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JCO臨界事故に関する質問主意書
衆議院 第151回 第103号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
一九九九年九月三〇日、茨城県東海村で日本国内としては初めて多数の住民・労働者が被曝しうち二名が死亡するという日本で初の原子力災害いわゆる「JCO臨界事故」が起こった。同事故に関する様々な問題が未だに残されたままになっている。安全審査や事故対応等における国の責任、被曝した人々に対する救済措置の必要性、被曝線量の推定及び健康影響評価の不適切性、「事故は起こりうる」と転換した原子力行政の問題点の四点について、以下、質問する。
一 「JCO臨界事故」の国の責任について
(一) 「核燃料施設安全審査基本指針」(以下、基本指針という)は「核燃料施設に共通した安全審査の基本的考え方をとりまとめたもの」であり、原子力安全委員会決定文「核燃料施設安全審査基本指針について」には、「本基本指針に基づき、各種核燃料施設について、その特質に応じた個別の安全審査指針を整備するものとする」と書かれている。
「日本核燃料コンバージョン株式会社における加工の事業の変更許可申請に係わる安全審査」は、「基本指針」に基づく他「ウラン加工施設安全審査指針」を準用して行われた。
五%を超える濃縮ウランを扱う本施設の安全審査に際して、その特質に応じた個別の安全審査指針を制定し、それに基づいて審査しなかったのはなぜか。
そもそもこのような審査のやりかたは「基本指針」違反であると考えるが、どうか。
(二) 「基本指針」の指針一〇と指針一一の「技術的に見て想定されるいかなる場合でも臨界を防止する措置が講じられていること」という要件に対しては、濃度管理と形状管理が徹底しているか否かの厳重な審査が必要である。本施設は、例えば沈殿槽には形状管理がなされていないなど、臨界事故の生じる危険性を有していた。「臨界事故は起こらない」として認可したのは原子力行政の誤りであり、その責任は免れないと考えるがどうか。
(三) 「加工施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する総理府令」第三条二項は、濃縮度五%を超える加工施設に対して、「臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。」と定めている。これは該当施設に対して無条件に臨界事故を想定することを要求するものと解するがどうか。総理府令制定時に指針類の整備や既存の施設に対する新たな行政指導を行うべきところ、政府はこれを怠ったと考えるがどうか。上記の総理府令は一九八七年に定められており、とりわけ臨界事故との関係からその責任は重い。担当部局はどこか、また責任はどこにあるのか。
(四) 実際に、事故時に政府は自治体への適切な指示が出せなかった。例えば、原子力安全委員会の臨界事故調査委員会(以下、事故調査委員会という)の報告書には、「(科技庁は)午後五時頃のJCO敷地境界での中性子線量率の連絡を受けるまで、臨界が継続していると確認するには至らなかった……誤操作があったとしても臨界事故は起こり得ないとされており、……」と記されている。指示の遅れは確実に住民の被曝を増大させた。これらの点を認めるか。政府としてはどのような責任をとるのか。
(五) JCO転換試験棟に関する基本設計、詳細設計、設計工事認可、使用前検査、保安規定審査、供用期間中検査、操業実態の監査の各段階からなる安全審査・規制体制に不備があった。これらの各段階においてどのような不備があったと政府が判断しているのか、具体的な内容とその責任の所在を明示されたい。
二 「健康手帳の交付」、健康管理・治療等について
(一) 原子力災害は晩発障害、様々な疾病の増加、遺伝的影響などの被害をもたらすものであり、従って原子力基本法には「安全の確保を旨として」(第二条)、「放射線による障害を防止し、公共の安全を確保するため、」(第二〇条)と定められている。今回の臨界事故では「放射線による障害を防止し、公共の安全を確保する」ことができなかったと考えられるが、政府はこれを認めるか。
(二) 放射線の被曝により、障害はいつ発生するかもしれず、また発生した場合は何十年にも及び苦しむこととなる。従って、臨界事故で被曝した人々は長期にわたる健康調査の継続、健康影響に対する適切な治療等が必要である。このような特徴を有する放射線障害に対する補償を確実に行うには、政府が法的根拠を持つ制度を整備し、そのうえで責任を持って対処すべきであると考えるがどうか。
