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臓器移植医療の実態に関する質問主意書
衆議院 第171回 第636号承知していない ×1
質問本文
臓器の移植に関する法律が一九九七年に施行され、一二年を経た現在、「脳死を一律に人の死」とし、現行法の基本理念である「本人の意思表示原則」を撤廃して、家族の同意だけでも提供を可能にする改正案が衆議院で可決され、現在参議院の審議に付されている。
しかし、この一二年間の移植医療の実態について、検証や情報公開が十分であったとは言えず国民の十分な理解には至っていない。法改正にあたっては、まずこの一二年間の運用を見直し、詳細に検証することこそが重要ではないか。このような観点から、以下質問する。
一 脳死下での八一例の臓器提供事例について
(一) これまでの脳死下臓器提供八一例による移植件数は、(社)日本臓器移植ネットワークの公表資料によれば、三四五件とされている(二〇〇九年二月九日現在)。このうち、レシピエント(臓器等の受容者)の死亡例及び生存期間を、心臓、肺、心肺同時、肝臓、膵臓、膵腎同時、腎臓、小腸、それぞれについて明らかにされたい。
(二) これまでの脳死下臓器提供八一例による移植件数三四五件に係る費用について、ドナー(臓器等の提供者)の臓器摘出に関する費用の総額を明らかにされたい。また、レシピエントの入院基本料、移植手術に係る費用、臓器搬送費用、それぞれの総額を明らかにされたい。
(三) 脳死下における直近の臓器移植事例について、ドナーの臓器摘出に関する費用を明らかにされたい。また、それぞれのレシピエントの入院基本料、移植手術に係る費用、臓器搬送費用を明らかにされたい。
二 教育普及啓発の現状について
(一) 現在、学校教育や地域保健医療の現場で行われている脳死臓器移植に関する普及・啓発活動はどのようなものがあるか。また、その費用はどこから拠出しているのか明らかにされたい。
(二) これらのうち、全国の中学校等に配布している教育用普及啓発パンフレットや、臓器移植ネットワークが作成している臓器提供意思表示カード等の説明文書において、人の死と脳死の関係、脳死と臓器提供の関係、脳死を人の死と認めない考え方などについて、どのように記載されているのか。
また、長期脳死児の存在や、臓器摘出時に麻酔や筋弛緩剤を使用することなどについて、何らかの記載はあるか、明らかにされたい。
三 小児救急医療について
(一) 我が国の新生児死亡率の低さは、一〇〇〇人中一.八人で世界で第一位を誇る。また乳児死亡率は第三位に位置しているが、一歳から四歳までの小児死亡率は一〇〇〇人中一.二人で世界で第二一位である。先進一三カ国の死亡率平均を一〇〇とした場合の一〜四歳児の死亡率が一二九.五と突出している。この原因はどこにあると認識しているか。
(二) 一〜四歳児の死亡場所と死亡原因について分析した、厚労省の科研費補助金事業「幼児死亡の分析と提言に関する研究」研究班が二〇〇六年に行った調査では、全対象死亡率と、基礎疾患のない小児の死亡率について、双方とも上位一〇位以内に入っている七県には重症患者の受け皿となる小児集中治療室はなかったとする調査結果を挙げている。その中で一〜四歳の小児死亡は、小さな施設で十分な治療を受けることなく亡くなっている実態を指摘し、小児集中治療室に小児救命救急センターの役割を付加するように体制を検討する必要があると報告している。この報告をどのように受け止め、どのように対処するのか。
右質問する。
政府答弁書
一の(一)について
社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)における公表資料によると、お尋ねの死亡例については、平成二十一年二月九日現在、心臓移植が二例、肺移植が十三例、心肺同時移植は該当なし、肝臓移植が十四例、膵臓移植は該当なし、膵腎同時移植が一例、腎臓移植が九例、小腸移植が一例となっている。
また、レシピエント(臓器等の受容者)の生存期間については、ネットワークの調査により把握しているところであるが、その結果については、心停止下であるか脳死下であるかを区別せず、臓器提供事例全体の生存率として統計処理を行った上で、厚生労働省による国会報告という形で公表しているところであり、お尋ねについても、当該国会報告に基づいて、お答えすることとしたい。臓器提供の事例数としては、平成二十年三月末日現在で、脳死下における臓器提供事例が六十六例、心停止下における臓器提供事例が千八十三例あるが、平成二十年十一月の国会報告によると、これらの事例についての五年後の生存率は、心臓移植が九十二・八パーセント、肺移植が六十・〇パーセント、肝臓移植が七十二・六パーセント、膵臓移植が九十七・三パーセントとなっている。また、腎臓移植については、平成十九年十二月末日現在で、脳死下における臓器提供事例六十三例及び心停止下における臓器提供事例千五十二例について、その五年後の生存率は、八十九・一パーセントとなっている。
なお、小腸移植については、実施後五年が経過している事例はない。
一の(二)及び(三)について
お尋ねについては、把握していない。
二の(一)について
厚生労働省においては、ネットワークの協力を得て、教育用普及啓発パンフレットを作成し、毎年、全国すべての中学校及び都道府県教育委員会等に送付しているところであり、当該パンフレットを活用した授業が行われた事例もあると承知している。また、パンフレットの作成及び送付に要する経費としては、平成二十一年度においては、千二百九十七万四千円を予算に計上しているところである。
また、ネットワーク及び都道府県においては、医療従事者も対象として、適正な移植医療を推進するための普及啓発活動を行っているところであり、政府としては、これらの活動に対して助成を行っているところである。平成二十一年度においては、ネットワークに対する助成に要する経費として、四千二百三十三万五千円を予算に計上するとともに、都道府県に対しては、二億二千二百七十九万七千円の地方交付税措置を講じているところである。
二の(二)について
お尋ねの「人の死と脳死の関係」及び「脳死と臓器提供の関係」については、教育用普及啓発パンフレットにおいて、「人は�@心臓の停止�A呼吸の停止�B瞳孔の散大(脳機能の消失)という三つの徴候を確認した時点を心臓死としていました。しかし、医学の進歩により、人工呼吸器などが開発されると、全脳の機能が停止して本来心臓死を迎える状況でも、器械によって呼吸を維持し、心臓を動かし続けることができる場合もみられるようになりました。この状況を脳死といいます。」、「一九九七年一〇月一六日、日本でも臓器移植法(「臓器の移植に関する法律」)ができ、脳死で臓器を提供する場合に脳死を人の死とすることになりました。」、「脳死での臓器提供は、高度な救急医療のできる病院で、適切な治療をしても残念ながら脳死となってしまった人が、生きているときに臓器提供の意思を書面で表示していて、なおかつ家族が拒まない時に行うことができます。」といった説明が、絵や図とともに記載されているところである。
そのほかのお尋ねの点については、記載されていない。
三について
お尋ねの原因としては、「幼児死亡の分析と提言に関する研究」(平成二十年度厚生労働科学研究費補助金事業)の報告書において、中核病院となるべき大学病院、小児病院等に小児重症患者を受け入れる小児集中治療室が十分整備されていないこと等が指摘されているところ、厚生労働省としても、小児集中治療室等を整備していく必要があるものと認識しており、「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」において、当該報告書も踏まえ、重篤な小児患者のための高度な救急医療体制の在り方等について検討してきたところであり、その結果も踏まえ、必要な対策を講じてまいりたい。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。