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変額保険による被害救済に関する質問

参議院 第142回 第5号お答えすることは困難 ×1承知していない ×2

提出者
参議院
提出日
1998年4月3日
内閣転送 1998年4月8日
答弁書受領日
1998年4月24日
提出から21日
答弁の項目数
16
質問 3,478字/答弁 2,524字

質問本文

変額保険による被害救済に関する質問主意書

変額保険による被害の救済問題は、二十数回の国会質問、質問主意書でとりあげられてきた。政府は被害救済、苦情・トラブルの早急な解決を行うべきである。

変額保険は、都市銀行と生命保険会社が連携した日本独特の「銀行ローン付の一時払い終身型変額保険」である。バブル経済の時期に、相続税対策として、都市部で自分の土地・建物を所有している人、収入はないが土地を持っている人など、高齢者、年金生活者をターゲットにして、一銭の元手もなくても相続税対策が行える、と称し販売を行ったものである。しかも、大蔵省は、一九八八年五月二十五日に「一時払養老保険の保険料ローンに代表されるような財テクを勧める等、保険本来の趣旨を逸脱した提携は行わない」との口頭指導を出しながら、販売を容認し続けてきた。このことが、変額保険の被害を大きくしたのである。変額保険の契約の急増期は、この口頭指導後の八九年から九一年であった。

このバブル期に契約した「銀行ローン付の一時払い終身型変額保険」の銀行ローンが十年の一括返済の時期をむかえ、相続税を支払えるどころか、少なくない被害者が利子を含めて元本の二倍にのぼる返済を銀行から迫られている。高齢の契約者などは、長生きをすれば元金と利子が複利で増え続けていく状態となり、銀行の借金がこれ以上膨らまないようにするには、自らの「命」の保険金で銀行のローンを返済するしかないという深刻な状況に追い込まれている。

政府は、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券など相次ぐ金融機関の破綻に際して、不良債権のディスクロージャーは不可欠であるとしている。変額保険の融資は実質不良債権となっており、五百件以上に及ぶ裁判が起こされていることからしても、隠された実態をただちに解明し、早期解決をはかることが求められている。このような深刻な事態をふまえて以下質問する。

一、日本型変額保険の本質について

変額保険による被害の深刻さは、何よりも銀行と生命保険会社が提携して「銀行ローン付の一時払い終身型変額保険」を販売したことにある。

変額保険を開発したアメリカでは、投資的な性格に着目して証券と定義され、「証券類似商品」として保険法と同時に証券関係諸法の規制を受け、変額保険に融資することは行われなかった。

日本の変額保険は、外資系生命保険会社のアリコジャパンの元社員が母体となり、八九年一月に設立した青山ファイナンシャルステーション等が、相続税対策として大口の保険に加入させ、一時払の保険料を銀行が融資するプランを三菱銀行(現東京三菱銀行)に持ち込んだことからはじまったと言われている。銀行が直接保険の募集にあたることは「保険募集の取締に関する法律」で禁止されていたにもかかわらず、実際の変額保険の商品の説明は銀行員が行い、保険会社の社員は契約時にあらわれるだけという事例など、保険の募集が事実上銀行主導で行われていたことは明確である。変額保険被害者の会のアンケートで三菱銀行と明治生命との提携の案件が二百件を超えている実態からしても、銀行主導で実施されたのが日本型変額保険の本質であると言える。

1 アメリカでは変額保険のトラブルがほとんど起きていない。九七年三月十日の参議院予算委員会で福田大蔵省保険部長は、アメリカのタイプは「配当による保険買い増しの考え方で構成されている」と答弁している。「銀行ローン付の一時払い終身型変額保険」という事実上投資信託に近い日本独特のタイプが、多くのトラブルと被害を生み出したのではないか。

2 アメリカにおいて、日本では保険商品としている変額保険を証券関係諸法の規制対象とした根拠を承知しているか。

3 九六年七月五日付の佐々木陸海衆議院議員への答弁書で、変額保険の証券的位置づけについて導入時に検討されたと答えているが、保険審議会の討議において、証券規制の必要性をめぐりどのような論議がなされたのか、主な論点を明らかにされたい。

4 証券投資の長期資金融資は認められていないが、なぜ、投機的な性格を有している変額保険の加入資金について、十年、二十年の長期融資を認めたのか。

5 融資付き変額保険が「相続税対策」として販売されているが、早期に死亡した場合には該当するものの、契約後八年以上のものは相続税対策としては効果がない。被保険者が長生きをすればするほど、契約者の損失が増加するケースがあることを認識しているか。

