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社会福祉法第二条第三項第八号の事業に関する質問主意書
衆議院 第166回 第406号承知していない ×1
質問本文
いわゆる格差社会の進行とともに、生活保護の給付が急増している。一方、悪質な業者が、いわゆるホームレスに対して住居を提供する福祉事業という名の下に、生活保護制度を悪用し、結果として公金を搾取しているケースの可能性も指摘されている。そこで、次の十一点について質問する。
一 社会福祉法第二条第三項第八号にいう「簡易住宅」または「宿泊所その他の施設」(総称して以下「無料低額宿泊所」)に関して、その全国での開設状況を把握しているか。
二 把握しているとすれば、「無料低額宿泊所」利用者のうち生活保護を受給している者は何人いるか。また、生活保護費は「無料低額宿泊所」利用者に年間どのくらい支払われているか。
三 「無料低額宿泊所」の開設に伴い、特に都市部で事業者と地域住民との摩擦が起きているようだが、その状況を把握しているか。
四 現状の「無料低額宿泊所」は、主として利用者が住宅扶助等の生活保護を受けることを前提として運営されているが、この点、問題ないか。
五 「無料低額宿泊所」の居室使用料が、事業者と利用者との間で生活保護の住宅扶助基準の限度額で契約されているが、厚生労働省社会・援護局長が示している「無料低額宿泊所の設備、運営等に関する指針」(以下「指針」という。)にいう、居室使用料は「無料又は低額である」に反してはいないか。
六 居室使用料における「低額」の解釈を明確に示すべきではないか。
七 NPO法人等が、生活保護を受ける資格がある者に対し、生活保護の申請手続きを指導し、もともと滞在していない地域の自治体に申請をして生活保護を受けることになった場合、その当該自治体の行政負担は大きくなるが、この点どのように考えるか。
八 東京都発表(平成十九年五月二十四日)のホームレスの数が、七年前に比べ約四割減少したとのことだが、過去五年間の「無料低額宿泊所」の利用者は首都圏で約五〇〇〇人増加している。東京都周辺の自治体によってはホームレスの数はほぼ横ばいであるのに、施設の利用者数が過去五年間で十倍以上に急激に増加しているところもある。東京都のホームレスが近県の「無料低額宿泊所」に入居しているとは考えられないか。
九 社会福祉法第七十二条第一項及び「指針」には、不当に営利を図った場合は、経営の制限、又は停止を命じられる場合がある旨、規定されている。善良な事業者として登録されたNPO法人などの団体が、他県からホームレスを連れてきて、入居者に生活保護を受けさせた上で施設を運営していた場合、それは「不当に営利を図った場合」に該当するのか。またここで言う「不当に」の判断基準はどのように考えれば良いか。
十 「指針」において「無料低額宿泊所」は「利用者の自立支援に努めること」とあるが、例えばある自治体の調査によると、約六割の利用者が一年以上滞在しているという。このような実態で、施設側が「自立支援に努めている」と言えるか。国として、各自治体に施設の実態調査を求める予定はあるか。
十一 各自治体では、国から示された「指針」に基づき独自のガイドラインを制定し、事業者に対し指導を行っているが、「指針」やガイドラインによる行政指導には限界があることから、今後、指導を実効あるものとするため、国において、施設整備及び運営に関する具体的な施設基準を定めるなどの法的な整備を行う予定はあるか。
右質問する。
政府答弁書
一について
社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第六十九条第一項の規定に基づく届出がなされた同法第二条第三項第八号に掲げる事業に係る施設(以下「無料低額宿泊所」という。)は、平成十七年六月三十日現在、全国で三百六十九か所である。
二について
一についてで述べた三百六十九か所の無料低額宿泊所における入所者数は、平成十七年六月三十日現在、約一万二千人である。これらの者のうち生活保護を受給している者の数及びこれらの者に係る年間の生活保護費の額は、承知していない。
三について
厚生労働省としては、近隣の住民との間で摩擦が生じている事例も見られたことから、「社会福祉法第二条第三項に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で宿泊所を利用させる事業を行う施設の設備及び運営について」(平成十五年七月三十一日付け社援発第〇七三一〇〇八号厚生労働省社会・援護局長通知。以下「局長通知」という。)の別紙「無料低額宿泊所の設備、運営等に関する指針」(以下「運営等指針」という。)において、近隣住民の理解を得るように努めるべきことを無料低額宿泊所の設置に当たっての指針として示しているところである。
四について
無料低額宿泊所が社会福祉法に基づき適切に運営されていれば、同法上問題ないものと考えている。
五及び六について
運営等指針においては、無料低額宿泊所の居室使用料について、�@居室使用料は、無料又は低額であることとし、使用料を徴収する場合には、当該使用料に見合った居住環境を確保すること、�A�@の「低額」とは、近隣の同種の住宅に比べて、低額な金額であること、�B敷金・礼金による負担を求めないこと、としており、居室使用料が無料又は低額であるかどうかの解釈に当たっては、これらの点について総合的に判断すべきであると考えている。
七について
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)においては、保護を必要とする状態にある者に対して保護を行うべき者は、同法第十九条に規定されており、当該保護を行うべき者が保護を実施すべきものである。
八について
御指摘の東京都が発表した資料においては、平成十二年二月において五千五百二十一人であった東京都内のホームレスの数は、�@平成十二年度から都区共同で取り組んできた自立支援システムの十施設が平成十七年八月に完成したこと、�A平成十六年九月から地域生活移行支援事業を開始し、ホームレスが借上げ住居に移行したこと、�B景気回復により、東京都の有効求人倍率が向上したこと、などにより、平成十九年一月においては三千四百二人に減少したと分析されていると承知している。
九について
御指摘のような事例が社会福祉法第七十二条第一項に規定する不当に営利を図った場合に該当するか否かについては、個別の事例ごとに、同法第三条、第五条等の規定に照らして総合的に判断されるべきものと考える。
十及び十一について
局長通知及び運営等指針における「自立の支援」又は「自立支援」とは、社会福祉法第三条に規定する「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援する」ことを意味しており、利用者の利用期間が長いことのみをもって、無料低額宿泊所を経営する事業者が自立支援に努めていないとは必ずしも言えない。
厚生労働省としては、局長通知において、各自治体の留意事項として、無料低額宿泊所に対して必要な調査等を実施し、環境改善を働きかけるよう努めること、無料低額宿泊所に起居する被保護者について生活実態の把握や自立の支援に努めること等を示しているところであり、今後とも、無料低額宿泊所の適切な運営を図るため必要な対応を行ってまいりたい。
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