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死刑制度における手続き的問題に関する質問主意書
参議院 第196回 第205号趣旨が明らかではない ×3個別の事案 ×3
質問本文
本年三月の国連人権理事会で死刑廃止に関連した勧告を日本に対して発した国は三十か国を超えたにもかかわらず、日本政府はこれらの死刑制度に関するすべての勧告のフォローアップを拒否した。このような日本政府の態度は、死刑制度をめぐる問題が、人の生命の権利という最重要の人権保障に関する問題であるということを否定する考え方として、国際社会から強い危惧の念を持って見られている。
そして、二〇一八年七月六日、上川陽子法務大臣はオウム真理教に関連した七名の死刑確定者に対して死刑の執行を行った。このような大量同時執行とこれに関する報道は、非人道的な刑罰の執行であるとして国際世論から強く非難されている。
この死刑執行には、再審請求中の者が六名含まれ、心神喪失の状況にあるとして日弁連から死刑執行の停止を求められていた者一名が含まれていたと報道されている。このような死刑執行は刑事訴訟法第四百七十九条第一項と自由権規約第六条第四項に違反する違法なものである。以下今回の死刑執行に際し、死刑制度における手続き的問題に関して質問する。
一 再審請求中の死刑執行に関して
1 現行の刑事訴訟法は、再審請求事件が係属中であることを死刑執行停止の事由としては規定していない。しかし、免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件の四事件では、死刑の執行はなされていない状況で再審が開始され、再審請求人らは生きて無罪が確定された。これは、法務省が再審請求中の死刑の執行について慎重な姿勢をとってきたことを示していると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
2 二〇〇二年四月三日の衆議院法務委員会において、森山法務大臣は、「死刑というのは人の命を絶つ極めて重大な刑罰でございますから、その執行に当たっては、法務行政の最高責任者である法務大臣において、刑の執行停止、再審、非常上告の事由あるいは恩赦を相当とする情状の有無などについて慎重に検討した上で命令を行う」と答弁している。現在の安倍内閣の認識もこの答弁と同じであるか、明らかにされたい。
3 戦後の刑事裁判制度の中で、死刑確定事件について再審請求中に死刑が執行されたケースはどれだけあるか。そのようなケースの執行日、死刑執行対象者の氏名、再審請求が何次のものであったかを明らかにされたい。なお、一九五二年四月に発生した門司の幼児三人殺害事件の容疑者は、責任能力が争われるも、一九五五年十二月二十六日に最高裁で上告が棄却され、死刑が確定した。無実を訴え、一九五八年四月十二日に死刑が執行されるまで十四回再審請求を提出し、うち三回について裁判所の決定が出ておらず、死刑執行後に棄却が決定しているとの情報があるが、その真偽を明らかにされたい。
4 戦後の刑事裁判の中で、再審請求を行っていた死刑確定者が死刑執行された例としてよく知られているものは、藤本松夫氏の事件である。藤本氏は、ハンセン病に罹患し、恵楓園内の菊池医療刑務支所に収容されたまま三度の再審請求を行った。三度目の再審請求が棄却された翌日である一九六二年九月十四日、死刑が執行された。まず、この死刑執行が第三次再審請求の棄却直後の執行であったことを認めるか。政府は、再審請求中の執行はできないと考えていたため、再審請求棄却の翌日に死刑を執行したのではないか。また、その後の、厚生労働省、法務省、最高裁判所、外務省が進めてきた、ハンセン病に関する司法の差別と人権侵害に関する政府としての検討と取り組みの結果を踏まえて、この時の死刑執行について正当な根拠を持ってなされたものと考えているのか。政府としての、この死刑執行についての現在の見解を明らかにされたい。
5 一九九九年十二月十七日、小野照男氏の死刑が執行された。当時、小野氏は、自力で第七次再審請求中であったが、執行の三日前にはじめて弁護人がつき、弁護人作成の補充書が裁判所に提出されていた。補充書の提出は、検察庁には死刑執行の二日前に知らされていたが、法務大臣には知らされていなかったと二見伸明衆議院議員(当時)が発言している。小野氏の死刑に関する事実経過を政府として把握しているか。
6 一九六二年九月十四日以降、一九九九年十二月十七日まで、再審請求中の死刑確定者に対する死刑が執行された事実はないことを認めるか。
7 一九九九年十二月十七日以降、二〇一七年七月十三日に西川正勝氏の死刑が執行されるまで、再審請求中の死刑確定者に対する死刑が執行された事実はないことを認めるか。
8 西川氏の死刑が執行されたとき、西川氏は第三次再審請求中だった事実は間違いないか。
