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今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける「商業用レコード」の定義と法律の適用範囲に関する質問主意書

衆議院 第159回 第33号

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2004年3月8日
内閣転送 2004年3月10日
答弁書受領日
2004年3月30日
提出から22日
答弁の項目数
3
質問 1,515字/答弁 2,113字

質問本文

川内博史    佐藤謙一郎

今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける「商業用レコード」の定義と法律の適用範囲に関する質問主意書

本年三月五日提出の「著作権法の一部を改正する法律案」(以下「法案」という。)に於いて、著作権法第一一三条の規定を変更し、日本国内外で合法的に生産された商業用レコードの日本国内への輸入を禁止する措置(以下「措置」という。)を創設するとのことであるが、現在の日本国内で流通している商業用レコードのうち日本国外で生産された輸入版の大多数は本法案の立法趣旨に言う「アジア地域での販売を目的とした日本語歌謡(いわゆる『邦楽』)を収録した商業用レコード」ではなく米国ないしヨーロッパで生産された日本語以外の言語による「洋楽」を収録したものである。前記の事実を踏まえ、本法案に於ける措置の対象たる「商業用レコード」の定義と法律の適用範囲について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一 日本国外に所在する商業用レコード生産者(以下「国外生産者」という。)が日本国内に設置している現地法人(以下「日本現地法人」という。)が国外生産者の製造になる商業用レコード(以下「洋盤」という。)と同内容の洋楽を収録した日本向け仕様の商業用レコード(以下「日本盤」という。)を発売していることを理由として日本国内への輸入または販売対象地域外への輸出を禁止する旨を洋盤に表示した場合も措置が適用されるのか。

二 一とは異なり、国外生産者より洋楽のライセンス供与を受けた日本国内の商業用レコード生産者(以下「国内生産者」という。)の意向により、国外生産者が販売地域から日本を除外する旨を表示した場合(発売ないし出荷後に同様の旨を記載したシール等を貼付する場合を含む。)も措置が適用されるのか。また、こうした行為は洋楽を収録した輸入盤を取り扱う並行輸入事業者の事業活動に対する妨害行為に当たり、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第一九条(不公正な取引方法の禁止)一般指定第一五項(競争者に対する取引妨害)に該当するのではないか。

三 現在の日本国内で流通している洋楽の音楽用コンパクトディスク(以下「音楽用CD」という。)の輸入盤と、輸入盤と同内容の日本盤を比較した場合に国外生産者の意向によりその日本現地法人もしくは国外生産者よりライセンス供与を受けた国内生産者が発売する日本盤は音楽用CDの規格に準拠していない「コピーコントロールCD」(以下「CCCD」という。)と称する仕様で発売されているのに対し、米国並びに英国で生産された輸入盤に関しては音楽用CDの規格に準拠した仕様で発売されている事例が見られる。このように、日本とそれ以外の地域によって明らかに異なる規格で発売されているものに関しても「同一内容の音楽用CD」として措置が適用されるのか。なお、CCCDに関してはその仕様が音楽用CDの規格に準拠していないため過去に発売された再生機器はCCCDの再生を想定して設計されておらず、再生機器の生産事業者は正常な再生を保証していない場合が多い。そのため、CCCDの再生が再生機器の故障を誘発する原因となる恐れが指摘されており,消費者の間では再生機器の故障を回避することが輸入盤を購入する動機の一つとなっている状況も見られ、仮に措置が適用された場合はCCCDの再生により再生機器の故障を誘発するリスクを回避するため音楽用CDの規格に準拠した輸入盤を購入するという選択肢を消費者から奪い、結果的に前述のリスクを全て消費者が負うことが当然に予想されるところである。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

今国会に提出している著作権法の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)第百十三条第五項の規定により保護を受ける著作権者又は著作隣接権者(以下「権利者」という。)には、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号。以下「法」という。)第六条に規定する著作物を創作した著作者、法第七条に規定する実演を行った実演家又は法第八条に規定するレコードを製作したレコード製作者が含まれ、日本国民(我が国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を含む。)だけではなく、外国人や外国法人も含まれているところである。

法案第百十三条第五項においては、商業用レコードを輸入する行為等が著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる要件として、�@権利者が、国内において頒布することを目的とする商業用レコード(以下「国内頒布目的商業用レコード」という。)を自ら発行し、又は他の者に許諾を与えて発行させていること、�A権利者が、当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであって、専ら国外において頒布することを目的とするもの(以下「国外頒布目的商業用レコード」という。)を、国外において自ら発行し、又は他の者に許諾を与えて発行させていること、が規定されている。

お尋ねの商業用レコードの国外生産者が、自ら権利者としてその日本現地法人に日本盤を発行させている場合において、当該日本盤と同一の洋盤を日本国内への輸入を禁止する旨を表示して、国外において発行している場合には、前記の要件を満たすこととなる。また、当該国外生産者が、権利者の許諾を受けて、その日本現地法人に日本盤を発行させている場合において、当該日本盤と同一の洋盤を当該権利者の意向を受けて、日本国内への輸入を禁止する旨を表示して、国外において発行している場合においても前記の要件を満たすこととなる。

ただし、法案第百十三条第五項においては、前記の要件に該当する商業用レコードを輸入する行為等のすべてが著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされるものではなく、国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることによって、国内頒布目的商業用レコードの発行により権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限り、著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされることとされているところである。お尋ねの場合については、例えば、日本盤に比べて著しく安価な洋盤が国内において頒布されることにより権利者の得ることが見込まれる利益が著しく減少することとなるような場合には、法案第百十三条第五項が適用され、著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされることとなる。また、日本盤が国内において最初に発行された日から起算して七年を超えない範囲内において政令で定める期間(この法律の施行の際現に日本盤が日本国内において発行されている場合には、この法律の施行の日から七年を超えない範囲内において政令で定める期間)を経過した後、当該日本盤と同一の洋盤を輸入する行為等については、法案第百十三条第五項ただし書(又は法案附則第三条)の規定により同項の措置の対象外となる。

二について

お尋ねのように、国内生産者の意向を受けて、権利者である国外生産者が日本盤と同一の洋盤を日本国内への輸入を禁止する旨を表示して、国外において発行している場合においても、一についてと同様に、法案第百十三条第五項が適用される。

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)第二十一条においては、著作権法による権利の行使と認められる行為には独占禁止法の規定は適用しないとされており、法案第百十三条第五項に基づく著作権又は著作隣接権の行使が、独占禁止法第二十一条における著作権法による権利の行使と認められる場合には、独占禁止法第十九条の規定に違反することにはならない。このことは、お尋ねのように、国内生産者の意向を受けて、権利者である国外生産者が販売地域から日本を除外する旨を表示する場合についても同様である。

三について

法案第百十三条第五項に規定する「同一」とは、その収録されている音楽が同一であることを意味しており、国内頒布目的商業用レコードが、お尋ねの音楽用CDの規格に準拠していない「コピーコントロールCD」と称する仕様で発売され、国外頒布目的商業用レコードが音楽用CDの規格に準拠した仕様で発売されていることをもって、法案第百十三条第五項に規定する同一の商業用レコードに該当しないこととなるものではない。

なお、一についてで述べたように、法案第百十三条第五項においては、国外頒布目的商業用レコードを輸入する行為等のすべてが著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされるものではなく、国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることによって、国内頒布目的商業用レコードの発行により権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限り、著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされることとされているところである。

衆議院の原文

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