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肱川流域におけるダムに依存した治水の限界と流域治水に関する質問主意書

衆議院 第197回 第105号趣旨が明らかではない ×4検討してまいりたい ×2

提出者
立憲民主党・市民クラブ
提出日
2018年12月4日
内閣転送 2018年12月10日
答弁書受領日
2018年12月14日
提出から10日
答弁の項目数
11
質問 2,401字/答弁 2,510字

質問本文

平成三十年七月豪雨は、命を守るための治水のあり方について多くの教訓を残した。愛媛県を流れる肱川では、ダムに依存した治水の限界と共に、洪水を流域全体で受け止めて防災、減災に努める治水への転換の必要性をも明らかにした。

そこで、以下、質問する。

一 河川法第十六条の二に基づいて国が定めた肱川水系河川整備計画(三十一頁)には、「大洲盆地内の集落は水害に見舞われる宿命にある」との記述がある。国土交通省は、河川管理者として「大洲盆地内の集落は水害に見舞われる宿命」と考えてきたことを、肱川水系河川整備計画に書き込む以外で、流域住民に対してどのように伝えてきたか。

二 肱川水系河川整備計画(三十一頁)によれば、大洲市東大洲地区は平成五年に「八幡浜・大洲地方拠点都市地域」に指定されたため、多くの企業が進出したとの記述がある。根拠法である地方拠点法によれば、都道府県知事は、関係市町村及び主務大臣と協議の上、地方拠点都市地域の指定を行うことになっている。

1 国土交通省は河川管理者として「大洲盆地内の集落は水害に見舞われる宿命にある」と考えてきたことを、進出してくる企業に対してどのように伝えてきたか。

2 平成二十六年までに地方拠点都市地域指定された全国五百三市町村について、指定地域に水害歴のある地域が含まれているかどうかの点検を行わせ、対策を国として呼びかけるべきではないか。

三 平成三十年七月七日に行われた野村ダムの但し書き操作による放流は、最大毎秒約二千立方メートルであり、下流域に死者を含む深刻な被害を引き起こした。

1 肱川水系河川整備計画が未整備な現状で、野村ダムと鹿野川ダムに挟まれた区間では、川が一度も河道から溢れることなく流れる量は、最大で毎秒何立方メートルか。

2 野村ダムと鹿野川ダムに挟まれた区間で、肱川水系河川整備計画通りに河道が整備された場合に、川が河道から溢れずに流れることができる量は毎秒何立方メートルか。

3 七月七日の野村ダムの但し書き操作で放流した最大流量は毎秒約二千立方メートル近かったが、その量を放流した場合に、野村ダムと鹿野川ダムに挟まれた区間のどこで氾濫し、または、水位が何メートルまで上昇するかを国は予測できていたか。

4 野村ダムで但し書き操作をおこなった場合、どのぐらいの流量を流した場合に、下流で水位がどこまで上昇するかの予測を、常日頃から自治体もしくは住民に対して伝えていた事実はあるか。

5 今後は、洪水時に迅速にリスク情報が伝わり、避難行動につながるように、野村ダムがどれぐらいの放流を行うと、水位がどこまで上昇するか、放流量と水位を対比させた情報を、河川管理者が住民に常日頃から周知した上で、洪水時には河川管理者が直ちに直接、自治体だけではなく、下流住民に伝える手段を確保しておくべきではないか。

四 平成三十年七月七日に行われた鹿野川ダムの但し書き操作による放流は、最大毎秒約三千五百立方メートルであり、広範囲にわたる深刻な浸水被害を引き起こした。

1 鹿野川ダムから河口までの区間で、現状、川が一度も河道から溢れることなく流れる量は、最大で毎秒何立方メートルか。

2 毎秒三千五百立方メートル以上を鹿野川ダムから放流した場合に、鹿野川ダムから河口までの区間のどこで氾濫し、水位がどこまで上昇するかを国は予測できていたか。

3 鹿野川ダムで但し書き操作をおこなった場合、どのぐらいの流量を流した場合に、下流で水位がどこまで上昇するかの予測を、常日頃から自治体もしくは住民に対して伝えていた事実はあるか。

五 ダム放流量と下流における水位上昇を対比させる情報提供をダム設置者に義務付ける河川法改正を検討すべきではないか。

六 平成三十年七月豪雨を踏まえて、肱川水系河川整備計画に書き込まれた堤防整備や河道掘削の未実施区間についての情報を共有し、被災した地域の住民との協議により、事業の優先順序を見直すべきではないか。

七 想定洪水をダムと河道に配分して治水を行う河川法の考え方に加えて、さまざまな治水施策を盛り込んだ滋賀県流域治水の推進に関する条例は今後の治水を考える上で参考になる。たとえば、条例第二十九条では「宅地建物取引業法第二条第三号に規定する宅地建物取引業者は、同法第三十五条第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等に対して、その者が取得し、または借りようとしている同法第二条第一号に規定する宅地または建物に関し、その売買、交換または貸借の契約が成立するまでの間に、当該宅地または建物が所在する地域の想定浸水深および水防法第十四条第一項に規定する洪水浸水想定区域に関する情報を提供するよう努めなければならない」とした。

国においても、水害の防災や減災のために、土地の売買、交換または貸借の際に、宅地建物取引業者に、滋賀県の条例と同様の努力義務または義務を課す法改正を検討すべきではないか。