9 二〇一七年十二月十九日、関光彦氏、松井喜代司氏の二名の死刑を執行した後の記者会見で、上川法務大臣は、「再審請求を行っているから執行はしないという考え方は採っていないということです」と述べている。この発言は、再審請求の当否について裁判所ではなく、法務省が審査し判断するという意味か。
10 死刑が執行された当時、関氏は第三次再審請求中であったこと、松井氏は第四次再審請求中であったことを認めるか。
11 一九九九年十二月の死刑執行の後に、二〇〇〇年二月十日、古田佑紀法務省刑事局長(当時)は、死刑の執行について、「再審制度がある以上、再審請求の機会を与えないことはその趣旨に反することにもなる。そこで、再審の請求があったときには、十分それを参酌する。」と対談で述べていた。
しかし、今回死刑が執行された松本智津夫氏、遠藤誠一氏、土谷正実氏、井上嘉浩氏、新実智光氏、中川智正氏、早川紀代秀氏の死刑確定者計七人のうち土谷氏以外の六人全員が再審請求中であり、井上・中川両氏は初の再審請求中(第一次再審請求中)であった。再審請求について一度も裁判所の判断が示されていない事件についての死刑執行は、戦後の刑事裁判史上にも全く例を見ないものと言わざるを得ない。戦後の死刑執行において、第一次再審請求中に死刑の執行を行った例があるか。あるとすれば、その年月日、対象者の氏名を明らかにされたい。また、前記対談で古田刑事局長が述べた、死刑執行と再審請求との関係についての法務省の認識を示されたい。認識が異なる場合は、認識が異なる理由を説明されたい。
12 日本政府が批准している自由権規約の第六条第四項は、再審請求する権利を死刑確定者が有していることを規定している。この規約は死刑確定者にどのような権利を保障したものと理解しているか。裁判所の判断を一度も経ることなく、第一次再審請求中に、死刑確定者に対して死刑を執行することは、明白に同規約第六条第四項に反するのではないか。
13 再審請求中の死刑確定者に対する死刑執行が、日本の国内法上、可能と考える根拠を説明されたい。そしてその執行の可否を分ける基準があるのか。あるのだとすれば、その基準を示されたい。
二 心神喪失状態の者への死刑執行に関して
1 刑事訴訟法第四百七十九条第一項によれば、死刑確定者が心神喪失の状態にあるときは死刑の執行を停止するよう定められている。死刑執行を停止する理由として通説は「自己の生命が裁判により失われるという自覚を欠く者に対しては、刑の執行として意味を有しない」ためであると捉え、同項における「心神喪失の状態」とは、「認識能力」(自己の違法行為を非難する裁判に基づいて自己の生命の絶たれることを認識する能力)を欠く状態であると説明している。さらに、死刑執行の直前まで死刑確定者に再審請求権を認めている再審制度自体が、有罪判決を受けた本人に死刑執行の直前まで判断能力(認識能力と防御能力)があることを当然の前提としているということとなる。防御することができないような状態にある場合は、自ら又は弁護人を選任して、再審請求を行うことができないからである。以上の観点に照らして、刑事訴訟法第四百七十九条第一項の「心神喪失の状態」とは、認識能力又は防御能力を欠く状態というべきであると考えるが、このような理解でよろしいか。政府の理解する同条同項の立法趣旨を説明されたい。
2 政府の考える心神喪失の状態にあり死刑執行を停止するべき死刑確定者というのは、どのような状況にあるものを言うのか、具体的に示されたい。
3 死刑が執行されようとしている死刑確定者が心神喪失の状態にあるのか否かの判定は、刑事訴訟法など関係法令において誰が行うと規定されているのか。その法的根拠を示されたい。
4 日本弁護士連合会が本年七月六日に発表した会長声明では、「今回執行された死刑確定者の中には、当連合会が、二〇一八年六月十八日付けで、心神喪失の状態にある疑いが強いので、死刑の執行を停止するよう、法務大臣に対し人権救済申立事件の勧告をしたものが含まれている。同勧告で述べたとおり、死刑確定者について、適正手続保障の観点から、法務省から独立した機関において、心神喪失の状態にあるか否かを判定する必要があるが、そうした法整備がなされないまま、法務大臣の命令により執行がなされた。」と指摘されている。会長声明で言及された勧告の対象に七月六日に死刑が執行された松本智津夫氏が含まれていると認識しているか。また、七月六日の死刑執行の可否の検討にあたって、法務大臣は、前記日弁連会長声明で言及されている勧告に照らして死刑執行の可否を検討したか。検討したとすれば、検討の経緯とその結果を明らかにされたい。
5 自由権規約委員会は二〇一四年八月二十日の第六回定期報告書審査の総括所見第十三項において、「死刑執行に直面する人が「心神喪失状態」にあるか否かを判断するための独立の精神鑑定が行われていないこと、再審請求または恩赦の申請には死刑執行を停止する効力がなく、かつ、実効性がないことに留意する。」として、「死刑確定者の精神上の健康に関する独立した審査制度を設けること。」と勧告している。七月六日の死刑執行の可否の検討にあたって、法務大臣は、この勧告に照らして死刑執行の可否を検討したか。検討したとすれば、検討の経緯とその結果を明らかにされたい。
