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障害者自立支援法に基づく制度の改善に関する質問主意書

衆議院 第165回 第229号お答えすることは困難 ×2検討してまいりたい ×8

提出者
日本共産党
提出日
2006年12月11日
内閣転送 2006年12月13日
答弁書受領日
2006年12月19日
提出から8日
答弁の項目数
26
質問 6,647字/答弁 8,426字

質問本文

障害者自立支援法は、四月に一部施行され、十月一日に本格的に施行された。

障害者が福祉サービス等を利用した場合の自己負担が応能から応益に変わり、一割を負担する「定率負担」が導入された上、食費や光熱水費などについても実費負担することとなった。

法施行後八ケ月を経過し、障害者と家族からは、「負担額が大幅に増え、とても耐えられない」という切実な悲鳴が上がり、生活不安や制度に対する疑問の声が拡がっている。将来の生活を苦にした親子の無理心中事件も起き、関係者に衝撃を与えている。

障害者団体の調査では、負担の大幅増に伴いサービスの利用を断念せざるを得ない多くの障害者がいることが明らかになっている。

また、障害者程度区分によって施設入所等の対象者が限定され、施設を退所せざるを得ないという事態も生じている。

障害者自立支援法は、その目的である「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現」に逆行し、障害者の自立への道を閉ざし、障害者の生活と権利を脅かすものとなっている。

障害者自立支援法の施行に伴う影響について国自らが全国の実態を調査し、速やかに制度の改善を図ることは喫緊の課題であると考える。

従って、以下の事項について質問する。

一 障害者自立支援法施行に伴う影響の実態調査について

1 新たな利用者負担、報酬体系の導入等の影響により、障害者及びその家族や施設、事業者などから多くの深刻な不安の声が上がっている。利用者負担増による利用停止や利用抑制がある。また、事業者についても減収による事業経営の困窮、事業の廃止などが起こっている。国は、二〇〇六年六月十五日付の質問主意書(第一六四回国会第三六七号)に対する答弁書で、障害者自立支援法施行後の実態調査について、「今後、関係者の協力を得つつ、内容に応じ、適時適切にその把握に努めてまいりたい」と答弁し、今国会の厚生労働委員会等における質疑なども受け、サービスの利用状況の実態調査に着手した。都道府県を通じ地域の施設に回答を求めた「施設利用者状況調査票」は、月毎の施設の退所者数、通所サービスの利用抑制者数等を所得区分別・退所等理由別に把握するものとなっている。この調査の結果はいつ公表されるのか。

また、この調査においては精神障害者関係サービス、障害児関係サービスが対象となっていない。こうしたサービスについても同様の調査を実施すべきと考えるが、政府の意向を伺いたい。

2 調査の実施は実態把握の第一歩であるが、調査項目が限定的であり、全体像の把握にならないと考える。利用者負担の導入によって負担増になった利用者数、個別の負担の実情、報酬の見直しによる事業者への影響及び事業所の職員の給与などの就労条件への影響、報酬設定等を受けての事業者の参入・廃止状況など、詳細に調査すべきと考える。こうした調査の実施について、政府の見解を伺いたい。

二 利用者負担の見直しについて

1 全国的な実態調査の結果は示されていないが、障害者自立支援法の施行に伴う深刻な影響は明らかである。応益(定率)負担の導入と食費、光熱水費の実費負担化による負担増のため、長年過ごしてきた施設を退所せざるを得ない、通所授産施設への通所を断念せざるを得ないなど、障害者とその家族が必要なサービスを受けられない重大な影響が出ている。政府は、障害者団体をはじめ地方公共団体等から聞きおよんでいると思うが、この深刻な事態を招いた障害者自立支援法について、現状においてどのような認識をもっているのか伺いたい。

2 定率負担制度においては、障害の重さに応じたサービス利用量が増加するほど、利用者の負担が重くなる。利用者にとっては日常生活を営むために必須のサービスを受けるに過ぎないにもかかわらず、障害の重さに応じたサービス量の増加によって負担が増すことは、利用者である障害者の自立に悪影響を及ぼすものである。所得段階に応じた利用者負担上限額設定とは別に、サービス利用量の多い重度障害者に配慮した利用者負担上限額制度を設けるべきと考えるが、政府の見解如何。

