ことばで探す › 参議院 第71回
畜産経営危機の緊急対策に関する質問主意書
参議院 第71回 第26号検討してまいりたい ×4
質問本文
わが国の畜産は、果樹とならんで農基法農政のもとで成長部門と目され、過去いくたびかの危機にさらされながらも、技術の発達や畜産農家の犠牲的な努力にささえられ、ようやく今日の段階まで発展をみせるに至つている。
しかし、本年初頭からの飼料価格の急騰は、近年の労賃、諸物価の値上がり、畜産公害の増大、後継者不足等の諸問題とも相まつて、わが国の畜産農家に決定的な打撃を与えつつある。
この現状は、政府が生産、流通、価格等、総合的な観点からの施策をおこたり、なかでも飼料政策に至つては、米国偏重の外国飼料に依存し、わが国の畜産を加工畜産化へ指向させてきたことに起因するものと考える。しかもなお、政府は、いまだに糊塗的な応急策に終始しようとしている。
もしも、このままで放置されるならば、畜産農家はもちろん、牛肉、牛乳、豚肉、鶏卵、ブロイラー等々、国民の食生活に不可欠な食糧の安定確保を損うばかりか、インフレで悩む国民経済にも重大な影響を及ぼすことは明白である。
この意味から、わが国畜産の総合かつ抜本的な改革は緊要な課題といわねばならない。
よつて、次の諸点について政府の見解を明らかにされたい。
一、加工原料乳保証価格ならびに豚肉安定基準価格の引上げについて
政府は、最近の激しい経済変動に対処し、「畜産物の価格安定等に関する法律」及び「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」の規定に基づき、早急に畜産振興審議会を開催し、生産者団体等の要求内容に従い、加工原料乳ならびに豚肉の再生産確保を図るため、加工原料乳保証価格および豚肉安定基準価格の大幅な引上げを実施すべきであると考えるが政府はいかに対処する積りか伺いたい。
二、政府決定の飼料緊急対策の改善について
(1) 政府は、先般、四十八年九月から四十九年三月までの間、畜産農家が購入する配合飼料代の一部として四百十億円の資金を融資することを決定したが、この措置は、今でさえ多額の負債に苦しむ畜産農家にとつては歓迎されるものとなつていない。これをより実効あるものとするためには、据置期間と償還期間は長期に延長し、金利も国庫で負担すべきであると考えるが、これに対し、政府は改善の用意はないか。
(2) 四十八年十月以降、配合飼料価格安定基金は、新たに特別積立基金制度を設け、畜産農家にトン当り平均三千円の補てんを実施することとなつているが、この補てんに必要な資金のうち、同期間においてメーカー及び団体が行なう積立によつてなお不足すると見込まれる二百十一億円に対しては、政府が直接助成方式による方策をとるべきである。
しかも、飼料価格は、今年にはいりトン当り二万円近い値上りをみせ、その総額は、一千億円を越すことが予定されているが、この現状を認識するならば、前述の二百十一億円では到底、価格安定基金としての効果はあがらないことは明らかである。
よつて政府は、配合飼料価格安定基金への助成については、二百十一億円にとどまることなく、さらに大幅に引上げ、全額国の直接助成方式とすべきであると考えるが、どうか。
三、鶏卵、鶏肉、飲用乳の価格引上げについて
(1) 鶏卵については、需給見通しに基づき、生産調整を考慮すると同時に、市場価格の維持のため、液卵公社による買入れ価格の引上げと買入れ枠の大幅な拡大を実施し、これによつて生ずる売買差損は、全額国が助成すべきである。また、これらの措置に関連して、鶏卵、鶏肉等の価格についても、「畜産物の価格安定等に関する法律」の体系の中に組みこまれるよう早急に検討すべきであると考えるが、政府の考えはどうか。
(2) 政府は、現在、生産者とメーカーによつて行なわれている飲用原料乳価の自主交渉に対しても、大幅な価格引上げが実現されるよう強力な行政指導を実施すべきと考えるが、政府はこれにいかなる方針でのぞむのか伺いたい。
四、飼料の自給体制強化と安定輸入等について
(1) 飼料の自給体制を強化するため、全額国庫補助による大規模な草地開発事業の促進や、裏作、輪作、間作、ならびに集団的栽培方式の育成など、抜本的方策を講ずべきである。そのためにも、政府が予定している飼料作物栽培に対する特別生産奨励金は、より一層強化することが重要と考えるが、政府はいかに考えるか。
(2) 飼料の輸入先は、現在の米国一辺倒の体制を改め、多元化すべきであると考えるが、政府はいかなる方針でこれにのぞむか。
(3) 飼料の輸入に当つては、政府操作飼料の枠を拡大するとともに、不時の事態に対処し得るよう備蓄体制をも強化すべきと考えるが、どうか。
(4) 自給体制の抜本対策とし、また、わが国酪農の抜本的転換対策として広大な潜在適地を有する山地酪農振興の有効性が見込まれるが、政府はどのように考えるか。
五、車力村の国有地払い下げについて
防衛庁は、先程、青森県西津軽郡車力村における、ミサイル試射場建設計画を断念する旨を発表したが、これに対し、地元車力村では、当該地域を活用し、五十万頭の養豚団地、開畑プラン等にあてるため、強い払い下げの要請を行なつている。
当該地域は、本来、同村民の入会地であつた経緯からしても、早急に同村へ払い下げるべきであると考えるが、政府はいかに対処する方針か、また、払い下げるとすれば、いつ頃を予定にしているか。
右質問する。
政府答弁書
一、について
