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元国家公務員の日本郵政株式会社への就職に係る手続に関する質問主意書
衆議院 第168回 第222号
質問本文
現在、日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長であり、株式会社ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役社長(COO)である高木祥吉氏は元国家公務員である。高木祥吉氏は、平成十八年一月二十二日に離職するまでの五年間、平成十三年一月二十三日から平成十四年七月十一日まで金融庁監督局長、平成十四年七月十二日から平成十六年七月二日まで金融庁長官として金融庁に在職し、また、平成十六年四月二十六日から平成十六年七月二日まで内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付(郵政民営化準備室副室長))(併任)、平成十六年七月五日から平成十七年十一月九日まで内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付(郵政民営化準備室副室長))、平成十七年十一月十日から平成十八年一月二十二日まで内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付(郵政民営化推進室副室長))として内閣官房に在職した後、平成十八年一月二十三日に設立された日本郵政株式会社の代表取締役、平成十八年九月一日に株式会社ゆうちょ取締役兼代表執行役社長、平成十九年十月一日に現職に就いた経歴を持つ。
国家公務員法第百三条第二項は「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関、特定独立行政法人又は日本郵政公社と密接な関係にあるものに就くことを承諾し又は就いてはならない。」旨を、また、同条第三項は「前二項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。」旨を、それぞれ規定し、同条の規定に違反して営利企業の地位についた者は、第百九条第十三号の規定により、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処することとされている。
高木祥吉氏の日本郵政株式会社への就職等に係る国家公務員法第百三条第二項及び第三項の規定に基づく手続については、平成十八年九月一日に株式会社ゆうちょ取締役兼代表執行役社長の地位に就いた件に関しては同条第三項の承認が得られているものの、平成十八年一月二十三日に設立された日本郵政株式会社代表取締役の地位に就いた件(以下「平成十八年一月二十三日の件」という。)に関しては承認が得られていないところである。高木祥吉氏の一連の就職等に係る手続について、以下のとおり質問する。
一 平成十八年九月一日に株式会社ゆうちょ取締役兼代表執行役社長の地位に就いた件(以下「平成十八年九月一日の件」という。)に関し、平成十九年十一月一日の参議院総務委員会において谷公士人事院総裁は、長谷川憲正委員の質問に対し「設立前であっても準備段階があるため、従来から成立前後にかかわらず申請をしていただきたいという指導をして、本件もそれによって審査した」、「結果的に明らかな事実により関係がないと判断した」という趣旨の答弁をされた。
1 この「指導」の内容は、「人事院規則一四−四(営利企業への就職)の運用について」の規則第二条関係1(2)を各府省に通知したことを指すのか。異なるのであれば、その時期、内容及び方法を示されたい。
2 国家公務員法第百三条第二項の「密接な関係」がないことが明らかな場合であっても、第三項の「承認」を行い得るのか。また、その場合に承認の申請をするよう「指導」することの必要性は何か。
二 谷公士人事院総裁はまた、平成十八年一月二十三日の件に関し、長谷川憲正委員の質問に対し、「申請がもしあったときにどうするかということについて仮定で答えられないが、結果的には承認されていた」という趣旨の答弁をされた。この平成十八年一月二十三日の件に関し、
1 内閣官房は人事院に対し、申請の要否を確認しなかったのか。
2(ア) 要否を確認しなかったのであれば、
(1) 内閣官房はどのような理由により、国家公務員法第百三条第二項の「密接な関係」がないと判断したのか。
(2) 内閣官房は判断時点より前に、一の「指導」をして申請を受けていたのか。受けていたのであれば、それにもかかわらず、確認する必要がないと判断したのはなぜか。
(3) 確認する必要がないとの判断を了承した、内閣官房内で当時最高位の官職にあった職員は誰か。
(4) 当時の安倍晋三内閣官房長官及び竹中平蔵郵政民営化担当大臣は了承していたか。
(5) 内閣官房内に、高木祥吉氏から直接又は間接に、承認の申請の依頼又は承認の要否の確認の依頼を受けた者はいたか。
(6) 高木祥吉氏が日本郵政株式会社代表取締役の地位に就くことは、平成十七年十一月十一日に当時の竹中平蔵総務大臣により発表され、公知の事実であった。当時の人事院総裁、総裁秘書官、人事官、職員福祉局長及び審査課の担当職員の中に、本件が「指導」の対象であることを認識していた者は一人もいなかったのか。
(イ) 要否を確認したのであれば、
(1) 人事院はどのような理由により、「密接な関係」がないと判断したのか。
(2) 平成十九年十月三十日の衆議院総務委員会において谷公士人事院総裁は、私(松野頼久)の質問に対し、「法律に基づく権限とは内部的な立法作業を指さず、許認可等の行政措置を行う権限である」、「国会で審議された法律の制定に個人の意思の介入できる余地はない」という趣旨の答弁をされた。許認可等の行政措置も、個人としてではなく組織として行う行為であって、個人の意思の介入できる余地がない点については立法作業と同様であることから、許認可等の行政措置に限定する理由としては不適当と考える。見解を示されたい。また、仮に許認可等の行政措置に限定するとしても、郵政民営化委員会が郵政民営化法第十九条第一項各号の規定に基づき関係各大臣等に意見を述べる事務を所掌しており、内閣官房と日本郵政株式会社との間には「密接な関係」が存在し得たのではないか。
(3) 平成十八年九月一日の件に関し、平成十九年十月三十日の衆議院総務委員会において谷公士人事院総裁は、小川淳也委員の質問に対し、「在職中この会社に対する権限を行使し得る関係にはなかった」という趣旨の答弁をされた。この平成十八年九月一日の件に関しては「密接な関係」がそもそもなかったのか、それとも「密接な関係」があるものの問題がないので承認したのか。
