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消費税の総額表示方式の義務化に関する質問主意書
衆議院 第159回 第7号お答えすることは困難 ×1
質問本文
第一五六回国会で成立した所得税法等の一部を改正する法律で定められた消費税の総額表示方式の義務化(内税化)について、政府に以下を質問する。
一 消費税を総額表示方式とした目的は何か。また、消費税の導入から十五年が経過した今になって、消費税の総額表示方式を義務化しなければならなかった理由は何か。またその必然性はどこにあったのか。デフレを促進させ、企業に混乱と負担を強いる消費税の総額表示方式の義務化は先送り、または凍結すべきではないか。
二 消費税の総額表示方式の義務化は物価を下げ、デフレを促進させるのではないか。
1 弱い立場の業者や商品は消費税を上乗せできず、事実上の値引きをせざるを得なくなるのではないか。
2 これまで認められてきた税抜表示方式で九八〇円となっていた商品を、総額表示方式で一〇二九円と広告しても、これまでと同じように売れると考えているのか。総額表示方式で九八〇円になるように値引きせざるを得なくなるのではないか。
3 政府として消費税の総額表示方式の義務化により、物価は下がるとみているか。もしみているのならば、物価を何%程度下落させるとみているか。
三 消費税の総額表示方式の義務化にあたっての、値札等の変更やパソコンソフトの入れ換えなど企業側のコストはどの程度とみているか。
四 四月一日に総額表示方式に切り替えができない企業もでてくるのではないか。その場合にはどうするのか。切り替え指導・支援等は行っているのか。
五 総額表示方式を契機とする不当な値引き要請等に対する公正取引委員会の監視体制は十分か。
六 総額表示方式によるコスト増や値引き要請などで苦しむ中小企業対策は十分か。中小企業向けの制度融資や優遇税制、各都道府県に相談窓口設置などの対策は行っているか。
右質問する。
政府答弁書
一について
消費税及び地方消費税は、事業者を納税義務者とし、取引の各段階でその売上げに対して課税されるが、消費税額及び地方消費税額の合計額(以下「消費税額等」という。)に相当する額は、コストとしてその取引に係る資産又は役務の価格に織り込まれて、最終的には消費者に転嫁されることが予定されている税である。したがって、個々の取引に際して事業者が消費者から受領する消費税額等相当額は、資産又は役務の価格の一部を構成するものであり、このような税の性格や仕組みからすれば、消費者に対する価格の表示に際しては、最終的な支払総額である消費税額等相当額を含めた価格(以下「税込価格」という。)が表示されること(以下「総額表示」という。)が望ましいと考えられる。
しかしながら、消費税の創設時においては、この種の税が我が国になじみの薄い税であり、転嫁についての事業者の不安や便乗値上げについての消費者の懸念があったことなどから総額表示は義務付けず、価格表示の方式の選択については、各事業者にゆだねることとされたところである。このため、現在、価格表示については、消費税額等相当額を含まない価格(以下「税抜価格」という。)の表示が多く見受けられる状況にある。
この結果、価格表示を巡っては、消費者にとって、税抜価格の表示では最終的な支払総額が分かりにくい、あるいは税抜価格の表示の店と税込価格の表示の店が混在し、価格の比較がしづらいというような問題が生じている。また、我が国の消費税と同様の付加価値税制度を採用する英国、ドイツ、フランスなどの国における消費者に対する価格表示は、付加価値税額相当額を含めた支払総額を表示することが法令等で義務付けられている。このような状況を踏まえ、税制調査会の消費税創設以降の累次の答申において、消費者に対する価格表示の在り方については総額表示が望ましい旨の指摘がなされてきたところである。
このため、平成十五年度税制改正において、消費税制度が創設から十四年程度を経過し、国民の間に定着してきたことを踏まえ、中小事業者に対する特例措置の見直し等と併せ、総額表示を義務付けることとしたところである。総額表示の義務付けを円滑かつ着実に実施していくことが消費税制度に対する国民の理解を深める上で重要であると考えられ、その実施時期の延期又は凍結を行うことは適当でない。
二について
総額表示の義務付けは、税込価格の表示を求めるものであり、税抜価格で表示されていた場合における消費者の支払総額(税抜価格に消費税額等相当額を加えた金額)の変更を求めるものではない。また、従来の税抜価格の表示を総額表示に変更した場合においても、引き続き従来の税抜価格を併せて表示することも可能である。
政府としては、事業者及び消費者に対し、総額表示の義務付けの趣旨及び内容等について理解が深まるよう広報等に取り組むとともに、事業者間取引において、総額表示の義務付けを契機として優越的地位の濫用により不当な値引き要請等がある場合については、五についてで述べるとおり厳正に対処することとしており、総額表示の義務付けに起因して、御指摘のように従来に比べて転嫁が困難になり、又は値引きをせざるを得なくなるという事態が生ずることのないよう努めているところである。
したがって、総額表示の義務付けにより、消費動向全体に大きな影響を与え、物価の引下げやデフレの促進を招くことになるとは考えていない。
三について
総額表示の義務付けに対応するために事業者が行う値札等の変更やパソコンソフトの入替えなどのコストがどの程度であるかについては、事業者の業種、業態又は販売する商品の種類等により対応が異なること、また、個々の事業者の事情により具体的にどのような対応を行うのかがまちまちであることなどから、具体的に見込むことは困難である。
四について
政府としては、関係団体等の協力を得ながら、総額表示の義務付けが実施される本年四月一日までにその対象となる事業者すべてにおいて値札の切替え等の対応が円滑に実施されるよう、広報、相談等を通じた支援、指導等を行ってきているところである。なお、仮に、本年四月一日以降において総額表示の義務付けに伴う対応を行っていない事業者がある場合には、指導等を通じて適切な対応が行われるよう取り組んでまいりたい。
五について
総額表示の義務付けに伴い、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)に違反する優越的地位の濫用が行われることのないよう、公正取引委員会において、平成十五年十二月に独占禁止法及び関係法令上の考え方を公表し、これを小売業者及び納入業者に周知しているところである。
さらに、小売業者と納入業者との取引における優越的地位の濫用について把握するため、小売業者及び納入業者に対するアンケート調査を平成十六年二月から実施しているところであり、独占禁止法等に違反する行為に対して厳正に対処することとしている。
六について
中小事業者からの税務に関する相談については、従来から、全国の商工会議所及び商工会において相談及び指導が行われている。また、中小事業者からの独占禁止法等に関する相談については、全国の商工会議所及び商工会において相談を受け付ける体制が整備されているほか、公正取引委員会及び中小企業庁において、小売業者と下請事業者との取引について調査を実施し、下請代金支払遅延等防止法(昭和三十一年法律第百二十号)に違反する行為が認められた場合には厳正に対処することとしている。さらに、平成十五年度予算において、中小事業者が総額表示の義務付け等の消費税制度の改正内容について理解し、これに円滑に対応できるよう、全国の商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、商店街振興組合等における講習会の開催、税務相談等の実施並びにパンフレット、ポスター等の作成及び配布を行うための措置を講じている。
税制については、平成十五年度税制改正において、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例やIT投資促進税制が措置されており、総額表示の義務付けに伴い中小事業者がレジスターを買い換える場合やレジスターシステムのソフトウェアを入れ替える場合にもこれらの措置を利用できることとなっている。また、融資については、政府系金融機関において各種貸付制度を整備し、資金繰りが苦しい中小事業者への資金供給の円滑化を図っている。
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