二、銀行と保険会社との提携について

1 前記佐々木陸海衆議院議員への答弁書では、「銀行と保険会社の間での提携が行われていたとは承知していない」、「昭和六十三年の『口頭指導』に反するような保険募集が行われていたとは承知していない」としている。ところが、大蔵省の鏡味保険部長は「トラブルの一番大きい案件は、銀行が保険料を貸し付けている組合せ保険」(九三年五月十九日 衆議院大蔵委員会)、「財テクを勧める等保険本来の趣旨を逸脱した保険料ローンの提携自粛を要請」(九三年三月六日 衆議院予算委員会)と提携を認めている。また、九五年五月二十五日の参議院大蔵委員会では「その後変額保険とローンを組み合わせたものが問題となり通達を出した」と答弁している。銀行、保険会社の本店間の提携契約の有無は別として、実態として、事実上の提携関係があったことを大蔵省は認識していたのではないか。

2 明治生命の「RITプランの仕組み」では、明治生命と三菱銀行との提携を明確に示している。国会質問で取り上げられた案件、変額保険被害者の会が指摘している案件、現在裁判で取り上げられている案件等について、大蔵省は、銀行と保険会社との提携について調査したことがあるのか。

三、変額保険の被害の実態について

大蔵省が、保険料ローン付き契約に対し再三の行政指導を実施したにもかかわらず、自粛どころか契約の拡大を容認してきたことが、被害者を増大させた。融資付き変額保険の実態を明らかにすることが、被害を解決するために必要である。

1 銀行が変額保険の保険料のために融資した件数及び融資金額(利息分を含む)について、八六年から今日までの銀行及び支店毎の件数、融資額、保証料として支払われた金額、返済期限、担保の有無を明らかにしていただきたい。

2 1の融資資金の金利はいくらか。利率の推移を含めて示されたい。

3 融資付き変額保険に対する融資案件のうち、利払いが延滞しているものの件数及び融資金額、そのうち保証会社により代位弁済を受けたものの件数及び金額について、金融機関別、年度別に示されたい。

4 三塚大蔵大臣は、九七年三月十日の参議院予算委員会、四月五日の衆議院大蔵委員会等で、係争中でない案件については「その業務運営について一層適切に指導してまいりたいと考えています」と答弁しているが、大蔵省に寄せられている苦情は何件か。

5 変額保険及びその変額保険にかかわる融資に関して、保険会社、銀行及び銀行協会、保険協会が受け付けた苦情・トラブルについて、保険会社別、銀行別の件数(処理済、処理中に分けて)及び苦情内容について示されたい。

四、銀行の貸手責任について

1 変額保険被害者の会の九七年秋のアンケート調査(会員対象、回答数二百十二件)では、未返済残高は二百六十四億円にのぼっている。銀行が、ローンの貸付に当たり、その使途など問わずに、土地などの担保で年収の三十倍から三百倍もの融資を実施しており、銀行の貸手責任が問われている。大蔵省は、このような過剰融資の実態を把握しているのか。

2 変額保険被害者の会のアンケートでは、銀行ローンの契約書が交付されていない案件が七十六件あるが、契約書を交付しないことは許されるのか。

3 年収の三十倍から三百倍も融資していることは、銀行の公共性に照らし、好ましい行為と言えないのではないか。

4 保険料ローンの借入と同時に、十年分の利息の貸付けが実施され、利息分の貸付けを強制的に預金させていることは、歩積・両建預金であり、独占禁止法の優越的地位利用に該当し、八九年六月十六日の大蔵省の行政指導に違反しているのではないか。

5 保険料ローンの借入と同時に、担保物件の極度額まで利息返済のカードローンが締結されている。元金と、その利息が複利で運用されることになり、貸付け金利が利息制限法の制限利率を超える契約は、独禁法の不公正な取引方法に該当するのではないか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

変額保険は、運用実績が保険金額等に反映されるという性格を持つものであるが、あくまでも保険数理に基づく生命保険であり、被保険者が死亡した場合には最低保証としての基本保険金額が支払われるといった点において、投資信託とは異なる性格を有するものであると考えている。なお、他の保険契約同様、保険料の払込資金の手当てや払込方法は契約者の選択によるものであり、変額保険そのものに組み込まれているものではない。

一の2について

アメリカ合衆国においては、投資リスクが保険契約者に帰属する等の理由から、変額保険が連邦証券関係諸法の規制の対象となる証券とされたものと承知している。

一の3について

変額保険の導入に際しては、証券投資信託における資産運用規制、ディスクロージャー等の観点も踏まえて種々の検討が行われ、変額保険の基本的な考え方を示した昭和六十年五月三十日の保険審議会答申において、資産運用規制、ディスクロージャー、募集体制、当面の変額保険の実施等の各項目ごとに検討の結果が取りまとめられている。

