ことばで探す › 参議院 第210回
全国的な視点に立ったアイヌの経済的及び社会的状況の改善に向けた取組に関する質問主意書
参議院 第210回 第74号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
質問本文
アイヌ施策推進法第三条第三項では、「アイヌ施策の推進は、国、地方公共団体その他の関係する者の相互の密接な連携を図りつつ、アイヌの人々が北海道のみならず全国において生活していることを踏まえて全国的な視点に立って行われなければならない。」としている。
アイヌ政策検討市民会議が実施した「二〇二四年「アイヌ施策推進法」改正に向けてのアンケート調査報告書」(二〇二二年三月)によると、アイヌ施策推進法におけるアイヌ施策の範囲を生活保障や教育、雇用などにも広げるべきと思うかとの問いに、「思う」との回答が八十四・二%に達している。
そこで、アイヌ施策推進法の施行後、アイヌの経済的及び社会的状況の改善状況について、以下、質問する。
一 二〇一一年の「「北海道外アイヌの生活実態調査」作業部会報告書」(アイヌ政策推進会議)によると、世帯年収は、「二百~三百万円未満」が最も多くなっているが、このうち三百万円未満の割合を比較すると、本調査(北海道外アイヌ)四十四・八%、北海道における調査(北海道内アイヌ)五十・九%、国民生活基礎調査(全国)三十三・二%となり、全国と比較して明らかな収入格差が見られる。
二〇一五年の「北海道アイヌ民族生活実態調査報告」(北海道大学アイヌ・先住民研究センター)によると、「アイヌ世帯の平均年収は三百五十五・八万円」、「「平成二十五年国民生活基礎調査」によれば、北海道の平均年収は四百七十三・五万円」、「全国の平均年収は五百三十七・二万円」であって、全国平均とはおよそ年収で二百万円の大きな格差がある。
北海道が実施した「平成二十九年北海道アイヌ生活実態調査」によると、生活意識として「とても苦しい」が二十七・一%、「多少困る」が四十七・八%、年収「二百万円未満」の世帯が十九・六%、生活保護受給世帯が八・九%である。
1 アイヌ世帯の年収が、北海道の平均や全国の平均と比較して、極端に低くなっている原因、要因をどのように分析しているか、政府の見解を明らかにされたい。
2 アイヌ施策推進法は、「アイヌの人々が北海道のみならず全国において生活していることを踏まえて全国的な視点に立って行われなければならない」としているが、同法を受けて、全国的なアイヌ生活実態調査を実施したのか。実施していないなら、その理由、さらには今後の計画を明らかにされたい。
二 「「北海道外アイヌの生活実態調査」作業部会報告書」(アイヌ政策推進会議)において、年金制度に加入又は受給していない比率は、本調査(北海道外アイヌ)が十八・六%、北海道における調査(北海道内アイヌ)が八・三%である。
1 無年金者が発生した要因を、どのように分析しているか。
2 年金制度に加入又は受給していない比率の最新のデータを示されたい。
3 アイヌ施策推進法施行後の無年金者への支援措置を明らかにされたい。
三 国際連合の「先住民族の権利に関する国際連合宣言」は、第二十一条において「先住民族は、その経済的及び社会的状況((中略)健康並びに社会保障の分野における状況を含む)の改善についての権利を差別なく有する」、「国は(中略)効果的な措置及び適当な場合には特別の措置をとる。先住民族に属する高齢者、女子、青少年、児童及び障害者の権利及び特別のニーズについては、特別に注意を払う」とし、第二十二条でも「この宣言の実施に当たり、先住民族に属する高齢者、女子、青少年、児童及び障害者の権利及び特別のニーズについては、特別の注意を払う」としている。「特別の措置」、「特別の注意を払う」としているが、政府の施策を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
お尋ねについては、「極端に低くなっている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の報告書(平成二十一年七月)において「歴史的経緯に起因するアイヌの人々と他の日本人との間の生活や教育面での格差」が指摘されているものと承知している。
一の2について
アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(平成三十一年法律第十六号。以下「アイヌ施策推進法」という。)の施行前の平成二十二年から平成二十三年にかけて「北海道外アイヌの生活実態調査」を実施したところであるが、当該調査の報告書においては、「北海道を離れたアイヌの人々のなかには、意識的にあるいは結果として北海道内のアイヌ・コミュニティーとのつながりを失った人々が少なくなく、・・・道内のアイヌの人々からの調査対象候補者の紹介が思うような広がりを見せなかった。また、・・・「なぜ今になって調査されるのか」と調査の目的を疑い、協力をためらうことが少なくなかった」という課題が指摘されている。
お尋ねの「全国的なアイヌ生活実態調査」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に「全国的なアイヌ生活実態調査」が国内の全てのアイヌの人々を対象とする調査を意味するものであるとすれば、調査対象者を把握することが困難であること等の課題が存在することから、アイヌ施策推進法の施行後に当該調査を実施したことはなく、また、お尋ねの「今後の計画」については、現時点で検討していない。
二の1について
お尋ねについては、アイヌの人々のみを対象とする「無年金者が発生した要因」の分析は行っていない。
二の2について
お尋ねの「年金制度に加入又は受給していない比率の最新のデータ」については、政府として把握しておらず、お答えすることは困難である。
二の3について
お尋ねについて、アイヌの人々のみを対象とする「無年金者への支援措置」は講じていない。
なお、アイヌの人々に限らず、平成二十九年八月から、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成二十四年法律第六十二号)第二条の規定による国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第二十六条の改正により、年金の受給資格期間が二十五年から十年に短縮され、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が短い者に対しても、年金が支給されるよう見直しが行われたところである。
三について
御指摘の「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(以下「宣言」という。)は、法的拘束力を有するものではなく、政府としては、宣言の各条について網羅的に国内措置を講ずるという観点からの検討は行っていないが、平成二十年六月六日に衆議院及び参議院の本会議において採択された「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」において「宣言における関連条項を参照しつつ、・・・総合的な施策の確立に取り組むこと」とされたことも踏まえ、民族共生象徴空間におけるアイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統及び文化に関する知識の普及啓発、アイヌ政策推進交付金による市町村の取組の支援、国有林野における林産物の採取及び内水面におけるさけの採捕に関する特別の措置等の施策を講じているところである。
なお、我が国の社会保障制度は、当然にアイヌの人々をその他の国民と同様に制度の対象としていることに加え、政府としては、アイヌの人々を対象とする生活向上関連施策を講じているところである。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。