3 低所得者対策として、所得に応じた四段階の利用上限額の設定、食費等に対する補足給付、その他個別減免措置など、利用者の軽減策が講じられているが、負担の重さを訴える声は大きい。低所得者の利用上限額の大幅な引き下げなど更なる低所得者対策を講じるべきであると考えるが、政府の見解を伺いたい。

4 個別減免等のための所得認定にあたっては、世帯の所得が算定される。政府は世帯の範囲について一定の措置をとっているが、すべての利用者について、個人の所得のみを算定すべきと考えるが、政府の見解如何。

5 障害者の保護者は多くの場合若年であり、負担能力が低く、サービス利用料の負担が重荷となっている。特に、障害児施設に入所する場合、特別児童扶養手当も支給されず、負担ばかりが過重となり、退所を余儀なくされるということが生じている。障害児が療育の場から離れることは、その後の発達・成長に大きな打撃を与えることになる。政府は、障害児施設の利用者について、「特段の利用者負担緩和措置を講じ、在宅の場合と同程度までの負担とした」としているが、障害児については特別の支出も伴い、その負担が継続的に続くために家計への負担が重くなる。

従って、障害児施設の利用に関しては、更なる負担軽減策が必要と考える。この点についての政府の見解を伺いたい。

6 施設やグループホームの利用料は、利用者の所得と貯金等の条件に応じて個別減免が行われるが、預貯金等の上限額は三五〇万円とされている。その際、本人名義の信託や年金保険等についてのみ、預貯金等の対象から除外される。

所得の算定にあたっては世帯で算定されることが多いにもかかわらず、預貯金等の算定においては家族が障害者のために保有している信託等を除外対象としないのは、世帯の見方について一貫性に欠けると考える。

預貯金等の上限額と預貯金等の範囲について、障害者の生活実態に見合った額、範囲とすべきと考えるが、政府の見解如何。

また、預貯金等の調査にあたっては、個人のプライバシーにかかわることであり、行き過ぎた調査にならないように十分な配慮が必要と考えるが、政府の見解如何。

7 法施行後、地方公共団体においては、厳しい財政事情の中で、独自に利用者負担に対する軽減策等を取らざるを得ない状況が生まれている。一方で、軽減策等を取れない地方公共団体もある。このように、市町村によって対応が異なり格差が生じている現状について、政府の見解を問う。

8 授産施設などにおいては、工賃が支払われているが、法施行後、利用料等が工賃を上回り、施設利用の意欲が阻喪するとの指摘がある。政府は、本年八月、「障害者自立支援法の円滑施行に向けて」(以下「円滑施行策」という。)で、「工賃控除の拡充等」の対策を講じているが、それが実効性のある対策とは思われない。就労意欲を高め、障害者の自立を促進するために、工賃が手元に残るようにすることなど、本格的な対策を講ずるべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。

三 事業者に対する報酬、指定基準について

1 事業者に対する報酬は、従来月単位で設定されていたが、障害者自立支援法施行後においては、利用状況にあわせた日払いになり、しかも報酬の設定水準が従来と比べ低いために、障害者の地域生活を支える事業者の収入は減り、経営が不安定となるだけでなく、事業を継続することが難しくなっている状況が生じている。良質なサービスの提供を安定的に維持・持続させるために、グループホーム、ケアホーム等における入院・外泊に係る報酬上の取扱について、政府は、「通所施設が行う通所以外の支援等」の「円滑施行策」をとったが、このようなびほう策でなく、従前の月単位に戻すなどの措置を講ずべきと考えるが、政府の見解を問う。

2 事業の指定基準における人員配置等の要件が高く、小規模作業所などは、新体系に移行するのが困難である。一方、人員配置等の基準が低く、利用者に対し十分なサービスを提供することができないとの指摘がある。例えば、新しい職員の配置基準は、多様で個別的な支援が必要な知的障害者の場合、適切なサービスができない。安心して利用できるようにすべきである。

そのためには、政府が、「円滑施行策」で示した「通所施設の定員規制緩和の経過措置」ではなく、配置基準の見直しを検討すべきである。その場合には、利用者の負担増にならないようにすべきと考える。これらのことについての政府の見解を問う。

