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年金改正法にかかわる総理大臣等の発言等に関する質問主意書
参議院 第160回 第3号個別の事案 ×1
質問本文
一 小泉総理の「一元化」発言
小泉総理大臣は、平成一六年三月二八日の民放テレビ番組において「制度の改革になると、確かに一元化というのはね、望ましい方向だと私も思います」と発言をしている。この発言の真意は何か。憲法第六六条の定めに基づく内閣の首長として、将来的には公的年金の一元化を行うことを国民に表明したのか。
二 坂口大臣の法案提出者としての適格性
平成一六年五月七日衆議院厚生労働委員会において、坂口厚生労働大臣は阿部委員の質問に対して、「我々が五〇%を維持するというふうに言っておりましたのは、それは、年金を受ける人の、若いときにその人が受け取った平均の手取りの五〇%、こういうことを言っているわけでありまして、あのデータは、そのときそのときの、その時代の働く人たちのモデル平均を言っているわけでありますから、そこのいわゆるとり方が違うというふうに思います。」と答弁している。従来政府は、所得代替率について「年金受給開始時点における、その時点の現役世代の平均的な賃金に対する受給額の割合」と説明しており、改正法にもその趣旨が法定されている。坂口大臣の答弁は、明らかに政府の説明と矛盾しており、法案の提出責任者としての資格を著しく欠いているものと考えるが、政府の見解如何。
三 小泉総理の法案提出者としての適格性
平成一六年六月三日の参議院厚生労働委員会において、小泉総理は山本孝史委員の「マクロ経済スライド」の意義、内容等を問う質問に対して「私は、そういう経済の専門家の知識が乏しいですから」「極めて技術的な質問に答えろというんなら用意いたしますが」と答弁している。これは小泉総理が明らかに「マクロ経済スライド」について理解していないことを示すばかりか、改正法における「マクロ経済スライド」の重要性について全く認識を欠いていることを示している。これは法律案提出の最高責任者としての適格性を完全に欠如していると考えられるが、政府の見解は如何。
四 小泉総理の抜本改革に対する認識
小泉総理は六月二七日の民放テレビ番組で、今回の改革を「給付と負担を具体的に決めたから抜本改革」と説明した直後に「一元化を進めれば、給付と負担が全く変わる」と発言した。これらの説明は明らかに矛盾している。小泉総理の後段の発言通り、「一元化」を進めれば給付と負担の関係が変わることは自明の理であることから、前段の「給付と負担を具体的に決めた」としてもそれは過渡的なものであり、到底今回の改正を抜本的な改革とは言えないと考える。
政府の認識として、今回の改正は「給付と負担の関係を具体的に決めた」から抜本改革なのか、仮にそうであるならば官房長官の下に設置された「社会保障のあり方に関する懇談会」或いは改正法付則に基づく「公的年金制度について必要な見直しを行う」結果としての年金制度改正との関係はどうなるのか、認識を問う。
五 小泉総理の「人生いろいろ」発言
小泉総理は六月二日の衆議院決算行政監視委員会において、自らの年金加入歴に関連して「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろです。全部社員が同じように、一定の時間に会社に出て、一定の時間に会社を退出して、そして机を並べている社員も多いでしょう。しかし、うちにいてもいいよ、あるいは、海外旅行してもいいですよという会社もあるんです。それでも社員です。」と発言している。この発言の真意は何か。一般的に社員に海外旅行をさせ給与等を支払い、社会保険料を負担する企業があるとは考えられないが、この発言に具体的な根拠はあるのか。またこの発言に対して多くの国民が疑問を感じているが、内閣の、この発言に対する見解は如何。内閣としてもしくは小泉総理はこの発言を撤回することはないのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の小泉内閣総理大臣の発言の趣旨は、公的年金の一元化は望ましい方向であるものの、その実現のためには、自営業者の所得をどのように捕そくするのか、保険料の事業主負担をどう考えるかなど基本的な事項があり、これらの課題を含めて検討していくことが適当であるということである。
二について
国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「改正法」という。)附則第二条第一項の趣旨は、夫が平均的な賃金で被用者として四十年間就業し、妻がその全期間専業主婦であった世帯について、六十五歳となり年金を受給し始める時点における厚生年金と夫婦二人の基礎年金を合わせた額の現役男子被保険者の平均的な手取り賃金に対する割合が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するということであるが、御指摘の坂口厚生労働大臣の答弁も同様の趣旨を説明したものであり、従来からの政府の説明と矛盾するものではない。
三について
御指摘の答弁は、事前の通告なく行われた質問に対するものであり、それをもって法律案提出の最高責任者としての適格性を議論することは適当でないと考える。
四について
改正法による年金制度改正は、少なくとも五年ごとに財政再計算を行うことを改め、将来の給付の下限と負担の上限を定めるとともに、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第八十五条第一項第一号に規定する基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に改めるなど、長期的に給付と負担の均衡を確保する抜本的な改革であると考えている。
一方、今回の年金制度改正を踏まえつつ、さらに政府においては内閣官房長官が主宰する社会保障の在り方に関する懇談会を開催し、年金制度の一元化を含む社会保障制度全般について、制度横断的な観点から、基本的考え方や税、保険料等の負担や給付の在り方などについての議論を開始したところである。また、改正法附則第三条第一項の規定に基づく見直しについても、今回の年金制度改正を踏まえた今後の課題であると認識している。
五について
御指摘の発言は、厚生年金保険の被保険者となるか否かは、個別具体的な事例に即して判断することとなり、外見的には直接その適用事業所の仕事を行っていると思われないような場合であっても、適用事業所からの指揮又は命令を受け、労務の対償として報酬を受けている場合には、これらを総合的に勘案して厚生年金保険の被保険者となる場合もあり得るということを踏まえて行ったものであり、これを撤回すべきであるとは考えていない。
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