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淀川水系の治水対策および淀川水系流域委員会に関する質問主意書

衆議院 第169回 第484号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2008年6月6日
内閣転送 2008年6月11日
答弁書受領日
2008年6月17日
提出から11日
答弁の項目数
14
質問 3,179字/答弁 3,791字

質問本文

淀川水系の治水対策および淀川水系流域委員会に関して、以下質問する。

一 平成十七年七月一日に国土交通省近畿地方整備局が発表した「淀川水系五ダムについての方針」において、大戸川ダム事業について当面実施せずとした理由は、「宇治川・淀川に対する洪水調節効果は小さく、治水単独目的の事業となることで治水分の事業費が増加し経済的にも不利になる。」というものであった。

�@ 昨年八月に発表された淀川水系河川整備計画原案(以下「原案」という。)で大戸川ダム建設を実施するとしているが、ダムの洪水調節容量が増大していないにもかかわらず、宇治川・淀川に対する洪水調節効果が大きくなった理由は何か。政府の見解を問う。

�A 大戸川ダムは治水単独事業であることに変わりはなく、また昨年十二月にはさらに三百四十億円の事業費増加が明らかにされているにもかかわらず、「淀川水系五ダムについての方針」発表時と比べて、大戸川ダム事業が経済的に不利でなくなった理由は何か。政府の見解を問う。

二 近畿地方整備局は、「淀川水系五ダムについての方針」で大戸川ダム事業を当面実施せずとした方針を「原案」において覆した理由として、淀川本川の堤防強化は概ね五年間程度で完了できることが分かったとし、大戸川ダム事業を当面実施しないとした理由が、あたかも淀川本川の堤防強化に相当程度の時間と費用を要することであるかのような説明をしている。

「淀川水系五ダムについての方針」において、大戸川ダム事業を当面実施しない理由が、淀川本川の堤防強化に相当程度の時間と費用を要することであるということを示した近畿地方整備局の作成した文書があれば概要について説明されたい。

三 近畿地方整備局が示しているシミュレーションによると、淀川において、桂川の掘削等、「原案」に示された対策が実施された場合、近畿地方整備局が検証に用いた三十三パターンの計画規模洪水の中で、大戸川ダムがない場合に計画高水位を超過するのは二パターンであり、計画高水位を超過する区間は三.六キロメートル、超過高は最大十七センチメートルである。

そして近畿地方整備局は、大戸川ダムがないと計画高水位を最大十七センチメートル超過することにより、淀川の堤防が破堤し、被害額が十九兆四千八百億円になり、大戸川ダムがあると洪水位は計画高水位以下二センチメートルとなり、淀川は破堤せず被害はゼロとなるとの説明をしている。

�@ 前記の超過区間三.六キロメートルにおいて、計画高水位より十七センチメートル高い所まで、計画高水位以下と同様の安全性を有する浸透、洗掘対策を行った場合の事業費を示されたい。

�A 淀川水系流域委員会が、前記事業費を示すよう求めているにもかかわらず、近畿地方整備局が未だ示さない理由は何か。政府の見解を問う。

四 近畿地方整備局が行ったシミュレーションで、昭和二十八年十三号台風と同程度の雨が降った場合、大戸川ダムおよび天ヶ瀬ダム再開発事業が完成した後の方が、宇治川の洪水位が現状より高くなり、危険になる理由は何か。政府の見解を問う。

五 近畿地方整備局は、「計画高水位(安全基準)はわずかだからといって侵して良いものではない」とし、建築物の耐震の安全基準、船舶の喫水、飛行機の搭乗者数、残留農薬基準と同じであるとの説明を行っている。

河川管理施設等構造令には、「堤防は、護岸、水制その他これらに類する施設と一体として、計画高水位以下の流水の通常の作用に対して安全な構造とする」と定めてはいるが、洪水時の水位が計画高水位を越えることを禁じた条文はない。

�@ 洪水時において水位が、わずかでも計画高水位を越えてはいけないという基準は、どのような法令で定められているのか。条文を示されたい。

�A また、近畿地方整備局が行ったシミュレーションは、「原案」で盛り込まれた対策が完成した後においても、宇治川、木津川、桂川において計画規模洪水はもちろんのこと、戦後最大洪水(昭和二十八年十三号台風)においても、計画高水位を越える区間があることを示している。