四 障害程度区分の見直しについて

1 サービス量などの決定にあたって勘案される障害程度区分に関しては、その認定方法は、介護保険制度の要介護度を基本にしたものであるために、知的障害者や精神障害者の「程度区分」、「障害程度」を適正に判定することが著しく困難である。

政府は、「円滑施行策」で、若干の対策を講じているが根本的な解決にはならないと考える。

適正な判定を行うためには、知的、精神障害等の障害特性やニーズを十分に考慮したものとするよう抜本的に見直すべきである。政府の見解を伺いたい。

2 障害程度区分により、画一的にサービスの利用制限を行うのではなく、一人一人のニーズに応じた支給決定の仕組みにすべきであると考えるが、政府の見解を伺いたい。

3 高度の支援が必要な重度障害者の重度訪問介護、行動援護サービスは、介護保険制度の要介護度を基本にした障害程度区分等によって判定されるために、障害程度が低い結果となり対象者が限定される。障害が重く、更にサービスが必要であるにもかかわらず、その対象とならない者がでている。障害程度区分を判定する基準は、「重度訪問介護は外出時の介護を含むが、判定項目の聞き取りは居住内が想定されている」、「行動援護では該当項目が月一回あっても〇点にしかならない」等、地域の実情とかけはなれた、厳しい内容となっているとの指摘がある。これについての政府の見解を伺いたい。

4 重度障害者の重度訪問介護、行動援護サービスの対象者の判定基準については、対象者の条件を緩和するなどの見直しを行い、必要な人が必ずサービスを受けることができるようにすべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。

五 就労支援について

障害者自立支援法の目的及び趣旨には、障害者の就労支援の強化が謳われている。

企業への就労支援の施策を強めることは重要なことであるが、同時に、働き方の多様性を認めて、企業のみならず授産施設等においても、障害者が働けるように働く場を拡充させる方策を講ずべきであり、この点で、政府の「円滑施行策」の就労支援の対策は、極めて不十分なものと考えるが、政府の見解を問う。

六 地域生活支援事業について

1 小規模作業所は、無認可の通所施設でありながら、障害者の日中活動の場として、大きな役割を担ってきた。しかし、新制度においては、地域活動支援センター(地域生活支援事業)に移行することになるが、これに係る運営は裁量的経費によることとしており、この事業遂行の確実性、持続性、更には地域格差について不安の声が上がっている。これについての政府の見解を伺いたい。

2 地域生活支援事業への国の予算が余りにも少ないので、適切な規模の予算措置を講ずるべきであるとの強い意見があるが、政府の見解を問う。

七 九州・沖縄県等の地方議会の意見書及び地方自治体の要望書について

1 本年四月、障害者自立支援法の施行後、同法の見直し等についての地方議会の意見書がどれくらい出されているのかは、法制度の見直し等を検討する上で重要な要素と考える。

例えば、福岡県北九州市議会、同県大牟田市議会、同県遠賀郡水巻町議会、大分県県議会をはじめ、埼玉県川口市、同県春日部市、同県蕨市、新潟県新潟市議会、福島県相馬郡新地町議会、岐阜県高山市議会、同県下呂市議会等から、障害者自立支援法の抜本的改正、同法の見直し、障害者自立支援制度の充実等を求める意見書が、衆参の両院議長及び政府に対して提出されている。

従って、これまで全国の地方議会から地方自治法第九十九条に基づく意見書が何件提出されているのか、都道府県別に明らかにされたい。

2 熊本県、長崎県、長崎市及び長崎市議会などからは、障害者自立支援制度の充実・強化等を求める要望書が政府に対して提出されている。前記理由により法施行後、全国の地方公共団体及び地方議会から何件の要望書が提出されているのか、都道府県別に明らかにされたい。

八 障害者自立支援法の境界層該当者の取扱について

1 障害者福祉サービスを利用している障害者が、応益負担の導入による過重な負担のために、サービスの利用はもとより生活が困難となり、障害者自立支援法の制度に基づいて国の実施している境界層減免の措置を受けようとする場合には、「境界層該当者」になることが要件とされている。そのためには、当該市町村において生活保護申請書を提出することになっている。障害者の方々は、生活保護を受ける意思がないにもかかわらず、障害者自立支援法の境界層減免の措置を受けるのに、何故、生活保護と同内容の書類申請をしなければならないのか、プライバシーに関わることであり、絶対に納得できないとしている。

