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三年後の景気回復の可能性に関する質問主意書
衆議院 第170回 第213号お答えすることは困難 ×3
質問本文
麻生首相は十月三十日の記者会見で、事業規模約二十七兆円の新総合経済対策を発表し、同時に行政改革や景気回復を前提に、三年後に消費税率を引き上げる考えを明言された。麻生首相は「日本経済は全治三年」と言っておられる。このことに関して質問する。
一 首相の言う「景気回復」とは、どういう状態なのか、どういう経済指標がどうなればそう言えるのかを数字で定義していただきたい。
二 今回の新総合経済対策に関して、十月三十一日の朝日新聞に野村證券金融経済研究所による試算が載っている。それによると、五兆円の財政支出によるGDP押し上げ効果は計〇・五%程度。一方金融危機が深刻化した九月以降の円高と株安、世界経済の悪化は計一・四%もの押し下げ要因になる。ということは、この経済対策では景気を良くするどころか、景気悪化さえも抑えられないということではないか。もし、野村證券金融経済研究所の試算が政府の試算とは異なるのであれば、政府の試算を示していただきたい。
三 平成二十年八月内閣府発表の資料(第三十五回ESRI−経済政策フォーラム「経済政策とマクロ計量モデルの活用」)によれば二〇〇八年度のGDPデフレーターはマイナス一・〇%となっており、デフレは脱却できていない。民間シンクタンクがまとめた七〜九月期のGDPは年率換算で実質がマイナス三・〇%、名目がマイナス三・三%となっている。円高・株安・海外の景気後退など、日本の景気にとってマイナスの要因は多い。これから景気は更に悪化するのを政府が放置するのであれば、三年後の景気回復は望めないのではないか。
四 政府は、赤字国債を使って景気対策を行わないと言っているが、それであれば、今年で埋蔵金は使い果たし、今後は景気対策をできない、つまり景気が悪化しデフレスパイラルに陥っても放置するということか。また、今年度の国税収入は予算計上額を五兆円も下回るのではないかと言われるほど憂慮すべき状況にあり、金額はともかくとして、そのような事態が確実視される今回の景気対策は、実質的に赤字国債を財源としていることになるのではないか。
五 内閣府(新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議)が平成二十年十月三十日に発表した「生活対策」の三頁〜四頁には「安易に将来世代に負担をつけまわすようなことは行わない」とある。将来世代への負担とは、国の債務そのもののことか、それとも債務のGDP比のことか。
六 もし、将来世代への負担の意味が債務そのものであるなら、百分の一のデノミを行えば簡単に負担は百分の一に減らせるが、それで十分なのか。
七 もし、将来世代への負担の意味が債務のGDP比という意味なら、内閣府の短期モデルの乗数表が参考になる。別添の表は短期金利を固定したまま、公共投資を毎年GDPの一%(五・二兆円程度か?)増やし続けたらどうなるのかのシミュレーションを示したものである。これによれば、全ての経済指標は大きく改善されている。それだけでなく、国の債務のGDP比は初年度マイナス一・五三%、二年目マイナス一・九九%、三年目マイナス二・三五%と減り続けている。三年目から増加ということはない。つまり赤字国債を発行して景気対策をすれば、将来世代への負担を減らすことが出来るということではないか。
八 平成二十年十一月四日の答弁書(内閣衆質一七〇第一五九号)の六について「御指摘の見解は、我が国経済が、バブル経済の崩壊により、極めて厳しい不況を経験し、ある時期には危機的な様相さえ呈していた平成十年当時において」とある。その一方で麻生首相は十月三十日の記者会見で百年に一度の暴風雨が吹き荒れていると述べられた。平成十年当時と今とでどちらの経済情勢が厳しいと考えているのか。
右質問する。
政府答弁書
一から三までについて
今回の「生活対策」(平成二十年十月三十日新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定。以下「本対策」という。)においては、「生活者の暮らしの安心」、「金融・経済の安定強化」、「地方の底力の発揮」を重点分野とし、我が国経済の立て直しに取り組んでいくこととしている。
お尋ねの「景気回復」については、経済社会の動向等を総合的にみて判断する必要があり、個々の経済指標で一概に定義することは困難である。いずれにせよ、政府としては、現在の金融経済情勢を踏まえ、「日本経済は全治三年」という基本認識の下、当面は本対策等に基づき、景気回復を最優先で図っていくこととしている。
なお、本対策の効果等の試算については、本対策には様々な施策が盛り込まれていること、それらについての予算や税制等の具体的内容が決定されていないこと等から、御指摘の野村證券金融経済研究所による試算と同様の試算を行うことは困難である。
四について
経済財政運営に当たっては、経済成長と財政健全化の両立を図っていくとの考え方を基本とし、時々の経済状況に応じて、適切な対応に努めてまいりたい。
本対策の財源については、税収減を補うための財源とは別のものとして、赤字国債に依存しないこととしている。
五及び六について
「日本経済の進路と戦略−開かれた国、全員参加の成長、環境との共生−」(平成二十年一月十八日閣議決定)においては、我が国の財政について、「政府債務残高GDP比は二〇〇八年度(平成二十年度)百四十・二パーセント程度と引き続き極めて高い水準にあると見込まれる。このように、我が国財政は主要先進国の中でひときわ厳しい状況にあり、将来世代へ負担を先送りする構造となっている。(中略)人口減少や少子高齢化が進めば、将来の世代に一層重い負担がかかることから、財政健全化は喫緊の課題である」としており、政府としては、将来世代に責任をもった財政運営を行い、持続可能な財政構造を構築する観点から、債務残高GDP比を安定的に引き下げること等を目指しているところである。
七について
「短期日本経済マクロ計量モデル(二〇〇六年版)の構造と乗数分析」(内閣府経済社会総合研究所ディスカッション・ペーパー一七三号)付属資料におけるシミュレーションは、モデルの構造について理解を助けるため、短期金利を機械的に固定するなど一定の前提を置いて推計した結果であるが、一般に、計量モデルによる計算結果は、相当の幅をもって解釈すべきものであることから、この結果をもって、赤字国債を発行して景気対策をすれば、将来世代への負担を減らすことが出来るか否かは一概には言えない。
八について
平成十年当時と現在の経済情勢のどちらが厳しいかについては、内外の経済社会状況等の違いもあり、一概にお答えすることは困難であるが、現在の我が国経済については、世界経済の減速に伴い既に景気後退局面に入ったとみられ、当面、厳しい状況が続いていくものと認識している。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。