6 死刑確定者が心神喪失の状態にあるかどうか、法務大臣はどのような資料に基づいて判定しているのか。前記の日弁連の勧告や自由権規約委員会総括所見を上川法務大臣は自ら読んだのか。実際に、上川大臣はどのように検討を指示し、法務省内でどのような検討がなされたのか。
7 法務大臣の判定結果が適正かどうかはどのように担保されるのか。今後、日弁連や国連機関(自由権規約委員会、拷問禁止等委員会、人権理事会)から繰り返し求められている法務省から独立した機関による心神喪失状態についての判定の仕組みを作る計画はないのか。
8 政府は、個別の死刑確定者が心神喪失状態にあるか否かについては答弁を拒否してきたが、死刑確定者の家族、担当弁護士などが法の適正な運用がなされているか確認できないことは重大な人権上の問題を引き起こしている。前記二の4の日弁連の勧告では、合計で八名の死刑確定者に対して、心神喪失状態あるいはその疑いがあるとして、死刑執行の停止を求めている。これらの者の死刑執行の可否について、今後どのように検討していくつもりか。また、これらの検討状況を情報公開すべきであると考えるがいかがか。
三 死刑執行の手続きの報道機関への事前情報提供と情報公開について
1 本年七月六日、朝七時ごろから東京拘置所等において死刑執行が行われるとの報道があった。これまで、そのような情報が早朝から報道されたことはなかった。事前に一部の報道機関に対して、政府から意図的に情報が提供されていたことが強く疑われる。事前の情報提供はあったのか。あったとすれば、誰が誰に対して行ったのか。報道機関への事前の情報提供について、法務大臣又は法務事務次官は了承していたのか。事前の報道がなされるに至った事実経過を説明されたい。
2 死刑執行が行われる際、死刑確定者にはどの時点で知らされるのか。また、死刑確定者の家族、担当弁護士への連絡は、どの時点で行われるのか。連絡の仕方、時期について、基準があるのか。具体的に回答されたい。今回の七月六日の執行はそれぞれの死刑確定者に、いつの時点で知らせたのか。報道機関への情報提供よりも前の時点で死刑確定者に知らせたのか。
3 今回の執行では、被害者遺族の高橋シズヱ氏は午前九時四十五分に法務省の参事官から電話があったと述べている。死刑確定者が関与した事件の被害関係者への連絡は、どの時点で行われるのか。連絡の仕方、時期について、基準があるのか。今回はどの範囲の被害者に事前に知らせたのか。具体的に回答されたい。
四 恩赦に関して
1 自由権規約の第六条第四項には、「死刑を言い渡されたいかなる者も、特赦又は減刑を求める権利を有する。死刑に対する大赦、特赦又は減刑はすべての場合に与えることができる」と定められている。この規定は、死刑に直面した死刑確定者には、生命を防御するために恩赦を出願できる権利を保障しているが、日本における恩赦の出願は、本人しかできないのか。本人しかできないとすれば、その法的な根拠を示し、それが自由権規約違反ではないことを説明されたい。また、本人以外でも恩赦の出願ができる場合は、どのような場合か、事例を明示して説明されたい。
2 再審請求は、死刑確定者本人だけではなく、親族にもその権限が認められている。再審請求の権利が、本人のみならず親族もできるとしているのはなぜか。恩赦との違いを含めて、政府の考えを示されたい。
五 遺体の引き取りなどに関して
1 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する規則(以下「刑事収容施設規則」という。)第二十二条は、死亡した者の残した遺留物について定めた刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第五十五条に関する条項であり、遺体そのものについて定めたものではない。また、同法第百七十六条は、死亡の通知について定め、同法第百七十七条は、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき」に施設長が埋葬・火葬ができることを定めているにすぎない。遺体そのものを受け取るべき「死体の埋葬又は火葬を行う者」をどのようにして決めるかについて定めた法律と規則は存在しないという理解でよろしいか。
2 法務省から、平成三十年三月七日付け矯正局名義の「死刑執行後の遺体の取り扱いについて」と題する書面を受領したが、この文書の法的な性格を説明されたい。また、このような文書はこれまで開示されていなかったものと理解して良いか。同文書には、遺体の引き取り人について、第一順位が「被収容者が指定した者(一人に限る)」と記されている。これは、刑事収容施設規則第二十二条の遺留物に関する規則内容を参考に定めているように見受けられるが、法や規則に基づかず、このような定めができる理由について説明されたい。