原子力災害によって被曝を余儀なくされた住民が健康被害に対する補償を求める場合、中曽根弘文科学技術庁長官が一九九九年一二月二日、参議院経済・産業委員会で述べたように「原子力損害賠償紛争審査会(略)を設置し(略)被害者の方々の立証負担を軽減すべく努め」るとしても、基本的には放射線の作用等と「相当因果関係」のあることを被害者が立証しなければならないとされている(原子力損害調査研究会報告)。被害者が企業を相手取り、「相当因果関係」を立証し、司法の場で争った結果、救済の道が開かれるというのでは、あまりにも大きな壁である。迅速で簡易な救済措置の制定の必要性について、どういった見解をもっているか。
(三) 右記の具体的な内容として、原爆被爆者健康手帳を参考に制度化し、JCO臨界事故で被曝したことを証明し、本人の負担によらない定期的な健康診断と全国どこに居住しても医療補償を受けられることを明記した「健康手帳」を交付するべきであると考えるが、見解を問う。
(四) 原子力災害が生じたとき、緊急措置としての防災は別として、被曝した国民の何十年という長期にわたる放射線影響への補償について責任をもつ担当部局は、どこか。この件において、国民生活の補償や公衆衛生の向上、労働者の働く環境の整理を任務としている厚生労働省の役割は何なのか。
もし、法律がない、担当部局がないということであれば「原子力政策」は住民の健康被害の切り捨てを前提としたものであると考えざるを得ないがどうか。
三 被曝の過小評価と切り捨てについて
(一) 「今回の事故に関連する健康影響を考えるにあたって、がんのリスクに関しては、直線非しきい値の線量関係を適用するのが適切である。」との見解が健康管理検討委員会の最終報告書に記されている。政府もこの見解に立っているか。
(二) 事故調査委員会第一一回会合の資料によれば、三五〇メートル地点に居続けた場合の法令に基づく実効線量当量(ICRPの一cm線量当量)は二・四ミリシーベルトである。三五〇メートル圏(避難地域)以遠の住民でも公衆の年被曝限度一ミリシーベルトを超えている可能性が高い。この地域を含む行動調査を行うべきだと考えるがどうか。
右記の評価より高い線量が推定されていた(一九九九年一一月五日第五回事故調査委員会資料)もとで実施された行動調査がなぜ三五〇メートル圏内に限定されたのか。
(三) 科技庁告示第二〇号「試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則等の規定に基づき線量当量限度を定める件」第一一条に、「外部放射線に係わる線量当量は、一センチメートル線量とし」と記されている。しかし、住民等には実効線量当量(一センチメートル線量よりも低い値)が通知されている。これは法令違反ではないのか。
(四) 放射線審議会は一九八六年七月、「ICRP(国際放射線防護委員会)では、中性子の線質係数について今後も検討を続けていくこととしているので,わが国においてもICRPの検討の推移を見守っていくこととするのが適当である。しかしながら,暫定的な意味であるにしても,パリ声明において中性子の線質係数を二倍とすることとされているので,当面そのように行政的に指導することが望ましい。」との意見具申を行い、科技庁原子力安全局放射線安全課長通知(一九八八年一〇月一日)及び労働省労働基準局安全衛生部長通達(一九八九年三月六日)にこれが反映されている。
臨界事故の被曝に関しては、この意見具申の趣旨を踏まえ、これらの「通知」・「通達」の中性子線の評価のもとに、被曝した人々の健康への影響等を評価すべきである。行動調査の範囲の決定、被曝線量の推定、健康影響の評価、健康管理のあり方の検討等において、右記の意見具申の趣旨は生かされなかったと考えるがどうか。また、これらの「通知」・「通達」はどのように扱われたのか。「通知」・「通達」の中性子線の評価に従わなかった場合はその理由を明らかにされたい。
(五) ケメニー報告等にみられるとおりアメリカ合衆国で起こったスリーマイル島原発事故では、同国政府は集団線量による被害推定を行っている。しかし、政府は、JCO臨界事故について「集団線量は事前評価に用いるべきもので、臨界事故の被害推定に適用するのは不適切」と判断した。この判断の科学的根拠および法的根拠を明示されたい。集団線量を事後の被害推定に適用できないとすれば、集団線量を事前の被害推定に適用すること自体が科学的・法的意味を持たなくなるが、政府としては集団線量そのものによる事故評価をやめる方針だと解釈してよいか。
(六) ガン等の晩発性の健康被害については、「直線非しきい値の線量関係」がICRP一九九〇年勧告その他で国際的に広く採用され、その考えに沿って政府も同勧告を国内法に取り入れてきた。そうした経緯によれば、「被曝した多数の人々の中に確率は低くても被害が発生する危険性がある」という考えにたって政府の対応はなされねばならない。「五〇ミリシーベルト以下なら影響は統計的に検出されない」(健康管理検討委員会報告)として、政府が広範囲の住民等の「線量推定」を行わず、集団線量の適用などによる住民等の被害推定をあえて行わないのは、「被曝による健康被害の危険性」を切り捨てることに他ならない。このような対応は、直線非しきい値の線量関係についてのICRPほか国際的に認められている立場に反するのではないか。
