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中川文部科学大臣の教育権を否定する違法・不当介入な国会答弁に関する質問主意書

衆議院 第179回 第15号

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2011年10月28日
内閣転送 2011年11月2日
答弁書受領日
2011年11月8日
提出から11日
答弁の項目数
2
質問 1,891字/答弁 1,671字

質問本文

中川正春文部科学大臣(以下、中川文科大臣という)は、去る十月二十六日の衆議院文部科学委員会(以下、十月二十六日の衆院文科委員会という)で、沖縄県八重山地域の中学用公民教科書採択をめぐる問題について、同年八月二十三日に教科用図書八重山採択地区(以下、八重山採択地区という)協議会が答申した育鵬社版とは異なる東京書籍版を採択した竹富町教育委員会に対し、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(以下、無償措置法という)に基づく採択を行っていないとして「国の無償供与の対象にはならない」との見解を示した。そのうえで、「地方公共団体みずから教科書を購入して生徒に無償で供与するということまで法令上禁止されるものではないという解釈が法制局の方からも出てきた」等と答弁している。

事実上、竹富町に対する東京書籍版「有償購入」強制を意味する一連の中川文科大臣の国会答弁は、憲法が定める教育権を否定し、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下、地教行法という)や無償措置法の立法目的・趣旨にも反するものである。国家権力による教育への違法・不当介入であると断ぜざるを得ない。

なお、係る中川文科大臣の見解には、沖縄県教育委員会も大きな疑念を抱いている。同時に、竹富町民をはじめとする多くの八重山郡民、沖縄県民が強い怒りを表明していることを強く申し添える。

以下、質問する。

一 十月二十六日の衆院文科委員会で、政府参考人(山中伸一文部科学省初等中等教育局長)が「答申は採択するに至る一つの過程であり、別のものである」と答弁したように、政府はこの間、教科用図書採択地区(以下、採択地区という)協議会における協議の結果は、あくまで採択地区内の各教育委員会に対する答申に過ぎず、当該教育委員会が有する採択権を拘束するものではないとの見解を示してきた。また、私が平成二十三年九月十四日付で提出した「沖縄県「八重山採択地区」における教科書選定に関する質問主意書」に対する政府答弁書(同年九月二十七日受領)では、地教行法第四十八条第一項に規定される文部科学大臣の権限、および無償措置法第十条に規定される都道府県教育委員会の権限は、「指導・助言・援助であり、直接、市町村教育委員会を拘束するものではない」との見解を示している。

その前提に立つと、十月二十六日の衆院文科委員会における中川文科大臣の一連の国会答弁は「指導・助言・援助」の枠をはるかに越えており、竹富町に自主財源で教科書を有償購入するよう強権的に誘導せんとする方針表明に当たると考えるが、政府の見解を示されたい。

また、地方公共団体たる竹富町に自主財源で教科書を有償購入する義務を課す法的根拠は所在しないと考えるが、政府の見解を示されたい。なお、法的根拠の所在が明確であるとの見解であれば、当該条文を明らかにされたい。

二 憲法第二十六条は、国民の教育を受ける権利、教育を受けさせる義務、および義務教育の無償を定めている。私は、この憲法第二十六条の精神に則り、義務教育における授業料に限らず、使用する教材たる教科書も国の責任の下で無償供与するために無償措置法が制定されたと認識する。

係る認識に立つと、無償措置法の立法目的・趣旨に照らし、二〇一一年九月十五日付、文部科学省初等中等教育局長・山中伸一発出、沖縄県教育委員会教育長宛の文書(二三文科初第八三五号)「沖縄県八重山採択地区における教科書の採択及び教科書の需要数の報告について(通知)」にある「八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果」、すなわち無償措置法第十三条第四項に定める協議の結果と同一の教科書を採択したか否かに依らず、むしろ、国による教科用図書の無償給付に定める無償措置法第三条を尊重した対処方針を所管府省たる文部科学省は示すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 無償措置法第十二条は、採択地区の設定および変更を規定している。同条に基づき、すでに教科書の発行に関する臨時措置法施行規則第十四条に定める教科書の需要数報告の期限(平成二十三年九月十六日)が過ぎた今年度において、採択地区を変更することは法的に可能か否か、政府の見解を示されたい。法的に不可能であるとの見解であれば、その根拠を明らかにされたい。

