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インターネット上の世論操作と民主主義に関する質問主意書
参議院 第205回 第41号お答えすることは困難 ×4個別の事案 ×2
質問本文
表現活動は、民主政に資する社会的な価値(自己統治の価値)があるとされ、民主主義の前提である。
そして有権者が、現職の議員や、次期選挙の候補予定者や候補者に対する正確な情報を得ることは、有権者の自由意思に基づく言論形成や投票行動を担保する上で重要である。
しかし近時はインターネット等の技術発展により、表現活動の手法が増え、表現の受け手に強い印象を残す表現活動が容易になる一方で、弊害も多い。
以上の問題意識に基づいて、質問する。
一 一般論として、政党、現職の議員、候補者又は候補予定者が、インターネット上で特定の議員・候補者・候補予定者(以下「者」という。)を事実に反して誹謗中傷したり、一定の期間「者」のホームページを閲覧できないようにしたり、また対価を提供して私人に対しインターネット上に特定の「者」を誹謗中傷する書き込みを依頼する行為が、博多駅事件最高裁大法廷判決で触れられている国民の知る権利や、憲法第十五条第三項の選挙権を侵害することがあるか。あるとすれば、それはどのような場合か。
二 憲法第十九条は形成された個人の思想や良心を保護する規定であると解されるところ、インターネット上の言論市場を歪ませかねない大きな財力と影響力を持つ者が、選挙で有利な立場を得る目的でインターネット上でマイクロターゲティングを行い、個人の認知傾向や自由な意思形成過程に過度な干渉が及ぶおそれがあると懸念される場合、憲法第十九条が保障する思想及び良心の自由が侵害されることがあるか。
三 一般論として、政党、現職の議員、候補者又は候補予定者が、インターネット上で特定の議員・候補者・候補予定者(以下「者」という。)を事実に反して誹謗中傷したり、一定の期間「者」のホームページを閲覧できないようにしたり、また対価を提供して私人に対しインターネット上に特定の「者」を誹謗中傷する書き込みを依頼する行為が、政党助成金を用いて行われた場合、政党助成法第四条第二項に違反することはあるか。違反する場合、同法第三十三条第一項に基づく総務大臣の返還命令の対象となることはあるか。あるとすれば、それはどのような場合か。
四 動画の一部を切り取ったり繋ぎ合わせたりすることにより動画を製作する行為は、確かに動画の断片は真実であるものの、動画全体を通してみた場合に、動画を見た者に客観的真実とは異なる印象を与えることができるが、一般論として、このような動画製作行為が、公職選挙法上、刑法上又は民法上の名誉毀損、侮辱や虚偽事項公表行為等に該当することがあるか。また、このような動画製作行為が前述の国民の知る権利や選挙権を侵害することがあるか。
右質問する。
政府答弁書
一及び三について
お尋ねの「インターネット上で特定の議員・候補者・候補予定者(以下「者」という。)を事実に反して誹謗中傷したり、一定の期間「者」のホームページを閲覧できないようにしたり、また対価を提供して私人に対しインターネット上に特定の「者」を誹謗中傷する書き込みを依頼する行為」が、特定の権利を侵害するか否かについては、個々の事案を総合的に勘案して判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。なお、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」という。)第百四十二条の七において、選挙に関しインターネット等を利用する者は、公職の候補者に対して悪質な誹(ひ)謗(ぼう)中傷をする等表現の自由を濫用して選挙の公正を害することがないよう、インターネット等の適正な利用に努めなければならないこととされている。
また、政党交付金の使途については、政党助成法(平成六年法律第五号)第四条第二項において、政党は、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない旨の責務が課されているものの、同条第一項において、国は、政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならないとされ、同法は、政党交付金の使途の報告を公表することにより、その使途の適否について国民の監視と批判の下に置くという仕組みを採っていることから、お尋ねの行為が同条第二項における政党交付金の適切な使用に当たるか否かについては、政府としてお答えすることは差し控えたい。
二について
お尋ねの「マイクロターゲティング」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、インターネット上に掲載されている情報には様々なものがあることから、御指摘の思想及び良心の自由との関係について一概にお答えすることは困難である。
四について
お尋ねの「動画製作行為」が、法第二百三十五条第一項及び第二項の虚偽事項の公表罪、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百三十条第一項の名誉毀損罪若しくは同法第二百三十一条の侮辱罪又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百九条の不法行為に該当するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。
また、お尋ねの行為が、特定の権利を侵害するか否かについては、個々の事案を総合的に勘案して判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。
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