そこで、生活保護申請書ではなく、「境界層減免申請書」を作成すべきではないか。

2 また、審査にあたっては、生活保護申請と同様に、資産調査、扶養照会など厳しいチェックが実施されている。扶養照会や資産調査は省略して、所得調査によって「境界層該当者」としての判定はできないのか。また、一度、「境界層該当者」と判定されても、毎年、同様の申請と審査を行うことが義務とされているが、一度、判定されたらその後は、各自治体の裁量に委ねるなどの対応にすべきではないのか。

九 障害者自立支援法の根本的見直し等について

1 政府は障害者自立支援法の施行にあわせて、障害者(児)施設入所者を地域生活に移行させるとしている。「平成二十三年度末時点の施設入所者数を七パーセント以上削減することを基本としつつ、地域の実状に応じて目標を設定する」との方針を打ち出しており、地方自治体は、この方針に基づいて、二〇〇七年度の社会福祉施設(障害者・障害児関連施設)整備方針を作成している。文言に「地域の実状に応じて」とはあるものの、国が入所者数削減の方針を出すということは、「増やすべからず」と地方自治体は受け止めがちであり、「入所者締め出し」の方向に向かうことを非常に危惧する。政府はこの方針が入所者を締め出すことになるとは考えないのか、入所者を締め出すことにならないというならその根拠と理由を明確にされたい。

2 この方針の基に整備を進めようとすれば、施設入所者の減少、それに伴う障害者(児)施設に係る国の予算の削減が想定されるとの懸念が指摘されている。

現在でも、障害者(児)施設の整備は充分とは言えず「入所したくても入所するところがない」と、入所を断念せざるを得ない障害者(児)が少なくない。

こうした待機者解消のためにも、むしろ早急な施設の整備こそ必要であると考えるが、政府の見解如何。

3 従って、いわゆる「削減目標」については、再検討して取り消すべきであると考えるが、政府の見解如何。

4 障害者自立支援法は施行後三年を目途として見直すこととされている。現状においては、一定の経過措置等が講じられているにもかかわらず、法施行後多くの混乱が起きている。政府は、障害者の自己負担を一時的に軽減する措置等を講ずるとの方針を決め、補正予算において、具体化すると報道されているが、その内容を明らかにされたい。

5 この措置によってサービス利用者は、どのくらい増加するものと試算しているのか。

6 法施行後の深刻な事態を考慮すれば、政府が行う更なるびほう策ではなく、障害者自立支援法による制度全体を根本的に見直す必要があると考える。三年を待つことなく、障害者自立支援法の見直しに向けて直ちに検討を開始すべきである。これについての政府の見解を問う。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

お尋ねの調査については、指定知的障害児施設等(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十四条の二第一項に規定する指定知的障害児施設等をいう。)の利用状況も含めて現在実施中であり、その結果を具体的にいつお示しできるのかについては、地方自治体からの回答状況にもよるものであり、お答えすることは困難である。また、障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号。以下「法」という。)附則第四十八条の規定によりなお従前の例により運営をすることができることとされた精神障害者社会復帰施設については、法第五条第一項に基づく障害福祉サービス(以下「障害福祉サービス」という。)に要する費用の一割を利用者が負担することを原則とする仕組みを導入していないことから、調査の対象としていないところである。

一の2について

政府としては、調査に要する膨大な事務負担をかんがみれば、現時点において御指摘のような詳細な調査を実施することは困難と考えており、引き続き、介護給付費等(法第十九条第一項に規定する介護給付費等をいう。)のデータの分析や地方自治体に対するヒアリング等を通じて、できる限り、利用者や事業者の実態の把握に努めてまいりたい。

二の1について

法は、旧支援費制度においてサービスを利用していない障害者が多数存在した状況を踏まえ、障害の種別にかかわらず、より多くの障害者がサービスを受けられる仕組みとするため、サービスの利用量に応じた負担を求める仕組みに改めたものであり、こうした法の目指す方向性については、おおむね賛同が得られているものと認識している。

