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食品添加物「臭素酸カリウム」に関する質問主意書
衆議院 第140回 第24号承知していない ×1検討してまいりたい ×2
質問本文
竹村泰子参議院議員に対する第百三十九回国会答弁書第一号について、食品添加物「臭素酸カリウム」の問題に限定して以下質問する。
一 臭素酸カリウムには強い発癌性があるため、最終食品であるパンに残留してはならないとの答弁主旨であると理解するが、この理解に誤りはないか。
二 最終食品であるパンから分解・除去しなければならないということは、どのように精密な測定を行っても必ず「検出せず」「残留ゼロ」でなければならないと理解するが、この理解で良いか。
三 政府答弁書によれば、イギリス・EUが使用禁止、WHO・FAO合同食品添加物専門家会議(以下JECFAと略)が加盟各国に使用禁止を勧告しているが、わが国は用途・添加量の制限付きで使用を許可している。
小麦粉処理剤臭素酸カリウムに関するわが国政府の見解と、イギリス・EUやJECFAの見解は「臭素酸カリウムが持つ強い発癌性」という認識においては一致しているが、では「なぜ日本が制限付きの使用を許し、イギリス・EU・JECFAが全面禁止なのか」という素朴な疑問が湧くのは当然である。禁止諸国(機関)とわが国の、見解が異なる点をわかりやすく表にまとめた答弁を求めたい。
四 その後の私の問い合わせに対して、製パン業各社、日本パン工業会、イーストフードメーカー各社、流通業界などの回答はすべて「臭素酸カリウムの使用については業界が自主的に使用しないことにしている」というものであった。
これは事実であろうか。政府の責任ある調査・答弁をお願いしたい。
五 前四項の調査の結果、「業界が自主的に使用していない」ことが明らかになった場合は、食品添加物リストから除外しても何ら問題はないと考えるが如何であろうか。実際にパン業界が使用していない場合でも、あえて「臭素酸カリウム」を食品添加物リストに留め置く理由が特にあるのかどうか。あるとするならば、その理由を簡潔明瞭に示されたい。
さて、私の調査によれば、市販されているパンに臭素酸カリウムが残留している。この調査・測定は、民間の材料分析会社に委託して実施した。食品衛生法に定める指定検査機関ではないため、法律的には参考資料ということになるが、検出されたという点を重要な問題としてとらえ、以下質問する。
また、測定データについては、ここに添付するので、政府の有効な活用を期待するものである。
六 昭和五十八年四月十一日付けの「食品添加物の指定における当面の対応について」という食品衛生調査会毒性・添加物部会がまとめた文書(以下、本文書という)がある。
本文書では、その第一項で、食品添加物の指定に際しては「FAO、WHOにおける安全評価が終了しA(1)ランクに分類されているもの」を対象とするとされている。臭素酸カリウムは、ここでいうA(1)ランクに分類されてはいない。私の調査では、一九九四年十二月の時点でA(1)ランクから外されている。A(1)ランクに分類されていたものが外されるということは、過去においてなされた安全評価そのものが否定され、FAO、WHOは臭素酸カリウムを小麦粉処理剤として使用することを危険であると判断したと考えるのが普通である。また、本文書第二項でいう日本独自の添加物には当てはまらない。
本文書第四項にある「FAO、WHOにおける一日摂取許容量」という点でも、A(1)ランクから除外されたという事実から判断して、FAO、WHOは一日摂取許容量を設定すべきでないと判定したことは明らかである。結論として、本文書の主旨を踏まえるならば、臭素酸カリウムは食品添加物の指定から削除する必要があると解釈出来る。
この解釈に誤りはあるか。あるとされるならば正されたい。
七 政府答弁書五の5にいう試験成績について、学会誌の内容を説明されたい。私の調査・分析結果では、焼き温度の低いパン、焼き時間の短いパンについては、添加量によるが、イオンクロマトグラフィーにても分析可能な数値を得ている。
基準とした試験方法に検討の足りない部分があった可能性も考えられるため、再度公的機関での試験・検討を行うとともに、この点についての見解を示されたい。
八 答弁書四の2、3及び4で言及されている食品衛生調査会添加物部会報告書において、パンへの使用については、一定量以下の添加である限り、最終食品であるパンに「臭素酸カリウム」は残留しないとしているが前七項で指摘したとおり、焼き温度の低いパンや焼き時間が短いパンについては、添加量にもよるが、イオンクロマトグラフィーにても分析可能な残留数値を得ている。答弁書記述の「一定量以下」という基準を決定した際に、検討が足りない部分があった可能性も考えられる。基準決定の際の試験方法を公表されたい。また、再度試験検討を行うとともに、それを踏まえた見解を示されたい。
