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ガバメントクラウドの共同利用をめぐる諸課題に関する質問主意書

参議院 第216回 第27号お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×8承知していない ×1

提出者
参議院
提出日
2024年12月16日
内閣転送 2024年12月23日
答弁書受領日
2024年12月27日
提出から11日
答弁の項目数
10
質問 2,194字/答弁 3,317字

質問本文

第二百十六回国会において、「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案」が提出された。本法案は、第十八条の「公共情報システムの整備等におけるクラウド・コンピューティング・サービスの共同利用」という条文案が示すように、国と国以外の者(府省庁、地方公共団体や独立行政法人等)が、政府のクラウドサービス(以下「ガバメントクラウド」という。)を共同利用する枠組みを作ることを目的としている。

内閣総理大臣がクラウドサービス事業者(以下「CSP」という。)と契約を締結し、地方公共団体等の利用料を保管して一括支払する理由は、CSPから大口割引(ボリュームディスカウント)を最大限に引き出すためとされている。

現在、我が国のガバメントクラウドを提供しているCSPは、アマゾンウェブサービス(Amazon Web Services、以下「AWS」という。)、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructureといずれも米国企業である(さくらのクラウドは利用提供準備中とされる)。中でもAWSのシステムが九割以上のシェアを占め、寡占状態にある。

地方公共団体おける共同利用の対象業務(標準化対象業務)は、児童手当、子ども・子育て支援、住民基本台帳、戸籍の附票、印鑑登録、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、戸籍、就学、健康管理、児童扶養手当、生活保護、障害者福祉、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療、国民年金の二十業務であり、極めて重要な個人情報が含まれる。

本法案により共同利用が進めば、地方公共団体が保有する住民基本台帳や戸籍、個人・法人の機微情報も含む、多数の行政機関等が保有する国民・企業の重要情報が、外国企業が運営・管理するデータセンターに保存されることになる。AWSは、かつて米国議会襲撃事件の後、令和三年一月十日に米国のSNS企業「パーラー」に対するクラウドサービスを停止したこともある。

欧州や韓国では、外資に依存せず、政府が自らガバメントクラウドを構築するか、CSPを自国企業とする動きが広がっている。本法案は「デジタル主権」や経済安全保障の観点からも、国家の情報管理及び行政機能の存続において、重大なリスクを含んでいると考える。

以上を前提に、質問する。

一 ガバメントクラウドにおいて、現在最も利用されているCSPの名称とその割合(シェア)を示されたい。また、ガバメントクラウドにおいて、現在採択されているシステム及びアカウントの数をCSPごとに示されたい。

二 本法案第十八条第一項にいう「公共情報システム整備運用者」とは、具体的にいかなる法人や団体等を指すのか示されたい。令和六年十二月十三日現在の対象となる法人又は団体等の数、また、既に国と共同利用を行っている法人又は団体等の数を示されたい。

三 CSPが運営するデータセンターに関し、以下について示されたい。

1 データの使用範囲やアクセス条件を制限する契約条項の具体的内容。

2 データの不正使用や漏洩を防ぐための技術的及び運用上の対策。

3 政府及び行政機関が契約条件の遵守をどのように監視・確保するか。

四 ガバメントクラウドの情報に対し、CSPの本国法(例えば米国法)に基づき、当該国の政府や監督官庁が、我が国や公共情報システム整備運用者の承認を得ずに、当該CSPが運営管理するデータを国外移転させたり、CSPに対し当該データの開示を命じたり、当該データにアクセスしたりすることが可能か示されたい。

五 本法案によって利用検討の努力義務を課された行政機関等の多数が利用に至ることで、大口割引を受けたCSPの寡占化が進むことが予想されるが、寡占による弊害を示されたい。また、参入障壁を解消するため、政府はどのような制度や措置を講じるのか示されたい。

六 ガバメントクラウドの利用料について、以下を明確に示されたい。

1 支払は米ドル建てか円建てか。

2 為替変動リスクは誰が負担するのか。

3 利用料の契約期間及びその後の利用料変動の可能性があるか。

4 共同利用する行政機関等は利用料の変動に関与できるのか。

七 行政機関等はCSPと直接契約を結ばず、デジタル庁との契約に基づいて利用する仕組みか示されたい。デジタル庁との契約に基づいて利用する仕組みである場合、行政機関等がCSPの情報管理や運用について、調査・監査・監督する措置を講じることは可能か示されたい。

八 CSPの責に帰すべき事由により、情報漏洩や不正利用が発生した場合、行政機関等は、国又はCSPに対し、どのような請求が可能か示されたい。

九 CSPの責に帰すべき事由により、情報漏洩や不正利用が発生し、国民や法人に被害が生じた場合、本法案によれば、国ないしデジタル庁、共同利用する行政機関等、CSPのうちいずれが責任主体になるのか示されたい。

十 CSPが、自己の判断に基づき、クラウドサービスを停止した場合、我が国の行政機能に重大な影響が生じる。この場合、政府はCSPに対し、どのような措置を採ることができるのか示されたい。また、共同利用する行政機関等はCSPに対し、いかなる措置を採ることができるのか示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

お尋ねの「現在最も利用されているCSPの名称とその割合(シェア)」及び「現在採択されているシステム及びアカウントの数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、デジタル庁において現在運用しているガバメントクラウド(以下「現行ガバメントクラウド」という。)においてクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者が提供しているクラウド・コンピューティング・サービス別に、令和六年十一月末時点における当該クラウド・コンピューティング・サービスを利用して整備又は運用が行われている情報システムの数をお示しすると、それぞれ次のとおりである。

