ことばで探す › 衆議院 第192回
大阪市教育委員会の教科書採択への組織的介入問題に関する質問主意書
衆議院 第192回 第8号承知していない ×1
質問本文
二〇一五年度において、二〇一六年度使用中学校用教科書の採択が行われ、大阪市教育委員会は歴史・公民の使用教科書に育鵬社版を採択した。この採択の経過において、育鵬社と大阪府岸和田市に本社を置く不動産会社であるフジ住宅株式会社が協力して、教科書展示会場で組織的アンケート意見記入の活動を行った。また、育鵬社の利害関係者である教育委員が採択行為へ関与している。馳浩文部科学大臣(当時)は、本年三月八日の記者会見で組織的アンケート活動に触れて、「育鵬社に対しては猛省を促したい……(大阪市)教育委員会から協力の申出などがあれば、必要に応じて、育鵬社に対する事実関係の確認など、必要な対応をとる」と述べており、その問題性については認識していると思われる。
教科書採択を決定する大阪市教育委員会には、教科書展示会場での不正なアンケート結果が報告され、採択の重要な資料とされている。文部科学省が事実をどのように把握し、その問題性をどのように考えているのか、明らかにすべきである。
よって、以下質問する。
一 大阪市教育委員会が二〇一五年八月五日に行った中学校社会科歴史・公民の採択は、組織的アンケート活動と育鵬社の利害関係者である教育委員の関与があり、不公正に行われたと考えるが、文部科学省として、以下の事実を把握しているか明らかにされたい。
�@ 大阪市内三十三ヵ所の教科書展示場へ投函され、情報開示された教科書アンケート一一五三枚の中から、多重投票が数多く確認されていること。
�A 大阪市教育委員会は、アンケートを集計する途中で多重投票の存在に気づいたが、そのまま集計作業を進めて数値化し、教科書選定委員会などへ報告したこと。
�B 大阪市教育委員会には、育鵬社版教科書を印刷するサンケイ総合印刷の専務取締役を経験し、採択直前まで同社の百%親会社である産経新聞関係者だった者が委員として加わっていること。
二 大阪市教育委員会の教科書採択への不正な介入を誘引したのは、育鵬社と日本教育再生機構であると考えられるが、文部科学省として以下の事実を把握しているか明らかにされたい。
�@ 育鵬社版支持の多重投票をした中心団体がフジ住宅株式会社(大阪府岸和田市)であること及び支持票の過半が市外からのものであること。
�A 育鵬社は、大阪市の社会科の教科書採択はアンケートが決め手となることをフジ住宅会長へ伝え、同社に総力を挙げ取り組ませたとされること。
�B フジ住宅は不正な投票活動について全て育鵬社と日本教育再生機構(同機構理事長の八木秀次氏は育鵬社版を執筆し、同機構は育鵬社の見本本を販売している)へ報告し、育鵬社も採択後感謝を述べているとされること。
三 大阪市教育委員会による不公正な教科書採択に関し、前掲一の事実は地方教育行政の組織及び運営に関する法律第一条の二「地方公共団体における教育行政は……公正かつ適正に行われなければならない」に違反し、また、前掲二の事実は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二条第九項第六号ハ「不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること」に該当し不公正な取引方法の禁止に違反すると考えられるが、政府としての認識を明らかにされたい。
四 馳文部科学大臣(当時)は前掲の通り「(大阪市)教育委員会から協力の申出などがあれば……必要な対応をとる」と述べたが、地教行法や独禁法などに違反したことが確認できる場合、大阪市教育委員会からの申出がなくても国(文部科学省)として積極的に対処すべきであると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
五 法令違反等が部分的にでも判明した場合に教科書採択のやり直しの必要性を判断する第三者機関を設置することについて、国(文部科学省)が主導して法整備をする必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
六 教育委員会による教科書採択に関し公正さを担保するため、採択会議に出席する等教科書採択に関与する教育委員の資格及び欠格条項を現状より厳密に設定する必要性があると考えるが、政府として関係法令を点検し、改正を検討する考えがあるか明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
お尋ねの「事実」のうち、大阪市教育委員会が平成二十七年度に行った「教科書の閲覧に関するアンケート」に関するものについては、同教育委員会のホームページにおいて公表されている「平成二十八年陳情第十四号「フジ住宅(株)が育鵬社教科書の採択運動をし、大阪市教育委員会の審議に反映させた件につき、真相を究明し責任を明らかにする陳情書」についての報告」(以下「報告書」という。)の内容を把握しており、また、同教育委員会の委員に関するものについては、同教育委員会のホームページにおいて、同教育委員会の委員一名が「サンケイ総合印刷 専務取締役」及び「産経新聞社大阪本社嘱託業務アドバイザー」の「職歴」を有していることが掲載されていることを把握しているが、それら以外のものについては、文部科学省として把握していない。
三から五までについて
「前掲一の事実は地方教育行政の組織及び運営に関する法律・・・に違反」するか否かというお尋ねは、大阪市教育委員会が行った平成二十八年度において使用される中学校社会科の歴史的分野及び公民的分野の教科書の採択(以下「本件採択」という。)が、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号。以下「地教行法」という。)第一条の二の規定に違反するか否かという趣旨であり、「前掲二の事実は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律・・・に違反」するか否かというお尋ねは、本件採択に関する「育鵬社」の行為が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)第十九条の規定に違反するか否かという趣旨と考えるが、政府としては、報告書の内容から判断すれば、本件採択が地教行法第一条の二の規定に違反するものであったとは考えておらず、本件採択に関し、「育鵬社」による独占禁止法第十九条の規定に違反する行為があったとは考えていない。また、公立学校において使用する教科書を採択する権限は、当該公立学校を所管する教育委員会が有しているものであり、文部科学省においては、各都道府県教育委員会に対して、「平成二十八年度使用教科書の採択について」(平成二十七年四月七日付け二十七文科初第九十一号文部科学省初等中等教育局長通知)により、「採択教科書の決定に当たっては・・・十分な審議や調査研究を経ずこれまでの慣例のみによって決定されるなどにより、採択権者の責任が不明確になることがないよう、採択手続の適正化に努めること」や「外部からの働きかけに左右されることなく、採択権者の権限と責任において公正かつ適正な採択を行うこと」等を指導しているところである。
このため、現時点において、御指摘のように「国(文部科学省)として積極的に対処すべきである」及び「国(文部科学省)が主導して法整備をする必要がある」とは考えていない。
なお、報告書においても、本件採択は、大阪市教育委員会の権限と責任において公正かつ適正に行われたものとされている。
六について
教育委員会の委員については、地教行法第四条第二項において、「当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化・・・に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する」と規定されており、各地方公共団体においては、地域の実情に応じて、幅広い人材の中から教育委員会の委員としてふさわしい者が議会の同意を得て地方公共団体の長により委員に任命されることになっている。その上で、地教行法第十四条第六項において、「教育委員会の教育長及び委員は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない」と規定されており、教育委員会の委員は、自己若しくは一定の親族の一身上に関する事件又は自己若しくは一定の親族の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができないとされている。政府としては、これらの規定を含む現行法の規定により、教育委員会における委員の適正な活動が担保されていると考えていることから、教育委員会の委員の資格要件等について御指摘のように「現状より厳密に設定する必要性がある」とは考えておらず、「政府として関係法令を点検し、改正を検討する」ことは考えていない。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。