なお、政府としては、法の円滑な施行に万全を期すことが重要であると考えており、このため、関係者からの御意見等を踏まえつつ、法の趣旨に沿った必要な措置を検討してまいりたい。

二の2について

障害福祉サービスについては、そのサービスに要する費用の一割を利用者が負担することを原則としつつも、支給決定障害者等(法第五条第十七項第二号に規定する支給決定障害者等をいう。以下同じ。)の家計に与える影響等の事情をしん酌して負担の上限額を設定するなど、きめ細やかな負担軽減措置を講じているところである。

利用者負担の上限額は、むしろ、サービスの利用量が多い重度障害者であっても負担額が過度に大きなものとならないよう設けられたものであり、負担軽減の仕組みとして、重度障害者にも十分配慮しているものと考えている。

二の3について

利用者負担については、二の2についてで述べたとおり、低所得者にも配慮した仕組みとしているところである。一方で、現在、関係者から利用者負担の軽減を求める御意見等をいただいているところであり、今後、こうした御意見や法の実施状況に関して得られたデータ等を踏まえ、必要な措置を検討してまいりたい。

二の4について

利用者負担の上限額については、一般に世帯が社会生活上の単位として住居及び生計を共にする者の集まりであることから、利用者における負担能力に応じた負担の軽減を図るに当たり、同一世帯の他の構成員の所得の状況が考慮されるべき重要な要素であると考えられることにより、障害福祉サービスを利用する障害者と同一の世帯に属する者の所得に基づいて設定することとしている。

二の5について

障害児施設を利用する障害児の保護者の負担については、障害児を養育する世帯に保護者の年齢が若い世帯が多いことにかんがみ、負担軽減措置の対象を拡大するなど、特に配慮を行っているところである。

しかしながら、現在、関係者から更なる利用者負担の軽減を求める御意見等をいただいているところであり、今後、こうした御意見や法の実施状況に関して得られたデータ等を踏まえ、必要な措置を検討してまいりたい。

二の6について

障害福祉サービスについては、そのサービスに要する費用の一割を利用者が負担することを原則としつつも、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)に基づく障害基礎年金のみで生活している者等資産が少ない者に配慮して、障害者自立支援法施行令(平成十八年政令第十号)附則第十一条の規定に基づき負担の上限額を減額する措置(以下「個別減免」という。)を講じている。

個別減免を適用するに当たっての預貯金等の額の基準については、そもそも個別減免が負担能力が低い者の負担をより軽減するために設けられている仕組みであることを踏まえ、同様に低所得者に対して配慮を行っている租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第三条の四の規定により読み替えられた所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第十条の規定に基づく障害者等の少額貯蓄非課税制度における非課税限度額等を参考として設定したものであり、妥当な水準と考えている。

また、個別減免の適用に際して、障害者の預貯金等の状況を確認することとしているが、飽くまでも、個別減免の適用を受けようとする者自らの申請に基づき実施しているものであり、プライバシーを侵害するものではないと考えている。

なお、本人名義の信託や年金保険等の資産については、資産を利用できる状態となった際に、負担能力を認定することが適当であることから、個別減免を適用する際の預貯金等の範囲に含まないこととしているものである。

二の7について

障害福祉サービスについては、そのサービスに要する費用の一割を利用者が負担することを原則としつつも、支給決定障害者等の家計に与える影響等の事情をしん酌して負担の上限額を設定するなど、きめ細やかな負担軽減措置を講じているところである。こうした措置に加えて、一部の地方自治体においては、地方自治体のみの財源により、利用者負担の軽減を含む様々な措置が講じられていると承知しているが、これらは、各地方自治体が地域の実情を踏まえて判断したものと考えており、御指摘のような格差と評価されるべきものではないものと認識している。

二の8について

就労継続支援事業(法第五条第十五項に規定する就労継続支援を行う事業をいう。以下同じ。)等の利用に関しては、利用者負担等の合計額が工賃を上回るとの御指摘があることは承知しており、今後、障害者の就業意欲をさらに高める観点から、関係者からの御意見や法の実施状況に関して得られたデータ等を踏まえ、必要な措置を検討してまいりたい。

