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外国人登録証常時携帯義務と国連規約人権委員会の勧告の重みに関する質問主意書
衆議院 第145回 第20号
質問本文
一 外国人登録証の常時携帯義務について
1 規約人権委員会における審査について
�@ 一九九八年一〇月二八日及び二九日に開かれた国際人権自由権規約に基づく規約人権委員会の日本政府の第四回定期報告書の審査において、日本政府は「指紋押捺の廃止と異なり、諸外国にも同様の制度がある」と答弁しているが、日本政府同様に外国人登録証の常時携帯義務を課しているのはどの国か列挙して明らかにされたい。
�A �@項の回答で列挙された諸外国の例において、永住外国人についてまで常時携帯義務を課している例があるか否かお調べいただきたい。
�B �@項の回答で列挙された諸外国の例において、永住外国人に常時携帯義務を課し、罰則まで設けている例があるかどうかをお答えいただきたい。
2 規約人権委員会の最終見解について
�@ 1�@項の日本政府の答弁を踏まえて、右審査に基づいて規約人権委員会の最終見解が出され、その一七項において「委員会は、政府の第三回報告書の審査の最後に示された、外国人登録証明書を常時携帯していない永住外国人を刑罰の対象とし、刑事制裁を課している外国人登録法は規約二六条に適合しないという意見を再度表明する。委員会は、このような差別的な法律を廃止するよう再度勧告する」と指摘されたが、今回の改正において、この点が考慮されず、刑罰規定を廃止しない理由は何か、明らかにされたい。
�A 日本政府は、国連規約人権委員会の勧告に正面から反論する用意はあるか。あるいは「勧告には法的拘束力がない」としばしば国会答弁で繰り返すことから、政府は、日本が批准している国際人権自由権規約を遵守しなくてもよいと考えているのか、明らかにされたい。
�B 日本政府は、規約人権委員会の最終見解等に「法的拘束力がない」「自動効力はない」としているが、「単なる参考意見」として聞きおく程度ということか。
�C 一九九三年一〇月二七日及び二八日に開かれた規約人権委員会における日本の第三回定期報告書の審査の結果、規約人権委員会から出されたコメントの九項において「当委員会は、在日韓国・朝鮮人、部落民及びアイヌ少数民族のような社会集団に対する差別的な取扱が日本に存続していることについて懸念を表明するものである。永住的外国人であっても、証明書を常時携帯しなければならず、また刑罰の適用対象とされ、同様のことが、日本国籍を有する者には適用されないことは、規約に反するものである」と指摘され、また外国人登録法改正時の衆参附帯決議にも織り込まれて、さらに、再び�C項で述べたような指摘を受けたにもかかわらず、刑罰規定を廃止しない理由はなにか。頑なに今回も最終見解等に耳をかさずに「法的拘束力がない」ことを繰り返すのみでは、規約人権委員会の審議に背を向ける鎖国的態度と言われても仕方あるまい。政府の真摯な姿勢がまるで見えないのはなぜか。
右質問する。
政府答弁書
一の1の�@について
外国人に登録証明書、旅券等身分事項を証する書類の携帯を義務付けている国としては、現在把握している限り、米国、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、アイルランド、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイスランド、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、チリ、ヴェネズエラ、コロンビア、ブラジル、アルゼンティン、メキシコ、ペルー、中国、韓国、タイ、ミャンマー、フィリピン、マレイシア、インドネシア、インド、パキスタン、イスラエル、エジプト及びケニアがある。
一の1の�A及び�Bについて
一の1の�@についてでお答えした国はいずれも、いわゆる永住外国人に対しても登録証明書、旅券等身分事項を証する書類の携帯を義務付けており、また、その多くの国において、これを担保するため、その違反に対し罰則を設けているものと承知している。例えば、米国においては、移民法第二百六十四条(e)において、永住者に対して、外国人登録受理証(永住者カード)の常時携帯義務を課し、その違反に対し、百ドル以下の罰金若しくは三十日以下の禁錮に処し、又はこれを併科することとしている。
一の2の�@について
不法入国者や不法残留者が多数存在する等の今日的状況の中では、外国人が合法的な在留者であるか否か等、その居住関係及び身分関係を即時的に把握するためには、登録証明書の常時携帯制度は合理的かつ必要なものであり、制度としてこれを廃止することは適切でなく、また、この制度の目的を達成するためには、この違反に対し間接強制である罰則による担保が必要であると考えている。
また、外国人が合法的な在留者であるか否か等を即時的に把握するため、外国人に一定の義務を課し、罰則でこれを担保することについては、前記のような目的の合理性、必要性、方法の相当性が認められ、日本人に対する取扱いとの間に差異があったとしても、その差異には合理的根拠があり、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号。以下「規約」という。)第二十六条に違反するものではないと考えている。
ちなみに、一の1の�A及び�Bについてでお答えしたとおり、規約を締結している多くの国において、我が国と同様、永住外国人に対し登録証明書、旅券等身分事項を証する書類の携帯を義務付け、これを担保するため、その違反に対し罰則を設けている。
一の2の�A及び�Bについて
憲法第九十八条第二項は、我が国が締結した条約については、これを誠実に遵守することを必要とする旨規定しており、規約は、当然にこれを遵守しなければならないものである。
規約第二十八条1に基づいて設置された人権委員会(以下「委員会」という。)が我が国の第四回政府報告の検討を踏まえて千九百九十八年(平成十年)十一月五日に採択した最終見解については、法的拘束力はないものの、一般論として言えば、今後ともその内容等を検討し、適切に対処していく必要があると考えているが、登録証明書の常時携帯義務違反に関する政府の見解は一の2の�@についてでお答えしたとおりであり、このことは、様々な場において明らかにしているところである。
一の2の�Cについて
御指摘の刑罰規定を廃止しない理由は、一の2の�@についてでお答えしたとおりであるが、必要に応じ、委員会に対してもその旨を説明し、理解を得てまいりたい。
なお、平成四年四月十七日の衆議院法務委員会及び同年五月十九日の参議院法務委員会において、「外国人登録証明書の常時携帯・提示義務等に関する規定の運用に当たっては、外国人の日常生活に不当な制限を加えることのないよう配慮し、いやしくも濫用にわたることのないように努めること。」との附帯決議がなされたところ、登録証明書の常時携帯義務違反については、この趣旨に沿い、例えば、外国人であるという理由だけで画一的、機械的に登録証明書を携帯しているかどうかを確認するような運用は行わないなど、常識的かつ弾力的な運用がなされており、政府としては誠実に対処しているところである。
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