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若年者の雇用政策と支援に関する質問主意書
衆議院 第166回 第162号承知していない ×1
質問本文
若年者の雇用情勢は、新規学卒者の就職内定状況に回復の兆しが見られるものの、アルバイト、パート、派遣、請負、契約、嘱託といった正社員でない形でフリーターとして働いている者が多数存在している。さらには、若年者の失業者、ニートの数が高止まり傾向にあるなど、若年者の雇用問題は深刻な事態にある。
学識者、労働関係者の間からは、若年者の失業等は構造的な問題であり、こうした状態が長期に持続するようなことになれば、日本の今後の社会や経済に著しい影響を与えるとの指摘もなされている。若年者の雇用問題は、若者の将来と格差を固定化させない社会をつくる上で放置できない非常に重要な課題であり、とりわけ若年者の雇用政策と支援は喫緊の課題である。
従って、以下の事項について質問したい。
一 若年者雇用の実態と現状認識について
1 若年者の失業者は一二七万人、フリーターが一八七万人、ニートについては、六二万人とも八五万人とも言われている。
現在政府は、若年者(一五歳から三五歳未満の者)のうち失業者、フリーター及びニートの数はどれくらいに達していると把握しているのか。また、バブル崩壊後のいわゆる就職氷河期に不本意な職業につかざるを得なかったフリーターは何人か。さらに、政府は若年者の雇用の現状をどのように把握しているのか、併せて明らかにされたい。
2 若年者の失業者、フリーター及びニートの数が増加した要因、高止まりしている要因は何にあると認識しているのか、政府の見解を伺いたい。
3 1で示した政府の狭い定義による統計数字には、就職先がないために大学を留年する者、学卒後とりあえず専門学校等に籍を置きアルバイトをしている者、就職の意思のない家事手伝いや推計五〇万人の「ひきこもり」は含まれていない。
また、契約社員、フリーライターなどの自由業者、自営業者や家族従業者でもアルバイト程度の収入しかなく、将来の収入保障のない若者もいる。こうした「収入・経済基盤が不安定な若者」、すなわち「フリーター的立場」に置かれている若者を含めると、現在でもその数は五〇〇万人を下らないだろうという指摘がある。
政府は、収入が不安定で将来の収入保障のないこれら若者の雇用の現状をどのように考えているのか見解を伺いたい。
4 フリーター及びニートの定義が、内閣府と厚生労働省とで異なっており、それぞれの実態を正確に把握する上でも、問題の本質を理解する上でも統一する必要があると考える。そこで、政府のフリーター及びニートの統一した定義を明確にされたい。
5 フリーター及びニートの問題については、学者の間には、「景気が回復しても解消しない。産業構造の変化に伴う雇用形態の転換による不安定雇用化という構造的要因として捉える必要がある」との意見が少なくない。このような意見に対して、政府はどのように考えているのか見解を伺いたい。また、政府がこのフリーター及びニート問題の要因は別の構造的要因にあるとの認識を持っているのであれば、その見解を伺いたい。
6 フリーター及びニートの数が高止まりしている背景には、長期化した不景気だけでなく、企業が、雇用形態を「転換」して「多様化」を推進し、人件費大幅削減のために正規社員のリストラ解雇、正規雇用から非正規雇用への置き換え、賃金切り下げ、新卒採用の抑制、フリーターの活用・拡大をしてきたことなどがある。また政府が、この雇用形態の転換を「労働市場の流動化」「終身雇用の終焉」と称して強力に推進してきたことにあるとの見方がある。このような意見をどう考えるのか、政府の見解を伺いたい。
また政府は、フリーター、ニートの増加の背景をどのように考えているのか、見解を伺いたい。
二 若年者雇用の「格差」について
1 若年者の正社員とフリーター、ニートとの雇用「格差」について、どのような現状認識を持っているのか。まず政府の見解を伺いたい。
2 若年層は、ひとたびフリーターとなれば定職につくことは極めて困難であり、昇給もなく定期収入の見通しも保障もない。初期条件の違いが将来にわたって大きな格差を生み出すことになり、それは収入の格差にとどまらず若者の意識、生活スタイル、活動範囲など生活全般に影響を及ぼす。
こうした雇用の「格差」は、将来への希望、展望を持てない若者を大量に生み出しているとの指摘がある。政府は、かかる指摘についてどう考えるのか。また、どのような問題をはらんでいると考えているのか見解を伺いたい。
3 フリーターの増加は、�@フリーターの七割以上の者が、正社員を希望していると言われているが、その希望がかなえられないために、若者の不利益や不安感を著しく増大させている�A正社員と収入や雇用が不安定なフリーターとの格差が広がり、社会秩序への影響が増大する�Bフリーターは、「定型的」、「補助的」な仕事に従事している者が多く、職業訓練の場も保障されないために中長期的には、経済活動にも著しい影響を与えることになる�C世帯形成期になっても、安定した収入、経済的基盤がないために結婚や子育ての制約となり、晩婚化、少子化に拍車をかけることになるとの指摘がある。
このような指摘に対し、政府はどのように考えているのか。
4 フリーター、ニートの増加が経済、社会にもたらす影響や問題点について、政府はどのような認識を持っているのか。
三 若年者雇用政策と対策について
