ことばで探す › 参議院 第221回
東京電力柏崎刈羽原子力発電所六号機の相次ぐ不具合と原子力規制委員会の不十分な審査体制及び老朽化した原発再稼働の是非に関する質問主意書
参議院 第221回 第2号趣旨が明らかではない ×2
質問本文
東京電力柏崎刈羽原子力発電所六号機(以下「六号機」という。)は、令和八年一月二十一日に約十四年ぶりの再稼働を果たした。しかし、その直後から制御棒に関連する警報の誤作動や計測機器の不具合が相次ぎ、原子炉を停止し再起動する事態となっている。長期間停止していた設備を稼働させる上で、準備不足や事前の安全確認の不徹底が露呈したと言わざるを得ない。
政府は、運転開始から六十年超の原発の運転も可能とするなど、老朽化した原発も含めた原子力の活用を進めようとしている。現在の六号機の状況を踏まえると、現状の審査体制では再稼働後の安定稼働や安全性を十分に担保できていない可能性が示唆されている。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 六号機では、再稼働直後の令和八年一月二十二日に制御棒のインバーター異常を知らせる警報が鳴り、原子炉を停止させた。その後の調査で、実際には異常がないにもかかわらず警報が鳴る設定ミスが判明している。また、二月にも中性子計測機器の不具合により、予定していた工程に遅れが生じた。事前の検査や安全審査において、これらの不具合を発見・防止することはできなかったか、政府の認識を示されたい。
二 長期間停止していた設備において設定ミスや機器不具合が続出していることは、東京電力の保守管理体制及び準備状況が極めて不十分であったことを示していると考えるが、政府の認識を示されたい。
三 再稼働直後の六号機に頻繁にトラブルが生じている事態は、原子力規制委員会の審査が甘かった、実態を伴っていなかったとの批判を免れない。再稼働後の安定稼働を妨げるような設定ミスや、機器不具合を見逃した現状の審査体制に制度的な欠陥があると考えるが、政府の見解を示されたい。
四 今後、同様の事態を防ぐために、再稼働前の実機確認や試験運転の評価項目をより厳格化し、審査体制を抜本的に見直すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 六号機は建設から三十年が経過しており、今回の不具合の一部には建設当時からの設定ミスが含まれていると報じられている。今回の事案は、長期間運転停止していた原発における建設当時からのミスが数十年にわたり潜在し続け、再稼働後に表面化するリスクを証明したと考える。また、北陸電力志賀原子力発電所、東北電力東通原子力発電所においても、数年間にわたって火災報知機などの点検を行っていなかったことが明らかになっている。政府は、経年劣化や過去の設定ミスを含めた安全性を再検証するために、原発再稼働への動きを一旦停止し、原子力を最大限活用する方針とそれに向けた性急な再稼働への動きを根本から見直すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「事前の検査や安全審査」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、原子力規制委員会が行う新規制基準(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「法」という。)及び法の規定に基づく原子力規制委員会規則等に定める基準をいう。)に係る適合性審査(以下「適合性審査」という。)及び原子力規制検査(法第二条第十一項に規定する原子力規制検査をいう。以下同じ。)と解すれば、前者は、原子力事業者が設置する原子力施設において、同基準の定めに従い、例えば、当該地域における地震や地震に伴う津波を適切に想定し、原子炉建屋の耐震性の確保等必要な対策が講じられていることや、当該原子炉建屋に属する原子炉格納容器等の材料及び構造の強度に問題がないこと等を確認するものであり、また、後者は、原子力事業者が法第六十一条の二の二に基づき行う、必要な設備が正常に動作するか等についての検査の実施状況が適切か確認するものであり、これらは、御指摘のような「警報の誤作動」及び「計測機器の不具合」を直接に「発見・防止」するために行うものではない。
なお、御指摘の「警報の誤作動」及び「計測機器の不具合」については、東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所六号機(以下「柏崎刈羽原子力発電所六号機」という。)の安全性に重大な影響を与える事象ではないが、いずれにせよ、原子力事業者である東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)が、同条に基づく検査により、これらについて確認し、正常な動作となるよう所要の措置を行っており、同委員会においては、原子力規制検査により、当該検査の実施状況の検査を行い、当該措置が適切に行われたことを確認しているところである。
二について
御指摘の「設定ミスや機器不具合が続出していること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「警報の誤作動」及び「計測機器の不具合」が起きていることと解すれば、一についてでお答えしたとおり、これらについては、柏崎刈羽原子力発電所六号機の安全性に重大な影響を与える事象ではないが、いずれにせよ、東京電力が、法第六十一条の二の二に基づく検査により、これらについて確認し、正常な動作となるよう所要の措置を行っており、原子力規制委員会においては、原子力規制検査により、当該検査の実施状況の検査を行い、当該措置が適切に行われたことを確認していることから、御指摘のように「東京電力の保守管理体制及び準備状況が極めて不十分であった」とは考えていない。
三及び四について
原子力規制委員会が行う御指摘の「審査」については、例えば、原子力規制検査について、一について及び二についてで述べたとおり、適切に機能していると考えており、御指摘のように「現状の審査体制に制度的な欠陥がある」及び「審査体制を抜本的に見直すべき」とは考えていない。
五について
御指摘の「原発再稼働」については、「エネルギー基本計画」(令和七年二月十八日閣議決定)において、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて策定された新規制基準に適合すると原子力規制委員会が認めた原子力発電所についてのみ再稼働を進める」等としており、引き続き適切に取り組んでいくこととしているが、例えば、柏崎刈羽原子力発電所六号機について、一について及び二についてで述べたとおり、原子力規制委員会が行う適合性審査、原子力規制検査等を通じて、御指摘のような「経年劣化や過去の設定ミスを含めた安全性」を含め、その安全性について適切かつ十分に確保しているところであり、「性急な再稼働への動き」との御指摘は当たらず、「原発再稼働への動きを一旦停止」することや、「原子力を最大限活用する方針」を「根本から見直す」ことは考えていない。