(4) 平成十八年一月二十三日の件及び平成十八年九月一日の件に関し、平成十九年十一月一日の参議院総務委員会において谷公士人事院総裁は、長谷川憲正委員の質問に対し、「両者ともに結果的に密接な関係が存在しうる前提がなかった点は同様だと考える」という趣旨の答弁をされた。平成十八年九月一日の件に関しては申請を受け付けて承認した一方、平成十八年一月二十三日の件に関しては申請不要という、全く逆の判断をしたのはなぜか。平成十八年九月一日の件に関して「密接な関係」がそもそもなかったのであれば、なぜ、同じ「密接な関係」のない平成十八年一月二十三日の件について申請不要との判断をしたのか。逆に、平成十八年九月一日の件に関して「密接な関係」があったのであれば、平成十八年一月二十三日の件と何が異なるのか。
(5) 人事院は内閣官房に対し、「密接な関係」がないと判断した理由を説明したか。
(6) 「密接な関係」がないとの判断を了承した、人事院内で最高位の職員は誰か。
(7) 当時の佐藤壮郎人事院総裁は了承していたか。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
御指摘のとおりである。
一の2について
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百三条第二項に規定する密接な関係にない場合には、同条第三項に規定する人事院の承認は必要ない。
二の1並びに2の(ア)の(1)から(6)まで及び(イ)の(5)について
内閣官房は、人事院に対して、御指摘の者の日本郵政株式会社取締役への就任に関し、国家公務員法第百三条第三項に規定する承認の要否を確認した。人事院は、内閣官房に対して、人事院規則一四−四(営利企業への就職)の運用通知(平成九年十二月二十五日職職−四四八人事院事務総長通知)に照らして、同条第二項に規定する密接な関係には該当しない旨を説明した。
二の2の(イ)の(1)から(4)までについて
国家公務員法第百三条第三項の趣旨は、職員が営利企業に就職しようとする際に、当該営利企業が当該職員が離職前五年間に在職していた国の機関等(以下「在職機関」という。)と密接な関係にあるか否かを所轄庁の長が判断し、当該所轄庁の長が密接な関係にあると判断した場合には、人事院に承認申請を行い、人事院が当該申請に基づき、当該関係を実質的に審査し、その承認の可否を判断することとなっている。人事院では、この所轄庁の長の判断が統一的に行われるよう、二の1並びに2の(ア)の(1)から(6)まで及び(イ)の(5)についてで述べた各府省に対する通知に、国家公務員法第百三条第二項に規定する密接な関係にある場合を定めており、これにより、(1)在職機関が有する法令に基づく行政上の権限の対象とされている営利企業、(2)職員の離職の日から五年さかのぼった日の属する年度以降の年度のうちのいずれかの年度において在職機関との間に締結した契約の総額が二千万円以上である営利企業、(3)在職機関による行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第六号に掲げる行政指導の対象とされている営利企業、(4)(1)から(3)までに掲げる営利企業の会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第三号に規定する子会社である営利企業、(5)(1)から(4)までに掲げる営利企業と同様の事情にあると認められる営利企業を在職機関との間に密接な関係にあるものとして取り扱っている。また、これらの営利企業には、職員の離職後に新たに設立された営利企業が含まれるが、これは、当該職員の在職中、在職機関に行政上の権限等が存在する場合には、在職機関の当該企業の設立準備への関与などがあり得ることによるものである。
在職機関が有する行政上の権限とは、行政手続法第二条第二号に掲げる処分又は同条第六号に掲げる行政指導を行う権限等をいうところ、御指摘の者の平成十八年一月二十三日における日本郵政株式会社への就職については、金融庁は、同社に対し、平成十七年十月二十一日以降、郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第百六十三条第三項に基づく同社が作成する実施計画の認可に関する権限等を有するが、同人の同庁在職は、平成十六年七月二日までであること、また、郵政民営化委員会は、同法第十九条第一項第四号の規定に基づき当該実施計画の認可に関する総務大臣等への意見を述べる権限等を有するが、同委員会は同人の内閣官房退職後である平成十八年四月一日に設立されたことから、人事院は、同人の在職機関である同庁及び内閣は、同社との間に密接な関係がないと判断した。
これに対し、同人の平成十八年九月一日における株式会社ゆうちょ銀行の準備会社である株式会社ゆうちょ及び平成十九年十月一日における株式会社ゆうちょ銀行への就職については、同人の金融庁在職中に同庁が銀行に対する行政上の権限を有していたことから、人事院は、同庁とこれらの会社の間には密接な関係があると判断した。
このため、日本郵政株式会社への就職については、人事院に対して国家公務員法第百三条第三項の承認申請がなされず、株式会社ゆうちょ及び株式会社ゆうちょ銀行への就職については、人事院に対して当該申請がなされたものであり、人事院は、当該申請を受け、同人の在職中これらの会社については設立準備行為は存在せず、同人はこれらの会社に対して権限を行使する関係にはなかったことから、これを承認したものである。
また、御指摘の平成十九年十月三十日の国会審議における人事院総裁の答弁は、職員がその在職中、離職後特定の営利企業に就職する目的で、その地位や職権を利用して当該企業に便宜を与えるなどし、もって職務の公正な執行をゆがめることのないようにするという国家公務員法第百三条第二項の立法の趣旨を述べたものであり、さらに、許認可等の行政権限の行使に携わる職員については、当該行政権限の行使に当たり職員の裁量の余地がある一方、法律は国会で議決の上制定されるものであるから、その最終的な内容の決定に職員個人の意思の介入できる余地はないという趣旨である。
二の2の(イ)の(6)及び(7)について
御指摘の判断を了承した人事院内で最高位の者は人事院総裁である。
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