ことばで探す › 衆議院 第180回
八ッ場ダムの検証における治水に関する質問主意書
衆議院 第180回 第160号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×2
質問本文
八ッ場ダム建設事業の検証では治水対策の最有力案として八ッ場ダムが選択されたが、その科学的な根拠が明瞭ではない。先に本年三月一日に「国土交通省の八ッ場ダム治水効果の検証に関する質問主意書」、三月十二日に「国土交通省の八ッ場ダム検証における複数治水対策案に関する質問主意書」を提出し、それぞれ政府から答弁書を得たが、八ッ場ダムの治水の検証の仕組みはいまだに不透明なところがある。国土交通省は、治水の検証に係るデータ及び算定方法を国民に疑問の余地なく示すべきである。以下、治水の検証において、なお不明な点についてあらためて質問する。
一 八ッ場ダム検証で想定したそれぞれのケースにおける各洪水の各地点の最大流量
先に二つの質問主意書に対する答弁書で流量の計算結果がいくつか示されたが、断片的であるので、治水の検証の全体像が不明なままである。全体像を把握できるよう、次の数字を網羅的にすべて明らかにされたい。
�@八斗島上流の洪水調節施設のうち八ッ場ダムがない場合、�A八ッ場ダムを含む案、�B河道掘削案、�C渡良瀬遊水地案、�D新規遊水地案の五ケースについて、検証対象の八洪水のそれぞれにおける利根川・江戸川の各地点の最大流量計算値。
ここで、検証対象の八洪水は昭和二十二年九月、二十三年九月、二十四年八月、三十三年九月、三十四年八月、五十七年七月、五十七年九月、平成十年九月型の降雨波形で、洪水調節施設がない場合に八斗島地点の流量が毎秒一万七千立方メートルになるようにそれぞれ調整した洪水を言う。
また、利根川・江戸川の各地点とは、利根川の八斗島地点、渡良瀬川合流地点、江戸川分派地点、芽吹地点、新大利根橋地点、利根川河口地点及び江戸川の流頭地点、江戸川河口地点の八地点を言う。なお、流量はこれらの地点の区間の値ではなく、各地点ごとの値を示されたい。
二 八斗島地点から江戸川分派地点までの洪水流量の低減について
1 本年三月二十一日の「国土交通省の八ッ場ダム検証における複数治水対策案に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質一八〇第一三五号)の「�@及び�Aについて」を見ると、「八ッ場ダムを含む案」の最大流量は「八斗島地点から渡良瀬川合流地点までの区間」の流量が毎秒約一万四千百八十立方メートル、「渡良瀬川合流地点から江戸川分派地点までの区間」の流量が毎秒約一万四千百立方メートルで、後者が八十立方メートル小さくなっている。両方とも昭和三十四年八月型洪水の計算値である。しかし、流域面積は八斗島地点が五一五〇平方キロメートルで、下流に行くにつれて次第に増加し、江戸川分派地点近傍の栗橋地点の流域面積が八五八八平方キロメートルである。渡良瀬川からの洪水は渡良瀬遊水地で調節するとしても、八斗島地点より江戸川分派地点は洪水流量がそれなりに増加するはずである。実際に、利根川水系河川整備基本方針でも計画高水流量は八斗島地点毎秒一六五〇〇立方メートル、栗橋地点一七五〇〇立方メートルとなっている。「八ッ場ダムを含む案」において「八斗島地点から渡良瀬川合流地点までの区間」より「渡良瀬川合流地点から江戸川分派地点までの区間」の流量が小さくなる理由を説明されたい。
2 三月二十一日の上記答弁書の「�Bから�Dまでについて」を見ると、「(1)河道掘削案」の最大流量は「八斗島地点から渡良瀬川合流地点までの区間」の流量が毎秒約一万五千八百十立方メートル、「渡良瀬川合流地点から江戸川分派地点までの区間」の流量が毎秒約一万四千六百二十立方メートルで、下流側が約千二百立方メートルも減っている。河道掘削では流量が減るはずがなく、「河道掘削案」では八斗島地点より下流で何らかの洪水調節施設が想定されていると考える。その洪水調節施設の内容と規模を明らかにされたい。
三 区間の流量の意味
