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臓器移植関連施策に関する質問主意書
参議院 第171回 第213号お答えすることは困難 ×1承知していない ×3検討してまいりたい ×4
質問本文
世界保健機関(WHO)の執行理事会は、平成二十一年一月二十六日に人の臓器と組織の移植に関し、総会で決議すべき案文を勧告した。また、平成十六年五月二十二日の総会決議を受け、人の臓器移植に関する指導指針の改訂作業が進められている。平成二十二年五月の総会では、決議案の採択と、指導指針の改訂が承認される見通しであると承知している。
そこで、このような国際的な動向に関連した国内施策の状況について、以下のとおり質問する。
一 ドナー数の増加に向け現在採用されている施策及び予算の概要について
移植に提供される臓器の不足は国際的な問題であり、平成二十年五月二日の国際移植学会のイスタンブール宣言においても各国が臓器を提供するドナー数の増加に向けた努力を行うことが奨励されていると承知している。我が国では現在、臓器提供意思表示カードの配付や臓器移植に関する普及啓発のための一般的な広報等がなされていることは承知しているが、実際にドナー数を増加させるためには現場の医療機関の努力が不可欠であり、スペインや米国などでは、医療機関を対象としたドナー・アクション・プログラムと呼ばれるドナー数の増加策が効果を上げていると側聞している。この点、関係医療機関の理解・協力を得てドナー数を増加させるために、我が国ではどのような施策が講じられているのか。一部医療機関では心停止後も含めた腎臓提供についてドナー・アクション・プログラムも試みられていると聞くが、現在講じられているドナー増加のための施策の概要、予算額、ドナー・アクション・プログラムの導入の実績及び成果についてもそれぞれ示されたい。
二 臓器提供施設の増加策等について
臓器提供を行えるものとされている施設は平成二十年九月三十日現在で大学附属病院、救命救急センター等、いわゆる四類型の四百七十四施設とされているところ、脳死状態に陥った際に脳死下臓器提供をする旨の記載のある臓器提供意思表示カードを保持していた者の約半数が四類型以外の施設に搬送されたため、脳死下提供に結びつかなかったと承知している。提供可能な施設数が増加する、あるいは提供可能な施設への迅速な連絡体制が完備することにより、提供数は大幅に増えることが見込まれると考える。現在の臓器提供施設の基準の検討状況について示されたい。基準を維持する場合は、その理由を明らかにされたい。また、臓器提供施設への連絡体制について、諸外国の例も含め、検討状況を示されたい。検討していない場合はその理由を明らかにされたい。
三 我が国における脳死の実態について
WHOの一連の方針では、国際的な臓器不足を反映し、特に死体ドナーからの臓器提供を最大化することが求められていると承知しているが、我が国における臨床的脳死者の発生数は年間何人程度と把握されているのか。把握されていないとすれば、脳死下臓器提供を推進する前提として、早急に把握する必要があるのではないか。また、脳死に陥る原因疾患にはどのようなものがあり、それぞれどの程度発生していると把握されているのか。年間発生総数、それぞれの原因疾患別の件数について示されたい。
四 脳死判定基準の検討状況について
参議院臓器の移植に関する特別委員会「臓器の移植に関する法律案に対する附帯決議」(平成九年六月十六日)では、政府に対し、「臓器摘出に係る法第六条第四項の厚生省令で定める判定基準については、臓器移植の実施状況を踏まえ、医学の進歩に応じて、常時検討を行うこと。」を求めているところであるが、判定基準の検証・検討状況について示されたい。検証が行われていない場合は、その理由を回答されたい。
五 脳死判定の補助検査について
臓器の移植に関する法律施行規則及びガイドラインにおいて、脳死判定の際には補助検査として聴性脳幹誘発反応をできるだけ実施することが奨励されていると承知しているが、実際の実施状況について、臓器の移植に関する法律施行後の脳死下移植事例を示されたい。また、それぞれの事例について実施された、他の補助検査(脳血流検査等)についても、検査の概要及び実施状況を示されたい。把握していない場合は、その理由を回答されたい。また、実態としてほとんどの脳死判定において一定の補助検査が実施されているのであれば、当該補助検査を義務化することも考えてもよいのではないか。検査内容が追加されることにより、判定への信頼性が高まり、提供者の増加にもつながるのではないかと考えるが、政府の見解を問う。
六 生体移植の規制について
我が国では国際的に比較しても生体移植に対する依存度が高いという実態があるところ、WHOの一連の方針では、生体ドナーの保護の観点から、ドナーとなりうる場合が成年の血縁者等に限定され、かつ、健康と福祉の保護が強調され、さらに諸手続の透明化、監視の観点が強調されていると側聞している。我が国における現在の生体移植の公的な規制は罰則のない厚生労働省ガイドラインによっていると承知しているが、ガイドラインによる規制でWHOの方針等に対応できると考えているのか。特にドナー保護を担保する施策も含め、今後の基本的な方向性について、考え方を示されたい。
七 いわゆる病気腎移植問題について
宇和島徳州会病院の事件を契機としていわゆる病気腎移植が社会問題化したが、いわゆる病気腎移植に対する政府の見解、対応策を示されたい。また、現在の同病院に対する保険適用の状況、病気腎を移植する場合の保険適用の状況について示されたい。
