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内閣総理大臣による靖国神社参拝といわゆる「A級戦犯」に対する菅総理大臣の認識に関する質問主意書

参議院 第175回 第15号

提出者
参議院
提出日
2010年8月3日
内閣転送 2010年8月6日
答弁書受領日
2010年8月20日
提出から17日
答弁の項目数
1
質問 684字/答弁 776字

質問本文

菅総理大臣は本年六月十五日の参議院本会議で、自由民主党の佐藤正久議員の質問に対し「靖国神社は、A級戦犯が合祀されているといった問題などから、総理や閣僚が公式参拝することには問題があると考えておりまして、総理在任中に参拝するつもりはありません」と答弁した。

そこで、以下のとおり質問する。

一 日本は、昭和二十七年四月二十八日サンフランシスコ平和条約の発効により独立を認められ、同年五月一日には法務総裁が、東京裁判での戦犯は「平和条約発効と共に撤回されたものとする」という主権回復した国家としての通達を出した。また、四千万とも言われる多くの国民の赦免署名が集まり、昭和二十八年八月三日「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」が衆議院本会議において全会一致で可決され、その後、遺族援護法や恩給法の改正案も与野党の賛成で可決された。国際的にはサンフランシスコ平和条約第十一条の約諾に基づき、関係十一か国の同意を得て、昭和三十一年いわゆる「A級戦犯」は赦免された。

これらの事実が示すとおり、国内法上も国際条約上も日本において「戦犯」はおらず、先の答弁のような理由で靖国神社参拝を否定する菅総理大臣の姿勢は、法の正義と秩序に反する重大な問題ではないかと考えるが、総理の考えを示されたい。

二 日本が法治国家であり国際条約を遵守する国であるなら、本会議場で総理大臣として、今や法的に存在しない「A級戦犯」なる発言をすることは、正しい姿勢ではない。立法府とサンフランシスコ平和条約の約諾に基づく関係諸国政府の同意を無視する菅総理大臣の発言の意図を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二について

御指摘の法務総裁による通達は、「連合国の軍事裁判により刑に処せられた者の国内法上の取扱いについて」(昭和二十七年五月一日付け法務府法意総発第五二号)を指すものと考えられるが、同通達は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「平和条約」という。)発効前の、我が国における人の資格(任命若しくは就職又は罷免若しくは失職等にかかる条件又は許可、認可、登録若しくはその取消又は業務の停止等にかかる条件を含む。)に関する法令の規定の適用について、軍事裁判により刑に処せられた者は、日本の裁判所においてその刑に相当する刑に処せられた者と同様に取り扱うべきものとしていた従前の解釈を改めたものである。また、御指摘の戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議(昭和二十八年八月三日衆議院本会議)は、政府に対して戦争犯罪による受刑者の全面赦免の実施を促進するための措置を要望したものであり、御指摘の戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)及び恩給法(大正十二年法律第四十八号)の改正は、いわゆる戦犯として拘禁中に死亡した者の遺族に遺族年金等を支給するための措置等を講ずることとしたものであり、さらに、いわゆるA級戦争犯罪人として極東国際軍事裁判所において有罪判決を受けた者のうち、昭和三十三年四月七日付けで、同日までにそれぞれ服役した期間を刑期とする刑に減刑された者が十名いるが、赦免された者はいない。このように、御指摘の通達、決議及び法改正並びに減刑の措置は、いずれも、御指摘のような趣旨でいわゆる戦犯を赦免したものではない。

したがって、お尋ねの菅内閣総理大臣の答弁が「法の正義と秩序に反する重大な問題」であり、「立法府とサンフランシスコ平和条約の約諾に基づく関係諸国政府の同意を無視する」ものであるとの御指摘は当たらない。

参議院の原文

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