ことばで探す › 衆議院 第108回
蚕糖事業団をめぐる諸問題に関する質問主意書
衆議院 第108回 第5号
質問本文
衆議院議長 原 健三郎 殿
蚕糖事業団をめぐる諸問題に関する質問主意書
私は、輸入価格の三倍もする我が国の蚕糸価格、就中国際経済の現状に背を向けた蚕糸価格安定制度の矛盾について、昨年十一月二十一日と十二月二十日の二回にわたつて質問主意書を提出したが、いずれの答弁も問題点をすり替えたもので極めて不満である。しかも本制度は、生糸先物取引市場において特定の投機筋に利用され、蚕糖事業団の在庫は増大する一方である。これまでの同事業団の特別勘定の長期借入金は、先の答弁によると千九百五十二億円で、欠損金は四百七十五億円にのぼつている。
更に、最近在庫生糸にカビが生える事件が発生し、同事業団はこれを指名入札で、特定業者に放出し、関係団体から強い批判を受けている。今のまま現制度を放置するならば、臨調答申、会計検査院の指摘を無視する行為となり重大な結果を生むことになる。よつて次の質問をする。
一 蚕糖事業団(以下、事業団)は、本年一月、カビが発生した在庫生糸(五十四年度分)五百十二俵を西陣産地糸商七社に指名入札で売り渡したというが、どうして一般競争入札の方法によらず指名入札を行つたのか、その理由及び法的根拠を明らかにされたい。また、カビが発生した糸を同様の方法により売り渡した例が過去にあるのか、あれば具体的に示されたい。
二 この入札は、農林水産大臣の承認を得て行われたものなのかどうか明らかにされたい。
三 事業団は、前記の五百十二俵すべてにカビが発生したことを確認した上、売渡しを決定したのか明らかにされたい。また、最初にカビを発見したのは、いつ、どこで、だれなのか具体的に示されたい。
四 今回のカビが発生した生糸は、いくらで売り渡したのか金額を示されたい。
五 同入札における最低予定価格は、通常の売渡し価格に比べ安く設定されているといわれるが、どのような方法で算出したものかその根拠を明らかにされたい。また、予定価格の積算が、事業団の契約責任者の故意又は重大な過失によつて事業団に損害を与えたとすれば、「予算執行職員等の責任に関する法律」に準じた形で処分が行われるべきと考えるが、一般論として見解を求む。
六 私の試算によると、事業団が五十四年に買い上げた糸の現時点での評価額は、当時の事業団買入れ価格一万四千三百円/kg、現在までの八年間の金利・倉庫料(一ヵ月当たり百円/kgとして)を加算すると二万三千九百円/kgになる。これを平均七千五百円/kg(今回の売渡し価格は六千五百〜八千五百円と伝えられている。)で五百十二俵を売り渡したとすれば約五億円の損になり、事業団の損失を増大させることになる。当局はこの際、在庫品の買入れ年度別の原価計算を行い、その結果を明らかにすべきと思うが見解を求む。
七 昨年来、実需者以外の者により、横浜・神戸の両取引所を通じ品受けされた生糸が、取引所の指定倉庫から一般倉庫へ移動され、ある期間を経て事業団の買上げにより再び指定倉庫に戻る例がある。空調設備の不完全な一般倉庫(指定倉庫は温湿度の調整や害虫の駆除を定期的に行つている。)に積まれている間にカビや害虫が発生していた場合、事業団はその責任をどこに求めるのか。一般論として明らかにされたい。
八 十二月五日の政府の答弁書(内閣衆質一〇七第一五号)によると、事業団の在庫生糸については、処理の円滑化を図つているとある。しかし、事業団は六十一年十二月に一万六百三十五俵、六十二年一月には四千三百七十五俵の国産糸を買い入れ、在庫総量は、六十一年十二月末で十五万百五十九俵、六十二年一月末現在で十五万千四百三十二俵と、私の指摘後増加をしている。この事実をどう見るのか見解を明らかにされたい。
九 日本器械製糸工業組合(以下、日器工)は、行政当局の強い指導を受けながら、生糸生産出荷の抑制策を行つてきたが、昨年十一月の私の質問主意書(質問第一五号)を契機に、公正取引委員会より、独禁法に抵触する恐れがあるとの指摘があつたので撤回するとの通達(日器工61発第36号)を出している。行政当局は、この組合にどのような指摘をしたのか。また、その際当局は組合に不況カルテルの申請を勧めた事実があるのか、併せて明らかにされたい。
十 日器工は、本年一月、臨時総会を開いて、安定基準価格の維持と強固な糸価対策として、同組合の借入金限度額八億円を百億円に引き上げることを決めた。製糸団体が、自ら生産した製品を大量の資金をもつて先物取引市場で買入れによる価格操作を行うことは、商品取引所法等に違反すると思われるが、一般論としての当局の見解を求める。