(1) 加工原料乳の保証価格については、去る三月末に保証価格が決定されて以降、賃金その他の諸物価の上昇に加えて最近は配合飼料価格が更に値上げされる等保証価格を引き上げる要因はあるものの、他方乳廃牛価格の高騰及び子牛価格の上昇がみられる等保証価格を引き下げる要因もかなり認められる実情にある。
現在入手可能なデータをもとにこれらの諸要素をすべて織り込んで考えれば、配合飼料価格の値上がりによつても保証価格の引き上げを必要とするとは断じ難いところであるが、可及的に最新時点のデータを収集しつつ慎重に検討する所存である。
(2) 豚肉の安定基準価格については、九月末における豚肉卸売価格がキログラム当たり四七〇円前後で推移しており、今後においては、同水準をやや上回る水準(キログラム当たり四七〇円ないし五〇〇円)で推移すると見込まれ、畜産振興事業団が「畜産物の価格安定等に関する法律」に基づき豚肉の買入れを行う際の基準となる安定基準価格(キログラム当たり三八〇円)を大幅に上回つているので、これらの諸事情を勘案して慎重に検討する必要があると考えている。
二、について
(1) 飼料の購入等の資金は性格的には運転資金であり、運転資金に対する融資は通常ごく短期で実施されている。しかし、今回の配合飼料価格の値上がりの畜産経営に及ぼす影響を緩和するための低利資金の融通措置を講ずるに当たつては、畜産経営の急激な負担増を分散緩和するという考え方のもとに償還期限を二年以内としているところである
なお、貸付利率については末端金利が四パーセントとなるよう国及び都道府県が利子負担軽減措置を講ずることとしている。
(2) 昭和四十八年十月以降、配合飼料価格安定基金は、新たに特別積立基金を設け、畜産農家に対して昭和四十八年十月から昭和四十九年三月までトン当たり平均三、〇〇〇円の補てんを行うこととしているが、補てんに必要な特別積立基金の資金のうち補てんの時期までの積立金ではなお不足する額については、国において措置することとし、現在その措置の内容について検討しているところである。
三、について
(1) 鶏卵価格の安定を図るため引き続き鶏卵の生産調整を実施してまいりたい。
また、全国液卵公社の鶏卵の買入れについては、既に飼料価格の値上がりによる生産費の上昇等を考慮して、本年五月に買入れ価格の引き上げが行われるとともに、買入数量についても拡大が図られたところであり、更にその拡大を図ることについては、今後検討すべきものと考えている。
なお、鶏卵については、価格の安定を図るため、鶏卵価格安定基金による補てんや全国液卵公社による買入れ等とあいまつて「畜産物の価格安定等に関する法律」に基づき鶏卵価格の低落時に生産者団体が調整保管した場合保管経費の一部が畜産振興事業団から助成されることとなつている。
ブロイラーについては、歴史も浅く、規格格付が行われていない等流通条件が未整備であるので、「畜産物の価格安定等に関する法律」の対象とすることは現段階においては問題が多いと考えている。
(2) 飲用乳価については、地域の需給に応じて自由に形成されるべきものであり、国民生活審議会消費者保護部会の勧告もあつて、従来行つてきた行政当局による価格指導は昭和四十二年以降行つておらず、基本的には生産・処理・販売の各段階相互の話合いのうえで形成されるべきものであると考えている。
しかしながら、酪農の健全な発展と消費者に対する牛乳等の適切な供給を図るため、飲用乳価値上げの動きに対してもこれを注意深く見守るとともに、無用の混乱によつて酪農家や消費者が迷惑をこうむることのないように配意してまいる所存である。
四、について
(1) 飼料自給体制の強化については、草地開発事業等を拡充するとともに、稲作から飼料作物への転換の促進をはじめ既耕地における飼料作物の生産利用の促進を図つているところであるが、なお一層その充実につき検討してまいりたい。
また、飼料作物に対する生産奨励金については、昭和四十九年度予算編成の段階で検討してまいりたい。
(2) 我が国は濃厚飼料の大半を海外に依存しているため、国内の飼料需給は海外諸国の生産輸出動向によつて影響を受けやすくなつており、一国に対する依存率が極めて高いことは、飼料原料を安定的に確保するうえで問題があると考えている。
従つて、今後、輸入先の多元化等輸入飼料原料の安定的確保の方策についても検討してまいりたい。
(3) 政府操作飼料については、飼料需給動向を勘案しつつその需給の安定を図るよう配慮してまいりたい。
また、備蓄等輸入飼料原料の安定的確保のための方策については、今後の国際需給動向をも見極めつつ検討することとしたい。
(4) 山村、農村等の山林原野等の低位利用地を開発しで草地の造成や利用施設の整備を進めるなどこれらの地域における酪農の振興を図つているところであり、今後ともその充実強化に努めてまいりたい。
五、について
防衛庁は、ナイキ及びホーク各ミサイルの射場施設を国内に設置するため、昭和四十六年十二月、青森県西津軽郡車力村内の用地を購入し、現在まで地元との間で調整が続けられているが、いまだに見通しが立たない状況にあり、同庁においては、現在、設置計画の再検討をしているところである。
青森県及び車力村から養豚事業その他の地元の産業振興のため前記の用地を同村に払い下げられたい旨の要請があるが、この要請については、前述の防衛庁による再検討の結果をまつて対処してまいりたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。