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日本共産党幹部宅盗聴事件の事実認定と責任所在などに関する再質問主意書

衆議院 第142回 第30号

提出者
衆議院
提出日
1998年5月6日
内閣転送 1998年5月6日
答弁書受領日
1998年5月26日
提出から20日
答弁の項目数
9
質問 1,989字/答弁 1,703字

質問本文

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案の上程に当たり、三月十二日提出の「日本共産党幹部宅盗聴事件の事実認定と責任所在などに関する質問主意書」(以下、「前回質問主意書」とする)に対する三月二十七日付答弁書(以下、「答弁書」とする)には、一部不十分な答弁があり、同事件の事実認定と責任の所在を明確にすることが同法案の適否に大きく影響することについて、理解を欠いているとみられる部分もあるので、以下再質問する。また、同法案が死刑を最高刑としていることに鑑み、死刑をめぐる最近の状況についても質問する。

一 共産党幹部宅盗聴事件の事実認定

(1) 答弁書「一の(4)について」には「被疑者両名は個人的利欲に基づいて本件を犯したものではない」とあるが、被疑者両名は単に上官の命令に従っただけだったのか。被疑者両名に、命令を忠実、確実に実行することで、将来の昇進などが有利に取り計られるという意味での「利欲」が全くなかったと判断したのは、どういう証拠に基づくのか。最近では、前大蔵省金融検査官室長らの接待汚職事件で、検察官が冒頭陳述で指摘しているように、組織の一担当者が違法行為(この事件の場合は贈賄)に及ぶケースでの「利欲」は、自己の「出世」とされることが多いと承知しているが、警察官による盗聴事件の場合、何が動機となっているのか。「利欲」はあり得ないのか。

(2) 答弁書「一の(4)について」には「被疑者両名が本件の首謀者ないし責任者的立場にあるとは認め難い」とあるが、共産党幹部宅盗聴事件の「首謀者」や「責任者的立場にある」人物は誰か。

(3) 答弁書「一の(4)について」には「警察において、本件につき深く遺憾の意を表するとともに、かかる事態の再発防止に努めることを誓約するなどしており」とあるが、いったい誰がどの時点で、誰に対して再発防止に努めることを誓約したのか。また、警察は検察官に「再発防止に努めます」と口頭で伝えたのか、それとも誓約の書面を記したのか。組織的に再発防止のための具体的な施策を提示したか。

(4) 答弁書「一の(5)について」には「警察の自浄作用により、同種事犯の再発防止が十分期待できる」とあるが、「警察の自浄作用」について、具体的に過去のどのような事例で示されたものがあるのか、明らかにされたい。また、「再発防止が十分期待できる」と考えた根拠は何か。どのような証拠に基づくのか。

二 責任の所在

(1) 答弁書「二の(3)について」には「警察においては、国民の信頼を裏切ることのないよう、適正な職務執行に努めているところであり、違法な傍受が行われることはないと確信している」とあるが、確信した根拠は何か。事件後、警察組織内で、違法な通信傍受をしないと明確な内規などが作成されたのであれば、明らかにされたい。作成されていなければ、その理由を述べられたい。

(2) 答弁書「二の(4)について」では「我が国の行政機関においては、違法な傍受は行われていない」と断言しているが、根拠は何か。具体的に職員にどのような指導、研修がなされているのか、その全容を明らかにされたい。

三 令状請求手続き

(1) 答弁書「三の(3)について」によると、令状請求、発付に違法があるとして、不服申し立てを受けた裁判所は令状請求時の資料の提出を受けることができるが、裁判所の取り調べに提出される資料が令状請求時の資料と同一かどうかは、どのような証拠で立証されるのか。捜査機関の公正を担保するため、仮に令状を請求した際の資料に誤りがあった場合などに担当者がそれを恣意的に修正するなどしないように、部内で請求時の資料は請求者以外の係官が保管するなどの措置が当然取られていると考えるが、どうか。

(2) 答弁書「三の(4)について」には「取り下げ」の件数が記載されているが、一九九六年に令状請求を取り下げた二千二百八十三件(逮捕状三百六十七件、差押・捜索許可状又は検証許可状千九百十六件)の理由は何か。裁判官から認められないから取り下げたのか、あるいは請求後に誤りが発見されるなどしたのか。事件の内容に踏み込む必要はなく、概括的にそれぞれ件数を明らかにされたい。