(七) アメリカ合衆国政府は二〇〇〇年一二月七日の大統領令一三一七九等で示しているとおり、核兵器工場で働いて被曝したと確認できる人(線量は不明な人も多い)でガンになった人に対して、健康被害を放射線の影響と認め、推定される被害者数を超える労働者を対象に補償を行っている。これは低線量被曝の被害はある個人に特定できず、集団全体を補償の対象としなければならなかったからである。従って臨界事故で被曝した人達の今後についても集団として同様の扱いがなされるべきであると考えるがどうか。
四 「事故はあり得る」と転換したことについて
二〇〇〇年版原子力安全白書では、「原子力は『絶対に』安全」とは誰にもいえない、などと「事故はあり得る」との立場にたっている。
これは、事故調査検討委員会最終報告が提言で述べた「原子力の『安全神話』や観念的な『絶対安全』」を「捨てられなければならない」こととした原子力政策の転換だと受け止めるが、どうか。この転換によって、原発が周辺住民をはじめ国民の命と健康を危険にさらすものと政府も認める立場となったと考えるがどうか。
これまで、こうした見解は、原発立地の現地住民をはじめ国民には示されてこなかった。「事故は起こらない」から「事故はあり得る」と認識を政府が転換したのであるなら、今までは国民を偽ってきたことになるがこの点はどうか。
右質問する。
政府答弁書
一の(一)について
御指摘の原子力安全委員会決定文の記載は、核燃料施設の安全性の審査に当たっては、核燃料施設安全審査基本指針(昭和五十五年二月七日原子力安全委員会決定。以下「基本指針」という。)を用いることとしつつも、核燃料施設の種類によってはその特質に即した事項を審査することで安全性の審査を客観的及び合理的に行うため、必要な場合には核燃料施設の種類に応じた個別の安全審査指針を設けることとする趣旨で決定されたものであって、すべての種類の核燃料施設について、また、個々の核燃料施設ごとに必ず個別の安全審査基準を策定することを義務付けるものではないところ、日本核燃料コンバージョン株式会社(現在の名称は、株式会社ジェー・シー・オーであり、以下「JCO」という。)の転換試験棟は、個別の安全審査基準の策定を要するような特質を有する核燃料施設ではない。
このため、右転換試験棟に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第十六条第一項の許可に際しては、基本指針を用いて審査を行ったが、御指摘のウラン加工施設安全審査指針(昭和五十五年十二月二十二日原子力安全委員会決定)の項目中には基本指針の内容を詳細かつ具体的に記載し、当該施設の処理するウランの濃縮度を問わずウラン加工施設一般に適用することが可能な項目が含まれていることから、審査に当たりウラン加工施設安全審査指針の一部を併せ用いて厳格な審査を行ったものである。
一の(二)について
JCOが原子炉等規制法第十六条第一項に基づいて昭和五十八年十一月二十二日付けで申請した核燃料加工事業に係る変更許可については、その申請内容を基本指針の指針十及び指針十一に照らして審査したところ、技術的にみて想定されるいかなる場合でも臨界を防止する対策が講じられていると判断されたことから、変更を許可したものであり、その処分に誤りはなかったと考えている。
なお、御指摘の沈殿槽については、核燃料物質の質量によって臨界が発生しないよう管理されていたものである。
一の(三)について
お尋ねの「無条件に」臨界事故を想定することの意味が必ずしも明らかではないが、加工施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する総理府令(昭和六十二年総理府令第十号。以下「府令」という。)第三条第二項により「臨界質量以上のウラン(ウラン二三五の量のウランの総量に対する比率が百分の五を超えるものに限る。)又はプルトニウムを取り扱う加工施設」に義務付けられる適切な措置は、安全確保に万全を期するため、当該施設における万一の臨界事故の発生を想定してのものである。
臨界警報設備の設置については、「誤操作等により臨界事故の発生するおそれのある核燃料施設については万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられていること」とする基本指針の指針十二により既に審査の対象とされていたことから、新たに指針類を整備する必要を認めず、また、JCOの転換試験棟その他の既存の施設においては、府令の制定前において、強い放射線が発生した場合に警報を発する機能を有するガンマ線エリアモニタが既に設置されていたことから、行政指導の必要性も認めなかったものである。
また、原子炉等規制法第十六条の二第三項第二号の加工施設に関する設計及び工事の方法の認可については、平成十三年一月六日前においては科学技術庁原子力安全局が事務を所掌し、同日以後においては経済産業省資源エネルギー庁原子力安全・保安院が事務を所掌している。
一の(四)について