また、そもそもの工賃水準が低いということも問題であると考えており、障害者の就労継続支援事業等の利用の際の工賃の引上げのために、就労支援策の充実に積極的に取り組んでまいりたい。

三の1について

障害福祉サービスを提供する事業者に対する報酬については、障害者の障害の程度やそのニーズに応じた適切な支援が行われるよう、サービスの内容や特性に応じて単価を設定するとともに、その支払方式については、日々の利用実績は問わずに毎月一定額を支払う月払方式から、日々の利用実績に応じた日払方式に改めたところである。これにより、利用者が日ごとに複数のサービスを組み合わせて利用することができるなど、利用者本位の仕組みとなるものであり、月払方式へ戻すことは考えていない。

なお、日払方式の導入に当たっては、利用者の入院又は外泊等を勘案した上で報酬単価を設定すること等の配慮に加え、一定の条件の下で定員を超えた利用者の受入れを認めること等積極的な規制緩和を進めることにより、柔軟かつ円滑な事業運営が可能な制度としているところであるが、一部には、日払方式に直ちに対応できない事業者もみられることから、関係者からの御意見や法の実施状況に関して得られたデータ等を踏まえ、必要な措置を検討してまいりたい。

三の2について

障害福祉サービスに関する人員配置基準については、旧支援費制度における人員配置基準を踏まえつつ、適切なサービスを提供する観点から、サービスの内容や特性に応じて最低限必要な員数を設定しているところであり、現段階において、人員配置基準を見直すことは考えていない。

四の1について

障害程度区分(法第四条第四項に規定する障害程度区分をいう。以下同じ。)については、介護保険における要介護認定(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第十九条第一項に規定する要介護認定をいう。)を行う際の七十九の調査項目に、知的障害者(知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)にいう知的障害者をいう。)のうち十八歳以上である者及び精神障害者(法第四条第一項に規定する精神障害者をいう。)を含めた障害者の特性をより反映させるため新たに設定した二十七項目を追加した合計百六の項目について調査を行い、さらに、法第十五条に規定する市町村審査会において医師の意見等を踏まえて総合的に検討した上で、認定を行う仕組みとしたところである。

また、認定調査員に対する研修を制度化し、認定調査員の質の向上を図っているほか、障害程度区分の認定の参考となるよう障害程度区分の判定事例等を地方自治体に情報提供したところであり、こうした取組により、個々の障害者の特性を踏まえた適切な認定が行われているものと考えている。

しかしながら、現在、関係者から障害程度区分の見直しを求める御意見等をいただいているところであり、まずは、関係者の御意見を十分に伺ってまいりたい。

四の2について

法第二十八条第一項に規定する介護給付費及び特例介護給付費の対象となる障害福祉サービスについては、障害の程度に応じた適切な支援が行われるよう、障害程度区分により利用できる対象者を定める一方、同条第二項に規定する訓練等給付費及び特例訓練等給付費の対象となる障害福祉サービスについては、障害程度区分にかかわらず、一般就労や地域生活への移行を目指す方等を利用できる対象者としている。また、法においては、各地方自治体が地域の実情に応じて柔軟に実施する事業として、地域生活支援事業(法第七十七条及び第七十八条に規定する地域生活支援事業をいう。以下同じ。)も位置付けているところであり、これらにより、障害の重い方も軽い方も、そのニーズに応じ、適切なサービスを利用することが可能な仕組みとしている。

四の3及び4について

障害程度区分は、障害者に対する障害福祉サービスの必要性を明らかにするため当該障害者の心身の状態を総合的に示す区分であり、その認定は、四の1についてで述べたとおり、個々の障害者の特性を踏まえた適切なものであると考えている。

また、障害福祉サービスについては、障害者の心身の状態に見合う適切な支援が行われるよう、障害程度区分によりサービスを利用できる対象者を定めているが、重度訪問介護(法第五条第三項に規定する重度訪問介護をいう。)における外出時の介護の必要度を評価するための調査項目については、屋内と屋外にかかわらず判定できるものであるほか、行動援護(同条第四項に規定する行動援護をいう。)の対象者の判断基準についても、より実情に応じた判断基準となるよう、平成十八年十月に調査項目の見直しを行ったところであり、個々の障害者の特性を踏まえた適切なものであると考えている。