上述のとおり、三月二十一日の上記答弁書では「八斗島地点から渡良瀬川合流地点までの区間」というように、二つの地点の区間の流量が示されているが、二つの地点は流域面積が異なるので、流量も違うはずである。この区間の流量はどのように求めたのか、その算出方法を明らかにされたい。
四 八ッ場ダムを含む案の流量
二で述べたとおり、三月二十一日の上記答弁書の「�@及び�Aについて」では「八ッ場ダムを含む案」の最大流量は「八斗島地点から渡良瀬川合流地点までの区間」の流量が毎秒約一万四千百八十立方メートルである。これは昭和三十四年八月洪水の計算値である。一方、「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書」(平成二十三年十一月)の表四−二−三では、「河道分担流量洪水調節施設全施設完成時」の昭和三十四年八月洪水の計算値は毎秒一万四千百六十立方メートルである。この二つの数字が異なる理由を説明されたい。
五 河口距離と流域面積
三月二十一日の上記答弁書で計算流量が示された地点のうち、渡良瀬川合流地点、江戸川分派地点、芽吹地点、新大利根橋地点は国土交通省の水文水質データベースにも載っていない地点であるので、それぞれの河口距離と流域面積を示されたい。
六 三月九日の答弁書の「洪水調節量」に関する答弁について
本年三月九日の「国土交通省の八ッ場ダム治水効果の検証に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質一八〇第一一二号)の「八及び九について」で、「八ッ場ダムを含まない案の検討に当たっては、八洪水のいずれにおいても、御指摘の「「河道分担流量洪水調節施設全施設完成時(B)」に対応する数値から、14000m3/Sを差し引いた数値」を「洪水調節量」とはしていない。」と答えている。しかし、「八ッ場ダムを含まない案」を考えるにあたり、「八ッ場ダムを含まない案」で得られる八洪水の八斗島地点の計算流量から八斗島地点の河道対応可能流量毎秒一四〇〇〇立方メートルを差し引いた値が、八洪水それぞれにおいて八ッ場ダムの代替案で対応が必要な流量であると考えるのが常識的と考える。質問主意書の質問も、そうした意味で、八ッ場ダムの代替案で対応が必要な流量を「洪水調節量」と表現した。この考え方に誤りがあれば、具体的に説明されたい。あわせて、八ッ場ダムの代替案で対応が必要な流量を代替案ごとに、八洪水それぞれに対して、示されたい。
七 「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」での事務局説明について
昨年十二月一日の国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」において事務局から八ッ場ダムによる水位低下量について次の説明があった(議事録十八〜十九ページ)。「ただいまのご質問ですが、江戸川の分派点から上流部分の水位低下量でいきますと、これは河床の形状によってもそれぞれ水面形が変わってきますから一律に何cmということではありませんが、大体の幅で申し上げると一番小さいところで32〜33cm、一番大きいところで65cmぐらいの水位低下量があるという計算結果です。」この水位低下量の計算結果を利根川及び江戸川の地点ごとに示されたい。また、その計算条件を明らかにされたい。
なお、この計算は昭和三十四年八月洪水の降雨波形の場合であるが、他の七洪水の降雨波形の場合は八ッ場ダムによる水位低下量がどれほどになるのか、その計算結果を明らかにされたい。
八 八ッ場ダムによる水位低下量の計算に用いた流量
上記七の八ッ場ダムによる水位低下量の計算根拠資料を求めた情報公開請求に対して、関東地方整備局から平成二十四年三月十四日付で国関整総情第5107号−1により開示決定があり、資料が開示された。それによれば、ピーク流量は八ッ場ダムがある場合は毎秒一万四千二百三十七立方メートル、八ッ場ダムがない場合は毎秒一万五千六百九十二立方メートルとなっており、前者は「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書」の表四−二−三の数字一万四千百六十立方メートルと異なっている。開示された上記の数字の計算根拠を明らかにされたい。