八 滋賀県流域治水の推進に関する条例第十三条および十四条では、浸水警戒区域を知事が指定し、高齢者、障害者、乳幼児など災害弱者が利用する施設や学校、医療施設を建築することに一定の建築制限をかけて予め被害を防ぐ規定をおいている。平成三十年七月豪雨においても多くの公共性の高い施設が浸水被害を受けて機能しなかった事案が報告されており、国においてもこの条例を参考にして一定の施設については一定の建築制限をかける法改正を検討すべきではないか。

九 滋賀県流域治水の推進に関する条例第十六条等では、住民が自宅において逃げ遅れても命が守れるように、浸水警戒区域では住まいに避難空間を確保するため、想定水位より上に部屋や屋上があることを県は呼びかけ、補助金制度も整備しつつある。国においてもこの条例を参考にした法改正を検討すべきではないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二の1について

御指摘の大洲盆地の水害リスクについては、国土交通省四国地方整備局長は、水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)第十四条第一項の規定による洪水浸水想定区域の指定及び同条第三項の規定による公表を行っているほか、国土交通省四国地方整備局(以下「四国地方整備局」という。)において、肱川沿いの市町村によるハザードマップの作成支援、地域住民の防災意識の向上のための防災ステーションの見学会や防災訓練等の取組を実施している。

二の2について

御指摘の「指定地域に水害歴のある地域が含まれているかどうかの点検を行わせ、対策を国として呼びかける」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律(平成四年法律第七十六号)第四条第一項の規定に基づき指定された地方拠点都市地域を含め、想定最大規模降雨により河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域については、国土交通大臣又は都道府県知事は水防法第十四条第一項の規定により洪水浸水想定区域として指定することとされており、当該指定があったときは、同法第十五条第一項の規定に基づき、市町村防災会議等は、市町村地域防災計画において、洪水予報等の伝達方法、避難施設その他の避難場所及び避難路その他の避難経路に関する事項等を定めるとともに、同条第三項の規定に基づき、洪水浸水想定区域をその区域に含む市町村の長は、当該市町村地域防災計画において定められた事項を住民、滞在者その他の者に周知させるため、これらの事項を記載した印刷物の配布その他の必要な措置を講じなければならないとされている。

三の1及び2について

お尋ねの「肱川水系河川整備計画通りに河道が整備された場合に、川が河道から溢れずに流れることができる量」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十年七月豪雨における野村ダム下流の水害は、現在の整備水準で対応できる降雨を上回ったことによるものであるところ、お尋ねの「野村ダムと鹿野川ダムに挟まれた区間」については、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第九条第二項の規定等により、愛媛県知事が管理を行うこととされており、当該区間は「肱川水系河川整備計画(上流圏域)」(平成二十年九月三日愛媛県知事策定)又は「肱川水系河川整備計画(中下流圏域)」(平成十六年五月十三日国土交通省四国地方整備局長・愛媛県知事策定)の対象とする区間ではないが、愛媛県によると、当該区間における流下能力が最小の箇所における流下能力は、平成八年時点で毎秒約九百立方メートルであるとのことである。

三の3及び4について

御指摘の「予測」の意味するところが必ずしも明らかではないが、野村ダムの放流量のみで、御指摘の「区間」又は「下流」の水位や氾濫箇所等が決まるものではない。なお、特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第二条第一項に規定する多目的ダムである野村ダムについては、四国地方整備局において、同法第三十一条第一項に規定する操作規則の変更時等に、流域の自治体や住民に対し、当該操作規則の概要について説明を行っている。

三の5について

平成三十年七月豪雨を踏まえ、四国地方整備局では、「野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場」を平成三十年七月十九日に設置し、流域の自治体や住民に対する情報提供等の在り方について検討しているところである。

四の1について

平成三十年七月豪雨における鹿野川ダム下流の水害は、現在の整備水準で対応できる降雨を上回ったことによるものであるところ、お尋ねの「鹿野川ダムから河口までの区間」については、河川法第九条第二項の規定等により、国土交通大臣又は愛媛県知事が管理を行うこととされているが、当該区間における流下能力が最小の箇所は愛媛県知事が管理する区間内にあり、愛媛県によると、当該箇所の流下能力は、平成十年時点で毎秒約千六百立方メートルであるとのことである。

四の2及び3について

御指摘の「予測」の意味するところが必ずしも明らかではないが、鹿野川ダムの放流量のみで、御指摘の「区間」又は「下流」の水位や氾濫箇所等が決まるものではない。なお、鹿野川ダムについては、特定多目的ダム法第二条第一項に規定する多目的ダムとして設置されたものであるところ、四国地方整備局において、同法第三十一条第一項に規定する操作規則の変更時等に、流域の自治体や住民に対し、当該操作規則の概要について説明を行ったことがある。

五について

平成三十年七月豪雨を踏まえ、国土交通省では、「異常豪雨の頻発化に備えたダムの洪水調節機能に関する検討会」を平成三十年九月二十七日に設置し、流域の自治体や住民に対する情報提供等の在り方について検討しているところである。

六について

平成三十年七月豪雨を踏まえ、住民の代表である自治体の首長からの意見も勘案し、「肱川水系河川整備計画(中下流圏域)」に位置付けられている堤防整備等を国及び愛媛県が連携して集中的に実施することとし、その内容を平成三十年九月七日に公表しているところである。

七について

宅地建物取引業者の相手方等(宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第三十五条第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等をいう。以下同じ。)に対し、一定の地域における水害のおそれの有無等を説明するよう宅地建物取引業者に義務付けることについては、宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性、同法において説明が義務付けられている他の規制措置との均衡等を総合的に勘案して、その妥当性を判断する必要があるものと考えている。

八及び九について

お尋ねについては、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第三十九条の規定により、地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域に指定し、当該災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものを定めることができることとされている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×4検討してまいりたい ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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