「計画高水位(安全基準)はわずかだからといって侵して良いものではない」にもかかわらず、「原案」完成後においても洪水位が計画高水位を越えている理由は何か。政府の見解を問う。

六 平成十二年六月に河川局治水課が策定した「河川堤防設計指針」では、「越水に対しても一定の安全性を有するような堤防(難破堤堤防)を整備する必要がある。」として、設計方針および手順、形状や構造の設定、並びに安全性の詳細等を定めた「越水に対する難破堤堤防の設計」が示されていたにもかかわらず、平成十四年に「河川堤防設計指針」から越水に関する記述がすべて削除された理由は何か。政府の見解を問う。

七 平成十年度国土交通省重点施策では、たとえ越水しても急激に破堤しないよう、堤防の強化対策を進めると示されている。

平成十二年度河川局重点施策では、災害復旧助成事業の実施内容に、氾濫・越水しても破堤しない対策(耐越水堤防)が追加されている。

�@ 淀川水系流域委員会が堤防の越水対策の実施を求めていることに対して、近畿地方整備局は「効果が不明であり、あてにすることはできない」と説明しているが、効果が不明であり、あてにできない施策を国土交通省の重点施策とした理由は何か。政府の見解を問う。

�A 三重県雲出川で整備された耐越水堤防の延長および事業費を示されたい。

�B 「効果が不明であり、あてにすることができない」難破堤堤防が雲出川で整備された理由は何か。政府の見解を問う。

八 淀川水系流域委員会が、近畿地方整備局に対して求めている、「堤防の計画高水位以上の強化および耐越水堤防への強化対策と流域対応等他の施策との組み合わせについて、事業費を明示した上で優先度の検討を行い、破堤による壊滅的被害の回避・軽減を流域全体で最優先に取り組むための具体的な計画」は、いつまでに示されるのか。

九 堤防の破堤は、浸水被害と比べて格段に、多くの人命を失う可能性が大きい。

近畿地方整備局が示しているシミュレーションは、どのような規模の洪水が発生したときに、どの区間で洪水位が計画高水位を越え、また堤防から越水するかを示すことにより、破堤の危険性について明らかにしている。

堤防の計画高水位以上の強化および耐越水堤防への強化の方針は、国土交通省の重点施策等で示され、設計指針が定められ、実施された実績もある。

淀川水系流域委員会が求めている堤防の計画高水位以上の強化および耐越水堤防への強化について、近畿地方整備局が優先的に実施しないとしている理由は何か。政府の見解を問う。

十 淀川水系流域委員会が四月二十五日に近畿地方整備局に提出した意見では、「原案」の見直し・再提示を求めているにもかかわらず、近畿地方整備局は「原案」は見直し・再提示する性格ではないという旨の説明を行っているが、「原案」は見直し・再提示する性格ではないということは、どこで、何によって定められているのか示されたい。

十一 「原案」に対して学識経験者から意見を聴き、住民の意見を反映して、整備計画案を作成し、その上で関係自治体から意見を聴くということが河川法に基づく整備計画策定の過程であると認識している。

淀川水系流域委員会は、最終意見を出す以前に整備計画案を作成して関係自治体に提示することは、「見切り発車」であり、そのようなことがないようにと近畿地方整備局に強く求めている。

淀川水系流域委員会の最終意見提出以前に整備計画案を策定して関係自治体に提示すること、いわゆる「見切り発車」は行わないことを明言すべきと考えるが如何か。政府の見解を問う。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の�@について

国土交通省近畿地方整備局(以下「近畿地方整備局」という。)が平成十七年七月に公表した「淀川水系五ダムについての方針」(以下「五ダムの方針」という。)においては、淀川水系における治水対策として、まずは、一級河川淀川水系淀川のうち同水系宇治川(以下「宇治川」という。)及び同水系瀬田川を除いた区間(以下「淀川本川」という。)、宇治川、同水系桂川(以下「桂川」という。)、同水系木津川(以下「木津川」という。)等の堤防強化を実施することとし、洪水時に下流の流量の増加をもたらす狭窄部の開削や河道掘削等の河川改修は基本的に実施しないことを前提としたこと等から、淀川本川及び宇治川に対する大戸川ダムの洪水調節効果は小さいと判断したものである。