3 死刑確定者が執行直前に、遺体の引き取り人を指定した際、それは記録されるのか。
記録されるとすれば、どのような書面においてか。また、その書面は遺族らに開示されるのか。記録されない場合、刑務官が恣意的な運用をしないよう、遺体の引き取り人の指定について、どのようにして正確性、正当性を担保するのか。
4 死刑確定者には、精神疾患があり日頃の意思疎通が困難な者もいると思われるが、そのような者の死刑の執行にあたって、遺体や遺留物の引き取りなどについての本人の意思をどのように確認するのか。その場合の本人意思の確認の仕方、あるいは家族、担当弁護士の判断を含めて引き取り方法を確認するのかどうか、取り決められている方法を明らかにされたい。
5 刑事収容施設規則第九十二条第一項は、被収容者が死亡した際の遺族等への通知の順位を定めているが、この規定はあくまで、通知の順位について定めたものであり、遺体の引き取り順位を定めたものではないという理解でよいか。
6 刑事収容施設規則第二十二条第一号に規定する被収容者が指定した者が「相続人廃除」などにより被収容者と絶縁しているような状況にあっても、同規則第九十二条第一項第二号以下の者よりも優先されるのか。遺留物の引き渡し先を判断しがたい場合、どのような解決方法が考えられるか。
(1) 当事者の意見を聞くことはあるのか。
(2) 最終的には誰が、どのような基準で判断するのか。
(3) 当事者の遺体の取り扱いについての意見が異なる場合、片方は遺体の引き取りを望み、片方は火葬後の引き取りを望む場合は、遺体の取り扱いは、誰が、どのような基準で、判断するのか。
(4) (1)及び(3)の判断について根拠づける法令は何か。
右質問する。
政府答弁書
一の1から11まで及び13並びに二の4から6まで及び8について
個々具体的な死刑執行に関する事項については、答弁を差し控えたいが、一般論として申し上げれば、死刑の執行に際しては、法務大臣は、個々の事案につき関係記録を十分に精査し、刑の執行停止、再審又は非常上告の事由の有無、恩赦を相当とする情状の有無等について慎重に検討し、これらの事由等がないと認めた場合に、初めて死刑執行命令を発することとしている。
また、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)上、再審請求中であることは、死刑の執行停止事由とされていないところ、法務大臣は、死刑執行命令を発するに当たっては、再審請求がなされていることを十分参酌することとしているが、再審請求を行っているから死刑執行をしないという考えはとっていない。
戦後、再審請求中に死刑の執行が行われた事例はあるが、個々具体的な事項については、答弁を差し控えたい。
一の12について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号。以下「規約」という。)第六条4は、死刑を言い渡された者が特赦又は減刑を求める権利を有すること等を定めているが、再審請求中に死刑を執行することについては何ら定めておらず、再審請求中に死刑を執行することは同条4に違反するものではないと考えている。
二の1から3まで及び7について
刑事訴訟法第四百七十九条第一項は、「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。」と規定しているところ、一般に、その趣旨については、心神喪失状態にある者に対する死刑の執行は、刑の執行としての意味を有しないからであるなどとされ、同項の「心神喪失の状態」については、死刑の執行に際して自己の生命が裁判に基づいて絶たれることの認識能力のない状態をいうものと解されている。
また、一般論として申し上げれば、死刑確定者の精神状態については、法務省の関係部局において、常に注意が払われ、必要に応じて、医師の専門的見地からの診療等を受けさせるなど、慎重な配慮がなされており、法務大臣は、このような専門的な見地からの判断をも踏まえて、心神喪失の状態にあること等の執行停止の事由の有無を判断しており、この点に関し、新たな仕組みが必要とは考えていない。
三の1について
報道機関各社は、取材活動に基づいて得た様々な情報を、各社の判断において報道しているものと認識しているが、政府としては、法務省においては、従来から、死刑執行に関する適切な情報管理に格別の配慮を払ってきたものであり、同省として公表する前に死刑執行の事実等を外部に漏らすことはないものと承知している。
三の2並びに五の1、5及び6について
個々具体的な死刑執行に関する事項については、答弁を差し控えたいが、一般的な取扱いとして、死刑確定者本人に対する執行の告知は、当日、刑事施設の長が、執行に先立ち行っている。