一の4について

民間金融機関の貸出商品は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)等の規定による許認可又は届出の対象とはなっていないため、大蔵省としては、変額保険の加入資金に係る融資について、これを認めるといった立場にはない。

一の5について

一時払保険料相当額を銀行から借り入れて変額保険に加入することがいわゆる相続税対策となるかどうかについては、相続発生時までの変額保険の運用実績及び銀行ローンの金利がともにその時々の経済環境等によって変動し、死亡保険金又は解約返戻金が銀行への要返済額を上回るとは限らないことから、一概にはいえないものであると考える。

二の1について

変額保険については、金融機関が保険料の融資を保険契約者に対して行う、いわゆる保険料ローンが利用された例があることは承知しているが、銀行と保険会社の間で提携が行われていたとは承知していない。

二の2について

大蔵省としては、変額保険を含む個別問題について苦情の申出があった等の場合は、必要に応じて保険会社、銀行等から事実関係等についてヒアリングを行い、問題があると認めた場合には適切に対応するよう指導してきているところである。

いずれにしても、変額保険について、いわゆる保険料ローンが利用された例があることは承知しているが、銀行と保険会社の間で提携が行われていたとは承知していない。

三の1及び2について

一般に、銀行の貸出商品について資金使途や内容等を報告させるといったことは行っておらず、御質問の点については不明である。

三の3について

例えば全国銀行における平成九年九月末の延滞債権は約十二兆六千四百億円となっているが、当該債権について資金使途等により区分して報告させるといったことは行っておらず、御質問の点については不明である。

三の4について

大蔵省においては、財務局、財務事務所を含め同省に寄せられる金融機関等に関する苦情について実態把握に努めているところであるが、苦情件数の集計を融資及び保険商品の種類別に行っていないことから、御質問の点については不明である。

三の5について

大蔵省としては、金融機関等に関する苦情の処理については、金融機関等が自ら適切な対応を行うべきであると考えており、保険会社、銀行が受け付けた苦情の件数、内容等に係る報告を受けておらず、御質問の点については不明である。

社団法人生命保険協会が公表している「相談リポート」によれば、相談、苦情の受付件数は別表のとおりであるが、変額保険に関する相談、苦情の内容は、バブル経済崩壊前は加入相談が中心であり、バブル経済崩壊後は加入時にリスクの説明がなかったことや解約すべきかどうかなどに関するものが中心であると聞いている。

なお、全国銀行協会連合会においても、「銀行よろず相談所取扱状況」により、相談、苦情の受付件数を公表しているが、いわゆる保険料ローンに係る件数については掲載していない。

四の1について

変額保険について、いわゆる保険料ローンが利用された例があることは承知しているが、実際の融資が御指摘の過剰融資であるかどうかについて、一概に申し上げることは困難である。

四の2について

一般に、金融機関が融資取引を約定するに当たり、契約者(顧客)が契約書を金融機関に差し入れ、契約者(顧客)には契約書を交付しないことがあるが、そのこと自体が法令等に抵触するものではないと承知している。

四の3について

一般に、金融機関は融資を行うに当たり十分に審査する必要があると考えるが、実際の融資が民事ないし刑事上の責任を問われるようなものであるかどうかについては、個々の具体的な事例に応じ、最終的には司法の場で判断されるべきものと考える。

いずれにしても、金融機関においては、その業務の公共性にかんがみ、公共的・社会的役割を自覚した業務運営を行っていくことが求められており、いやしくも社会的批判を受けることがないよう努める必要があると考えている。

四の4について

契約の具体的内容をみて個別に判断すべき問題ではあるが、一般的にいえば、利息分の貸付けを実施してこれを預金させること自体は、利息の支払に充当する趣旨で貸付けが行われていることからみて、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)に規定する不公正な取引方法に該当する歩積・両建預金に当たるものではなく、また、平成元年六月十六日付け蔵銀第千三百七十八号通達「歩積・両建預金の取扱いについて」に違反するものでもないと考える。

四の5について

利息制限法(昭和二十九年法律第百号)と独占禁止法は、その規制の趣旨及び目的を異にするものであり、仮に、いわゆる保険料ローンの利息返済のためのカードローンに係る利息が複利で運用されることにより貸付け金利が利息制限法の制限利率を超える事実があるとしても、そのことのみをもって独占禁止法に規定する不公正な取引方法に該当するとはいえないと考える。

別表

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1承知していない ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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