さらに、仮に、これらの障害福祉サービスの対象要件に該当しない場合であっても、居宅介護(法第五条第二項に規定する居宅介護をいう。)、移動支援事業(同条第二十項に規定する移動支援事業をいう。)といったサービスの利用が可能な仕組みとなっており、障害の重い方にも軽い方にも、その状態に応じたサービスが適切に提供されているものと考えている。

五について

法においては、個々の障害者の能力や適性に応じた就労支援を行うという観点から、既存の施設や事業の体系を抜本的に見直したところであり、具体的には、就労を希望する障害者に対しては、就労に必要な知識及び能力の向上のための訓練等を提供する就労移行支援事業(法第五条第十四項に規定する就労移行支援を行う事業をいう。)を創設するとともに、通常の事業所で雇用されることが困難な障害者に対しては、就労の機会等を提供する就労継続支援事業を創設したところである。

このうち、就労継続支援事業においては、障害者の能力や状況に応じ、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して雇用契約の締結等により就労の機会を提供する就労継続支援A型事業(障害者自立支援法施行規則(平成十八年厚生労働省令第十九号)第六条の十第一号に規定する就労継続支援A型を行う事業をいう。)及び雇用契約に基づく就労が困難である者に対して雇用契約によらずに就労の機会を提供する就労継続支援B型事業(同条第二号に規定する就労継続支援B型を行う事業をいう。)を設けたところである。

また、これらの事業を実効あるものとするため、市町村及び都道府県は、必要なサービス量を見込み、適正な基盤整備を行うこととしているところであり、これらにより、障害者の多様な働く場の拡充が図られるものと考えている。

六の1について

いわゆる小規模作業所は、これまで法律に基づかない事業として実施され、その運営に対する支援も地方自治体により様々であったが、法の施行により、多くの小規模作業所が法第五条第二十一項に規定する地域活動支援センター(以下「地域活動支援センター」という。)に移行するものと見込まれるところである。

地域活動支援センターにおいて便宜を供与する事業は、法第七十七条第一項第四号において市町村が実施しなければならない事業として位置付けられるとともに、法第九十二条第四号において市町村の費用の支弁が、法第九十四条第二項及び第九十五条第二項第二号において都道府県及び国の費用の補助が規定されたところである。また、これを経営する事業について、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第三項第四号の二の規定により第二種社会福祉事業として位置付けられることにより、税制上の優遇措置が受けられるほか、障害者自立支援法に基づく地域活動支援センターの設備及び運営に関する基準(平成十八年厚生労働省令第百七十五号)を定め、必要なサービスの質を確保しているところであり、これらにより、安定的に一定の水準を確保した事業運営がなされるものと認識している。

六の2について

地域生活支援事業は、地域の実情に応じた創意工夫により柔軟に実施することが期待される事業として位置付けたところであり、地方自治体において、効率的、効果的に実施していただきたいと考えているが、国においても、その事業の実施を財政面から支援するため、必要な予算の確保に努めているところである。

七の1について

平成十八年四月一日から同年十二月一日までの間に制度の改善等に関して厚生労働大臣に提出された地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第九十九条に基づく意見書の都道府県別の件数は、北海道六件、青森県零件、岩手県二件、宮城県五件、秋田県三件、山形県一件、福島県三十五件、茨城県一件、栃木県零件、群馬県零件、埼玉県六件、千葉県一件、東京都九件、神奈川県四件、新潟県六件、富山県零件、石川県一件、福井県零件、山梨県零件、長野県三件、岐阜県五件、静岡県二件、愛知県四件、三重県二件、滋賀県十五件、京都府七件、大阪府四件、兵庫県四件、奈良県一件、和歌山県二件、鳥取県十九件、島根県零件、岡山県零件、広島県二件、山口県零件、徳島県一件、香川県零件、愛媛県零件、高知県十一件、福岡県八件、佐賀県二件、長崎県一件、熊本県七件、大分県五件、宮崎県二件、鹿児島県零件及び沖縄県一件と把握している。