Amazon Web Services 千八百七十七件

Google Cloud 十一件

Microsoft Azure 十三件

Oracle Cloud Infrastructure 二十六件

二について

お尋ねの法律案による改正後の情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第十八条第一項に規定する公共情報システム整備運用者には、地方公共団体のほか、国又は地方公共団体の事務の実施に関連する情報システムの整備又は運用を行う独立行政法人、地方独立行政法人等が該当するが、デジタル庁としてその数は把握していない。

また、お尋ねの「既に国と共同利用を行っている法人又は団体等の数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年十二月十三日現在、現行ガバメントクラウドにおいて情報システムの整備又は運用を行っている国以外の者の数は、五百九十七である。

三の1から3まで及び四について

お尋ねの「データの使用範囲やアクセス条件を制限する契約条項の具体的内容」、「データの不正使用や漏洩を防ぐための技術的及び運用上の対策」、「政府及び行政機関が契約条件の遵守をどのように監視・確保するか」及び「当該国の政府や監督官庁が、我が国や公共情報システム整備運用者の承認を得ずに、当該CSPが運営管理するデータを国外移転させたり、CSPに対し当該データの開示を命じたり、当該データにアクセスしたりすること」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、令和五年度に行った現行ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者の募集(以下「令和五年度提供事業者募集」という。)に関する調達仕様書(以下「令和五年度調達仕様書」という。)においては、「環境一式に保管される業務データはユーザが所有権を持ち、ユーザが指定した場所に保管され、ユーザの許可なしに他所に移転・複写したりしないこと。ユーザ所有の暗号鍵で暗号化して保護できること。業務データへのアクセスはログとして取得し中央の管理領域に集めて管理できること」及び「政府機関等からの開示請求に際しては、速やかに当庁に通知するとともに協議に応じること。また、当該請求に対して必要に応じて異議申し立て等の適切な対応を取るとともに、国内法以外に基づく開示請求であった場合は主権免除の適用について当該外国政府機関等に通知すること」を技術要件として設けており、現行ガバメントクラウドに保管されている情報について、当該情報を管理する者以外の者が閲覧することはできないようにするための措置及び情報漏えいを防ぐための措置が講じられることとしている。

また、令和五年度調達仕様書においては、「第三者監査人の監査を受け実施されている旨の証明の提出ができること」も技術要件として設けており、当該証明により契約条件の遵守を確認することを可能としているほか、現行ガバメントクラウドに関してデジタル庁とクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者との間で締結されているクラウドサービス基本契約書(以下「現行ガバメントクラウド基本契約書」という。)においては、デジタル庁が定めた監督職員が提供事業者に対し契約に係る業務が適正に提供されているか等について説明を求めることができる旨の規定も設けられている。

五について

お尋ねの「寡占による弊害」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮にガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者の数が著しく減少した場合には、事業者の間の競争が減少し、それに伴い、提供されるクラウド・コンピューティング・サービスの品質が低下したり、利用料が上昇したりする可能性もあると考えている。

また、お尋ねの「参入障壁」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、令和五年度提供事業者募集に当たっては、複数の提供事業者のクラウド・コンピューティング・サービスなどを組み合わせて提供する共同提案を可能としたほか、その時点で必要な要件を満たすことができない場合であっても、当該要件を令和七年度末までに満たす計画を提出した一定の場合には、当該提供事業者がガバメントクラウドとしての運用に係る検証作業等に参加することができることとしたところである。

六の1について

現行ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者に対する支払条件については、Amazon Web Services, Inc.及びグーグル・クラウド・ジャパン合同会社に対するものが毎月の実勢レートを用いた米ドル建て円払いであり、Microsoft Corporation及び日本オラクル株式会社に対するものが円建て円払いとされているが、来年度以降のガバメントクラウド(以下「次期ガバメントクラウド」という。)における支払条件については、現時点でお答えすることは困難である。

六の2について

お尋ねの「為替変動リスク」を「負担する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、次期ガバメントクラウドにおいては、クラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者に対する支払条件が外貨建てでの支払である場合を含め、利用料はその利用者が負担することを予定している。

六の3及び4について

お尋ねの「利用料変動」及び「利用料の変動に関与できる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、次期ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの利用料については、デジタル庁とクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者との間の利用条件に関する契約(以下「利用条件契約」という。)で定められるものであることから、利用者がその設定に関わるものではないと考えており、また、当該利用条件契約の契約期間の満了後に締結される新たな利用条件契約において、利用料の変更が行われる可能性はある。

七について

前段のお尋ねについては、次期ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの利用者は、利用条件契約で定められた利用条件により、クラウド・コンピューティング・サービスを利用することが予定されている。後段のお尋ねについては、「CSPの情報管理や運用について、調査・監査・監督する措置」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、三の1から3まで及び四についてで述べたとおり、現行ガバメントクラウド基本契約書においては、デジタル庁が定めた監督職員が提供事業者に対し契約に係る業務が適正に提供されているか等について説明を求めることができる旨の規定が設けられている。

八及び九について

お尋ねの「CSPの責に帰すべき事由により、情報漏洩や不正利用が発生し、国民や法人に被害が生じた場合」の「責任主体」については「CSP」となるものと考えられるが、お尋ねの「請求」については、個別具体の事実関係に即して判断されるものと考えている。

十について

お尋ねの「CSPが、自己の判断に基づき、クラウドサービスを停止した場合」については、その具体的な態様や停止に至るまでの期間等が様々に想定されるものであるため、お尋ねの「措置」について、一概にお答えすることは困難である。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×8承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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