九 八ッ場ダム事業の検証において行われた複数治水対策案の比較について、その検証が妥当なものかどうかを検証するためには、そのもとになったデータと算定方式の公表は不可欠な前提である。この前提について質問した二回の質問主意書への答弁で、いくつかのデータが示されたが、それは、これまで公表されていなかったものである。その上、今回の質問主意書で重ねて質問せざるをえないように、そのデータ及び算定方法、算定根拠の開示は、断片的なものにとどまっている。これでは、八ッ場ダム事業の検証で行った複数治水対策案の検証が正しかったかを判断することはできないと考えるが、野田内閣の見解を問う。
右質問する。
政府答弁書
一について
「八ッ場ダムを含む案」における流出計算モデル(先の答弁書(平成二十四年三月九日内閣衆質一八〇第一一二号)一から三までについてで述べた、群馬県が管理するダムの洪水調節効果等を見込めるように設定した流出計算モデルをいう。以下同じ。)を用いて計算した八洪水(先の答弁書(平成二十四年三月九日内閣衆質一八〇第一一二号)一から三までについてで述べた「八洪水」をいう。以下同じ。)の八斗島地点の流量を、洪水ごとに示すと、次のとおりである。
昭和二十二年九月十三日から発生した洪水 毎秒約一万三千四百二十立方メートル
昭和二十三年九月十四日から発生した洪水 毎秒約一万二千七百五十立方メートル
昭和二十四年八月三十日から発生した洪水 毎秒約一万三千四百六十立方メートル
昭和三十三年九月十六日から発生した洪水 毎秒約一万千四百六十立方メートル
昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約一万四千百六十立方メートル
昭和五十七年七月三十一日から発生した洪水 毎秒約一万三千百八十立方メートル
昭和五十七年九月十日から発生した洪水 毎秒約一万二千九百三十立方メートル
平成十年九月十四日から発生した洪水 毎秒約一万二千三百三十立方メートル
また、お尋ねの「八斗島上流の洪水調節施設のうち八ッ場ダムがない場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、八ッ場ダムを含む案における「八斗島上流の洪水調節施設のうち八ッ場ダムがない場合」、「河道掘削案」、「渡良瀬遊水地案」及び「新規遊水地案」における、流出計算モデルを用いて計算した八洪水の同地点の流量については、いずれも先の答弁書(平成二十四年三月九日内閣衆質一八〇第一一二号)七についてで述べた「�A「河道分担流量洪水調節施設全施設完成時(B)」」に対応する数値である。
なお、お尋ねの「渡良瀬川合流地点」、「江戸川分派地点」、「芽吹地点」、「新大利根橋地点」、「利根川河口地点」、「江戸川の流頭地点」及び「江戸川河口地点」の「最大流量計算値」については、八ッ場ダム建設事業の検証(以下「八ッ場ダムの検証」という。)に係る検討を行うに当たって国土交通省関東地方整備局が委託した「平成二十三年度利根川上流はん濫解析及び被害軽減方策検討業務」の報告書には、流出計算により算出したお尋ねの各地点の流量の記載がないことから、お答えすることは困難である。
二について
御指摘の「最大流量」については、流出計算モデルを用いて計算したものであるが、「毎秒約一万四千百八十立方メートル」の流量が算出された区間より下流の区間における流量が「毎秒約一万四千百立方メートル」と算出されたことについては、計算の条件として用いた河道の形状等の影響によるものと考えられる。
また、御指摘の「何らかの洪水調節施設が想定されている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の答弁書(平成二十四年三月九日内閣衆質一八〇第一一二号)一から三までについてで述べたとおり、「河道掘削案」については、八ッ場ダムの洪水調節効果の一部を代替する洪水調節機能を有する治水対策を含んでいない。
三について