同時に、無償措置法第十二条に基づき、八重山採択地区を変更し、石垣市、竹富町、および与那国町の各市町が単独で採択地区を形成することが法的に可能か否か、政府の見解を示されたい。法的に不可能であるとの見解であれば、その根拠を明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二について

義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律(昭和三十七年法律第六十号。以下「無償に関する法律」という。)第一条第一項は「義務教育諸学校の教科用図書は、無償とする。」と、同条第二項は「前項に規定する措置に関し必要な事項は、別に法律で定める。」とそれぞれ規定しており、同条第二項を受けて、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(昭和三十八年法律第百八十二号。以下「無償措置法」という。)が、国が教科用図書を無償給付するために必要な事項等を規定している。

無償措置法第三条は「国は、・・・第十三条・・・の規定により採択されたものを購入し、義務教育諸学校の設置者に無償で給付するものとする。」と規定しており、無償措置法第十三条第四項は、無償措置法第十二条第一項の規定に基づいて設定された採択地区が二以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、当該採択地区内の市町村の教育委員会が協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならないと規定している。沖縄県八重山採択地区においては、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果が無償措置法第十三条第四項の規定による協議に当たると認められることから、文部科学省においては、沖縄県教育委員会に対し、この結果に基づいて同採択地区内の各市町教育委員会が同一の教科用図書を採択するよう指導を行うことを指導・助言してきたところである。同採択地区内の石垣市及び与那国町の各教育委員会は、この結果に基づいて教科用図書を採択しており、同項の規定による採択を行ったと同視できることから、無償措置法により国がその採択に係る教科用図書を無償で給付することができると考えるが、竹富町教育委員会は、この結果と異なる教科用図書を採択しており、同項の規定による採択を行ったとは認められず、無償措置法第三条の要件を満たさないことから、無償措置法により国がその採択に係る教科用図書を無償で給付することはできないと考える。

他方、無償に関する法律第一条第一項の趣旨は、児童生徒及びその保護者に教科用図書の費用を負担させないことと解される。竹富町教育委員会があくまで同協議会の規約に従ってまとめられた結果と異なる教科用図書を採択するというのであれば、当該教科用図書について、無償措置法により国が無償で給付することができない以上、児童生徒に教科用図書が行き渡らないという事態を避け、かつ、無償に関する法律第一条第一項の趣旨を全うするためには、竹富町において教科用図書を購入し、これを児童生徒に無償で給与するほかない。その設置する小学校及び中学校における教育について一義的な責任を負う市町村において、国による無償措置によらず、自ら教科用図書を購入し、これを児童生徒に無償で給与することは、無償に関する法律の趣旨に反しているとはいえず、無償措置法によっても禁止されるものではないと考える。

御指摘の文部科学大臣の答弁は、以上の趣旨を述べたものである。

三について

教科書の発行に関する臨時措置法施行規則(昭和二十三年文部省令第十五号)第十四条は、教科書の発行に関する臨時措置法(昭和二十三年法律第百三十二号)第八条の規定に基づき文部科学大臣が「発行者にその発行すべき教科書の種類及び部数を指示」するために、同法第七条第二項の規定に基づき都道府県教育委員会が当該都道府県内の「教科書の需要数を・・・文部科学大臣に報告」する期限を定めたものであり、採択地区の変更の時期について定めたものではない。

無償措置法第十二条第一項は、「都道府県の教育委員会は、当該都道府県の区域について、市若しくは郡の区域又はこれらの区域をあわせた地域に、教科用図書採択地区・・・を設定しなければならない。」と規定しており、採択地区を設定する際の最小単位は市又は郡であることから、沖縄県八重山郡内の竹富町及び与那国町を単独の採択地区とすることはできない。

衆議院の原文

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