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インボイス制度の負担軽減措置等の柔軟な運用に関する質問主意書
参議院 第219回 第87号お答えすることは困難 ×2
質問本文
二〇二三年十月のインボイス制度(以下「制度」という。)実施以来、特に中小零細事業者、フリーランス、個人事業者において、事務負担の増大、取引条件の弱い立場の事業者への転嫁拒否、免税事業者の取引排除など、多岐にわたる影響が指摘されている。制度実施に当たり、政府は、「二割特例」、「八割控除」と言われる負担軽減措置、経過措置を設けた。
「二割特例」は、制度を機に免税事業者がインボイス発行事業者として課税事業者に転換した場合における負担軽減措置である。売上げに係る消費税額の八割を控除し、残りの二割だけを納税額とすることができる。適用期間は二〇二三年十月一日から二〇二六年九月三十日までの日の属する各課税期間である。手続として事前届出は不要であり、確定申告書に「二割特例」の適用を受ける旨を記載するだけで適用される。
「八割控除」は、課税事業者が免税事業者等からの仕入れについても制度実施後六年間は仕入税額相当額の一定割合を控除可能な経過措置である。控除可能な割合については、二〇二三年十月一日から二〇二六年九月三十日までは仕入税額相当額の八十%、同年十月一日から二〇二九年九月三十日までは五十%であり、同年十月一日以降は控除不可となる。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 制度が目立ったトラブルなしに実施されたことは、これらの負担軽減措置及び経過措置によるところが大きいと評価している。これらの負担軽減措置等の果たした役割と意義に関する政府の認識を示されたい。
二 制度実施後二年が経過したが、免税事業者から課税事業者への転換はどの程度進んでいるか示されたい。
三 負担軽減措置等を予定どおり終了する場合、課税事業者への転換に至らなかった中小零細事業者等の免税事業者の経営にどの程度の負担が掛かるか見通しを示されたい。また、その負担によって廃業に追い込まれる事業者がどの程度出るか見通しを示されたい。
四 中小零細事業者においては、制度実施後、インボイス発行事業者への転換や確認作業に時間を要しており、仕入先との関係で混乱が続いている。政府は制度の定着状況をどのように把握しているか示されたい。
五 制度実施後二年が経過したが、事業者の負担が軽減されたとは必ずしも言えず、制度への対応が追いつかない事業者も少なくない。現場からは、これらの負担軽減措置等の延長又は恒久化を求める声が強い。こうした現場の声を政府は無視すべきではないと考えるが、政府の対応方針を示されたい。
六 負担軽減措置等を終了する場合、予定どおり機械的に終了するのではなく、制度の定着状況や事業者の経営状況等を事前に調査する必要があると考えるが、こうした調査の必要性に係る政府の認識を示されたい。また、その調査結果に基づき、事業者等に問題が生じないことを確認した上で負担軽減措置等を終了するという柔軟な運用を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「経過措置」については、御指摘のインボイス制度の導入に伴う事業者の事務的な負担等を軽減し、同制度の円滑な導入及び定着を図る一定の効果があったものと認識している。
二について
国税庁の集計によれば、令和六年末までに消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第五十七条の二第一項の規定による登録を受けた事業者のうち、免税事業者である旨を記載して同条第二項の申請書を提出した者の数は、約百七十七万者である。
三について
前段のお尋ねの「見通し」については、事業者個々の事業の状態等の様々な事情に左右されることから、お答えすることは困難である。
後段のお尋ねの「見通し」については、事業者が廃業に至る事情は様々であることから、お答えすることは困難である。
四について
お尋ねについては、令和七年十一月二十一日の衆議院財務金融委員会において、片山財務大臣が「全体としては、非常に大きな混乱が生じているということではなくて、制度は次第に定着に向かっている状況にあるのではと認識をしております。」と答弁しているとおりである。
五及び六について
六の前段のお尋ねについては、令和七年五月十三日の参議院財政金融委員会において、加藤財務大臣(当時)が「インボイス導入に伴う事務負担の状況について、ソフトウェアベンダーが調査した結果なども分析していくことに加えて、各省庁において各業界が実務上抱えている課題や取引実態の把握に努めてきたところであり、依頼に応じて可能な範囲で各団体と意見交換に、私ども主税局の職員も出席して直接関係者の意見、考えもお伺いをしているところでございます。インボイス制度の対応については、委員御承知のように、各業界の取引慣行等を踏まえて行われていることを踏まえれば、各省庁を通じた実態把握が効果的であると考えておりますが、引き続き、各種団体との意見交換の場を活用した実態把握を継続して進めるとともに、把握した方に対してはきめ細かく丁寧な対応に努めていきたいと考えております。」と答弁しているところであり、これらの機会等を通じて制度の施行状況等の把握に努めているところである。また、五及び六の後段のお尋ねについては、同年十一月十一日の衆議院予算委員会において、高市内閣総理大臣が「特例のあり方を考える際には、期限を区切って特例が設けられた趣旨、日々の買い物で消費者の方々が支払った、消費税分として支払ったものが、特例によって実際にはすべて納税されず、事業者の手元に残る場合があること、消費者の皆様の視点も踏まえて考える、という必要がございます。ですから、まずは与党の税制調査会で幅広い観点から議論をされるべきだと考えております。」と答弁しているところであり、同年十二月十九日に与党が取りまとめた「令和八年度税制改正大綱」において、所得税法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第十五号)附則の規定に基づく適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置及び適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置の見直しが盛り込まれていること等を踏まえ、政府としても適切に対応していく考えである。