近畿地方整備局が平成十九年八月に公表した淀川水系河川整備計画原案(以下「原案」という。)においては、堤防詳細点検等の結果、五ダムの方針の公表後に淀川本川の堤防強化がおおむね五年間で完了することが判明したことを踏まえ、宇治川、桂川及び木津川については、昭和二十八年九月の洪水時の降雨量及び降雨パターン(以下「昭和二十八年九月洪水」という。)を基に計算した流量を計画高水位以下で流下させるため、河道掘削等を行うこととしているが、その結果、下流の淀川本川については、洪水時に流量が増加することとなり、平成十九年八月に策定した淀川水系河川整備基本方針における計画規模の洪水(以下「計画規模洪水」という。)が生起した場合に、計画高水位を超過することから、計画高水位以下で流下させる現況の安全度を保持するためには、大戸川ダムの洪水調節効果が必要であると判断したものである。

一の�Aについて

五ダムの方針においては、大戸川ダム建設事業から利水者である大阪府(上水)、京都府(上水)及び大津市(上水)が撤退し、治水単独目的の事業となる見込みであったことから、「治水分の事業費が増加し経済的にも不利になる」と示したものである。大戸川ダム建設事業が治水単独目的の事業となることは、現時点においても変わりはないが、一の�@についてで述べたとおり、大戸川ダムが必要であると判断しているところであり、また、事業費が三百四十億円増加した場合においても、大戸川ダムは天ヶ瀬ダム再開発と一体となって淀川本川及び宇治川に対して効果を発揮することから、両者を一体として算出した洪水調節に係る費用便益比が約一・四となることを確認している。

二について

近畿地方整備局には、お尋ねの文書を作成したという記録はない。

三について

近畿地方整備局は、計画規模洪水に基づく流出計算等により大戸川ダムがない場合に淀川本川の約三・六キロメートルの区間の水位が計画高水位を最大で約十七センチメートル超過するとの結果を踏まえ、三・六キロメートルの区間の計画高水位を十七センチメートル高くする等の条件を仮に設定し、この場合に必要となる安全性を確保するための堤防の嵩上げ等に要する概算の事業費(用地買収、橋梁の架替工事等に要する費用を含む。)を約千百二十億円と試算しており、平成二十年四月に開催された第七十七回淀川水系流域委員会において説明したところである。

なお、盛土により築造された河川の堤防は、一般的に、洪水時における水位が上昇するに従って破堤する危険性が高くなり、また、計画高水位を更に上げることにより、破堤した場合の被害が大きくなること等から、淀川本川において計画高水位を上げることは適切でないと考えている。

四について

天ヶ瀬ダム再開発事業は、洪水時における淀川本川及び宇治川の洪水調節のための貯留並びに洪水後の琵琶湖の水位低下のための放流をより効率的に行うため、洪水調節時の放流量を現行の毎秒八百四十立方メートルから毎秒千百四十立方メートルに増加させるものである。これにより、昭和二十八年九月洪水を基に算出した宇治川の水位は、平成十九年十一月に開催された第六十六回淀川水系流域委員会(以下「第六十六回委員会」という。)で配付された審議資料二−三の五頁上段「宇治川水位縦断図(現況河道)」及び同資料の七頁下段「宇治川水位縦断図(河道改修+天ヶ瀬ダム再開発+大戸川ダム+川上ダム後)」で示したとおり、現状より高くなるものの、計画高水位以下になっていることを確認している。

五の�@について

河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条第一項に規定する河川整備基本方針においては、河川法施行令(昭和四十年政令第十四号)第十条の二第二号の規定に基づき、主要な地点における計画高水流量及び計画高水位に関する事項等を定めなければならないこととされており、また、河川管理施設等構造令(昭和五十一年政令第百九十九号)においては、堤防、橋、堰等の構造の原則として、計画高水位以下の水位の流水の通常の作用に対して安全な構造とするものとすること等が定められており、計画高水位は、河川整備の実施に当たっての重要な基準として位置付けられている。