私が行った分析方法について、政府の見解を伺いたい。
九 科学の発展はめざましく、年々その技術は高度なものへと進歩していることは明らかな事実である。
日本国民の健康を守ることは、政府としての負うべき役目のひとつであり、義務であると考えられる。そこで、臭素酸カリウムの分析方法について質問する。政府としては、臭素酸カリウムの分析方法について、現行の「イオンクロマトグラフィーによる」という決定にあくまで固執する考えであるのか、明確な答弁をお願いしたい。時代の進歩、科学技術の進歩に伴い、分析方法も変わっていくべきであると考えるが、見解を示されたい。
十 臭素酸カリウムの分析において、今回私が行ったICP ― MSによる分析方法について、条件などを含む測定方法を提出するので、その評価をお願いしたい。
なお、分析結果の評価については、水、試薬などから臭素酸カリウムが混入した可能性、臭素酸イオンの分離・抽出技術の完成度、検出データの的確性などについては、国立大学教授など専門家より「問題なし」との評価をいただいている。
この分析方法、及び分析結果についての見解を示されたい。
十一 分析結果が正しいと仮定した場合、このデータには明らかな傾向が出ているように考えられる。
バターロールに顕著な残留が見られるが、これは焼成工程において加熱時間が短く(七〜八分)、加熱温度も低い(摂氏二一〇度程度)ことが原因と考えられる。
従って、現在の臭素酸カリウムに対する法規制(小麦粉一キログラムにつき臭素酸として〇・〇三グラム以下)では、規制が甘い可能性があると考えられる。この点について明快な答弁を示されたい。
十二 前十一項に対する検討の結果、法規制を変更される可能性があるのであれば、その数値と根拠を示されたい。
十三 政府答弁書によると、臭素酸カリウムは使用しても良いが残留してはいけない、と規定しているため問題は生じないということである。
しかし、この規定をよいことにパン業界の一部が「自主規制している」と宣伝しておきながら、臭素酸カリウムを添加し、しかも残留する可能性について何ら検討を行わず使用していたとすると、これは重大な問題とされるべきであると考えられる。
もしもパン業界の一部が言う「自主規制」が偽りであるとすれば、メーカー名の公表を含め、それなりの措置が当然あってしかるべきであると考えるが、政府の答弁をお願いしたい。
もしも偽りであることが明らかとなった場合、日本国政府・国民を偽っていたことになり、ことは重大であると認識するものであるが、政府としての見解をいただきたい。
十四 日本パン工業会の言う「自主規制」が本当であり事実とするならば、既にわが国においては必要のなくなった添加物であると解釈でき、食品添加物の指定から除外することで生じる問題は何らないものと考えられる。
従って、前六項で触れた本文書中の2「これに伴い既に指定されている添加物であっても(中略)食生活の変化によって、ほとんど使用実態のないもの、つまり有用性、必要性の乏しくなっているものについては検討を加える」という基本姿勢からしても、臭素酸カリウムを食品添加物の指定から除外すべきであると考えるが如何であるか。政府の答弁をお願いしたい。
十五 政府は、日本国民の健康を考え、食品添加物に対する基本的な考え方を「食品添加物の指定における当面の対応について」という文書にて示された。
日本国民の健康を守る観点からも素晴らしい指針であると考えられる。政府はこの指針に沿って、添加物の使用許可を与えているものと信じている。臭素酸カリウムは、この指針からすれば使用を禁止し、食品添加物リストから外すべきであると考えるが、如何であろうか。
外さないのであれば、その理由を明確に示されたい。また、その他の添加物について、臭素酸カリウムと同様な取り扱いをする添加物があれば、その添加物名を明記されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
