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国際的な人権諸条約の締結及び実施、ならびに外国人の年金や教育等に関する質問主意書

衆議院 第179回 第121号検討してまいりたい ×1

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2011年12月7日
内閣転送 2011年12月9日
答弁書受領日
2011年12月16日
提出から9日
答弁の項目数
5
質問 1,518字/答弁 1,677字

質問本文

日本に住む外国人は、二百十三万四千百五十一人となり(二〇一〇年末現在、外国人登録者数)、その出身国(地域)数は百九十一カ国までに及んでいる。また、外国人登録者数に表われない「日本籍外国人」「二重国籍日本人」も急増している。日本社会ではこのように多国籍化、多民族化が進行しており、その現実に対応する法制度の整備が望まれるところである。

日本政府は二〇〇九年十二月、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第十六条及び第十七条に基づく第三回報告」を国連に提出した。提出をうけて国連・社会権規約委員会は来年二〇一二年五月、第四十八回事前作業部会でこの日本政府報告書に関する事前質問を日本政府に通知し、同年十一月の第四十九回委員会で審査が行なわれる予定である。

国連人権理事会の一員である日本政府が真摯な姿勢で社会権規約委員会の審査に臨むことを期待する立場から、実りある委員会審査を可能にするために明らかにすべきと思われる事項につき、以下質問する。

一 二〇一一年六月の国連人権理事会で、日本が子どもの権利条約の個人通報制度に関する新議定書案の共同提案国となったことは、個人通報制度に対する積極姿勢を示したものと受け止めているが、国際人権諸条約の個人通報制度の締結に向けた方針ならびに準備状況を、詳細に明らかにされたい。

二 自由権規約委員会は二〇〇八年十月、日本政府に対し、「締約国は、外国人を国民年金制度から差別的に排除しないことを確保するため、国民年金法の年齢制限規定によって影響を受けた外国人のため経過措置を講ずべきである」と勧告した(総括所見第三十パラグラフ)。また人種差別撤廃委員会でも二〇一〇年二月、第七十六会期の日本審査において、同委員会の委員が同趣旨の指摘をしている。それらの勧告や指摘をふまえ、経過措置導入に向けた具体的検討の状況と導入の見通し、ならびにいかなる経過措置の導入が検討されているのか、明らかにされたい。

三 出生地は本人のアイデンティティにとって重要な情報であり、個々人の第一言語や文化にも影響するので、在留外国人に関する政策を検討する際の大変重要な要素となりうると考える。日本で生まれ育った外国人の数も確実に増加していると予測される。しかしながら、昭和四十九年を最後に在留外国人統計から出生地欄がなくなっており、出生地別の統計を把握できない状態である。在留外国人統計から出生地欄が削除された理由及び削除に至った経緯ならびに、出生地欄を再度付加する方針の有無を明らかにされたい。

四 社会権規約第十三条二項bの中等教育における「無償教育の漸進的導入」について日本は留保しているが、同条項の要請にも鑑みて二〇一〇年四月に高等学校無償化法を制定し、公立高校の授業料無償化と、私立高校等の授業料負担の軽減を実現し、また、それによって、高校等の中退率を大幅に引き下げる成果を得たと理解している。係る状況に鑑み、当該の留保を撤回する方針はあるか。

五 「教育に対する権利」は、社会権規約第十三条において「すべての者」に保障されるべきものとされている。しかしながら、出入国管理及び難民認定法が改定されたことに基づき二〇一二年七月に導入される新たな在留管理制度によって、非正規滞在の外国人の「教育に対する権利」の保障が後退する懸念が指摘されている。在留資格のない外国人の子どもたちの教育を受ける権利の保障について、とりわけ教育機関への受け入れや就学案内のあり方、また入管法第六十二条第二項に基づく通報義務等についての格段の配慮、自治体における対応の円滑化を図る措置のあり方に関する方針を明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

人権に関する様々な条約に設けられている個人通報制度については、条約実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えている。個人通報制度の受入れに当たっては、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無や個人通報制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識している。個人通報制度の受入れの是非については、現在、各方面から寄せられている意見も踏まえつつ、政府として真剣に検討を進めているところである。

二について

国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)においては、かつては被保険者が日本国民に限定されていたが、昭和五十七年の難民の地位に関する条約(昭和五十六年条約第二十一号)の発効の際に、難民とそれ以外の外国人との均衡を図る観点から、難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律(昭和五十六年法律第八十六号)により国籍要件の撤廃がなされた。その際には、外国人について国籍要件のため被保険者でなかった期間を年金の被保険者期間に算入する等の経過措置は講じないこととされたところであり、このような取扱いについては、平成二十一年二月三日最高裁判所第三小法廷決定等において憲法に違反するものではない旨の判断が示されている。他方、議員立法である特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律(平成十六年法律第百六十六号)附則第二条や同法の国会審議の際の附帯決議において、年金等の受給権を有していない在日外国人の障害者や高齢者の方々に対する福祉的措置等について検討すべき旨が指摘されているところであり、政府としては、国会における議論や関係者の様々な御意見を踏まえて引き続き検討してまいりたい。

三について

在留外国人統計については、昭和五十九年に出入国・在留管理に係る事務の合理化を図る観点から外国人登録に関する記録のうち必要最小限の事項を電算機処理化した上でこれを作成することとしたが、この際、在留外国人の出生地については電算入力項目とならなかったことから、昭和六十年版以後の在留外国人統計では出生地別の在留外国人の数が集計されていない。

また、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律(平成二十一年法律第七十九号)の施行により、平成二十四年七月までに外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)が廃止され、在留外国人の出生地が一律には把握されないこととなるため、出生地別の統計を集計して公表する予定はない。

四について

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第六号)第十三条2(b)の規定に付している留保については、現在、我が国が同規約上負う義務と公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(平成二十二年法律第十八号)との関係について精査しているところである。

五について

我が国の公立の義務教育諸学校においては、在留資格の有無を問わず、就学を希望する外国人児童生徒を日本人児童生徒と同様に無償で受け入れることとしている。

文部科学省としては、各都道府県教育委員会等に対して通知を発出し、外国人児童生徒が公立の義務教育諸学校への就学の機会を逸することのないよう、外国人児童生徒の受入体制の整備や就学案内の徹底を図るよう周知を行っているところである。この方針は、御指摘の「新たな在留管理制度」の導入後も変わるものではなく、引き続き、外国人児童生徒の教育の充実に努めてまいりたい。

なお、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十二条第二項に規定する通報義務については、通報すると行政機関に課せられている行政目的が達成できないような例外的な場合には、当該行政機関において通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較衡量して、通報するかどうかを個別に判断することも可能であると解しているところである。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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