七の2について

平成十八年四月一日から同年十二月一日までの間に制度の改善等に関して地方自治体及び地方議会から厚生労働大臣に提出された要望書(地方自治法第九十九条に基づくものを除く。)の都道府県別の件数は、北海道二件、青森県二件、岩手県二件、宮城県二件、秋田県二件、山形県一件、福島県一件、茨城県一件、栃木県一件、群馬県一件、埼玉県二件、千葉県零件、東京都一件、神奈川県一件、新潟県二件、富山県二件、石川県零件、福井県一件、山梨県零件、長野県二件、岐阜県二件、静岡県一件、愛知県二件、三重県一件、滋賀県一件、京都府二件、大阪府二件、兵庫県二件、奈良県一件、和歌山県零件、鳥取県三件、島根県二件、岡山県二件、広島県二件、山口県一件、徳島県零件、香川県一件、愛媛県一件、高知県二件、福岡県三件、佐賀県一件、長崎県三件、熊本県三件、大分県一件、宮崎県零件、鹿児島県二件及び沖縄県零件と把握している。

八の1について

御指摘の「境界層減免」の措置は、障害福祉サービスの利用者が、利用者負担を支払うことにより要保護者(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第二項に規定する要保護者をいう。以下同じ。)となる場合において、当該利用者が保護(同法第二条に規定する保護をいう。)を必要としない状態となるまで負担を減免する仕組み(以下「境界層減免措置」という。)である。このため、要保護者であるか否かを厳格に判断する観点から、生活保護の仕組みを活用しているものであり、現時点において、御指摘のような「境界層減免申請書」を作成する考えはない。

八の2について

八の1についてで述べたように、境界層減免措置の審査に当たっては、障害福祉サービスの利用者が要保護者であるか否かを厳格に判断する観点から、当該利用者又はその扶養義務者の資産及び収入の状況について、調査が必要であると考えている。また、御指摘の「境界層該当者」の判定については、毎年行われる利用者負担の上限額を決定する際の手続きの一環として行うこととしているものであり、適正な利用者負担の上限額の決定に不可欠であると考えている。

九の1及び2について

市町村及び都道府県が障害福祉計画(法第八十八条及び第八十九条に規定する障害福祉計画をいう。以下同じ。)を定めるに当たって即すべきものとされている障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制の整備並びに自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成十八年厚生労働省告示第三百九十五号。以下「基本指針」という。)においては、「平成二十三年度末の施設入所者数を現時点の施設入所者数から七%以上削減することを基本としつつ、地域の実情に応じて目標を設定することが望ましい」と規定しているところである。これは、福祉施設に入所している障害者(以下「施設入所者」という。)の地域生活への移行を進める観点から、目指す方向を明示するため必要なものであると考えている。

また、基本指針では、地域生活への移行を進めるに当たっては、地域における居住の場としてのグループホーム及びケアホームの充実を図るとともに、地域で生活していく上で必要な知識や能力等の向上のため、自立訓練事業等を推進することも規定しているところである。これらについては、障害者の自立と社会参加を実現させるため、その必要とする障害福祉サービスの提供体制の整備を進めるという基本指針の基本的理念に沿って行われるものであり、施設入所者を締め出すことにはならないものと考えている。

なお、施設の整備については、障害福祉計画により、地域の需要に応じて行われるものであり、政府としては、今後とも、必要な施設整備に対して補助を行ってまいりたい。

九の3について

九の1及び2についてで述べたとおり、施設入所者の地域生活への移行を進めることが重要であると考えており、基本指針の御指摘の部分を見直すことは考えていない。

九の4及び5について

二の1についてで述べたとおり、法の目指す方向性についてはおおむね賛同が得られているものと認識しているが、関係者から様々な御意見等をいただいているところであり、こうした御意見や法の実施状況に関して得られたデータ等を踏まえ、制度の運用がより法の趣旨に沿ったものとなるよう、必要な措置を検討してまいりたい。

九の6について

法は、地域での生活や就業など障害者のための支援を体系的に整備するなどの改革を行うものであり、まずは法の周知、徹底を図ることが重要であると考えている。また、法の円滑な施行に万全を期すことも重要であると考えており、このため、関係者からの御意見等も踏まえつつ、法の趣旨に沿った必要な措置を検討してまいりたい。

一方、法の見直しについては、法附則第三条第一項において、法の施行後三年を目途として検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされており、これに基づき検討してまいりたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2検討してまいりたい ×8

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