御指摘の「区間の流量」は、流出計算モデルにより計算した「二つの地点」の間における流量の最大値である。
四について
御指摘の「毎秒約一万四千百八十立方メートル」は、流出計算モデルにより計算した八斗島地点及び渡良瀬川合流地点の間における流量の最大値である。また、御指摘の「毎秒一万四千百六十立方メートル」は、流出計算モデルにより計算した八斗島地点における流量の値である。
五について
一級河川利根川水系利根川(以下「利根川」という。)の河口地点から渡良瀬川合流地点まで、江戸川分派地点まで、芽吹地点まで及び新大利根橋地点までの距離については、それぞれ約百三十三キロメートル、約百二十二キロメートル、約百四キロメートル及び約八十九キロメートルである。
また、流域面積については、渡良瀬川合流地点、江戸川分派地点、芽吹地点及び新大利根橋地点の最寄りの水位流量観測所及び当該観測所地点上流の流域面積を、地点ごとに示すと、次のとおりである。
渡良瀬川合流地点 栗橋水位流量観測所 約八千五百八十八平方キロメートル
江戸川分派地点 北関宿水位流量観測所 約八千七百七十一平方キロメートル
芽吹地点 芽吹橋水位流量観測所 約八千八百四十九平方キロメートル
新大利根橋地点 取手水位流量観測所 約一万二千百六十八平方キロメートル
六について
八ッ場ダムの検証における同ダムを含まない複数の治水対策案の検討については、八洪水いずれにおいても五区間(先の答弁書(平成二十四年三月二十一日内閣衆質一八〇第一三五号)�@及び�Aについてで述べた「五区間」をいう。以下同じ。)全てで流量を計画高水位以下で安全に流下させるための対策が適切であるとの考え方に基づき、五区間それぞれにおける八洪水のうち最大となる流量を用いて行っているものであり、御指摘の「八洪水の八斗島地点の計算流量」から特定の一洪水について特定の一地点における流量を差し引くという計算は行っていない。
なお、御指摘の「八ッ場ダムの代替案で対応が必要な流量」については、先の答弁書(平成二十四年三月二十一日内閣衆質一八〇第一三五号)�Bから�Dまでについてで述べたとおりである。
七について
お尋ねの「水位低下量の計算結果」については、昭和三十四年八月十二日から発生した洪水について流出計算モデル等を用いて算出した水位低下量を示すと、利根川の河口地点から、約百三十三キロメートルの地点から約百五十五キロメートルの地点までの区間では六十から六十四センチメートル程度であり、約百八十一キロメートルの地点付近では三十センチメートル程度であるが、利根川本川の江戸川分派地点より下流の部分及び一級河川利根川水系江戸川については、算出していないことからお答えすることは困難である。また、八洪水のうち同日から発生した洪水以外の洪水については、お尋ねの「八ッ場ダムによる水位低下量」を算出していないことからお答えすることは困難である。
なお、御指摘の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の事務局による「説明」は江戸川分派地点より上流の部分の主要な区間における水位低下量について述べたものである。
八について
御指摘の「毎秒一万五千六百九十二立方メートル」、「毎秒一万四千二百三十七立方メートル」及び毎秒「一万四千百六十立方メートル」については、昭和三十四年八月十二日から発生した洪水の降雨波形について、八斗島地点の流量が、洪水調節施設のない場合に毎秒一万七千立方メートルとなるように雨量を調整し、流出計算モデルを用いて、それぞれ、既設の洪水調節施設がある場合、既設の洪水調節施設に加え八ッ場ダムが完成した場合及び「八ッ場ダムを含む案」において想定した洪水調節施設が全て完成した場合における同地点の流量を算出して得た値である。
九について
八ッ場ダムの検証に係る検討におけるデータ、算定方法等の公表等については、国土交通省関東地方整備局のホームページへの掲載、開示請求等への対応等を通じて、適切に行われているものと考えている。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。