1 安倍総理は、施政方針演説で「さまざまな事情や困難を抱える人たちも含め、挑戦する意欲を持つ人が就職や学習に積極的にチャレンジできるよう、今般取りまとめた「再チャレンジ支援総合プラン」に基づき、全力を挙げて取り組みます」と表明された。
総理のいう「再チャレンジ」の考え方について、詳細かつ明確に伺いたい。
2 「再チャレンジ支援総合プラン」の「基本的認識」では、「「勝ち組、負け組」を固定させない社会、また、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化した社会の仕組が必要である」と述べている。それはどのような社会の仕組を考えているのか具体的に説明されたい。
3 「再チャレンジ支援総合プラン」は、激しい市場競争で、そこからはじき出された者、すなわち会社をリストラされた者、障害者、高齢者までひとくくりにして、こうした人たちの中で、再挑戦しようとする姿勢のある者に対して、事後的に「再チャレンジ」の機会を提供するというものであると理解してよいか。
4 「再チャレンジ支援総合プラン」における「再チャレンジ」とは、フリーター等を生じさせないために安定した雇用機会をどう確保するのか、障害者や高齢者に対して雇用機会をどう保障するのかという政策ではなく、フリーターや障害者、高齢者も含めて「チャレンジ」に成功しなければ、事実上「切り捨てる」というものか。
5 フリーター等は、初期条件の不利によって、非正規で低賃金、不安定な生活という立場に置かれている。仮に若者が「再チャレンジ」して万が一うまくいったとしても、そこで待ち構えているのは「ワーキングプア」だったとしたら、若者は意欲と将来の希望をどのように持てばいいのか。「再チャレンジ支援総合プラン」では、これらのことについてどのように考えているのか、政府の見解を伺いたい。
6 昨年、日本経団連が実施した調査結果によれば、企業五六〇社のうちフリーターを積極的に正社員に採用したいと答えたのは、わずかに一・六パーセントである。
安倍総理は、各経済団体に「再チャレンジ支援策」に対する協力要請をしたようであるが、日本経団連の御手洗会長は「(正社員への採用について)性急に実現しようとすると企業経営に衝撃を与えかねない」という趣旨のことを述べた模様である。
「再チャレンジ支援総合プラン」を強力に推進するといっても、企業がこのような姿勢では、その実効性は極めて乏しいのではないのか。経済団体の協力が必要と考えられるが、政府の見解を伺いたい。
7 「再チャレンジ支援総合プラン」の「再チャレンジ支援における重点課題」では、「いわゆる「就職氷河期」に直面した若者、特にフリーターの常用雇用化やニートの職業的自立を促進する」としている。そのためにどのような具体的な対策等を講じるのか、明らかにされたい。
8 「再チャレンジ支援策」は、「フリーター二五万人常用雇用化プランを推進し、二〇一〇年までにフリーターをピーク時の八割に減らす」としているが、そのためのどのような実効性のある対策を講じるつもりか。
9 政府の言うように、若者が「再チャレンジ」によって安定した雇用機会を確保できるためには、低額の教育・職業的訓練の機会、その後の雇用の見通しが確実に保障されている体制がなければならない。そうでなければ「再チャレンジ」は、政府の責任を問わずに、いわゆる「負け」の原因を個人の努力や意欲のなさといった「自己責任」に帰すことにならざるを得ない。「再チャレンジ」構想は単なる「尻たたき」という厳しい指摘もある。政府の見解如何。
10 「再チャレンジ支援策」は、正規社員と非正規社員の「均衡待遇」を掲げている。企業は、非正規社員の処遇を向上させるのではなく、「均衡待遇」を理由に、人件費削減から正社員の「雇用保障」「賃金」といった処遇の低下で対応することが考えられる。
政府の見解を問う。
右質問する。
政府答弁書
一の1及び3について
総務省統計局の労働力調査によると、十五歳から三十四歳までの完全失業者数は、平成十八年平均で約百二十七万人である。また、いわゆるフリーターの数については、同調査(詳細結果)により、十五歳から三十四歳までで、男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者のうち、�@雇用者のうち「パート・アルバイト」の者、�A完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者、�B非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で家事も通学も就業内定もしていない「その他」の者として�@から�Bまでを集計すると、平成十八年平均で約百八十七万人である。いわゆるニートの状態にある無業者(以下「ニート」という。)の数については、同調査により、ニートに近い概念として、若年無業者を十五歳から三十四歳までの者であって非労働力人口のうち家事も通学もしていない「その他」のものと定義して集計すると、平成十八年平均で約六十二万人である。また、お尋ねの「バブル崩壊後のいわゆる就職氷河期に不本意な職業につかざるを得なかったフリーター」の数については把握していないが、同調査(詳細結果)によれば、いわゆる就職氷河期に就職の時期を迎えたと考えられる二十五歳から三十四歳までのフリーターの数は、平成十八年平均で約九十二万人である。