参議院議員竹村泰子君提出小麦と小麦粉の安全性に関する質問に対する答弁書(平成九年三月二十一日内閣参質一三九第一号。以下「政府答弁書」という。)は、厚生省がん研究助成金による昭和五十六年度の研究報告を踏まえ、食品衛生調査会から臭素酸カリウムはF三四四ラットに発がん性が認められたこと等から食品に残留することは好ましくないとする意見具申が厚生大臣に対してなされたことを受けて、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第七条第一項に基づいて定められた食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年厚生省告示第三百七十号。以下「規格基準告示」という。)のうち、臭素酸カリウムに関する部分を改正し、臭素酸カリウムは、小麦粉を原料として使用するパン以外の食品に使用してはならないこと、臭素酸カリウムの使用量は、臭素酸として、小麦粉一キログラムにつき〇・〇三〇グラム以下でなければならないこと及び使用した臭素酸カリウムについては、最終食品の完成前に臭素酸カリウムを分解又は除去しなければならないこととしたこと等について答弁したものである。
二について
規格基準告示における「最終食品の完成前に臭素酸カリウムを分解又は除去しなければならない。」との規定は、測定の時点における分析技術の水準及び当該規定の内容に照らして適切な方法を用いて測定した場合に、最終食品であるパンから小麦粉に使用した臭素酸カリウムが検出されてはならないという趣旨であると考えている。
三について
御指摘の点について、臭素酸カリウムに関する我が国及び英国等の取扱いの状況並びにその取扱いを行う理由又は根拠を、これまでに得ている資料により承知している内容に基づいて整理すると、次のとおりである。
なお、米国においては、我が国と同様、一定の限度を設けた上で小麦粉への使用が認められていると承知している。
四について
厚生省に対し、本年四月に社団法人日本パン工業会から、「現時点では臭素酸カリウムの使用を自粛することを改めて申し合わせた」旨の報告があり、同年六月に日本イースト工業会及び日本プレミックス協会から、臭素酸カリウムを今後とも使用しないことを改めて申し合わせた旨の報告があったところである。
五について
社団法人日本パン工業会、日本イースト工業会及び日本プレミックス協会(以下「社団法人日本パン工業会等」という。)は、我が国のそれぞれの業界におけるすべての事業者を包含するものではないこと、冷凍パン生地等として輸入されているものがあることから、社団法人日本パン工業会等が現時点において臭素酸カリウムのパンへの使用を自粛したという事実のみをもって、直ちに臭素酸カリウムを食品衛生法第六条に基づいて厚生大臣が定める添加物(以下「食品添加物」という。)から除外することは適当ではないと考えている。
六について
御指摘のFAO、WHOのA(1)ランクの分類については、昭和五十四年を最後に公表されていないと承知している。また、一日摂取許容量については、FAO、WHOにおいては従来から臭素酸カリウムに関しては、これを設定していないと承知している。なお、三についてで述べたとおり、JECFAにおいて平成四年に臭素酸カリウムは小麦粉処理剤としての使用は適当でないとの結論が出されたところである。我が国においては、規格基準告示において、最終食品の完成前に臭素酸カリウムを分解又は除去しなければならないと規定しており、御指摘の点から直ちに臭素酸カリウムを食品添加物から除外しなければならないとは考えていない。
次に、御指摘の「食品添加物の指定における当面の対応について」(昭和五十八年四月十一日食調第二号食品衛生調査会毒性・添加物部会意見報告。以下「部会報告」という。)は、第一項においては添加物指定要請に基づき食品衛生調査会の毒性及び添加物部会合同部会が審議対象とする添加物の考え方について、第四項においては添加物の使用基準の検討の考え方について述べているものである。これらはいずれも昭和五十八年当時、我が国の市場開放の推進に伴う食品の輸入の増大に対応して、新たに食品添加物を定めること等に関する考え方を述べているものであり、既存の食品添加物を除外することについての考え方を述べているものではない。また、臭素酸カリウムは、御指摘のように部会報告の第二項でいう日本独自の添加物に当たらないものである。したがって、部会報告との関係においては、臭素酸カリウムを食品添加物から除外するという考え方は出てこないものと考える。
なお、添加物の取扱いについては、平成八年三月、食品衛生調査会の答申に基づき、「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針について」(平成八年三月二十二日衛化第二十九号厚生省生活衛生局長通知。以下「平成八年指針」という。)を示したところであり、現在は平成八年指針に基づいて取り扱っているところである。
七及び八について
政府答弁書の五の5についてで答弁した試験成績は、厚生省環境衛生局食品化学課「厚生省食品化学レポートシリーズNo.一二 一九八二」及び社団法人日本食品衛生学会第四十一回学術講演会要旨において公表されており、その概要は次のとおりである。また、政府答弁書の四の2、3及び4についてで答弁した食品衛生調査会における基準値の決定においては、当該試験成績に基づいて審議を行ったところである。