十一 六十二年一月二十日付の日器工の「糸価対策に関するメモ」によると「日器工の市場介入価格は一万一千九百円とする」とある。しかし、一月三十日付の「常任理事会議事報告について」(日器工61発第45号)によると「農水省と最終協議を重ねた結果、当局から一万二千円で買い支えることで両者間は漸く合意することが出来た」(要旨)とある。両者の主張する買入れ価格には隔たりがあるが、農水省のいかなる指導をもつて合意に達したのか、この際その理由とこれに至る経過を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下「事業団」という。)が昭和六十二年一月に行つたカビ害が発生した生糸の売渡しについては、カビ害の発生した生糸は先染め織物用に使用する等用途が限定されており、売渡しに係る当該生糸の適正な使用を確保するためには、ねん糸を製造しこれを先染め織物業者に販売する実績を有する者に対して行うことが適当であることから、一般競争入札の方法によらなかつたものである。また、当該売渡しは、繭糸価格安定法(昭和二十六年法律第三百十号。以下「法」という。)第十二条の二第一項の規定に基づき実施したものである。なお、過去には同様の方法によりカビ害が発生した生糸が売り渡された例はない。
二について
当該生糸の売渡しについては、法附則第四項の規定により読み替えて適用される法第十二条の二第一項の規定に基づき、法附則第三項の農林水産大臣の承認を受けた計画の定めるところにより実施されたものであり、その価格については、同条第三項の規定に基づき農林水産大臣の承認を受けて定められたものである。
三について
当該生糸の売渡しは、原則として十俵を単位とする荷口で行われており、カビ害の発生の確認についても当該荷口ごとに行われた。また、カビ害は、昭和六十年十月に、五泉その他の織物産地で、同年九月に事業団から生糸の売渡しを受けた者により、最初に発見されたものである。
四について
当該生糸一キログラム当たりの売渡価格は、カビ害の程度により荷口ごとに異なるが、六千五百円から八千五百円程度である。
五について
当該生糸の売渡予定価格は、事業団が、学識経験者及び生糸流通業者の意見を参考として、荷口ごとのカビ害の程度に応じて、時価に準拠して算出したものである。したがつて、当該売渡予定価格の設定により、事業団に損害を与えた事実はない。なお、一般論として、事業団の職員が故意又は過失により事業団に損害を及ぼしたときは、事業団の内規により、適切に処分することとなつている。
六について
事業団の在庫生糸の評価については、事業団は、毎事業年度、荷口ごとに個別原価法に基づき算定し、その合計額を長期保管生糸期末棚卸高として、決算書において明らかにしているところである。
七について
事業団は、御指摘のような事態の発生に対処するため、生糸の買入れに際しては、売主に対して瑕疵担保責任を課しているところである。
八について
事業団は、法に基づき、繭及び生糸の価格の安定を図るため、生糸の買入れ、売渡し等の業務を行うことができるとされており、買入れが行われた場合には一時的に在庫が増加することになる。
九について
公正取引委員会は、昭和六十一年十二月、日本器械製糸工業組合(以下「日器工」という。)が組合員の生糸の生産数量及び出荷数量を制限していた疑いが認められたので、日器工に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第八条に違反するおそれがあるとして警告を行つた。なお、その際、公正取引委員会は日器工に対し不況カルテルの申請を勧めた事実はない。また、農林水産省としては繭生産の現状等にかんがみ生糸生産上の対策が必要な事態に立ち至つている旨を表明しているところである。
十について
一般論として、製糸会社及びその団体が商品市場において生糸の買入れを行うこと自体が商品取引所法(昭和二十五年法律第二百三十九号)違反となるものではない。
十一について
日器工は、生糸価格が低落した昭和六十一年九月以来、安定基準価格(昭和六十一生糸年度においては、一キログラム当たり一万二千円。)を維持するための糸価対策を行つてきたところであり、昭和六十二年一月においても、従来の経緯を踏まえ、農林水産省との話合いの結果、安定基準価格の維持のため、従来どおりの糸価対策を行つたものである。
右答弁する。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。