JCO東海事業所において発生した臨界事故(以下「本件事故」という。)の際には、国は、初動において事故状況の正確な把握が十分できず、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)に基づく防災基本計画(平成九年六月十一日中央防災会議決定)に沿った指導及び助言を、本件事故が生じた東海村に対し適切に行うことができなかった。もっとも、東海村は、本件事故発生から約四時間半後に、事故現場周辺約三百五十メートルの範囲の住民に対して避難の要請を行っており、この判断はその後確認された放射線の測定結果からすると妥当なものであったと考えられる。
国は、本件事故における対応を反省し、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)においては、原子力事業者が選任する原子力防災管理者に対し主務大臣等への通報を義務付けているほか、原子力緊急事態が発生した場合には、直ちに内閣総理大臣が原子力緊急事態宣言を発出するとともに関係する自治体の長に避難のための立ち退き又は屋内への退避の勧告又は指示を行うべきこと等緊急事態応急対策に関する事項を指示することとしている。
一の(五)について
JCOの転換試験棟については、原子炉等規制法に基づく設計及び建設段階の許可、認可及び検査は適切に実施されていた。平成十一年法律第百五十七号による改正前の同法は操業開始後の検査制度を設けていなかったが、科学技術庁においては、JCOについて保安規定の遵守状況の調査を行っていたところである。
本件事故の原因は、JCOが許可と異なる作業手順を定め、違法な手順により作業を行ったことにあるが、政府としては、結果として本件事故が発生したことを重く受け止め、同法を改正し、施設定期検査及び保安検査の制度を導入したところである。
二の(一)について
一の(五)についてで述べたとおり、JCOの転換試験棟については、当時の原子炉等規制法に基づく許可、認可及び検査は適切に実施されていたが、本件事故はJCOが許可と異なる作業手順を定め、違法な手順により作業を行ったことが原因であり、その結果、放射線により従業者二名が死亡し、多数の周辺住民が避難することとなったものである。
二の(二)について
原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害の賠償については、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号。以下「原賠法」という。)において、原子力事業者は、文部科学大臣の承認を受けた原子力損害を賠償するための措置を講じていなければ原子炉の運転等をしてはならず、その原子炉の運転等の際に原子力損害を与えた場合には無過失の賠償責任を負うほか、政府は、原子力事業者の賠償すべき額が右の措置に係る額を超え、かつ、原賠法の目的を達成するため必要があると認めるときは、国会の議決により政府に属せられた権限の範囲内において、当該原子力事業者に対し損害を賠償するために必要な援助を行うものとされている。
原賠法は、原子炉の運転等と原子力損害との間の因果関係の立証については格別の規定を設けておらず、原子力損害の賠償を請求する場合には被害者が右因果関係の存在を立証すべきこととなるが、本件事故に関しては、右因果関係の簡易かつ迅速な認定に資することができるように、科学技術庁において開催された原子力損害調査研究会において、各損害項目について本件事故との間に相当因果関係が認められる範囲等に関し、基本的な考え方を整理、集約した報告書を取りまとめたほか、原賠法に基づき文部科学省に設置している原子力損害賠償紛争審査会において、公正かつ中立の立場から、原子力損害の調査及び評価を行い、これを踏まえて和解の仲介を行っており、これらは被害者の負担の軽減に役立っていると考えている。
二の(三)について
本件事故発生地点の周辺の住民の健康管理に関しては、文部科学省、茨城県、東海村及び那珂町が連携及び協力して、定期的な健康診断、健康相談及び心のケアの取組を無償で実施するとともに、健康診断の対象となる者が茨城県以外に転出した場合については、転出先で同様の健康診断が行われるよう茨城県において既に対応が行われているところである。
また、周辺住民の治療等に係る医療費については、当該治療等が本件事故との間に相当因果関係が認められるものであれば、原賠法第三条第一項の規定により、原子力事業者が損害賠償の責めに任ずることとなる。
これらのことから、本件事故に関し、現時点においては、お尋ねのような健康手帳に係る制度を設ける予定はない。
二の(四)について
原賠法に基づく原子力損害の賠償に関する事務については、文部科学省研究開発局原子力課が所掌している。
