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公共事業における評価基準、及び撤退システムの確立に関する質問主意書
衆議院 第141回 第18号お答えすることは困難 ×1
質問本文
公共事業について、事業にムダや非効率があることや、政・官・業の癒着の温床となっていることなどが批判されており、今や公共事業に対する国民の不信感は根強い。超高齢社会を前にして社会資本を充実させることは大切であり、今こそ公共事業に対する信頼感を回復させ、透明性を確保しなければならない。また、長期間停滞したままの公共事業について、撤退の基準作りを早急に確立する必要がある。
当質問主意書では、公共事業に対する評価基準、撤退のルール作り等について以下の質問をする。
一 どの公共事業が必要で、どの公共事業が必要でないのかという、公共事業の優先順位の確立に努めることが肝要だ。しかし問題は、この公共事業についての明確な評価基準が未だ十分に確立されていない。早急に具体策を出す必要があるが、現在の検討状況を示されたい。
二 そのためには費用対効果分析が不可欠だ。これまでのところ費用対効果の分析が定性的なものに留まっているのが実情だ。そうした定性的なものでなく、優先順位を明らかにする定量的分析が必要だ。この費用対効果についての取り組みの現状を明らかにされたい。
三 費用便益分析に関しては、各分野ごとに努力が認められるが、より大切なのは、異なる事業分野間での投資効果の比較だ。たとえば、農水、運輸、建設関係のどの事業を、またどの地域で優先するかといった総合分析の現状、特に、ヘドニック法等の分析手法など、その進捗の現状を明らかにされたい。
四 建設省は本年八月、全国のダム・貯水池三八〇か所を調査し、中止、休止、一時休止を決めた。意味がなくなったと判断された公共事業を撤退することは評価に価するが、中止、休止、一時休止がどんな基準で判断されたか、判断基準を明らかにされたい。
五 補助金等適正化法が地方公共団体が公共事業から撤退する際に、補助金返還の義務を規定しているなど、撤退時の支障となっていると指摘されることがある。地方公共団体がもはや必要でなくなった公共事業から速やかに撤退の決断ができるよう、当初目的からの違反以外は原則、補助金返還は必要なしとする見解を明確にすべきと考えるがどうか。
六 問題は長期間停滞している公共事業があるにもかかわらず、その事業の中止や継続を判断するシステムが確立されていない点だ。事業を取り巻く社会・経済環境、投資効果などの観点から公共事業の必要性を監視するチェック機能、再評価システムを早急に導入すべきと考えるがどうか。
七 公共事業の再評価システムにおいて欠かせないことは、住民の声をどう反映させ、評価の透明性を確保したシステムをどう作っていくかだ。実効性ある再評価システムを検討するにあたってはこの点を留意して検討にあたるべきと考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
公共事業における事業の評価については、これまでも道路事業、治水事業等において新規採択の優先度を決定するための事業の評価基準を公表する等の取組を行ってきているところであり、今後とも、公共事業に係る費用対効果分析の手法の開発等の取組を進めることにより、公共事業の実施過程の透明性の一層の向上を図っていくこととしているところである。
二及び三について
政府においては、公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るため、従来から公共事業の実施によって生じる効果を定量的に評価する費用対効果分析の手法の活用を図ってきたところであり、既に道路事業等については費用対効果分析の結果を事業の採択等に反映させているほか、その他の事業についても、事業の評価を行う際の基準の一つとして活用するための費用対効果分析の具体的な手法の開発を進めているところである。
また、事業の実施によって生じる効果を異なる種類の事業間で比較するためには、事業間で統一的に用いることができる費用対効果分析の手法を開発することが前提となるが、事業の実施によって生じる様々な効果を包括的に計測することが理論上は可能とされているヘドニック法等の分析手法については、分析結果の信頼性等に関し課題を有する事業が多いことから、各種の公共事業に一律に適用することは現段階では困難であると考えている。
政府としては、費用対効果分析の手法の開発等を引き続き進めること、事業ごとに異なる手法を用いて費用対効果分析を実施する場合においても、関係省庁間での情報交換等を通じて分析に係る手続き等の整合性を可能な限り保つこと等、公共事業の実施過程の透明性を一層向上させるための取組を進めていくこととしているところである。
四について
建設省河川局が平成九年八月に公表した「ダム事業総点検結果について」(以下「総点検」という。)においては、中止ダム等事業、休止ダム等事業及び一時休止ダム等事業を次のような判断に基づいて決定したものである。
すなわち、中止ダム等事業とされた各事業については、これまでに得られた調査の結果等から、当該事業に係る水需要の見通しが変化したこと、治水計画上のより優れた代替案の存在が確認されたこと等を踏まえ、建設省及び総点検の対象とした事業の事業者(以下「建設省等」という。)において平成十年度以降は事業を行わないことが妥当であると判断したものである。
一方、休止ダム等事業とされた各事業については、これまでに得られた調査の結果等からは事業を行わないことが妥当であるとは判断できないが、当該事業が計画されている河川等における治水計画上のより優れた代替案の存在の可能性、関係する地域の意向、事業の緊急性等を総合的に勘案して、建設省等において平成十年度予算概算要求では要求を行わないことが妥当であると判断したものである。
また、一時休止ダム等事業とされた事業については、当該事業に係るダム等事業審議委員会の審議の結果を待って事業の進め方を判断する必要があると考えて、建設省において平成十年度予算概算要求では要求を行わないことが妥当であると判断したものである。
五について
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第十条第一項においては、各省各庁の長は、補助金等の交付の決定をした場合において、その後の事情の変更により特別の必要が生じたときは、当該交付の決定に係る事業等の執行が済んでいない部分に限って補助金等の交付の決定を取り消すことができるとする趣旨を定めており、同項の適用がある場合には、既に事業等の執行が済んだ部分について補助金等の返還を求められることはないものである。
なお、補助金等の交付の決定の取消しに当たって各省各庁の長の判断が必要であるとする原則については、補助金等が国民から徴収された税金等の貴重な財源で賄われるものであることにかんがみ、合理的なものと考える。
六及び七について
政府においては、公共事業の実施に当たっては、従来から社会経済情勢の変化に伴って事業の在り方を不断に見直し、真に必要な事業の推進を図ってきているところであるが、公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上が重要な課題となっていることにかんがみ、平成九年十二月に公共事業全体について新たな再評価システムを導入することとしたところである。
この再評価システムは、採択後一定期間を経過した後も未着工である事業、採択後既に長期間が経過している事業等の再評価を行い、必要に応じその見直しを行うほか、事業の継続が適当と認められない場合には事業を中止又は休止することとするものであるが、同システムにおける事業の再評価の手続き等については、公共事業の評価の透明性の確保に十分配慮して早急に検討していくこととしているところである。
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