お尋ねの「担当弁護士」、「遺体そのものを受け取るべき「死体の埋葬又は火葬を行う者」」及び「被収容者と絶縁しているような状況にあっても・・・優先されるのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)第百七十六条の規定により、刑事施設の長は、被収容者が死亡した場合には、その遺族等に対し、その死亡の原因、日時等を速やかに通知しなければならないとされており、これは、被収容者の遺体や遺留物(刑事施設に遺留した金品をいう。以下同じ。)等の引渡しの申請等を行う機会を保障する意味を有するものである。その上で、刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則(平成十八年法務省令第五十七号)第九十二条第一項等の規定により、同法第百七十六条の規定による通知は、原則として、①被収容者が指定した者(一人に限る。)、②配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、③子、④父母、⑤孫、⑥祖父母、⑦兄弟姉妹等の順序に従い、先順位にある一人の者に対して行うものとされている。
また、同規則第二十三条の規定により、死亡した被収容者の遺留物は、①から⑦までの者等のうち、最初にその引渡しを申請した者に引き渡すものとされている。ただし、同条ただし書の規定により、右に述べた順序に従いその者より先順位の者に対し同法第百七十六条の規定による通知を行った場合(その者がその遺留物の交付を申請しない旨の意思表示をしたときを除く。)において、相当の期間内に、その者からその引渡しの申請があったときは、その遺留物は、その者に引き渡すものとされている。
さらに、同法第百七十七条第一項の規定により、被収容者が死亡した場合において、その死体の埋葬又は火葬を行う者がないときは、その埋葬又は火葬は、刑事施設の長が行うものとされており、同規則第九十四条第二項の規定により、刑事施設の長が被収容者の死体の火葬を行うときは、その焼骨は、刑事施設の長が管理し、又は使用する墓地の墳墓又は納骨堂に埋蔵し、又は収蔵するものとされている。
これらの規定により、死刑の執行を受けた者の遺族等に対する通知及び死亡した被収容者の遺体や遺留物等の引渡しについては、その者が収容されていた刑事施設の長において、個別具体的な事情に応じて適切に行っていると認識している。
三の3について
被害者の遺族等との連絡状況等については、答弁を差し控えたい。
四について
恩赦法施行規則(昭和二十二年司法省令第七十八号)第一条の二第二項は、本人のみに恩赦の出願を認めている。規約第六条4は、死刑を言い渡された者以外の者について、特赦又は減刑を求める権利を有するとは規定しておらず、同規則第一条の二第二項は規約第六条4に違反するものではないと考えている。他方、再審の請求をすることができる者を定めている刑事訴訟法第四百三十九条第一項は、有罪の言渡しを受けた者が死亡し、又は心神喪失の状態にある場合に再審の請求をすることができるとされているその者の配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹も含めて、一般に、有罪の言渡しを受けた者の利益のために再審の請求をすることができる者を定めたものと解されている。
五の2について
御指摘の文書は、国会議員からの求めに応じて、死刑執行を受けた者の遺体の引渡し等に関する法令の規定や一般的な取扱いを説明する資料として、法務省矯正局において作成し、同議員に提供したものである。
また、御指摘の文書には、「遺体の引き取り人について、第一順位が「被収容者が指定した者(一人に限る)」」との記載はない。
五の3について
お尋ねの「死刑確定者が執行直前に、遺体の引き取り人を指定した」場合の記録については、矯正緊急報告規程(平成八年法務省矯総訓第五百十六号大臣訓令)により、刑事施設の長は、死刑を執行した場合には、「氏名」、「執行年月日時」、「執行状況」、「遺体の処置、引取人の住所、氏名」等の死刑の執行状況を死刑執行速報により法務省矯正局長及び当該刑事施設を所管する矯正管区の長に対して報告することとされている。
死刑執行速報については、同規程において、お尋ねの「遺族ら」に開示することとはされていない。
五の4について
お尋ねの「精神疾患があり日頃の意思疎通が困難な者」、「死刑の執行にあたって」、「担当弁護士」及び「取り決められている方法」の意味するところが必ずしも明らかではないが、遺体や遺留物等の引渡し等についての死刑確定者の意思の確認については、一般に、その者が収容されている刑事施設の長において、個別具体的な事情に応じて適切に行っていると認識している。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。