2 農業共済における損害評価については、農業共済組合等、農業共済組合連合会及び政府の各段階で公平かつ適正に行う必要があり、このうち損害評価の基本となる農業共済組合等による損害評価については、今回の災害についても、農業災害補償法(昭和二十二年法律第百八十五号)第九十八条の二の規定に基づき主務大臣が定める準則に従つて行うよう十分指導しているところである。

3 損害高の認定については、損害評価を迅速かつ的確に実施し、これを速やかに行うよう農業共済団体等を指導しているところであり、また、損害評価のための実測に要する経費については、予算の範囲内において、その実績に応じ、助成してまいりたい。

三について

災害により米穀の政府への売渡しが困難となつた場合には、政府買入基準数量を変更するみちが開かれており、その適切な実施につき指導を行つている。

1 概算金の返納に係る加算金の利率については、被害の程度に応じ一定の基準により減免を行うこととしている。

2 災害により他用途利用米の契約数量の出荷が困難となつた場合には、作況調整により当該数量の変更を行うみちが開かれているが、これを超えて他用途利用米を主食用に転用することについては、他用途利用米の流通に関する契約を結んでいる実需者との関係等から困難な問題がある。

しかしながら、特別に被害が著しい農家に対しては、何らかの措置を講ずることができるかどうか、今後、検討していく考えである。

3 災害により発生する規格外米を政府が特例的に買い入れることについては、過剰基調にある現下の米の需給事情の下では困難であり、このような規格外米については、今後、集荷団体とも協議の上、自主流通米としてのみちを開くことについて検討していく考えである。

4 災害により米作農家が飯米に不足を生じた場合には、当該米作農家も、一般消費者と同様に、小売業者を通じて米を購入することになるが、今後、被害の状況等を見極め、必要があれば、過去の取扱いを参酌しながら、所要の措置につき検討することとしている。

四の1について

被害水稲の刈取り、乾燥、運搬等に要する経費については、一般的な農業経営費として取り扱うべきものと考えている。

四の2について

農機具、肥料等を購入するために農業者が借り入れた資金については、利子補給を行うことは考えていないが、被害の実情に応じ既貸付金の償還条件の緩和に配慮するよう関係機関に対して依頼したところである。

四の3について

加工原料用果実については、生産者からの委託を受けて農業協同組合等が販売するものを対象として、価格安定対策を実施し、関係生産者の経営の安定等に努めているところである。

四の4について

政府としては、耕作したたばこ又は収穫した葉たばこが災害により損害を受けた場合の取扱いについては、日本たばこ産業株式会社において、たばこの耕作者との間で締結された昭和六十三年産葉たばこの売買契約の定めるところにより、適切に対処されるべきものと考えている。

五の1について

農業共済における損害評価については、迅速かつ的確に行ない、損害高の確定が早期に行われるよう農業共済団体等を指導しているところである。

また、米の検査については、生産者の事情をも十分考慮して実施してまいりたい。

就労先のあつせんについては、関係市町村等の協力も得ながら、出稼ぎ希望者数等の実態の早期把握に努めつつ、巡回職業相談の実施等により公共職業安定所を通じての就労を徹底するとともに、積極的な求人開拓の実施等により良質な求人の確保に努めてまいりたい。

五の2について

被災地域農家に対する国民健康保険税の減免については、各地方公共団体において、被害の状況に応じ、それぞれの条例に基づき対処されるものと承知している。

所得税については、従来から、災害による農作物の被害状況を把握し、被災農家の実情に即し適切に対処しているところである。

固定資産税については、災害被害者に対する減免措置等に関する基本的事項について、既に自治省において通達により地方公共団体に示しているところである。したがつて、今回の災害についても、当該通達に基づき被害の状況を見極めつつ適切に対処するよう地方公共団体を指導してまいりたい。

五の3について

就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律(昭和三十一年法律第四十号)等に基づき、経済的理由により就学困難な児童又は生徒に対して市町村が学用品費、通学用品費等の給与を行つた場合は、国は補助を行つている。

災害を受けたことにより就学援助を必要とする者が生じた場合には、市町村においてその都度適切に認定を行うよう指導してきているところであり、今回の災害においても、関係地方公共団体からの報告を待つて補助金の交付について適切に対処してまいりたいと考えている。

また、公立高等学校の授業料の免除については、地方公共団体の定める条例等により行われるところであり、今回の災害に関しても、関係地方公共団体が適切に対処するものと考えている。

六について

昭和六十四年度における米の需給均衡化のための対策については、今後の水稲の作柄の推移等を見極める必要があるが、米の持ち越し在庫が高い水準となつていること、米の消費の減退傾向が強まつていること等厳しい米の需給事情にもあるので、三度の米の過剰を回避する観点から検討し、推進していく必要があると考えている。

また、国民の主食であり、かつ、我が国農業の基幹作物である米については、国会における決議等の趣旨を体し、生産性の向上を図りつつ、自給するとの基本的な方針で対処していく考えである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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