五の�Aについて

御指摘の「近畿地方整備局が行ったシミュレーション」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、近畿地方整備局としては、昭和二十八年九月洪水を基に算出した宇治川、木津川及び桂川の水位は、第六十六回委員会で配付された審議資料二−三の七頁下段「宇治川水位縦断図(河道改修+天ヶ瀬ダム再開発+大戸川ダム+川上ダム後)」、同資料の十頁下段「木津川水位縦断図(河道改修+天ヶ瀬ダム再開発+大戸川ダム+川上ダム後)」及び同資料の十三頁下段「桂川水位縦断図(河道改修+天ヶ瀬ダム再開発+大戸川ダム+川上ダム後)」で示したとおり、今後具体的な整備の内容を検討することとなっている桂川の一部区間を除き、計画高水位以下になっていることを確認している。

六について

平成十二年六月に作成した「河川堤防設計指針(第3稿)」は、耐越水機能に関すること等検討中の内容を含めて直轄管理区間における河川管理者の部内資料として暫定的に示したものであるが、「河川堤防の設計について」(平成十四年七月十二日付け国河治第八十七号国土交通省河川局治水課長通知)における「河川堤防設計指針」においては、一連の堤防で確保すべき耐越水機能に関する技術的知見が明らかになっていないことから、耐越水機能について記載していない。

七の�@について

建設省(当時)が平成九年八月に作成した「平成十年度重点施策」においては、計画規模を超える洪水が発生しても被害を最小限に食い止めるため、越水しても急激には破堤しないよう従来の堤防に比べて断面拡幅等の強化対策を実施した堤防(以下「フロンティア堤防」という。)の整備を目指したものである。

七の�Aについて

お尋ねの「三重県雲出川で整備された耐越水堤防」が一級河川雲出川水系雲出川(以下「雲出川」という。)で整備したフロンティア堤防を指すのであれば、その延長は約一・一キロメートル、事業費は約四十八億円である。

七の�Bについて

雲出川で整備したフロンティア堤防の後背地は、昭和三十四年九月の洪水や昭和五十七年八月の洪水で被害を受けた地域であり、水害に強いまちづくりを目指していたことから、越水しても急激には破堤しないような機能の確保を目指し、試験的に整備したものである。

八及び九について

一連の堤防で耐越水機能を確保する技術的知見が明らかになっていないため、国土交通省としては耐越水機能を確保するための堤防の整備を行うことはできないと考えており、また、お尋ねのような耐越水機能を確保した堤防の整備を前提とした計画について、お示しすることは困難である。

また、お尋ねの「堤防の計画高水位以上の強化」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、三についてで述べたとおり、淀川本川において計画高水位を上げることは適切でないと考えていることから、計画高水位を超えた水位を前提とした堤防の整備を行うことは考えていない。

十について

近畿地方整備局は、河川法第十六条の二第三項の規定に基づき淀川水系河川整備計画の案(以下「計画案」という。)を作成するため、たたき台として原案を作成し、学識経験者、関係住民及び関係自治体の長に対し、淀川水系の河川整備の内容について河川管理者の考えを説明し、意見を聴いてきたところである。計画案については、原案に対する意見を踏まえて作成するものと考えていることから、改めて原案を作り直す必要はないと認識しているものである。

十一について

近畿地方整備局は、原案に対する学識経験者、関係住民及び関係自治体の長の意見を踏まえて計画案を作成することとしている。

また、近畿地方整備局としては、平成十三年二月に淀川水系流域委員会を設置して以来、平成十九年一月までの約六年間にわたり、原案の作成に資する幅広い意見を聴くことができたものと考えており、また、平成十九年八月に原案を提示して以降、淀川水系流域委員会が近畿地方整備局に対し意見を提出した平成二十年四月までに、二十回に及ぶ淀川水系流域委員会が開催され、延べ約九十時間にわたり様々な内容について議論していただいたことから、計画案の作成に資する幅広い意見を聴くことができたものと考えている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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