また、原子力災害が生じた場合における厚生労働省の役割としては、原子力災害対策マニュアル(暫定版)(平成十二年八月二十九日原子力災害危機管理関係省庁会議決定)に沿って関係省庁と共同して行う事後対策としての地域医療機関への助言及び指導等があるほか、業務上の事由又は通勤による労働者の疾病等について労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定に基づく保険給付の実施等がある。
三の(一)について
政府としても、国際放射線防護委員会の勧告等に照らし、御指摘の見解は妥当なものと考えている。
三の(二)について
原子力安全委員会臨界事故調査委員会第五回会合の資料に示されている周辺環境の線量評価の結果に基づいた周辺住民等の健康への影響について、原子力安全委員会健康管理検討委員会(以下「健康管理検討委員会」という。)においては、本件事故の発生から臨界終息までの間本件事故発生現場である転換試験棟の直近の敷地境界の屋外に居続けた場合を除き、急性の影響が現れることはなく、また、がんの増加などの確率的影響についても直ちに懸念する必要はないとしていた。その上で、御指摘の行動調査は、あくまで長期的な健康管理の取組を行うための基礎資料を作成する観点から行ったものであるところ、その対象者については健康管理検討委員会における右検討を踏まえ、避難を要請された周辺住民等の不安に対応することを考慮して、本件事故発生現場周辺約三百五十メートル以内の避難要請区域に滞在したことがある者を対象としたのであり、同区域外の住民等の行動調査を行うことは考えていない。
三の(三)について
御指摘の告示は、国際放射線防護委員会の新勧告について(意見具申)(昭和六十一年七月放射線審議会決定)において、原子炉等の設置及び運転等における放射線の管理においては、放射線の測定等の便宜の観点から、容易に測定が可能な一センチメートル線量当量を用いることができるとされたため、これによることとしたものである。一方、放射線を受けた個人の健康管理をより適切に行う観点からは、複雑な計算を行うことによって人体に対する放射線の影響を一センチメートル線量当量よりも正確に表すことができる実効線量当量の方が評価方法として適切であることから、本件事故現場周辺の住民等に対する通知においては実効線量当量を用いたものである。
三の(四)について
御指摘の通知及び通達は、中性子の被ばくによる影響の評価自体は維持しつつ、事業者に対し、従業者が受ける中性子の影響を仮に二倍に見積もったとしても法令の限度を超えないように当該原子力施設の放射線管理に努めるという目標を設定するもので、これらはいずれも厳しく放射線管理を行う努力をするよう事業者を指導する趣旨で発出されたものであるから、本件事故が周辺住民等の健康に与えた影響を評価するような場合においてまで、中性子の影響を二倍にして評価することを求める趣旨のものではない。
三の(五)について
原子力施設における事故の被害推定に当たり、どのような手法を用いて被害を評価すべきかについて規定した法令はない。
御指摘の集団線量による評価は、一定の集団が受ける放射線の量を集団として評価する手法であるところ、これは原子力施設における事故の発生による社会的な損害をその設計段階において推計し又は原子力施設の運転等に際し放射線防護の最適化を図るための事前評価の指標としては有用であるが、実際に事故が起きた場合の個々の被害を評価する場合にはこれを用いるのは適切ではないと考えている。健康管理検討委員会の検討結果も本件事故に係る集団線量の算出を行うことは適切ではないとしていることから、本件事故について集団線量による評価は行わないこととしたものである。
なお、右に述べた健康管理検討委員会の検討結果に照らしても、集団線量を事前の社会的損害推定又は放射線防護の最適化のための指標として用いることは適切な使い方であると考えている。
三の(六)について
本件事故に係る周辺住民等の推定被ばく線量は五十ミリシーベルト以下であり、これは、健康管理検討委員会における検討を踏まえ、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被ばく者のデータから判断すると、身体に放射線の影響が発生する可能性は極めて小さく、影響を検出することはできない線量であると考えられる。しかしながら、政府としては、御指摘の直線非しきい値の線量関係の仮定を踏まえて、周辺住民等の健康管理を行っているところである。
三の(七)について
原賠法により、本件事故による原子力損害の賠償責任はJCOが負っており、どのような範囲の者を対象として損害賠償が行われるかについては、JCOと被害者との間で決定されるべきものであるから、政府は答弁する立場にない。
四について
政府は、従来から、平成十二年版原子力安全白書の第一編で述べたように、「原子力は『絶対に』安全」とはだれにも言えないことから原子力の安全確保のためのたゆまぬ努力が不可欠であるとの認識に立って安全確保のために必要な取組を行ってきており、これまで政策を転換したことはない。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。