八 レシピエントのQOL(生活の質)について
移植を受けた者のその後の治療、生活の実態はほとんど知られていないところであるが、移植医療を推進し理解を深めるためにはその実態を明らかにする必要がある。移植を受けた後の健康状態、副作用の状況、就業状況、医療費の負担の実態について、移植された臓器別に実態を示されたい。把握していない場合は、その理由について回答されたい。
九 移植医療の透明性の確保について
移植の過程における透明性を高めることは、いわゆる移植ツーリズムや臓器売買等による臓器移植等の不正を根絶するためにも極めて重要かつ有効な手段である。WHOの一連の方針においても、透明性について、各国当局の連携、特に国際的な統一管理のために臓器等にコード番号を付与する方向であると承知している。我が国においては、透明性を確保するために従来どのような施策が講じられてきたのか、具体的に示されたい。また、今後は国際的な動きに対応してどのような対策を講じるのか、コード番号を付与することを含め、検討状況を回答されたい。検討していない場合はその理由について回答されたい。
十 臓器提供にかかる意思表示の要件について
臓器提供にかかる意思表示については、生前に臓器の摘出について承認する旨を述べていた場合、あるいは言明はないが拒否する理由もない場合に家族が代わりに承認するというオプト・イン(明示の同意)と呼ばれる仕組みと、生前に拒否の意思表示をしていない限りは同意が推定されるが家族に拒否権が認められうるオプト・アウト(推定同意)と呼ばれる仕組みがあり、拒否の意思を登録できるシステム等も整備されていると承知している。臓器移植医療が一般的である欧米諸国とは異なり、我が国では自らの死後の臓器提供について生前に何らかの形で意思を表示することはなお期待できず、家族等が本人の意思を忖度して判断する前提に欠けていることを懸念する。今後我が国における意思表示の仕組みが変更された場合、政府としては本人の生前の意思を可及的に尊重するよう、どのような施策を講じる用意があるのか。
十一 小児臓器提供に向けた環境整備について
十五歳未満の小児からの臓器提供の実現に向けては、救える命は確実に救う小児救急体制の整備、小児の脳の可塑性に配慮した確実な脳死判定基準の設定、虐待児童からの臓器摘出の阻止、提供した後の家族の心理的なケア等、検討すべき課題が山積しているところである。それぞれの課題に対して、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
現在、社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)及び都道府県において、医療従事者も対象として、適正な移植医療を推進するための普及啓発活動を行っているところであるが、政府としては、これらの活動に対して助成を行っているところである。平成二十一年度においては、ネットワークに対する助成に要する経費として、四千二百三十三万五千円を予算に計上するとともに、都道府県に対しては、二億二千二百七十九万七千円の地方交付税措置を講じているところである。
また、お尋ねのドナー・アクション・プログラムについては、「臓器移植の社会的基盤に関する研究」(平成二十年度厚生労働科学研究費補助金免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業)において、二十四の医療機関で導入され、現在、臓器提供希望者の意思を尊重できるシステムの構築等に係る研究が行われているところである。
二について
御指摘の臓器提供施設の基準については、現在、国会において、議員立法として提案された臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案が審議されているところであり、その結果も踏まえ、必要に応じ、検討してまいりたい。
また、お尋ねの「臓器提供施設への連絡体制」の意味するところが必ずしも明らかでないが、それが臓器提供施設への搬送を意味するのであれば、患者の安全性を確保する観点から、「臓器提供施設マニュアル」において、原則として、脳死状態に陥った患者を臓器提供施設へ搬送することは、控えるべきであるとされている。これについては、平成十六年に、臓器提供施設の在り方についての検討を行う際の参考として、関係者の意見を聞いたところ、日本脳神経外科学会から、「患者の呼吸及び循環状態が極度に悪化しているため、搬送途中での管理は困難であり、脳死状態に陥った患者の提供施設への搬送は不可能に近い」という趣旨の意見が提出されたこともあり、厚生労働省としては、当該マニュアルの考え方を維持することとしたところである。なお、お尋ねの「臓器提供施設への連絡体制」に係る諸外国の例については、把握していない。
三について
お尋ねの臨床的脳死者の年間発生件数については、脳死の発生率を全死亡の約〇・四パーセントとする報告があり、また、「平成二十年人口動態統計月報年計(概数)」によると、平成二十年の全死亡者数は約百十四万人となっていることから、これらを基に推計すると四千六百件程度となる。
また、お尋ねの原因疾患別の件数については、「脳死に関する研究班」(昭和五十九年度厚生科学研究費特別研究事業)の報告書によれば、主な脳死の原因疾患別の割合は、脳血管障害が六十四・九パーセント、頭部外傷が十八・一パーセント、脳腫瘍が六・一パーセントとなっており、これと臨床的脳死者の推計年間発生件数の約四千六百件を掛け合わせて算出すると、脳血管障害が二千九百八十件程度、頭部外傷が八百三十件程度、脳腫瘍が二百八十件程度となる。
四について
