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年金積立金管理運用独立行政法人における運用と災害リスクに関する質問主意書
参議院 第187回 第38号
質問本文
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織及び年金積立金の運用については、二〇一三年十一月の「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」報告書や、二〇一四年六月の「日本再興戦略」改訂二〇一四で取り上げられるなど、活発な議論が続いている。
年金積立金の運用に当たっては、国民の将来の安心を確保するために、少しでも損失を避けるよう全力を尽くすべきであることは自明である。その観点からは、今後日本において発生する可能性が高いとされる地震等の自然災害によって、運用資産の毀損等が生じ得るという災害リスクについても、あらかじめ考慮しておくべきである。しかし、GPIFがこうした災害リスクについて的確に把握し、運用の上で必要な対応を講じているかは明らかではない。
東日本大震災以降、日本の地震活動が活発化しているとの指摘がある中で、こうした大きな災害が、極めて厳しさを増している日本の財政事情や金融市場にもたらす影響も、決して軽視することはできない。
そこで、以下質問する。
一 政府は、首都直下地震が発生する確率と被害額をどのように想定しているのか。また、首都直下地震が発生した際に、最大どの程度の株価及び金利の変動を見込んでいるのか。
二 政府は、南海トラフ地震が発生する確率と被害額をどのように想定しているのか。また、南海トラフ地震が発生した際に、最大どの程度の株価及び金利の変動を見込んでいるのか。
三 政府が推し進めている「国土強靱化」政策は、首都直下地震や南海トラフ地震に係る地震防災対策の一環として行われるものであるのか。そうでないのであれば、これらの地震防災対策と「国土強靱化」政策の関係について明らかにされたい。
四 GPIFにおける年金積立金の運用において、首都直下地震や南海トラフ地震など、今後高い確率で発生が見込まれる地震災害がもたらす災害リスクを考慮して、運用比率や運用対象を決定するべきだと考えるが、いかがか。
仮に、こうした災害リスクを運用上考慮していないということであれば、今後発生する可能性の高い災害リスクを無視したことと同じであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。また、あらかじめ災害リスクを無視したことにより損失が発生した場合には、誰が責任を取ることになるのか。
五 国際連合は、「国連世界防災白書」等を通じて、企業における災害リスク管理の重要性の高まりに伴い、大手機関投資家による投資が災害リスクを意識したものに変化する可能性を指摘している。
また、国際連合の国際防災戦略事務局(UNISDR)は、二〇一四年五月、災害リスク管理を企業の経営計画や投資をめぐる意思決定の中に浸透させることを主眼とした「R!SE(ライズ)イニシアティブ」を発表し、国連責任投資原則(UNPRI)を通じて、政府系ファンドや年金ファンドに、投資ポートフォリオにおける災害リスクへの配慮を呼びかけている。
政府は今後、GPIFの運用方針を考えるに当たり、こうした国際的な動向も参考にしつつ、災害リスクを考慮するつもりがあるのかを明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成二十六年四月二十五日に公表した「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)」によれば、平成二十六年一月一日から三十年以内に、南関東地域の直下のプレートの沈み込みに伴うマグニチュード七程度の地震が発生する確率は七十パーセント程度、相模トラフ沿いでマグニチュード八クラスの地震が発生する確率は、ほぼ零から五パーセントと推定されている。
中央防災会議防災対策実行会議に設置された首都直下地震対策検討ワーキンググループの被害想定によると、南関東地域で発生するマグニチュード七程度の地震のうち、おおむね被害が最大となると見込まれる地震の被害額は、資産等の被害が約四十七・四兆円、生産・サービス低下の影響が約四十七・九兆円、相模トラフ沿いで発生するマグニチュード八クラスの大正関東地震タイプの地震のうち、おおむね被害が最大となると見込まれる地震の被害額は、資産等の被害が約九十兆円、生産・サービス低下の影響が約七十兆円と試算されている。
首都直下地震が発生した際の株価及び金利の変動についての試算は行っていない。
二について
地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成二十六年一月十五日に公表した「平成二十六年(二千十四年)一月一日を基準日として算定した地震の発生確率値」によれば、平成二十六年一月一日から三十年以内に、南海トラフでマグニチュード八から九クラスの地震が発生する確率は、七十パーセント程度と推定されている。
中央防災会議防災対策推進検討会議(当時)に設置された南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの被害想定によると、南海トラフで発生するマグニチュード九・一の地震のうち、おおむね被害が最大となると見込まれる地震の被害額は、資産等の被害が約百六十九・五兆円、生産・サービス低下の影響が約四十四・七兆円と試算されている。
南海トラフ地震が発生した際の株価及び金利の変動についての試算は行っていない。
三について
国土強靱化については、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(平成二十五年法律第九十五号)第一条において「事前防災及び減災その他迅速な復旧復興並びに国際競争力の向上に資する国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある大規模自然災害等(以下単に「大規模自然災害等」という。)に備えた国土の全域にわたる強靱な国づくり」とされており、特定の災害のみへの対策として行われるものではないが、首都直下地震及び南海トラフ地震は、同条の「大規模自然災害等」に該当するものと考えている。
四について
年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)においては、基本ポートフォリオの策定に当たり、地震等の自然災害の影響も織り込まれた資産価値の変動に関するデータ等を用いて運用リスク等の推計を行っている。
五について
年金積立金の運用は、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十九条の二及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七十五条の規定において、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとされており、また、年金積立金管理運用独立行政法人法(平成十六年法律第百五号)第二十条の規定においては、GPIFの中期計画に定めるものとされている年金積立金の管理及び運用の基本的な方針等の事項について、資産の管理及び運用に関し一般に認められている専門的な知見等を考慮することとされているところ、御指摘の「災害リスクを考慮する」ことについても、こうした観点から検討されるものと考えている。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。