1 臭素酸の含有率(当該物質の重量をその物質が含まれる物の重量で除した数をいう。以下同じ。)が〇から百万分の千までとなるように臭素酸カリウムを添加した小麦粉を用いて食パンを製造した後、イオンクロマトグラフ法により食パン中に残存する臭素酸を測定したところ、含有率百万分の五十の添加では痕跡程度であったが、含有率百万分の四十以下の添加では検出されなかった。
2 臭素酸カリウムの含有率を〇から百万分の千の範囲で八段階に添加した小麦粉を用いてパンを製造した後、陰イオン交換樹脂カラム ― 比色法により残存する臭素酸を測定したところ、臭素酸カリウムの含有率百万分の六十五(臭素酸の含有率百万分の五十)以下の添加では当該検査方法の定量限界(含有率百万分の一)以下であった。
また、厚生省は、本年三月、国立衛生試験所等の試験機関から、臭素酸の含有率が〇、百万分の十五、百万分の三十及び百万分の六十(小麦粉一キログラムにつき、それぞれ〇・〇一五グラム、〇・〇三〇グラム及び〇・〇六〇グラム)となるように臭素酸カリウムを添加して試製した食パン、山型パン及びロールパンについて、高速液体クロマトグラフ法、ガスクロマトグラフ法及びイオンクロマトグラフ法の三種の方法により臭素酸の測定を行ったところ、高速液体クロマトグラフ法及びガスクロマトグラフ法を用いた測定(いずれも検出限界は含有率十億分の十)によれば、食パン及び山型パンでは含有率百万分の三十以下の添加ではいずれも検出されなかったが、ロールパンでは含有率百万分の三十以下の添加においても検出されたこと並びにイオンクロマトグラフ法による測定では、パン中のたんぱく質、脂肪酸等の影響により、正確な値を求めることは困難であったことについて報告を受けているところである。
一般に、食品中の添加物の測定法については、科学技術の進歩に応じた見直しを行うことが必要であると考えており、臭素酸カリウムの測定法についても見直す方向で検討しているところである。
九について
八についてで答弁したとおり、一般に、食品中の添加物の測定法については、科学技術の進歩に応じた見直しを行うことが必要であると考えており、臭素酸カリウムの測定法についても見直す方向で検討しているところである。
十、十一及び十二について
お示しのICP ― MSによる分析方法及びその結果については、報告書中に測定値の分散等の精度、分析対象物に対する分析方法の特異性、分析対象物の検出限界等に関する十分な記述が無いため、当該分析方法及びその結果について、厚生省として科学的な評価を行うことは困難であり、当該報告書の記述のみをもって、直ちに臭素酸カリウムの取扱いについて見直しを行う必要性があるか否かを判断することはできない。
なお、当該分析結果において臭素酸カリウムを検出したとする五銘柄のパンのうち、入手できた三銘柄について、国立衛生試験所等の試験機関で高速液体クロマトグラフ法及びガスクロマトグラフ法(いずれも検出限界は含有率十億分の十)により試験を行ったところ、いずれのパンからも臭素酸カリウムは検出されなかった。
十三について
社団法人日本パン工業会等における臭素酸カリウムの使用の自粛は、いずれも各団体の構成員が自主的に申し合わせたものであり、構成員がその申合せに反したか否か及び申合せに反した場合の措置については、当該団体において判断されるべきであると考える。
十四及び十五について
部会報告は、六についてで述べたとおり、昭和五十八年当時、我が国の市場開放の推進に伴う食品の輸入の増大に対応して、新たに食品添加物を定めること等に関する考え方を述べているものであり、現在の取扱いは平成八年指針に基づいて行っているところである。
五についてで述べたとおり、社団法人日本パン工業会等は我が国のそれぞれの業界におけるすべての事業者を包含するものではないこと、冷凍パン生地等として輸入されているものがあることから、社団法人日本パン工業会等が現時点において臭素酸カリウムのパンへの使用を自粛したという事実のみをもって、直ちに臭素酸カリウムを食品添加物から除外することは適当ではないと考えている。
臭素酸カリウムについては、規格基準告示において、「使用した臭素酸カリウムについては、最終食品の完成前に臭素酸カリウムを分解又は除去しなければならない。」と規定していることから、直ちにその取扱いについて見直しを行う必要があるとは考えていない。
また、現在の食品添加物のうち臭素酸カリウムと同様に、事業者において申合せ等により使用の自主規制が行われているものは承知していない。
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