お尋ねの脳死判定基準については、これまでに開催された「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議」(以下「検証会議」という。)においても、その医学的妥当性について特段の指摘はなされていない。
五について
検証会議における検証結果については、臓器提供者の家族の同意が得られた場合に公表しているところであり、お尋ねの聴性脳幹誘発反応を確認する検査の実施状況についても当該公表に係るもののみについてお答えすることとしたいが、検証結果が公表されている三十四件のうち、当該検査が実施されたのは三十二件である。補助検査については、「「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)の制定について」(平成九年十月八日付け健医発第一三二九号厚生省保健医療局長通知)(以下「ガイドライン」という。)において、聴性脳幹誘発反応を確認する検査のみが記載されているところ、その他の補助検査の実施状況については、特段把握していない。
また、補助検査については、ガイドライン上は、脳死判定結果についての家族等の理解促進を図る手段としての意義が認められるとしており、脳死判定の医学的妥当性を補完することを目的として、これを義務化することは考えていない。
六について
厚生労働省としては、適正な臓器移植の実施を図るため、平成十九年七月にガイドラインを改正し、生体からの臓器移植はやむを得ない場合に例外として実施されるものであること、臓器提供の任意性を確保するため、提供者の自由意思を適切に確認することなど生体移植に関する事項を定めたところである。また、「日本移植学会倫理指針」においても、臓器提供者については、六親等内の血族、配偶者と三親等内の姻族に限定すること、これらの親族に該当しない場合においては、医療機関の倫理委員会において、症例ごとに個別に認証を受けること等が定められており、これらに基づいて、生体からの臓器移植が適切に実施されているものと認識している。生体移植に関する規制の在り方については、世界保健機関における「ヒト臓器移植に関する指針」の見直しの議論など、今後の国際的な動向も踏まえつつ、必要に応じ、検討してまいりたい。
七について
いわゆる病腎移植については、平成十九年七月にガイドラインを改正し、医学・医療の専門家において一般的に受け入れられた科学的原則に従い、有効性及び安全性が予測されるときの臨床研究として行う場合を除き、これを行ってはならないこととしている。
また、現在、宇和島徳洲会病院は、保険医療機関として指定されているが、いわゆる病腎移植については、医療保険の適用対象とはなっていない。
八について
厚生労働省としては、お尋ねの実態については、「臓器の移植に関する法律案に対する附帯決議」(平成九年六月十六日参議院臓器の移植に関する特別委員会)において「移植医療について国民の理解を深めるため、臓器移植の実施状況、移植結果等(臓器配分の公平性の状況を把握するための調査の結果を含む。)について、毎年、国会に報告書を提出すること」とされていることを踏まえ、臓器移植の実施状況、移植結果等について、ネットワークの協力を得つつ、把握に努めているところである。平成二十年の報告では、例えば、五年後の生存率及び生着率は、それぞれ、心臓移植が九十二・八パーセント及び九十二・八パーセント、肺移植が六十・〇パーセント及び六十・〇パーセント、肝臓移植が七十二・六パーセント及び七十二・六パーセント、腎臓移植が八十九・一パーセント及び七十一・九パーセント、膵臓移植が九十七・三パーセント及び七十九・九パーセントとなっている。その他のお尋ねの点については、ネットワークにおいても、その詳細を把握しておらず、お答えすることは困難である。
九について
厚生労働省としては、移植医療の透明性を確保するため、検証会議において、脳死下での臓器提供事例について、臓器提供に係る手続等を検証し、その検証結果については、臓器提供者の家族の同意が得られた場合に公表しているところである。
また、移植医療の透明性の確保については、「臓器移植の社会的基盤に関する研究」(平成二十年度厚生労働科学研究費補助金免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業)において、組織移植におけるコード番号の付与についての研究が行われているほか、「腎臓移植の成績向上をめざした臨床データ解析を目的とした症例登録と追跡制度の確立並びにドナー及びレシピエントの安全性確保とQOL向上に関する研究」(平成二十年度厚生労働科学研究費補助金免疫アレルギー疾患等予防・治療事業)において、臓器移植におけるドナー及びレシピエントの追跡調査等が行われているところであり、今後、これらの研究結果等や国際的な動向を踏まえ、移植医療の透明性の確保のための施策について、検討してまいりたい。
十及び十一について
お尋ねの点については、現在、国会において、議員立法で提案された臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案が審議されているところであり、その結果も踏まえ、必要に応じ、検討してまいりたい。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×1承知していない ×3検討してまいりたい ×4
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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