四 死刑の執行

死刑廃止条約の批准を求めるNGOなどによると、法務省刑事局は五月の連休明けに死刑を執行する方針を固め、法務大臣の決裁を仰ごうとしているというが、事実か。一方で、新たに死刑を盛り込んだ戦後二例目の法案が国会に上程され、審議された場合には死刑の是非、執行方法の適法性、死刑に関する情報公開の適否、死刑確定者の処遇などについても論議が予想されることを十分に認識しているか。また、過去数年のように国会会期外の金曜日ではなく、会期中のほかの曜日に執行を予定しているといわれるが、どうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(1)について

東京地方検察庁検察官は、御質問の事件に関して不起訴処分をするに当たり、電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)違反の事実について起訴猶予を理由とする不起訴処分に付された被疑者二名に対して、盗聴を指示したり、その承認を与えた者が存在したと認めるに足りる証拠はないと判断している。

一般に、犯罪の動機には様々なものがあり、被疑者が警察官であるからといって、利欲を動機として犯罪を犯すことがあり得ないとはいえないが、本件については、同検察庁検察官は、個人的利欲に基づいて犯したものではないと認めたものである。

なお、証拠関係に関する御質問については、捜査の具体的内容にかかわる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

一の(2)について

東京地方検察庁検察官は、前記被疑者両名は、その地位等に照らして本件の首謀者ないし責任者的立場にあるとは認め難いとしているが、右両名以外に本件犯行を実行し、又はこれに加功した者を認定し得るに足りる証拠はないとしている。

一の(3)について

昭和六十二年八月四日の本件に関する当初の不起訴処分の決定に先立ち、神奈川県警察本部長から東京地方検察庁検事正に対し、本件について深く遺憾の意を表し、関係者に対し相応の懲戒処分を行うとともに、再発防止に努める旨の書面が提出されている。

一の(4)について

東京地方検察庁検察官は、警察において、被疑者両名を懲戒処分に付したこと、その上司等を更迭して人事の刷新を図ったこと、警察庁警備局長通達を発し、情報収集活動の在り方を見直してこれを是正する措置を講じていること、神奈川県警察本部においても、本部長通達を発し、情報活動に当たっていやしくも違法のそしりを受けることがないよう全捜査員に自覚させ、適正な職務執行を図っていること等から、警察の自浄作用により、同種事犯の再発防止が十分期待できると判断したものである。

なお、証拠関係に関する御質問については、捜査の具体的内容にかかわる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

二の(1)について

警察においては、昭和六十二年八月四日付け警察庁警備局長通達「情報収集活動の適正推進について」を発出し、以後十年余にわたり、国民の信頼を裏切ることのないよう、一層適正な職務執行に努めているところであり、違法な傍受が行われることはないと確信している。

二の(2)について

我が国の行政機関においては、法令に従い、適正に職務執行を行っているところであり、違法な傍受は行われていない。

また、各行政機関においては、平素から、職員に対し、適正な職務執行について指導等がなされている。

三の(1)について

刑事訴訟法(昭和二十三年法律第亘二十一号)第四十三条による事実の取調べについては、その方式や証拠能力に関する特段の制限はなく、裁判所の取調べに提出される資料が令状請求時の資料と同一かどうかは、資料の提出経緯、内容、捜査官の陳述等により、判断されているものと承知している。

一般に、令状請求の際に提供した資料は、請求後の捜査を行うために必要な資料でもあるのが通常であり、請求者その他の当該捜査に関与している捜査官以外の係官が保管する取扱いとはされていないものと承知している。

なお、捜査官が、令状請求の際に提供した資料を事後に改変すれば、懲戒処分や刑事罰の対象となる。

三の(2)について

逮捕状、差押・捜索許可状又は検証許可状の発付の請求の取下げの理由については、逮捕等の必要がなくなったことやその要件が欠けることが判明したことなど様々なものが考えられるが、理由別に取下件数を集計した統計が存在しないので、その詳細についてはお答えすることができない。

四について

平成十年三月十三日に国会に提出した「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案」、「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」及び「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案」の三法律案については、国会において必要な審議が行われるものと考えている。

その余の点は、個々具体的な死刑執行に関する事項であるので、答弁を差し控えたい。

衆議院の原文

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