近年の若者の雇用失業情勢については、新規学卒者の就職状況が改善傾向にあり、フリーターの数は三年連続で減少するなど、改善の動きが加速している。しかしながら、フリーター等にとどまっている若者やニートは依然として多い状況にあり、これらの者の雇用状況の改善は、重要な課題であると認識している。
一の2、5及び6について
若年失業者、フリーター及びニートの数の増加及び高止まりの要因については、新規学卒者の採用を重視する企業が多く、いわゆる就職氷河期に正社員として就職できなかった者がその後正社員となる機会に恵まれないこと、新規学卒者で就職したとしても比較的早期に離職する者の割合が依然として高い水準にあること、企業の求める人材と若者の能力や希望する仕事の内容との間でミスマッチが存在していること等があると認識している。
また、近年、経済・産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきていると認識しており、政府としては、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ、多様な働き方を選択できるようにするための必要な改革を進めてきたところである。
一の4について
政府としては、一の1及び3についてで述べたフリーターの数等を念頭に、「再チャレンジ支援総合プラン」(平成十八年十二月二十五日「多様な機会のある社会」推進会議決定)等における若年者雇用対策について各種の取組を推進しているものである。
二の1から4までについて
フリーターやニート個人について見ると、正規雇用である場合に比べて、若年期に必要な技能及び知識の蓄積がなされず、その結果、将来の生活が不安定となるおそれがあるとともに、これらの者が増加すると、我が国を支える人材の育成が図られないことによる中長期的な競争力・生産性の低下、所得が低いために結婚や出産をためらうことによる少子化の一層の進行や、それに伴う社会保障の支え手の減少等の深刻な問題を引き起こしかねないものと認識している。
三の1及び2について
「再チャレンジ支援総合プラン」にもあるとおり、「再チャレンジ」の考え方及びその目指すべき社会の仕組みは、国民一人一人がその能力や持ち味を十分発揮し、努力が報われ、公正であること、多様な機会が与えられ、仮に失敗しても何度でも再チャレンジができ、「勝ち組、負け組」を固定させないこと、また、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化し、人生の各段階で多様な選択肢が用意され、それを自由に選択することができることであると認識している。
三の3及び4について
「再チャレンジ支援総合プラン」における「再チャレンジ支援策」は、フリーター、ニート、子育て中の女性、障害者、高齢者といった様々な事情・状況にある人々が、就業・起業、学習、居住等に関し、何事かを実現できるようになるための障害を取り除く、又は選択肢を多様化しようとするものであり、ここにおける「再チャレンジ」には、これらの人々の最初のチャレンジや新たなチャレンジも含まれている。
三の5、7及び8について
フリーターやニートが自立し、また、安定した収入を得られるようにすることは、格差を固定化させない社会を構築していく上で重要な課題であると認識している。このため、厚生労働省では、平成十九年度において、ジョブクラブ方式による集団的な就職支援の実施等により、改善が遅れている二十五歳から三十四歳までのいわゆる年長フリーターの常用雇用化を支援するなど「フリーター二十五万人常用雇用化プラン」を推進するとともに、ニートをはじめとする若者の働く意欲を高めるための「若者自立塾」の推進や、若者の置かれた状況に応じた専門的な相談を行い、地域の支援機関のネットワークを活用した自立支援を実施する「地域若者サポートステーション」の拡充に努めること等により、フリーターの常用雇用化やニートの職業的自立を促進することとしている。
三の6について
若者の正規雇用を促進していくためには、経済界における取組も重要であると認識している。このため、新規学卒者以外にも正社員への応募の機会を付与するなど、若者の応募の機会の拡大について、経済団体へ働きかけてきたところである。
また、雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)を改正し、若者の能力を正当に評価するための募集方法の改善等を通じた若者の雇用機会の確保等について、事業主に対し努力義務を課すこととしている。
三の9について
フリーター等の若者に対しては、多種多様な能力開発の場を効果的かつ積極的に整備し、実践的な職業能力を身に付けさせることで、安定した雇用に結び付けることが重要であると認識しており、厚生労働省では、平成十九年度において、「フリーター二十五万人常用雇用化プラン」により、フリーター等の若者の職業能力の開発のための様々な施策を講ずることとしている。
三の10について
「再チャレンジ支援総合プラン」に掲げられている正規労働者と非正規労働者の「均衡処遇」の確保については、正規労働者と非正規労働者双方の賃金等の処遇が改善される中で進められることが望ましいと考えている。また、労働条件の引下げが使用者の一存で合理的な理由なく行われることは、判例法理に照らして許されないものと考えている。
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